記 録 NON-PROFIT ORGANIZATION さいたまNPOフォーラム 成熟した市民社会をめざして 1998年2月1日 浦和商工会議所会館ホール 埼玉NPO連絡会/埼玉県コミュニティ協議会/埼玉県 |
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日本で市民活動がこれほどまでに脚光を浴びるようになったのは、残念ながら阪神・淡路大震災という大事件をとおしてであった。
阪神・淡路大震災は不幸なできごとであったが、市民活動団体に、他力本願では何も解決しないこと、それぞれの違いを認め、できることから互いに協働することの大切さを再認識させ、その結果、市民活動そのものが、広さ、深さをもった豊かなものとなった。
市民活動を大別すると環境、医療、福祉、子育てを含む青少年問題、芸術、文化、女性問題、人権、平和、国際協力/交流など、その切り口や専門性の違いはあるものの、すべてが今の人間社会のありようをテーマにしている。その意味で阪神・淡路大震災は、極めて限られた地域の中で、突然に、しかも濃縮されたかたちで、それらの問題を一度に私たちに提示してくれたできごとであった。
そしてこれらの重いことがらを解決するには、市民と行政、企業が協力しなければならないことを、お互いに思い知ったできごとであった。
私たち市民活動は、行政の下請けをするのではなく、いつでも行政や企業と対等で、しかも緊張感を保ちながら協働する関係を作りあげていきたいと願っている。
この願いが、市民にとっても、行政にとっても、企業にとっても、同じレベルで理解されたとき、日本の市民活動が世界の市民活動のレベルまで引き上げられることになる。
市民活動を従来から続けてきたグループの中に、この動きを速やかにとらえ、市民活動を法制化する運動を展開した人たちがいた。NPO推進フォーラムや、シーズがそうである。
埼玉では1995年6月にYMCAを中心に集ったグループが、また1996年3月には環境関係のグループが、NPOに関する勉強会をいち早く始めた。もともと財団法人である埼玉YMCAは、NPO法人格を取得しようということではない。しかし、多くの市民活動と協働を進めてきたという面からは、他人ごとではない話だった。
こうして埼玉YMCAの呼びかけに応じて「埼玉NPO研究会」が発足し、その呼びかけに応えてさまざまな市民団体から約50名が参加して「埼玉NPO連絡会」が作られた。
「さいたまNPOフォーラム」は、「埼玉NPO連絡会」の活動の手始めとして、埼玉県と市民グループが協働して開催されたものである。このフォーラムには埼玉県全県下の80を超える市民団体から約250名が参加して熱心な論議を繰り広げた。この集まりのために、多くの市民団体、企業、行政のエネルギーが費やされたことは意味深いし、そのプロセスを大切にしたいと思う。
このフォーラムを成功裡に終え、「埼玉NPO連絡会」が次のステップについて語り合い始めた1998年3月19日に、市民活動法=特定非営利活動促進法(NPO法)が成立した。
市民活動法の検討が始まったのが1994年、95年の阪神・淡路大震災を契機に立法化の動きが加速され、成立までに約3年の月日が流れた。法制化を歓迎すると同時に、「さいたまNPOフォーラム」が埼玉県におけるNPO活動のスタートラインだったのだという思いを禁じ得ない。
記録 さいたまNPOフォーラム
1998.2.1/浦和商工会議所会館
発行:埼玉NPO連絡会/埼玉コミュニティ協議会/埼玉県
発行日;1998年4月
編集・制作:東プランニングルーム