「子どもたちは二度殺される」 の書評・ほか

『子どもたちは二度殺される』 ご案内
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世界子ども通信「プラッサ」
書評 『子どもたちは二度殺される』      小関 隆志 さん  
子どもはなぜ"二度"殺されなければならないのか

本のタイトルを見て、まず「二度殺されるって、いったいどういうことだろう?」と率直に感じた。この本は、子どものいじめ自殺を中心に、学校での体罰死、体罰自殺、暴行殺人、など70に及ぶ事例を詳細に取り上げ、分析しているものだ。自殺も、子どもが勝手に死を選んだというよりは、いじめや体罰によってむりやり死に追い込まれたわけで、殺されたのとほぼ同じであるといってよい。
いじめや体罰、暴行などで子どもが自殺したり、殺されたりすることは、それ自体重大だが、問題はそれだけにとどまらず、自殺や殺人の事件の後に、加害者の少年やその親、学校、教師、教育委員会、警察などが遺族に対して誠実な対応をしようとしない。加害者や教師は重大な事件を起こしてしまった責任を自覚しない。学校や教育委員会、警察は自らの体面を気にして、事件の隠蔽に躍起になる。いじめ自殺などの場合、「学校でいじめはなかった」と嘘をついたり、自殺した子どもの欠点をことさらあげつらうことで加害者はいじめの責任を回避したりする。子どもの自殺や殺人という重大な事件から真剣に教訓を得ることなく、その場しのぎで保身を図ることは、死者をさらに鞭打つことであり、一度死んだ子どもを(象徴的な意味で)もう一度殺すことなのだ。著者は「二度殺される」という表現に、子どもの死を真正面から受け止められない教育行政や地域社会に対しての警告を込めているように思われる。
この本に載っている豊富な事例を見て、子どもの自殺や暴行殺人、体罰死の事件がこんなに頻繁に起きているのか、と改めて驚かされる。なぜそういった悲しい事件が後を絶たないのか。どうすれば子どもを死の淵から救えるのか。著者は本の最後で、「思い込みを捨てよう」「子どもたちのSOSを読み取ろう」と読者に呼びかけ、問題解決に向けていくつかの興味深い提言を出している。私自身、小学校のときにひどくいじめられた経験をもつが、そのときの気持ちを思い起こすと、いずれの提言も、「その通りだ」とうなずけるものばかりだ。多くの人に、ぜひこの本を手にとってほしいと願っている。 

2001.8.3 

「THE SHAKAI SHIMPO」2001年8月17日(金)、産経新聞・多摩版2001年9月25日にも、記事を掲載していただきました。ありがとうございます。






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