『亜空間通信』308号 (2002/07/21) 阿修羅投稿を再録

NHKのみ有事政府方針を巡る「三矢」経過抜き唖然で「NHK総合批判中心」発足

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『亜空間通信』308号(2002/07/21)
【有事政府方針を巡る「三矢」経過抜き唖然で「NHK総合批判中心」発足】

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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 本日(2002/07/21)、ここに、わが電網宝庫の新頁「NHK総合批判中心」設置を宣言する。

 設置の理由は数え切れない程あるが、いよいよ面倒見るしかないか、と腹を括るに至った最新の決定的な情報が、表題のごとき事情である。

 まずは、「NHKのみ」という文言の情報源、日本で最大の発行部数を誇る大手新聞こと、『読売新聞』の本年4月27日付け記事を紹介する。

 見出しは「有事指定公共機関/報道はNHKのみ」で、本文の最後に以下が続く。

「政府は26日、有事関連法案で『国と協力する責務を負う』としている指定公共機関について、報道機関は日本放送協会(NHK)に限定し、民放テレビ局などは除外する方針を固めた。政府筋が明らかにした」

 今から21年前には『NHK腐蝕研究』(1881.10.01.汐文社、筆名:徳永正樹)の著者、元日本テレビ社員、としては、唖然、呆然、愕然、寒心の至り、と言う他ないのだが、この情報を私が知った経過と、その後の電網検索調査結果もまた、唖然、呆然、愕然、寒心の至り、いわゆる「反体制」とか「野党」とかの「貧すれば鈍する」実感そくそくの状況なのである。

 私がこの『読売新聞』記事の存在を知ったのは、『放送レポート』177号(2002.7)掲載記事、「NHKが大本営発表になる?/有事法案が招く国家総動員体制」(丸山昇)の中に引かれていたからだが、この号が我が家に届いたのは、6月14日なのである。

 我が家では『読売新聞』を取っていないから、時折、私が関心を持ちそうな記事を切り抜いて届けてくれる電網宝庫読者の協力がなければ、『読売新聞』の印刷記事を見ることはない。電網情報の転送も受けなかった。

 うぬっとなり、「NHK、有事、指定公共機関」で検索してみると、このところ必ず見ている阿修羅戦争掲示板には、以下の『朝日新聞』記事が投稿されていた。

http://www.asyura.com/2002/war10/msg/1081.html
「有事」の指定公共機関に「民放も」 政府〔朝日新聞〕 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 4 月 10 日 11:35:37:

政府は9日の与党3党安全保障プロジェクトチームの会合で、有事法制関連法案に規定する指定公共機関に、民放を含める方向で検討する考えを示した。武力攻撃事態(有事)の際、国民への避難警報などを放送することを義務づけるもので、求めに応じない場合は強制的に実施させる可能性もある。。

法案の原案では、指定公共機関は「武力攻撃事態への対処に関し、必要な措置を実施する責務」をもつとしており、報道機関では日本放送協会(NHK)が明記されている。
(07:42)

 以上で引用終わり。

 この朝日記事では、「民放を含める方向で検討」となっているから、読売記事とは食い違う。読売が体制に近いというか、体制への食い込みが激しいというか、代弁をしているというか、それとも独裁者ナベツネの自慢の通りに「体制を指導」しているとかの状況は、知らぬ者のない実情である。調べもせずに読売記事を「ガセネタ」と見逃すことはできないはずだ。

 しかし、阿修羅戦争掲示板には、冒頭に引いた『読売新聞』記事、またはその論評は、まったく出てこなかった。この状況の異常さもあるが、いずれにしても、いわゆる「反体制」とか「野党」とかの議論や運動の不十分さは、一見明瞭である。常に読売を目の敵にしてきた連中は、何をしていたのか。

 まずは「有事、指定公共機関、NHK、日本放送協会」で検索してみると、約90件の結果の内、57件の表示が出てきた。政府方針に批判的な意見が多い。だが、ばらばら、ぱらぱら、である。

 私は、この件で直ちに想い出したのは、1965年当時、私が民放労連の関東甲信越地連の放送担当執行委員として、タブロイド新聞、『おしゃべりアンテナ』の発行を始めた当時の最大の問題、自衛隊の極秘研究、「三矢作戦」である。この「作戦」または「研究」の中には、有事のメディア対策が含まれていたし、私が民放労連と同時に日本共産党にも加盟していた当時以来、日本の放送またはメディアの最重要問題として、何度も書いてきたことだからである。ところが、何と、以下の検索結果が出てきたのである。

「三矢作戦、民放労連に該当するページが見つかりませんでした」。これにNHKを加えて絞って検索しても。「0」からは何も出てくるわけはない。次には、

「三矢作戦、日本共産党、有事法制、NHKに該当するページが見つかりませんでした」。

 私も末端組合員の全労連を調べると、これまた、

「三矢作戦、全労連、NHKに該当するページが見つかりませんでした」。

 これは大変である。予想以上に酷い。ところが、何と、全労連が御用組合と批判する連合傘下の「情報労連」の方の記事が、「三矢作戦」の検索で出てきたのである。

http://www.joho.or.jp/kankoubu/report/200205/200205_flash-01.html

[中略]この有事法制は、現在の自衛隊の前身である警察予備隊創設(1950年)以来の課題であり、1960年代前半に、当時の制服組が朝鮮半島での有事を想定しての極秘研究(三矢作戦)が明らかにされて以来、国の防衛をめぐって、国論が二分した中、絶えず浮沈してきた問題なのです。いわば自衛隊にしてみれば積年の課題といえ、アメリカにおける同時多発テロや不審船問題など、国民の記憶に新しい、この機をのがさず、一気に成立をねらったというのが本音ではないでしょうか。 [後略]

 以上で引用終わり。

 では、「三矢作戦」または「研究」とは何か。簡略に記された電網宝庫情報があった。

http://www2.odn.ne.jp/btree/syuhen/mitsuya/kaisetsu.htm

三矢研究とは

 自衛隊統合幕僚会議が1963年に実施した「昭和38年度統合防衛図上研究」のコードネーム。本来内部限りの極秘研究であったが、1965年2月10日、社会党(当時)の岡田春夫議員が衆議院予算委員会で同研究の文書を示しその存在を暴露し大きな問題になった。

 この研究は、朝鮮半島で朝鮮民主主義人民共和国が38度線を超えて侵攻を開始し半島で有事が起こった際に、自衛隊、米軍、そして日本国政府がどう動くか、またどう動くべきかについてシュミレーションを行ったものである。シュミレーションでは、第1動(朝鮮半島での情勢緊迫)から第7動(日本へのソ連などの武力進行)までに段階を区切って、それぞれの段階で軍事的・政治的、あるいは国際法的・国内法的な問題点を具体的に検討している。

 単に自衛隊の行動に留まらず、どのような立法(非常時立法=有事立法)措置がどの程度の期間で必要かも「研究」している。このシュミレーションでは、77ー87件の非常時立法を「委員会省略即座に本会議に上程する等国民の防衛意識を背景にして」、「臨時国会成立後約2週間で・・政府提出全法令の成立を完了した」(同研究 国策要綱に応ずる当面の施策の骨子)となっている。しかもその法令の中には「防衛庁専門の法廷設置」など明確に憲法で禁止されているものもあることから、実質的には自衛隊によるクーデター計画であると指摘された。

 法制定や民間資源の動員には国家総動員法を下敷きにしていることからも、現在でもこのままの形で「研究」が継続しているとは考え難いが、一方でここで取り上げられている法令のうち現在まで政府が明確に排除しているのは徴兵令などきわめて限られたものであり、事態の進展によって現実化する可能性のある法令が大部分である。現在ガイドラインの改定に伴う有事立法の制定作業が進められているが、その中味を推測する、あるいはその行き着く先を理解するためのもっとも包括的な資料であることは疑いない。

 この研究の暴露に当初は佐藤総理大臣(当時)も驚きと怒りを隠さなかったが、やがて「自衛隊が軍事侵攻を受けた時の研究をするのは当然」という答弁に変わり、防衛庁の高官が「機密文書管理の不備」を理由に処分が行われただけであった。

 研究の全容は、防衛庁が文書を処分したと公式には答弁したこともあって、結局今日まで明らかにはなっていない。 [後略]

 以上で引用終わり。

 以上の研究の中の「メディア対策」の実効性を少しでも考えれば、戦前からの実績、影響力、速報性などから見て、NHKが中心的目標となることは、誰の目にも明らかであった。しかも当時はヴェトナム戦争の最中だったから、NHKを巡る風雲も急を告げていた。それから40年近くの経過の中で、事態は着々、この研究の方向へ向かって進んできた。

 今回の動きに関しては政府の公式発表も出てきた。「首相官邸」である。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/anpo/houan/qa-law.html

首相官邸

「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」Q&A[中略]

Q7 「指定公共機関」として例示されている機関は、指定公共機関として指定されるのですか。民放などの放送機関も指定公共機関に入るのですか。

 (A)

1.  法案第2条第5号においては、「公共的機関」として独立行政法人、日本行、日本赤十字社及び日本放送協会を、また、「公益的事業を営む法人」として電気、ガス、輸送又は通信を営む事業者を、それぞれ例示しています。[中略]

3.  放送事業者については、警報等の緊急情報の伝達のために指定することを考えていますが、現時点では、日本放送協会(NHK)を主として考えています。また、新聞については、警報等の緊急情報の伝達の役割を担うことは一般には考えにくいと思います。[後略]

 以上で引用終わり。

 さてさて、先に記したごとく「約90件」出てきた「NHK、日本放送協会、有事、指定公共機関」の検索に、今度は「三矢作戦」を加えて絞ってみると、2件出てきた。この2件については、長文でもああるので、以下、所在と執筆者を示すに止める。

http://www.cam.hi-ho.ne.jp/oguri-minoru/kajiki.htm
[中略]
鹿児島大学(憲法学)小栗 実
[中略]

http://www.jca.apc.org/~kenpoweb/emerge_law/resume_sample/resume_oguri041802.html
[中略]
(作成者)小栗実・鹿児島大学
[後略]

 つまり、同一人物である。「NHK、日本放送協会、有事、指定公共機関、三矢作戦」の検索結果は、たったの一人による記事だけだったのである。

 では、この人物はと、名前だけで検索すると、5,240件ありと出た。結構多い。ご本人の電網宝庫もある。

http://law.leh.kagoshima-u.ac.jp/STAFF/oguri/oguri.htm
[前略]鹿児島大学法文学部で憲法を教えている小栗です。[後略]

 だが、今は、これ以上調べる時間の余裕はない。以上の中間報告をし、かつ、本日(2002/07/21)、ここに、わが電網宝庫の新頁「NHK総合批判中心」設置を宣言する次第である。すでに電網発表したNHK関連記事も沢山あるから、関連リンク集も含めて、NHKがまたぞろ「玉音放送」の「美談」の自慢をしては、「大本営発表」の犯罪歴を覆い隠し、今後も日本人を騙し続けるはずの記念日の8月15日までには、かなり充実した頁を構築できる予定である。ああ、これでまた、夏休みが遠のいた。ああ。

 以上。


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