わたしの雑記帳

me071120 中井佑美さん(中1・12)いじめ自殺裁判(11/26)の傍聴報告

2007年11月26日(月)、午前11時から、東京地裁103号法廷にて、中井佑美さんの民事裁判があった。今回も、大法廷の約8割ほどが埋まる傍聴人。
裁判長は金子順一氏、裁判官は清水響氏、今村あゆみ氏(今回から)。

原告の児玉勇二弁護士が裁判長に、今回提出した書面について、提出がぎりぎりになってしまったこと、傍聴人が多いことから、簡単に口頭で説明をさせてほしいと願い出て許可された。

つい先日(11/15)、文部科学省が発表した2006年度の「児童生徒の問題行動調査」結果では、いじめの発生数が前年度の6倍以上になった。定義を変えたことを理由にしているが、調査がいかにずさんだったかの証拠だと指摘。
そして、市川須美子氏が最近出された著書を引用して、いわき市小川中学校いじめ自殺裁判(850926)の判決の中身が全く履行されていないとした。そして、鹿川博史くんのいじめ自殺裁判2審判決(860201)や津久井のいじめ自殺の判決(940715)を引用して、いじめがあれば子どもたちは自殺に至るにもかかわらず、文科省は10年間、何もしてこなかったとした。
また、中井裁判の代表的な支援者のひとりでもある前田さん(910901)の裁判の和解条件のひとつ「今後、重大事件においては、親と誠意をもって情報交換し、問題解決のための最大限の努力をするという約束」にも触れた。

児玉弁護士はさらに、中教審がいじめの半減目標を掲げて、むしろ学校がいじめを隠蔽する原因をつくったこと、学校事故や事件の遺族たちがたびたび請願をもって訪れたにもかかわらず放置していたこと、国連の「過度の競争が子どもたちを追い込んでいる」と指摘したことなど、文部科学省の責任について論じた。

また、7年間いじめ自殺ゼロと報告し、その矛盾が社会問題になると再調査。その再調査が短期間で、しかも遺族に直接、聞き取りをすることもなく、再調査の報告もなく行われ、中井さんの場合にも、自殺といじめの関係を否定して、二重に傷つけたと指摘。
児玉弁護士の弁論は、亡くなった子どもたち、遺族への思いがあふれ、いつにも増して熱が入っていた。

なお、被告の北本市は、原告側が提出した担任教師との交換日誌について、「担任との交換日誌かとうかもわからない」「本人が書いたかどうかもわからない」として、原本の提出を求めた。
対して、原告は、今後の北本市の主張の内容を知ったうえで、原本を提出したいとの主張があり、裁判長も、とりあえずは部分的なコピーで北本市側の主張をまとめるよう支持した。

次回は、2008年2月18日(月)午後1時30分から、東京地裁103号法廷にて。


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参考までに、児玉弁護士が引用されたいじめ自殺裁判の判決要旨をここに掲載しておく。
(市川須美子さんの書かれたものはまだ読んでいないので)

いじめ自殺 判決要旨(「日本の子どもたち」サイトから)
福島県いわき市立小川中学校佐藤清二くん(中3・14) 850926 悪質ないじめが原因の自殺については「必ずしも具体的な自殺の予見可能性があったことを要しない」と判断。初めて学校の管理責任が認められる。
東京都中野区立富士見中学校鹿川裕史くん(中2・13) 860201 いじめ認定について、被害者側の受け止めを重視。いじめと自殺との事実的因果関係を肯定し、被害生徒の心身に大きな悪影響が生ずる恐れのある悪質ないじめに対し適切な対処を怠り、さらには、いじめに加担したに等しい「葬式ごっこ」などに、教師側の過失を認めた。
神奈川県津久井町立中野中学校の平野洋くん(中2・14) 940715 自殺を予見するような直前の様子があったかどうかではなく、いじめ事件報道やいじめ自殺事件の頻発により、いじめが不登校や自殺など重大な結果を招くことは社会的に周知されているとした。高裁では初めて「自殺の予見可能性が認められた

※ここのところ更新が滞っていますが、訴訟事例(いじめ・暴力)でも、いじめ裁判の判決一覧を見ることができます。
※「わたしの雑記帳」バックナンバー(me060404)もあわせてお読みいただければと思います。


児玉弁護士は、「教育判例の蓄積」として以下をあげられた。勝訴判決だけでなく、敗訴した裁判を含めて、多くの被害者・遺族が訴え続けたことの蓄積がここにあるのだと思う。
そして、今また、多くのいじめ自殺遺族が、様々な圧力、リスクを覚悟して、名乗りをあげている。亡くなった子どもたち一人ひとりの死を無駄にしないために、もう二度と犠牲を出さないために。国は、その思いに応えてほしい。
マスコミに騒がれた事件にだけ個別対応するのではなく、すべての犠牲者に真摯に対応してもらいたい。



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