『亜空間通信』834号(2004/07/24) 阿修羅投稿を再録

イラク派兵中の日本で政府「有事指定公共機関」NHK懲戒免職職員が象徴するメディア権力の恐怖

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『亜空間通信』834号(2004/07/24)
【イラク派兵中の日本で政府「有事指定公共機関」NHK懲戒免職職員が象徴するメディア権力の恐怖】

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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 本日、土曜日、ここ2、3日、少しは下がっていた気温が再び上昇し、室温が34.5度、運動する気力なし、窓から風を入れて昼寝をしようとした途端、電話が掛かってきた。

 仕方なしに出ると、旧知の某週刊誌の記者で、NHKに関する質問である。自宅で取っている唯一の日刊紙、日経の朝刊にも、「NHK」「プロデューサー懲戒免職「紅白など制作費」「4800万円不正支出」の4段見出しの記事があった。以下は、日経の電網記事である。

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20040724AT3K2400U24072004.html
NHK、制作費着服を総務省に報告・抗議相次ぐ

 NHKは24日までに、チーフプロデューサーによる制作費着服問題でNHK側の不正支払額が約4800万円に上るとの調査結果と、プロデューサーの懲戒免職を含む関係者の処分内容などを総務省に報告した。

 NHKによると、総務省への報告は23日午後に海老沢勝二会長が記者会見して調査結果を公表した後、担当職員が同省放送政策課まで出向いて行ったという。

 20日に着服問題が発覚してから「失望した」「処分が甘い」など、視聴者からの抗議や意見が電話と電子メールでNHKに相次ぎ、24日午前10時までに計448件に上った。〔共同〕 (11:36)

 この件では、すでに、『週刊文春』(2004.07.29)の詳しい巻頭特集記事、「衝撃の内部告発」「NHK紅白プロデューサーが制作費8000万円を横領していた」「みなさまの受信料で甘い汁」があった。

 私は、『週刊文春』編集部に電話をして、確かに、これは「衝撃の内部告発」であって、同誌の独占の特種記事であることを確かめた。

『週刊文春』の発売は木曜日だから、2日前の7月22日である。私は、新聞の広告で、この見出しを読んだ記憶がある。

 当然、これを受けてであろう。毎日新聞も、以下のような短い電網記事を発表している。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20040724k0000e040048000c.html
NHK不正流用:
電話やメールで抗議558件

 NHKのチーフプロデューサー(47)が番組制作費約4840万円を不正支出し一部を還流させて飲食費などに充てていた問題で、NHKにはこの問題を発表した20日午後8時から24日正午までの間に558件の抗議が電話やメールで寄せられた。「処分が甘い」「体質の問題ではないか」「再発防止に真剣に取り組め」など、批判的な内容がほとんどだという。
毎日新聞 2004年7月24日 12時26分

 朝日新聞は、時折、NHKを批判するのが商売だから、電網記事も、以下のごとく沢山ある。

http://www.asahi.com/national/update/0724/013.html
失望」「甘い」NHKプロデューサー着服で厳しい声

 NHK(海老沢勝二会長)の元チーフプロデューサー(47)が番組制作費を着服していた問題で、当初の発表より問題の規模が大きいことが分かった23日午後から24日午後1時までに、視聴者から電話で213件の声がNHKに届いたという。「失望した」「処分が甘いのでは」など厳しいものがほとんど。週末のため集計していないメールなども含めると、さらに多くの声が届いていそうだ。NHKが最初に不正支出を認めた20日以降では、計584件が寄せられている。 (07/24 13:31)

関連情報
* 「紅白」の威光も利用、強い影響力 免職のNHK職員ら(07/24)
* NHK着服、3年放置 不正支出は4800万円に(07/23)
* NHKチーフプロデューサー、番組制作費を着服(07/20)


http://www.asahi.com/national/update/0724/001.html
「紅白」の威光も利用、強い影響力 免職のNHK職員ら

 NHKから告訴状が出された磯野克巳チーフプロデューサーは、衛星第2「ジュニアのど自慢」を担当していた01年に「歌を通して今の子どもの素顔を描きたい」と語ったことがある。小気味いい話しぶりで、「やり手」という印象のプロデューサーだった。

 NHKには、停職6カ月の処分となった天海修一・芸能番組センター長を頂点とする「芸能音楽グループ」が存在する。天海センター長は海老沢会長の信頼が厚く、長年にわたり紅白の事実上の最高責任者として、出演者との交渉や演出面も含め腕を振るってきた。芸能音楽グループの芸能界への威光は強かった。

 磯野プロデューサーも芸能音楽グループで力を発揮していた一人。不正支出があったとされる97年の「紅白歌合戦」は、「出産休養」宣言をしていた安室奈美恵さんの最後の舞台になった。翌98年は復帰の場となって注目を集めた。

 近年、NHKも多メディア化の中で、若い世代を引きつけようと、音楽中心の娯楽芸能番組に力を入れている。最近は「人気アイドルの確保のため」と称して、NHK職員と芸能関係者との飲食などの交際が視聴率優先の民放なみに増えていた。一方、芸能関係者にとって「紅白」は晴れの舞台。「最大の視聴者を抱えるNHK」というイメージが、出演したい側にある。芸能音楽グループへの配慮は、並々ならぬものがあった。

 こうしたことが芸能音楽グループに甘えの体質や、プロデューサーの尊大な態度や金銭感覚のマヒなど、非常識を生んだという指摘もある。

 一方、天海センター長と柳昌之歌謡・演芸番組部長の処分で、今年55回目の区切りを迎える「紅白」への影響は免れない。柳部長は昨年の「紅白」のチーフプロデューサーだった。NHKのシンボルだった「紅白」に、一気にダーティーなイメージがついてしまった。 (07/24 00:15)


http://www.asahi.com/national/update/0723/021.html
NHK着服、3年放置 不正支出は4800万円に

写真説明:記者会見で謝罪するNHKの海老沢勝二会長(左端)。中央は出田幸彦放送総局副総局長=23日午後2時30分、東京都渋谷区で

 NHK(海老沢勝二会長)のチーフプロデューサーが番組制作費を着服した問題で、NHKは23日、「紅白歌合戦」などの名目で計80回、4800万円余りが不正に支出されていたと発表した。調査はまだ終わっておらず、金額は今後増える可能性がある。NHKは同日、プロデューサーを懲戒免職とし、不正支出先となったイベント会社社長と共に詐欺容疑で警視庁に告訴状を出した。プロデューサーは「支出ごとに最大で半額を返金(キックバック)させ、飲食費などに使った」と話している。また、3年前に当時の上司が事実を把握したが、放置していたこともわかった。NHKは、海老沢会長を減給30%3カ月、当時の上司を停職6カ月とするなど、幹部6人も処分した。

 懲戒免職になったのはラジオセンターの磯野克巳チーフプロデューサー(47)。20日の会見で明らかにしていた「BSジュニアのど自慢」(不正支出額1900万円)のほかに、磯野プロデューサーが制作費の管理責任者として96年から01年にかけて、「紅白歌合戦」(同600万円)、「ふたりのビッグショー」(同360万円)、「青春のポップス」(同900万円)など、芸能・音楽関係の4レギュラー番組と単発の10番組で不正支出が続いていた。

 いずれも磯野プロデューサーの大学の先輩が社長を務めるイベント企画会社に、業務の実態がないのに「番組構成料」などの名目で支出していた。磯野プロデューサーは「支払いの都度、最大で半分を現金や口座振り込みでキックバックさせていた」と話しているという。NHKは「本人の記憶があいまいで、キックバックの総額ははっきりしないが、芸能プロダクション関係者との飲食費などに使ったようだ」と説明している。

 磯野プロデューサーが担当した番組の支出が不自然だったことは「ジュニアのど自慢」の後任チーフプロデューサーによって01年に判明し、天海(あまがい)修一・芸能番組センター長(当時は歌謡・演芸番組部長)に報告されていた。

 その時点で、詳しい調査や処分は行われなかった。関根昭義放送総局長は「当時は番組の赤字解消が最大目的で、上司は不自然な支出が止まったことでよしとしてしまったようだ。誠に職務怠慢としか言えない」と話している。

 NHKは、磯野プロデューサーからの支出先の調査などを続けており、新たな不正支出が判明したら発表するとしている。NHK会長の減給処分は、93年2月の「NHKスペシャル『ムスタン』」やらせ演出問題以来2度目。

 〈海老沢会長の話〉 放送に携わる者は高い倫理観が必要だが、今回の不祥事で公共放送としてのNHKの信頼を損なうことになり、改めて深くおわびします。聖域なき構造改革のさなか、不心得者が出て痛恨の極みだ。問題の所在を総点検し、国民の信頼回復に全力で取り組む意向です。

      ◇      ◇

 NHKの処分(23日付)
 磯野克巳ラジオセンターチーフプロデューサー 懲戒免職
 天海修一番組制作局芸能番組センター長 解職、停職6カ月
 柳昌之番組制作局芸能番組センター(歌謡・演芸番組)部長 解職、出勤停止7日
 中村季恵番組制作局長 減給
 海老沢勝二会長 減給30%3カ月
 関根昭義放送総局長(専務理事) 減給20%3カ月
 出田幸彦放送総局副総局長(理事) 減給20%3カ月 (07/23 20:23)


http://www.asahi.com/national/update/0720/032.html
NHKチーフプロデューサー、番組制作費を着服

 NHK(海老沢勝二会長)は20日、放送総局に所属する男性チーフプロデューサー(47)が、知り合いの都内のイベント企画会社社長に番組構成料として約1900万円をNHKから不正に支払わせ、一部を自分に返金させていたと発表した。チーフプロデューサーは事実関係を大筋で認めており、返金させた金は飲食代にあてたと説明しているという。

 記者会見した関根昭義放送総局長によると、このチーフプロデューサーは99年から01年にかけて、衛星第2放送の「BSジュニアのど自慢」の番組構成料として計48回にわたり、1900万円をNHKから社長に支払わせたという。台本を作成したという名目で、1回あたり30~40万円だったが、この社長は実際は仕事をしていなかった。社長は大学時代のクラブの1年先輩だった。

 数日前に一部マスコミの取材で事実関係が分かり、NHKはチーフプロデューサー本人と社長に事情を聴いた。具体的な返金額は、まだはっきりしていないという。

 関根総局長は「現場からの請求書などをチェックする立場の人間が不正を働いているとは想像もできなかった。NHKの構造的な問題ではなく、倫理観に欠けた個人の資質の問題」と述べた。

 チーフプロデューサーは80年にNHKに入局、番組制作局に配属され、岐阜、名古屋、大阪の各放送局で勤務経験がある。98年にチーフプロデューサーになった。

 NHKは、関根総局長を長とする再発防止委員会を作ることを明らかにした。チーフプロデューサーに対しては事実をさらに調査したうえで、刑事告訴する方針だ。 (07/20 20:57)

 しかし、以上の記事には出てこない重大情報がある。

『週刊文春』には、以下の記述がある。

「横領」の事実を告発された磯野克巳氏とは、一体いかなる人物なのか。
 海老沢勝二会長と同郷の茨城県出身。局内でコネ採用と言われる長期臨時要員採用枠で、昭和55年に入局した。

 本通信の最初に記した某週刊誌の記者は、『NHK腐蝕研究』の著者である私に、いきなり、「西湖会」を知っているか、と聞いたのである。彼は、おそらく、NHKの職員からであろう、「橋本登美三郎の後援会、西湖会で、磯野克巳は海老沢勝二と知り合って、そのコネでNHKに入った」という情報を得て、それを調べていたのである。

 そこで、橋本登美三郎と後援会の鍵言葉で、電網検索すると、以下が出てきた。

http://www.ultracyzo.com/cyzo/contents/0011/nhk/nhk_02.html
自民党のイヌに受信料は払えませんっ!!ここが変だよ、NHK
NHKの二大首領
カイチョーと政治家の深~い関係
島 桂次 【会長就任期間】平成元年4月12日~平成3年7月16日

田中角栄元首相はじめ、自民党に強力なパイプをもち、“自民党の代理店”と呼ばれたシマゲジこと島桂次氏。

報道局長時代に出したロッキード事件報道の放送中止命令(後に、島氏自身が「カットの理由は、NHKの予算を承認してもらう直前で自民党へのゴマスリから、トップがびびったため」と月刊誌に答えている)をはじめ、実質的に、政府自民党寄りの“偏向報道”を行ったほか、関連団体の事業拡大によるNHKの商業化などが批判の対象に。

局内では、島体制を批判する者は排除するという“恐怖政治”を敷いたが、この独裁体制がアダとなり、島氏によって更迭された人々から、田中元首相に反旗を翻した自民党経世会の“反島派”への働きかけがあったこと、また、放送衛星の打ち上げ失敗をめぐる国会答弁でのウソ、海外出張への愛人同伴疑惑が問題になり辞任に追い込まれた。

海老沢勝二 【会長就任期間】平成9年7月30日~

父親が橋本登美三郎後援会の重鎮を務めていたことから、学生時代から橋本氏の後援会組織のメンバーに名を連ね、政治色の濃さは歴代会長のなかでもピカイチ。

だが、かつては島元会長の片腕と言われ、同氏の会長昇格にあたって難色を示した竹下元首相ら、自民党の有力者に了解を求める働きかけを行ったものの、その後はNHK理事のポストから外郭団体に追い出された過去も。

その島氏がスキャンダルで会長の座を追われたのは前述の通りだが、失脚の原因となった国会虚偽答弁と海外出張への愛人同伴疑惑について、内部情報をマスコミにリークした中心的存在として海老沢氏の名前が根強く囁かれている。また、このとき島氏の責任追及にあたった当時の逓信委員長・野中広務氏との仲を深めたと言われている。ある意味では島氏以上に政治と深く、賢く関わる人物と噂される。

 別途、橋本登美三郎と西湖会の鍵言葉で、電網検索すると、以下の国会議事録が出てきた。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/077/1700/07709011700027c.html
第077回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第27号
昭和五十一年九月一日(水曜日)

○神谷信之助君 ロッキード事件は、アメリカの黒いピーナツで日本の政治が左右されていたというチャーチ委員会におけるショッキングな証言によって戦後政治の醜い姿を国民の前に露呈し、国民の間に政治不信を増大していることは周知のとおりであります。だからこそ三木総理も、議会制民主主義の根幹にかかわる問題としてその徹底的解明を国民に公約し、国会もまた両院がその真相究明を議決し、今日まで七カ月間にわたりその解明のため努力してきたところであります。しかるに、田中逮捕、そしてその保釈を契機に田中派の七日会を中心に、ロッキード隠し、灰色高官隠しの幕引き政変劇が起こり、三木勢力もまた独自の思惑からも、また反三木勢力への追随妥協という点からも臨時国会早期召集という形の幕引き劇、これを進めているという事実については、先週の委員会で私が追及したところであります。

[中略]

 お手元に資料を渡しました。まず最初の八月三十日、水戸市の自由民主会館ホールで、橋本登美三郎後援会西湖会臨時大会で決議をされた十万人のお見舞いの署名、それの署名文の要旨及びその大会で決議をされました決議文、これをいま資料としてごらんいただきたいと思います。

 これは、いまも申し上げましたように、三十日、水戸市の自由民主会館ホールで橋本登美三郎後援会の地元の後援会西湖会が臨時大会を開いた。この臨時大会には茨城一区の四市三十七町村にある支部組織から八百人近い熱狂的な支持者が集まった。その大会では、まず決議が行われました。その決議は「私達の敬愛する橋本登美三郎先生は不幸にしてロッキード事件の渦中にあるが先生の高潔にして温情溢れる人格の前に暗雲はおのずから霧消し青天白日の身となる事を確信する。先生の国政への貢献、郷土茨城に対する深い愛情を以つて県勢発展に尽力された功績は何人と雖も否定し去る事は出来ません。内外共に多難な緊迫した情勢を目前にして吾々西湖会哲に橋本登美三郎先生後援諸団体は、本日ここに連合大会を開催し、慎重に討議した結果、次の事項を決議した。一、来るべき総選挙えの、橋本登美三郎先生のすいせん立候補の実現 一、今こそ吾々会員一同は、更に意志の疎通を図り強固な団結と不動の信念に燃え選挙戦を闘い抜くことを誓う。右決議する」であります。

 このように賄賂を受け取ったということで逮捕された橋本登美三郎を、来るべき総選挙で推薦、立候補させる、そして全会員が強固な団結と不動の信念に燃えて選挙戦を戦い抜くということを誓うという決議を行っています。同時に、その会合で、この決議を行った後に、十万人の橋本に対するお見舞い署名をやろうということが決められました。「先生の高潔にして、温情あふれる人格の前に、暗雲おのずから散らし、青天白日の身となることを確信、西湖会ならびに後援会諸団体全会員は、一糸乱れぬ固い団結で政治行動を展開する所存であります。残暑なお厳しき折、くれぐれも健康第一にお過ごし下さるべく、ここに私たちの微衷を述べ、連署をもってお見舞申し上げます」。当日会場に集まった八百人近い人がその場で署名をして、そうしてこの署名簿をもって十万人の選挙区民に支持の署名を要求すると、こういう運動をやろうということが決まりました。

 まず、法務大臣にお伺いしたいのですが、法務大臣、いま国民はこのロッキード疑獄によって起こされた、明らかになった賄賂政治、これについて非常な怒りを持っている。そして、三木内閣の法務大臣としては、法務大臣も、その真相解明のためにしばしばどんな圧力があろうと、どんなことにも負けないで断固として真相究明のためにがんばると決意をされ、またその決意にこたえて捜査当局も困難な条件の中で捜査をして、そうして賄賂を受け取ったという、そういう容疑で逮捕した。そういう状況の中でこういうことが行われることについて、これは非常にりっぱなことだというようにお考えですか、あるいはこれは好ましくないことだというようにお考えですか、まず大臣の見解を聞きたいと思います。

○国務大臣(稻葉修君) 端的に言って、こういうことが好ましいなんて毛頭思いませんね。だって、検察当局を預かる法務大臣として、検察当局が確信を持って逮捕した者を人格高潔という地元の――逮捕する以上は相当の犯罪の容疑がありとしているのですから、それを預かっている法務大臣として、こういう選挙民のあり方は、人情としてはともかく、りっぱな行動だなんていうことを言ったらおかしなことになりませんか、私の立場は。

○神谷信之助君 私は、この行動が単に好ましい、好ましくない行動だと言うだけではなしに、公職選挙法の第百三十八条の二項、これに違反をするのではないか、こう思うのです。公職選挙法第百三十八条の二項ですか、これには「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって選挙人に対し署名運動をすることができない。」、こう書いています。この大会では八月三十日に橋本登美三郎の推薦、立候補、この実現を決め、そのために選挙活動をやるということを決める、同時に十万人の署名運動をやる、まさにこの二つが同じ会場で同じ集会で同じ人物によって決議をされた。これはまさに百三十八条の二の違反の疑いが非常に濃いと思いますが、この点いかがですか。

○説明員(佐藤順一君) お答え申し上げます。

 御指摘の署名運動の詳細を承知しておりませんので、断定的にお答えすることはいたしかねるわけでございますが、一般的には、当該行為の具体的な態様いかんによりまして判断されるべきものと考えます。署名の集め方あるいはこれに付随する行為等によりまして事前運動など公職選挙法の規定に触れるようなことがあってはならないものと考えております。

○橋本敦君 関連。

 いまの選挙部長の答弁は、私は、具体的に事実を指摘した神谷委員の質問に対する答弁としては、これは全く答弁になっていないと思うのですよ。具体的事実は、この大会で、来るべき総選挙で橋本登美三郎の擁立を決めた、そうして、その決議に基づいて今度は十万人の署名をやるというわけです。百三十八条の二の解釈としては、これはもうすでに最高裁がどう言っているかといいますと、「選挙に関し」という意味については、これは当該選挙の施行されることが確定的となった場合に限らず、いいですか、選挙の施行されることが予測される場合に、その来るべき選挙のためにする場合も包含すると解するのが相当である。これは最高裁の昭和三十年二月十日の判決でもはっきりしている。だから、今度の場合は、予測される総選挙に擁立を決めたという意味において、具体的な選挙公示はまだないけれども、選挙に関するという問題であることはきわめて明らかである。

 次に、署名運動の問題について、自治省は昭和二十七年九月の質疑回答の中でどう言っているか。これはあなたの方が言っているんですよ。この署名運動に関して、「選挙に関し」というのは選挙に際し選挙に関する事項を動機としてと同じであるかという質問に対して、お見込みのとおりと答えておる。まさに動機に関して今度は擁立をする、決議をする、そういう動機に基づいて署名をやるというわけです。まさに自治省回答のとおりです。さらに、今度は署名の名義について自治省はどういう回答をしているかというと、署名運動とはいかなる行為かという問いに対して、昭和二十七年九月の回答では、その署名運動ば「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって」するものである限り、直接請求、特定の者の後援会加入などその名義のいかんを問わない。つまり今度の場合、陣中見舞いというようなかっこうのたとえ名義だと、こう言っても通らない、これはもう回答されておるのです。ですから、今度西湖会がやっているこの行動は、政治的にまさに許されないと神谷委員が指摘したことにプラス、明らかに公選法百三十八条の二に違反をする違法な行為をやろうとしているのだから、これは明白です。一般的な答弁ではなくて、いま私が指摘した具体的な違反だという、これについて、もっと明確な答弁をしてもらいたい。

○説明員(佐藤順一君) 一般論としての御質問に対して一般論として答えた質疑応答の考え方はそのとおりでございますけれども、具体的な名前と具体的な事実をお挙げになってのいまのお尋ねにつきましては、さらにその他の具体的事実を承知しておりません私どもといたしましては、断定的にお答えいたしかねるわけでございます。

○橋本敦君 自治大臣、お聞きのように、一般的にはいま西湖会がやろうとしていることは百三十八条の二の公選法に違反する違法な選挙活動だというようにとられる可能性があることを選挙部長も一般論としていま認められたわけです。ただ、具体的には詳細を調査しなければならぬと、こういうわけです。具体的事実は神谷委員が指摘したとおりですが、これは重大な問題ですから、まさに選挙の公正を預かる大臣として、この問題については調査を命ずる、あるいは私は、現に違反する疑い濃厚ですから、こういうことはやらないように指導する断固たる処置をおとりになることを期待するのですが、自治大臣の御答弁はいかがでしょうか。

○説明員(佐藤順一君) 私が、質疑に関連して認めると申し上げましたのは、質疑応答の線を認めると申し上げたわけであります。具体的な事実に関連しては判断をいたしておりません。

○国務大臣(福田一君) 行政府の長として、また自治省を預かって選挙関係を監督しているという関係からもでありますけれども、要するに、われわれは法律に反する行為をする場合にはこれを取り締まるのは当然なことでございます。それは選挙部長がお答えをいたしたとおりでありますが、具体的な内容についてどうであるかということについては、ただいま私お話を聞きましたから、事情を調査いたしまして、これが法に反するということでございますれば、やはり適正に取り締まりをすべきものであると考えております。

○神谷信之助君 自治大臣、自治大臣は公明選挙を指導しなければならぬ選挙部も包括をしていると同時に、国家公安委員長でもありますから、したがって、この点は至急調査をして、そして公職選挙法の違反の疑いがあるかどうか、これは警察自身も調査しなければならぬ。これはいま言いましたように、八月三十日にその集会が持たれた。まだつい前ですから、二日前ですから、だから、その会場におった者で、さらにそういう運動を続けられようとしているわけですから、犯罪行為の予防の意味からもこれは至急に調査をして、そしてしかるべき処置をとると、この点は迅速にやつていただけますか、再度確認をしておきます。

○国務大臣(福田一君) 先ほどお答えをいたしましたとおり、事実を調査いたしまして、そうしてもちろん国家公安委員長でもありますから、その立場からさらに措置すべき面があれば当然また措置をとるべきだと思っております。事実の有無、内容等を十分調査をさせたいと思っております。

 そこで話を先の「島桂次が報道局長時代に出したロッキード事件報道の放送中止命令」にもどすと、この事件は、拙著、『NHK腐蝕研究』の冒頭に記したような「放送中止」の重大事件だったのである。以下、関係箇所を抜粋する。

http://www.jca.apc.org/~altmedka/nhk-1-1.html
『NHK腐蝕研究』
第一章 なぜNHKは《国営》ではないのか?
(1-1)“闇将軍”か“自己規制”か

 横見出しには、こうあった。

「NHKに闇の力」「ロ事件五周年特別番組」

「『事件は風化せず、疑惑は解明』の談話はなぜか全面カットされていた」

http://www.jca.apc.org/~altmedka/nhk-1-2.html
(1-2)“スクープ”合戦の陥し穴

『朝日新聞』(’81・3・6)では、いわゆる“三面”記事欄に、「ロ事件五周年、三木元首相インビュー、NHK、直前カット」の四段の大見出しが踊っていた。ベタ八十行ほどの記事で、はっきりした取材源は、三木事務所とNHK報道局長だけのようだ。

 要約すると、NHKが二月四日の「ニュースセンター9時」で「ロッキード事件五年」の報道特集を計画した。三木元首相には、「事件当時の首相としてのお話をインタビューさせてほしい」と申し入れ、いったんは断わられたのに、「ぜひお願いしたい」と再度申し入れ、十分程度のビデオテープ録画をした。それが全面カットとなるのだが、放映直前の午後六時にはNHKの「部長」、翌日には「担当局長」が三木側に頭を下げにいっている。

 二度も謝るくらいなら放送すればよかったのに、と思うのだが、それができなかったところに、現在のNHKの“危険な状況”があるようだ。そして、洗えば洗うほど、このテープ全面カット事件は、番組弾圧事件としても第一級。それが象徴する背景は大掛りなようだ。振り返ってみれば、他の言論弾圧事件も、いずれマスコミ産業の仲間うちの不祥事。他のメデイアがこぞって報道したり、論評したりしたことはない。そういう意味では、かなり早めに詳しい事情が外に洩れた方かもしれない。カットの理由は、島桂次報道局長の説明によると、「バランスがとれない」ためとあるが、だれも納得するわけはない。

 以上の情報を総合すると、今回の事件の底辺には、NHKの政権寄りの腐敗構造の象徴的な事態が淀んでいるのである。

 わが電網宝庫には、以下のNHK特集リンクがある。

http://www.jca.apc.org/~altmedka/NHK-sougou-hihan.html
NHK総合テレビ批判中心
2002.07.21.発足:発足の事情は308号

亜空間通信抜粋/その他の記事
2001.10.26.~ 特設リンク集
【シオニストによるテレビ朝日解説者更迭の脅迫事実とNHK解説主幹「殺害」疑惑】
(以下と重複あり)
木村書店のメルマガ 第2弾 NHK腐蝕研究
雑誌『憎まれ愚痴』●連載電網木村書店『NHK腐蝕研究』

亜空間通信抜粋
(2002.12阿修羅投稿より再録・リンク変更 旧リンクは個別記事の右上に記載)
701号(2003/12/01)【「邦人・外交官・殺害・テロ」連呼、似非紳士朝日が典型の日本中心は不気味な意味論の思想戦争】
649号(2003/08/17)【アメリカ兵が恐くて畏縮したまま萎縮症日本人の対米従属と自虐の情けない58年目】
2002.07.21:308号【NHKのみ有事政府方針を巡る「三矢」経過抜き唖然で「NHK総合批判中心」発足】
2002.07.06:295号【今こそ常識化すべき「武器として建設された日本のテレヴィ放送網」の基本認識】
2002.04.27:243号【NHK部長が戦争犯罪荷担の「同時多発テロ」「ネイミング」自慢で新聞も追随か】
2002.03.26:208号【アフガンとパレスチナ侵略拡大の最中にNHKが対米従属ホロコーストの大嘘放映】
2001.11.23:109号【NHK放映潜入ルポを裏切る「アフガンに再び芥子の花が咲く」最新情報の意外!?】
2001.11.04:82号【シオニスト「攻撃」テレビ朝日「対応」は明日でNHK「怪死」解説録画入手点検】
2001.11.01:74号【NHK怪死事件と無気味に暗合/タリバン宣伝に乗るな/CNN会長が特派員に注意】
2001.10.30:73号【NHKと警視庁の真相隠しは明白で犯罪的だ!解説主幹「怪死」事件疑問点列挙3.】
2001.10.29:72号【解説主幹怪死事件疑問点列挙2.「氏と死」綱渡りで必死に身を守るNHKの知恵か】
2001.10.25:64号【NHK副会長に直接:イラン紙の解説者「殺害」報道への対応要請:疑問点列挙1.】
2001.10.24:61号【イラン紙がシオニストの朝日テレビ脅迫に加えてNHK解説主幹の「殺害」を批判】

 さて、最後の恐怖は、NHKの広報の担当者が、私に対して、「それはファッシズム」と言ったような驚くべき事実である。

 このNHKが、戦前も戦後も、今もなお、「ファッシズム」の象徴なのである。『放送レポート』(2002.07)記事、「政府筋」によると、有事関連法案で「国と協力する指定公共機関について、報道機関はNHKに限定」(読売新聞2002.04.27)となっているのである。

 以上。


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