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第 150 国会報告
政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会
2001年11月20日

あっせん利得処罰法案審議


150回国会政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会2000年11月20日あっせん利得処罰法案審議

○大脇雅子君 法務省作成の資料によりますと、平成七年から十一年までの過去五年間のあっせん収賄罪の公判請求員数、これを見ますと三十四人というお答えがありました。国会議員は二名ということは明らかでございますが、この三十四人の内訳をお伺いしたいと思います。各年度ごとの対象者のポストの内訳、あっせん内容、公判請求の結果等について法務省の方から御答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(古田佑紀君) 過去五年間全部ちょっと調査ができないところもございまして、平成十年及び十一年の二年について調査した結果について申し上げますと、平成十年につきましては、実際の人数で六人を公判請求しております。その内訳は、都道府県議会議員が一名、市町村議会議員が三名、いわゆる一般職の公務員が一名、公務員以外の者で共犯に該当する者が一名です。

あっせんの内容につきましては、二名につきましては内容虚偽の土地買い付け証明書の発行交付に関するものでございますが、そのほかは入札に関する公示価格の漏えいに関係するものであります。これらにつきましては、すべて有罪判決を受け、確定しております。

次に、平成十一年について申し上げますと、実人員で七人を公判請求しております。その内訳は、都道府県議会議員が二名、市町村議会議員が五名でございます。

あっせんの内容は、すべて入札に関する公示価格の漏えいに関係するものであります。このうち二名については公判係属中ですが、その余は有罪判決が確定しております。

○大脇雅子君 公判請求し判決が確定した者の中で、請託の認定はどのようになっておりますか。請託が要件になっているあっせん収賄罪を初め、受託収賄罪等について具体的にどうかということをお尋ねします。

○政府参考人(古田佑紀君) 平成七年から平成十一年までの五年間で請託を要件とする収賄罪、それは受託収賄罪、事前収賄罪、第三者収賄罪、事後収賄罪及びあっせん収賄罪でございますが、これらの事件で公判請求されたもので無罪の判決が言い渡された例はないと承知しております。と申しますことは、いずれの事件におきましても請託の存在が認定されたということであるわけでございます。

○大脇雅子君 そうしますと、請託ということが要件になっている場合に、法律の発動の困難性というところはあるのでしょうかないのでしょうか。あるとすればどこにあるのでしょうか。

○政府参考人(古田佑紀君) 請託という要件が入っておりますと、もちろんその検察官として立証しなければならない事項がふえることはそれは事実でございます。

しかしながら、実際に立証の問題を考えてみますと、それは個々事件ごとでいろいろでございまして、請託という要件があるということが直ちに一般的に立証が困難になるとかそういうものではないというふうに考えております。

○大脇雅子君 議員の政治活動について、今まで権限の影響力を行使してという点で非常に議論がいろいろされてまいりました。口きき行為を行う際に、公職選挙によって国民や住民の負託を受けた議員の口ききというものは国会と地方議会等における議員及び首長であれば同じ取り扱いなのかどうか、その議員のついている役職等の違いで口ききの効果に違いがあって法的判断にも影響するのではないかと、さまざまな議論がされておりますが、確認をしておきたいと思います。

○衆議院議員(大野功統君) まず、国会議員と地方議員と首長という区分けでございます。それぞれについて職務は若干違っておる。

時間をとりますが申し上げますと、国会議員、これは御存じのとおり、議院における議案発議権、修正動議提出権、表決権、委員会等における質問権、地方における議員につきましては、条例の提出権、議会における表決権等でございますし、また地方公共団体の長につきましては、規則の制定権、予算の作成、執行、会計の監査、その他ございます。

したがいまして、端的に申し上げますと、国会議員、地方議員それから首長、それぞれによって職務により有する権限というのは異なってくる、これはそのとおりでございます。権限に基づく影響力を及ぼす範囲、これもまたそれに応じて異なってくることだと思います。

それからもう一つの問題は、先ほども議論されましたけれども、直接的あるいは間接的な行使という問題でございます。これは議論されましたけれども、もう一度復習の意味で申し上げますと、直接の権限というのは今申し上げましたような権限に直接由来する権限でありますし、それから間接というのは、その職務自体によって法律的に由来するものではないとしても、例えばその人が他人を、他の同僚議員を巻き込んでやる、こういうのが間接的影響力だと思いますし、また明示的、黙示的ということを申し上げております。これは直接、質問をするよとか、あるいは黙示的といった場合には、わかりやすく言いますと、例えばこれをやらなければ毎日毎日議員会館にどうなったか呼びつけてやるよとか、いろんな黙示的なことがあると思います。

以上でございます。

○大脇雅子君 そうしますと、地方議員が、この問題は大変重要な問題だから国会の有力な議員に言って国会でも取り上げてもらうことを考えているとか、今後行政のあり方として考えていきたいと言って口ききの件について直接言及するのではなく、暗に議員としての政治活動としての発言をした、この場合、与党案ではどのような解釈になりますか。

○衆議院議員(大野功統君) 地方議員が、国会でも取り上げてもらうと、こういうような発言は、この法律の構成からいいますと直ちにはそれは本法の対象にはならないことは明らかでございます。しかし、今後このような問題を地方議会でも取り上げていくような示唆があれば、それは一つの影響力の行使ということになろうかと思います。しかし、それはすべてそのときの立場の問題それから言動の問題それから被あっせん公務員の職務内容の問題、いろいろ総合的に勘案しました上での具体的な証拠関係に基づく事実認定の問題、こういうふうになろうかと思います。

○大脇雅子君 重ねての質問になりますけれども、議員個人の持っている権限あるいは職務ということではなくて、議員のついている役職等で口ききの効果、先ほどはボスの場合は程度の差という御説明ありましたけれども、法的判断には役職の違いということで影響が出るのではないかと思うのですが、この点はどうでしょうか。

○衆議院議員(大野功統君) この点も先ほど議論されたところでございます。

直接的には法的に由来する権限には当たりません。しかしながら、その人が例えば同僚議員に働きかけるその力が強ければ、事実上随伴する権限としてこれは対象になる可能性はある、このような問題でございます。

したがいまして、例えば先ほどの政党の議論でいいますと、政審会長あるいは幹事長、こういう方々は幹事長あるいは政審会長としての問題ではないわけでございますけれども、それに随伴して大勢の同僚議員を結束するあるいは指示できる、こういう意味では事実上随伴的な力、影響力が出てくる、このように解釈できるわけでございます。

○大脇雅子君 犯罪主体と客体についてさまざまな議論がありました。

私設秘書については他の議員の方がたくさん御質問されておりますし私もしておりますが、とどのつまり、私設秘書の政治活動というものについて、汚れ役だとか危ない仕事をしているというような感じで、そうした国会議員の公設、私設の秘書の採用は議員の裁量に任されている場合に予断を与えるような悪い影響が出てくるのではないかという点を危惧しますが、いかがでしょうか。

○衆議院議員(大野功統君) 予断を与えるような悪い影響力というのはちょっとよくわからないんですが、どういう意味でございましょうか。

○大脇雅子君 結局、この本法で規制されるのは、選挙で選ばれた公職者の廉潔性と公務員の廉潔性、公正さというふうに言っておられるんですが、私はこの二つのストレスのかけ方というかどちらが主体か。

今までの法案の趣旨でいえば、選挙で選ばれた公職にある者というものの高度な廉潔性ということが法案の主たる目的であるにもかかわらず、私設秘書を除外する場合には、あっせん収賄罪との比較において公務員の廉潔性とか公正さということに今度はストレスがかかって私設秘書を除かれるわけですけれども、この点はまずどちらが主たる本件法案の目的かということと、私設秘書というのは、選挙で選ばれた議員のいわば仕事をサポートするわけですから、それを除くということになると、そういう汚れ役をするのが私設秘書だという世間一般の予断が生じないかと、こういうことでございます。

○衆議院議員(大野功統君)まず第一に、この法律の目的というのは、政治公務員並びに政治公務員を補佐する公務員、公設秘書でございます、身分犯としてそういう公務員の廉潔性を確保し、これによって国民からの政治に対する信頼を確立する、こういう法益、保護法益でございます。ですから、そこが一番であります。一般法に対して特別法、いわば自然犯に対して行政犯、こういう区切りをきちっとつけているわけでございます。

したがいまして、そういう意味で補足的に、刑法のあっせん収賄罪に比べて犯情が軽い、その犯情が軽いものと重いものとを比べて、あっせん収賄罪においても私設秘書は処罰の対象になっていない、こういうことを申し上げているわけでございます。それが第一点でございます。

第二点の方は、しからば私設秘書にみんな罪をかぶせるようなことになってしまうじゃないかと、こういうわけでございます。こういう御質問かと思います。

しかし、もし私設秘書も対象にするということになると、公設秘書はだれにするか、私設秘書をだれにするか。これは、秘書が大勢いる中で、それが国会議員の判断で決められているのがおかしいじゃないかというところから始まるんだろうと思いますけれども、それはもういたし方ない。国会議員がそういうふうに判断する、これはもうどういう説明も不可能だと思います。国会議員のまさに判断で、恐らく相当の国会議員は自分が一番信頼する者を公設秘書にしているのではないかと。こういうことを言いますと、またほかの私設秘書が自分は信頼されていないのかということになりますので言いたくありませんが、そういう面が大きいと私は理解いたしております。

それから二番目は、やっぱり先ほども議論しましたが、私設秘書との関係はまちまちである。どこまでで区切ればいいのか、それはきちっと定義づければいいじゃないかと、こういう御議論もありますが、それは一番の問題に戻って、きちっと身分犯として決めていこうと、こういう問題だと思います。

したがいまして、もうこれは議論されましたからくどいんですけれども、要するに、仮に政治公務員と私設秘書とが意を通じていれば共同正犯になるし、それからもう一つの問題は、仮に私設秘書も処罰の対象にすれば、いわば私設秘書にすべてをおっかぶせてしまうという現象が逆に起こってくる可能性だってあるわけでございます。つまりトカゲのしっぽ切りと言えばわかりやすいのかと思いますけれども、そういう現象も起こってくる。こういうさまざまなことを考えて、公設秘書だけに限るのが一番いいのではないか、このように我々は考えておる次第でございます。

○大脇雅子君 選挙で選ばれた公職にある議員あるいは首長、それを補佐する仕事に差異はないということで、公設、私設のこの区別ということは、法の建前で公務員というところに線を引いたとしても実態上は全く納得がいかないということを申し上げて、次の質問に移ります。

これまで、第三者供与の規定を設けないということで、第三者に供与された財産上の利益でも、本人の事実上の支配力、実質的な処分権の有無を認定して本法が適用される、こういうふうに言われたんですが、議論の中を聞いておりますと、政治献金処理を適用除外とするような線引きの中で、実態上、本人の事実上の支配力、事実的な処分権があると推定される資金管理団体、後援会、後援会の会長、親しい友人の預金口座、政党支部の口座あるいは親族というようなもののどこに線が引かれるのかということが全然明快ではないわけですけれども、この点についてお尋ねをしたいと思います。

○衆議院議員(大野功統君) 第三者供与は対象になりませんので、これはそういう御疑問があることも十分理解はできます。

しかしながら、本件はまず第一に、正当な行為をさせる、不正なことをさせない、こういうことも倫理を確立する上できちっと犯罪の対象にしている。したがいまして、刑法のあっせん収賄罪とのバランスの関係でまず第三者供与は除いてある、このことを御理解いただきたいと思います。

それから第二には、しかしながら本人性、それから対価性、二つの要件でございますが、事実上の支配力、事実上の処分権、こういうような本人性がある、それから対価性がきちっとある、そういう場合にはどんなことがあっても本件の対象にする。したがいまして、そこも問題はありません。

そういう意味で、私は、今御質問にあったような、例えば後援会の会長の預金口座に入るとかそういう問題ではなくて、側面を、本人がもらうんだ、本人が処分権を持っているんだと、そういうふうに絞って考えているわけでございますから、事実何にも問題がない。

もし仮に第三者供与を入れますと、政治資金との関係がありますから、これはむしろ政治資金規正法の方は政治家のお金の流れの透明性を確保するわけでございます。もし第三者供与を本件の構成要件に入れますと、恐らく政治資金の透明性が薄れるようなことになってくるおそれだってあるんじゃないか、私はそういうことも考えていただきたい、このように思います。

○大脇雅子君 具体的に、資金管理団体というのは本人が代表者となっていて出し入れも自由なわけですが、この資金管理団体は、この本人の処分権、対価性、本人性というところに当たるのですか、当たらないのですか。

○衆議院議員(大野功統君) 本人がその代表者になっていようとなっていまいと、これは第三者であることには間違いございません。したがいまして本罪の対象になりません。

問題は、あくまでも構成要件として本人性、対価性、これを資金管理団体であろうとその他の政治団体であろうときちっと見ていく。それは、具体的な証拠関係に基づく事実認定の問題として考えさせていただく、このような構成になっております。

○大脇雅子君 客観的外見性ということをきちっと見て法律というのは解釈されるべきでありまして、本人が代表者になっている資金管理団体が第三者に該当するということは全く納得がいかないと思うのですが、それでは、本人の事実上の支配力、本人性、対価性がある場合の事例を挙げてください。

○衆議院議員(大野功統君) まず第一の点でございます、これは御質問ではございませんけれども。例えば何々党総裁で、その政治団体が総裁の名前になっているかもしれません。しかしながら、総裁は自由勝手にその党のお金は使えないはずでございます。そういう意味で、名前の問題ではない、私はこのように解釈しております。

それから第二に、じゃ具体的にどういう場合に当たるのか。これは一概に言えません。申しわけございませんが一概に言えません。それは、例えば会計責任者がきちっとしていて、そして一々会計責任者を通してきちっと処理されていれば恐らくこういうケースはいいのだろうと思いますけれども、これはもう申し上げましたとおり、具体的な証拠関係に基づく事実認定の問題でございます。他人の名前が代表になっておろうと、政治公務員がもういつでもその中から金を持っていく、引き出し自由、そういうことになるとまただめだろうと、こういうことでございます。これも具体的証拠関係に基づく事実認定の問題である。そこは一概に申し上げられませんが、大体方向性としては今私が申し上げたようなことになろうかと思います。

○大脇雅子君 だから、私は事例を挙げてくださいと。こういうのは当たらないという御説明は非常に熱心にされるわけですけれども、こういう場合は当たるよという例が全くないのはどうしてでしょうか。

○衆議院議員(大野功統君) こういう場合はといって、どういう場合を想定されて御質問なさっているのかよくわかりませんけれども、問題点としては、明らかに政治公務員がもう全く自由自在に第三者である政治団体あるいは政治資金管理団体に入金されている資金を自由自在に持っていく、使っている、こういうケースはそれに当たるのではないかと。しかしこれも、くどいようですが、具体的証拠に基づく事実認定の問題でございます。そういうふうに判断されたら、それはもう本法の処罰対象になることは明らかであろうかと思います。

○大脇雅子君 どうも説明を聞いていると、本人名義の預金に入ったときしか何か適用がないような感じになってくるんですが、じゃ妻の名義はいけませんよね。

○衆議院議員(大野功統君) 先生の御質問は、あっせんの報酬としての対価が妻の名義に入っていると、こういうことでございますか。

○大脇雅子君 そうです。

○衆議院議員(大野功統君) それも第三者でございます。だから、理の当然として、それは対象にはならないという法の建前になっております。

しかし、奥さんの名義の口座から本人が自由自在に取り出して使っている、こういう場合であれば、それは本人性、対価性が十分あるとすれば、これは事実認定の問題としてそういう判断が下されるケースとなる可能性が大きいと思います。

○大脇雅子君 そうすると、本人が自由自在に処分できる場合でしたら、資金管理団体、後援会会長、あるいは親しい友人の預金とか政党支部の口座、親族、すべて本人が自由に使っているというメルクマールがあればそれは当たる、こういうふうに解釈させていただいてよろしいでしょうか。

○衆議院議員(大野功統君) それがまさに刑法のあっせん収賄罪と全く同じような解釈になっております。くどいようですが、もう一度申し上げますと、本人性並びに対価性でございます。

○大脇雅子君 時間が来ましたので、これで。ありがとうございました。

○大脇雅子君 両先生にお聞きしたいのですが、このあっせん行為、いわゆる口きき行為というのが日本では非常に政治活動の本流のように受けとられていて、私は議会に参りましてから、その点がいま一つ感覚的に納得がどうしてもいかないところなんです。今、渥美先生もあっせん行為それ自体を御批判なさいましたし、岩井先生は族議員というものに対してさまざまな御研究を積んでおられまして、やはり官僚制度と族議員と結びついたところに日本の政治のゆがみであっせん行為がかくも肥大化しているところがあると思うんですが、その点について御意見はいかがでしょうか。

○大脇雅子君 ありがとうございました。

渥美先生にお聞きしたいんですが、全体の奉仕者性というのは、確かに法案の大きな私も前進的なところだと思うわけですが、ただ具体的な議論を聞いておりますと、例えば町内会に頼まれて橋をかけるとか公民館を建てるということはこれには当たらないと、特定の行政処分には当たらないというんですが、しかし私は、やっぱり橋をかけたり公民館を建てたりするということが、例えばごみ焼却場に反対をするところは避けて建てるとか、原子力行政でもこれはもう日常的に行われているところで、やはりもっと重要なところに予算を回さなきゃいけないときにそういうことをするということは、全体の奉仕者性から見て政治活動としてよろしいのかなと思うわけです。

こういう特定のものと一般的なものの線引きというのは非常に難しいとおっしゃったんですが、これについて何か御意見ございましたらお教えいただきたいんですが。

○大脇雅子君 それからもう一点、渥美先生にお尋ねしたいのは、法定刑の問題ですけれども、あっせん収賄罪との比較考量で法定刑が少し下がりますけれども、例えば土本先生なんかは、選択刑として罰金刑を入れた方が、もっとフレキシブルで柔軟な構造がそういう汚職をなくするのに役立つではないかというようなことを言っておられるんですが、それはどう思われますでしょうか。

○大脇雅子君 きっと、構成要件が非常に厳格ですと、有罪ということにならないと没収ということはできないわけですから、併科ですから、だからその点で非常に疑わしいときにその罰金刑で考えるということはどうだろうかという御意見の趣旨だとは私は思ったわけですけれども。

○大脇雅子君 疑わしいときに罰金刑を科すというのはおかしいんですが、例えば情状酌量で起訴猶予になるときにでも罰金刑と、こういう趣旨だと思うんですが、確かに先生の御意見は拝聴させていただきました。

それから、岩井先生にお尋ねしたいのは、世界七十五カ国以上に支部を持って汚職の監視活動を行っている国際的なNGOがございます。トランスペアレンシー・インターナショナルというもので、世界九十カ国の二〇〇〇年度版の汚職度認識指数というんですか、これを九月十三日に公表しておりました。最も清潔度が高いのはフィンランドで、以下デンマーク、スウェーデン等北欧諸国が上位を占めておりまして、米、英、独、仏、日の五カ国を比較しますと、イギリスが十位、アメリカ十四位、ドイツ十七位、フランス二十二位で、日本は二十三位となっております。国際貿易などにおいてわいろを支払う国と認知されているわいろ支払い指数というのも、日本はその五カ国中の最下位だと。

こういう指数はどこまで、どうやって出すのか、これは幾つかの国際機関のケースから抽出しているようでございますけれども、清潔度の高い国が国際競争力でも高い順位を持っているし、発展途上国というのは非常に清潔度が低いという分析がなされております。

こういう一つの日本的な風土というものがこの法案によってどの程度改善されていくのか、そういう可能性というものをどのように見ておられるか、お尋ねをいたします。

○大脇雅子君 最後に、渥美先生にお尋ねしたいんです。

さまざまな欠陥がございまして、私どももこの後修正案を提出することになっておりますが、この法律案は、あっせん収賄罪が非常に摘発率が少なかった、国会議員に関して、それに比較して、より要件が緩和されているとはいえさまざまな制約がいっぱいとげ抜きがなされておるわけですが、この法律的な効果、取り締まりの実効は上がるだろうかという点について、法律家のお立場からお教えいただきたいと思います。

○大脇雅子君 どうもありがとうございました。

○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案に関し、与党案に反対、修正案に賛成する立場で討論いたします。

社会民主党の中心的な政策課題はあっせん利得の禁止でありました。これまでの衆参の審議を通じて明らかになりましたように、与党案は、法の趣旨及び目的との整合性を欠くと参考人が指摘するほどに法案の実効性を注意深く骨抜きにしており、竜頭蛇尾のそしりを免れません。すなわち、政治家の私腹を肥やさせ、行政をゆがめ、国民、住民の政治不信をもたらす口ききによる利得行為を根絶することはこの与党案では期待できず、いまだ国民の信頼と負託にこたえるものと評価することは全くできません。

それゆえに、私は、与党案に対する修正を求めるものであり、その具体的理由は次のとおりであります。

第一に、私設秘書を除外していることです。与党案の審議中に国会議員と都議会議員の複数の私設秘書が出資法違反で逮捕されたことは、与党案の欠陥をまさしく浮き彫りにしました。選挙で選ばれた公職にある者と業務で一体性を持つ者を除外することは、抜け穴をつくることにほかなりません。

第二に、「権限の影響力を行使して」という文言の中で、「権限」や「影響力」という文言は非常に幅のある、立証が困難で不明確な要件であります。

第三に、与党案のように法の客体を財産上の利益に限定することは、政治浄化のために廉潔性、公平性を担保するには不十分です。情交関係や票の取りまとめ、後援会、選挙活動などがすべて規制の対象から除外されてしまうので、政治家の高度な廉潔性を損なう意味では、財産上の利益にまさるとも劣りません。

第四に、政治家本人以外が金銭を受け取った場合の第三者への供与について明文で規定しないことは、巧妙な抜け道づくりと指摘できます。

第五に、対象となる行為を契約、行政処分に限定することも不徹底であり、これまでの実態から見て、例えば予算案、法令の策定、税制の改定や優遇に対する口ききが特定の者の利益に資することを看過するものであります。

最後に、自律的自浄作用、衆参議院の自治を確立するための第一ステップであるということを本法案の位置づけにしたいと思います。

企業団体よりの献金、特定者、特定業界のために働くことを招くこうした政治資金規正法附則十条の見直しを行うことを提言して、私の反対討論といたします。

ありがとうございました。



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