台湾の元「慰安婦」裁判を支援する会
台湾の元「慰安婦」裁判を支援する会 1999.10.16
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訴訟原告団からのメッセージ


正義を求めて


荘 国 明 弁護士(婦女救援基金会理事長)

 皆さんにお会いできて,たいへんうれしく思います。

 皆さまがたが台湾の「慰安婦」の問題に関心をよせてくださることに、心から感謝し、今後、皆さまがたが台湾の「慰安婦」裁判の支えになってくださるようお願いします。

 わたしは、日本に来るたびに悲しい気持ちになります。かつて「慰安婦」にさせられたおばさんたちほど悲しい被害者は、世界中で見たことはありません。けれど、わたしが悲しいと思うのは、被害者たちよりも日本政府です。

 わたしたちが、わざわさ遠いところから来たのは、日本政府にただ一つだけ、正義だけを求めているからです。皆さんも、正義を求めているからこそ,ここに集まっておられるのだと思います。わたしたちは,ただ正義だけが欲しいのです。

 世界の情勢は、めまぐるしく変わっています。台湾と日本の国民は、いまは仲よくしています。わたしは、いつまでも仲よくしていられたらいいと思います。けれど、もし、日本政府がかたくなな態度をとりつづけるなら、台湾と日本の人民の友情がつづく保証はありません。

 「婦女救援基金会」と被害者のおばさんたちを代表して、この問題に関心をよせてくださる皆さまがたに、心からお礼を申しあげます。

 ありがとうございます。


日本人の心を問う裁判


王 清 峰 弁護士(元婦女救援基金会理事長)

 皆さん、こんばんわ。

 1992年に日本に来てから、7年になります。この会場にも、何回も来たことがあります。毎回、台湾の「慰安婦」問題の話をしました。皆さんのなかには何人もわたしの友人がいます。こんな大雨のなか、わざわざいらしていただいて、ありがとうございます。

 先週、わたしたちは台北で「慰安婦」問題のキャンペーンをしました。

 その一つは、重要資料に関する記者会見です。戦争中の日本の国策会社・台湾拓殖株式会社の2857冊におよぶ記録のなかから、「慰安婦」関係の資料を探しました。多くのボランティアの人たちの手を借りましたが、作業は5ヵ月かかりました。この資料によって、当時,どういうふうにおばさんたちを「慰安婦」にしたかが全部わかるようになりました。

 さらに、わたしたちは、いままで集めた資料をもとに『台湾慰安婦報告』という本を出版し、台北でサイン会をしました。この本の出版は、台湾の多くの人びとにショックを与え、支援の輪を広げました。日本の皆さんが、台湾人「慰安婦」裁判の支援会をつくってくださったことに感謝します。

 日本に来て、政治的にもっと権力をもっている人に会ったほういいと言った人がいました。また、わたしたちが出発する前夜に東京から電話をかけてきた人もいます。その人はこう言いました。「慰安婦」たちは金をもらって仕事をしていたのだと。こんな話はしたくはないのですが、でも、言わなければなりません。わたしは、そういう人にこう言いたい。もし、あなたの奥さんや娘さんが台湾に来て、二倍の金で慰安婦やったらいかがですか? こんなことを言うのは恥ずかしい。でも、言わずにはいられません。

 日本人のなかには、もう何十年も過ぎたことなのに,まだ,そんなことを言ってると、怒っている人がいます。人間としての心がない人だと思います。わたしたちは、ただ人権を重視しているだけです。

 被害者のおばさんたちは、婦女救援基金会を通して、台湾政府からの生活保護が出ています。わたしたちが日本へ来たのは、お金をもらうためではなく日本人の心を問いに来たのです。日本は、こんなにも人権を知らない国なのですか?

 こんどの裁判では一千万円を要求しています。でも,わたしたちが求めているのは、この一千万円ではなく、日本人の反省の心だけが欲しいのです。

 わたしたちは、いま、たいへん重いことをしています。でも、これは、年老いたおばさんたちと新しい未来の子供たちのためにやらなければならないことです。

 わたしは、2000年までに,この問題が解決できるよう願っています。
 それは日本政府にとってもいいことです。

 ありがとうございました。


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