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春紅園を訪ねて 染色作家 大内春紅さん
2000年4月29日取材
ものづくり職人列伝

京都西陣の染色作家、大内春紅こと大内惣介さんの工房「春紅園」におじゃましました。作業風景や、今までの商品・作品、そして生の「図案」を見せて頂きました。
 春紅園では「和=着物」という概念を捨て、照明器具やガラスのぐい飲み、旅館のインテリアコーディネート等々、幅広い分野で図案を販売しています。
 「単品ではなく、他のものと組み合わせて100%完成するように」とデザインされた作品は、どれも上品な風合いで、参加者から思わず感嘆の声があがりました。

徒弟制度
 子供の頃は、今では想像すらしにくいが、堀川で友禅流しをしているのを何度となくみて育ち、父は著名な京友禅の染色図案家で、大内少年にとっては、いつしか友禅の道に進むのがあたり前のような生活で、高校では日本画を学び卒業と同時に父と同じ京友禅の染織図案の道に進んだ。
 今までは、親子の関係だったが、父を先生と呼び、母を奥様と呼ばねばならず、甘えの許されない修行の世界を10年してきた。父はピーク時15人ほど弟子を抱える忙しい仕事ぶりだった為に、息子としてなおの事、人一倍技術を習得するのにも妥協の出来ない努力が必要だった。
職人の道は険しくて、修行期間は住み込み生活で、朝から晩まで友禅の世界に没頭し給料といったものは貰えず、メシだけ食わして貰える生活だった。
 修行になぜ10年も掛かるのかというと、色作りに3年、形を作るのに3年、図案が描けるのに3年と、人によっても習得度は違うものの最低でもこれ位は懸かるのだそうだ。(たっくん)




工房風景を撮影させていただきました。

大内さんの屏風です。
職人さんのお知恵拝借〜染色の見分け方

染色の善し悪しは、布を裏返してみると分かります。
表の柄が裏に濃く出ているほど上物です。
 染色では柄をくり抜いた型紙を布に当てて染料を引くため、型紙の厚み分だけ染料がのります。現在最も普及しているシルクスクリーンの場合、型紙が薄く、裏に浸透するだけの染料がのらないのです。10枚近い薄紙を重ね、押型で一気に模様を抜く伊勢切型も、同じことが言えます。
これに対し分厚い渋紙を1枚1枚刃物で切り抜く京都の型紙なら、多くの染料がのり、それだけ深みのある色が出るという訳です。(かつら)

安芸守の現代を斬る!

世の中は常に変化しており、廃れていくものがあるのは当然の理である。しかしながら「採算が合わない」とか「趣味の多様化」とかいういっときの経済的・社会的理由によって、何百年かけて培われた伝統的な技術が失われてしまっていいものであろうか?ほんとうにこのまま今の技術を残さずにおいて、後に後悔はしないのであろうか?
恐ろしい事は今、そのような風前の灯となっている伝統技術が実は我々の想像する以上の規模と速さで進んでいるのかもしれない、と思う事である。
「伝統」は万能ではない。ことによっては廃れるべくして廃れるべきである。しかし伝統は長年その土地の社会や風土にあわせ受け継がれてきたという或る意味で究極の合理である。変化が急速であればあるほど慎重にならねばならぬのに、守り抜くべきか否か、よくよく考えようともせず、或いは考える間も無いまま大切なものが消えていこうとしているのは悔しく、歯がゆい思いがして、ならない。(安芸守)



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