第2分科会
市民活動サポートセンターのあり方とその展開


長 内 午前中の山岸さんの基調講演、パネルディスカッションでは、成熟した市民社会のためにNPOの役割が大きいということが話されました。
 でも、そのNPO自身がまだ弱体ですので、企業や行政がサポートする体制が考えられています。埼玉県でも「市民活動サポートセンター(仮称)」の設置が考えられているそうなので、まず埼玉県の県民生活課の坂井さんから、自己紹介と合わせてお話をお願いします。

■サポートセンター構想の経緯■

坂 井 県の県民生活課でNPOサポートセンターを担当しております坂井と申します。早速ですが、サポートセンター設置に向けて、県が動きだしたこれまでの経過と、サポートセンターの役割や必要性などについて、いま県として考えていることについて説明させていただきたいと思います。
 埼玉県では、平成7年度と8年度に、「ボランティア推進協議会」を設置いたしまして、60人程度の委員の方に、住民や企業や行政がそれぞれどのようにボランティア活動の推進に取り組んでいったらよいかということについて協議をしていただきました。
 その協議会からは昨年の3月に「彩の国のボランティア活動推進のために」という報告書を提出していただきまして、その中で、民間主体による活動支援拠点の整備の必要性が提言されています。
 この中で「活動実践者・グループが、互いの閉鎖性を排してネットワーク化を進め、分野を越えた県域のネットワークを作ることが期待されます。このネットワークは、一人ひとりが対等な立場で緩やかに結びついた、いわば『開かれた広場』で、相互交流や相互啓発が可能となります。この『開かれた広場』としての県域のネットワークを背景に、活動実践者・グループが相互に支援しあう活動の拠点、『(仮称)ボランティア活動支援センター』を民間主体で整備することが望まれます」というご提言をいただいたわけです。
 この提言を踏まえて、平成9年度になりまして、県ではこの活動支援拠点に、仮称ですが「市民活動サポートセンター」という名称をつけ、サポートセンターの構想策定委員会を新たに発足いたしました。こちらの二子石さんとか、午前中のパネリストの山岸さんや高山県民生活局長、それから環境、福祉、国際、防災などの活動団体の方々、県の社会福祉協議会や県民活動総合センター、経済同友会の方、それから学識経験者として文教大学の野島先生など13名の委員の方に、現在、サポートセンターをどんなふうに作っていったらよいかという構想の策定作業にあたっていただいています。
 この構想は、3月中までにはまとめていただくことになっています。来年度は、設置に向けて、さらにもっと具体的な準備をしていただくことになっています。
 次に、なぜサポートセンターが必要かということにつきまして、その役割や必要性について簡単に申しあげます。
 まず第一に、概念的なことですが、サポートセンターの役割は、活動団体や活動実践者が、県域のネットワークを背景にして相互に連携し、情報交換し、お互いの活動を支援しあう場となるということです。
 県では、市民活動団体のアンケート調査を行いまして、ただいま集計中です。まもなくまとまりますので、活動状況を詳しく把握した報告書を皆さまにご提示することができると思います。
 調査の途中ですがこれを見ますと、埼玉県の活動団体は、約半数が会員30名未満の小さな団体です。このような団体の中には、独自の事務局を持てないところとか、情報を十分に入手できないような団体が多いと思いますが、サポートセンターは、そういった団体に対して、事務局的な機能を一部肩代わりするとか、そういった団体が相互に連携しあう──たとえば、この曜日の何時に来れば、この団体の人と会えるというような場になるとか、経験の豊富な団体がほかの団体へ情報提供するとか、または団体同士が合同で新しい事業をやるとか、新しい団体を作りたいという人たちに適切なアドバイスを与えることができる──そういう連携の場となることが一つの役割であると思います。

 2番めのサポートセンターの役割は、実践活動そのものを支援するということだと思います。これまで、県の施策としては、県民活動総合センターや生活センターを中心にして、ボランティア活動や市民活動を支援するための講座や講演会、相談業務を行ってきました。
 県民活動総合センターでは、社会教育などの生涯学習や地域福祉、青少年、女性、高齢者、ボランティアなどの県民活動を支援するためにいろいろな事業を行ってきました。たとえば、セミナーを開くとか、ボランティア技術者の養成講座を開くとか、「ボランティア相談センター」を設けてボランティア活動を希望する人に情報を提供するとか、ボランティアの活動を受けたいという希望がある人にボランティア活動先を紹介したりとか、「ボランティアフェスティバル」や「ふれあいフェスティバル」を開催したり、「ボランティア情報誌」「ボランティアけいじばん」などを発行したりしてきました。
 このような活動は、県民を啓発したり、きっかけづくりをしたりすることを、その主眼において行ってきたわけですけれども、これらの活動をさらに一歩先に進めて、活動団体の活動そのものを支援しようというのがサポートセンターの役割になってくるものであると思います。

 3番めに考えられますことは、個々の活動や団体を支援するときに、「ボランティア活動の本来のあり方、本来あるべき姿をそのまま支援するにはどうしたらいいかということを十分承知したうえで、支援する」というのが、市民活動サポートセンターの任務になると思います。
 ボランティアというのは強制されたものでもなく、また、お膳立てをされた舞台で、ただ労力を提供するというものでもなく、自由な意思にもとづいた自発的で自主的な活動です。「自発的、自主的な活動の本質を損ねることなく、サポートセンターを通じて行政が支援するにはどのようなことに留意しなければならないか」ということが、第3のサポートセンターの役割を考えていくうえで重要な問題点になると思っております。
 ただいまサポートセンターの構想策定委員会では、市民活動団体の本来のあり方を損なうことなく行政が支援するサポートセンターというシステムを、どのように作っていったらよいかということについて検討していただいているところです。
 サポートセンターのこれまでの経緯と期待される役割などについて、以上申しあげました。

長 内 どうもありがとうございました。
 坂井さんから、サポートセンターとその背景、構想策定委員会、県が考えているサポートセンターの役割、その必要性について、かいつまんで述べていただきましたが、このサポートセンターの話は、いま国会で審議をされているNPO法とは、建前としては関りがなく進んでるということも、坂井さんのお話でおわかりいただけたかと思います。
 実際は、NPO法との関りの中で、今後たくさんの市民団体が、さまざまな活動に乗り出してくるだろうし、それをサポートするという意味ももちろんあるわけです。ただ、NPO法ができる、できないに関らず、市民社会そのものがそういう方向に踏み出しているという認識を前提に話を進めていきたいと思います。

 次に二子石さんに話していただきますが、構想策定委員会に加わってる市民側の委員として、この間何を発言し、どういうことに注文をつけ、現在どういうふうに市民側として考え、今後どういうふうに関るべきかというようなことを話していただきたいと思います。

■阪神・淡路大震災がきっかけだった■

二子石 「埼玉YMCA」といいまして、青少年を育成していく団体に属しております。YMCAは、財団法人ですから、なにもNPO法の恩恵を受ける必要はないんですが、やはり非営利団体でもあるわけで、いろんな団体の方といっしょに手を組みながら市民活動をしていきたいという思いから、本日の「さいたまNPOフォーラム」に参加をさせていただいています。
 私は、阪神・淡路大震災のときに、埼玉県内でいち早くYMCAとしてボランティアを募りました。社会福祉協議会もボランティアを募りました。そして社会福祉協議会から「どうしたらいいかわからないから、集まった人たちを、二子石さん、連れてってくれ」と言われて、いっしょに行ったんですね。
 そしてそのときに、あの大震災の中で、市民の人たちが力を合わせて働いている姿を見て、「ああ、これがこれからの日本を動かしていくな」と実感いたしました。ふつう赤い髪の毛をした青年たちを、社会はあまり相手にしませんが、大震災のときには、その青年たちがおおいに活躍をしている。この若い青年たちやボランティアの力は、次の日本を変えていく力を持っているんじゃないかというふうに、非常に熱く思いました。
 そう思いながら帰ってきましたら、すぐに県から連絡がありまして、「埼玉県から行ったボランティアの人といろいろと話をしてみたい」という話がありました。そこで、新聞にもとりあげられましたが、埼玉県から阪神・淡路大震災の被災地に行った方々の集会を持ちました。
 その集会には、やはり若い人が多くて、いろんな方々がいました。阪神・淡路大震災では、埼玉県からも、いろんな方々がボランティアに参加をされたんですね。そういうことから、「埼玉県にはボランティアの団体がいくつぐらいあるんだろうか」なんてことを考えておりました。
 まず国際関係の団体を一回集めてみようと思って声をかけましたら、かなりの方が集まってくださった。これは、国際ボランティアの会の会長の富永さんが最初の発起人ですが、その呼びかけで国際関係だけの団体のネットワークができました。「さいたまNGOネット」と言います。
 もう一つ、福祉関係でもそういうグループができ始めました。福祉協議会でも、すぐに「こういう人たちがボランティア活動をやっている」という小冊子を作りました。
 環境関係でも、もうすでにできあがっているようです。
 たくさんの方が、国際とか環境とか、青少年とか、人権とか、平和とかいった切り口でいろんな市民活動をなさっていますが、要は人間の社会でより豊かに生きるにはどうしたらいいんだということを、自分の得意とする分野で、切り口で、しようとなさってるんだなあということがわかってきました。
 でも、このつながりは、そのまま独立しています。ということは、たとえば「国際」は「国際」で、福祉の人とぜんぜん関係を持たない、あるいは「環境」は「環境」だけで、「国際」の人とぜんぜん関係を持たない。それではすまされない。やっぱり人間社会を形成しているわけですから、みんなで集まって話しあう、ネットワークしていく必要があるだろうという思いを深めていたところへ、県側から「彩の国ボランティア活動推進のために」ということで「ボランティア推進協議会」の会合の呼びかけがありました。
 そのとき、60団体の方々が集まって、「埼玉のボランティア活動が、いかにネットワークすべきか」という話がいろいろとされました。
 そのときも「ボランティアとは何か」という話題が出ました。分野が違えばボランティアの解釈が違うんですね。これを乗り越えるということのためにも、「分野が違うから集まらない」じゃなくて、「違う分野を認め合って集まっていく」ということの必要性をつくづく感じました。
 そういう中で、違いを乗り越えてネットしていく意味、その重要性だけは、皆さんは認識をしてくださいまして、「どこかに、集まって、そこで活動し、研修し、情報交換する場所があるといいね」というのが最終結論だったと思います。

●市民が苦労しなければ協働は成り立たない

 その後、「ボランティアサポートセンター構想策定委員会」という呼びかけが県側からあり、私もその一員になりました。
 そこで、私たちが考えていることは、公設公営の「市民ボランティアサポートセンター」ではだめじゃないか。公設民営──「建物は行政が建てる、中の運営は市民がやる」という、そういう願いを委員の人たちと盛んに話をしているところです。
 山岸さんの基調講演にもありましたように、市民の側に「自分たちのことは自分でやる」という基本的なコンセンサスがない限り、この「ボランティアサポートセンター」は成り立たない。「それを支援していく」という姿勢が行政にないと成り立たない。また、支援する企業がないと成り立たない。三者が協力し合って、はじめてできる。そしてその運営はわれわれ市民グループがする──そういう発想でいま委員会が進められております。
 逆に公設公営だと、市民側としては楽なんですね。お金のことを考えなくていい。そして、ある程度みんなが集まって話し合ってやれば、まあ肝心な運営費その他が行政から出てくるかもしれない。これは一番楽な方法かもしれませんが、それでいいのかなと思うのです。
 たとえば、ボランティア団体が一生懸命自分たちで資金を集めて活動しているときは、いきいきしてるんですね。だけど、ある程度のお金をよそからもらってやっちゃうと、その資金がなくなったらその団体はつぶれてしまう──そういう弱体なボランティアグループが育ってしまうんじゃないかと思うのです。
 むしろ私たち市民側は、自覚して自分たちの運営費を集めていくぐらいの意気込みを持たないといけないと思います。もちろん、私たちには、建物は建てられません。建物は、行政に用意してもらう。その中身については、私たちが責任ある市民としてその場所を使う──そういうことが必要であるというふうに私たちは願っています。そのことを委員の1人として申しあげているところです。

長 内  ありがとうございました。市民の自立性、あるいは自己決定意識を基礎にした公設民営の「サポートセンター」をというお話でした。
 まだ「市民活動サポートセンター」がどういうものか、なかなか見えてこないと思うんです。いま神奈川県で作られてるものがあります。そこに、私たち埼玉NPO連絡会が取材に行って話を聞いてきました。
 設置の事情の違いとかはあるんですが、具体的にどんなものがあるのか、見ていただいたほうがわかると思いますので、笹倉さんから取材の報告をお願いしたいと思います。

■神奈川県のサポートセンターを見学して■

笹 倉 私たちは埼玉県の女性センターを作りたいということで、私たち「埼玉の女性政策を進めるネットワーク」では、こんな女性センターが欲しいという提言書を作りました。埼玉県では、いま基本構想委員会を作っておりまして、私もそこの委員なんです。女性センターができるということは、ほぼ決まっているのですが、女性センターの活動の中にも、市民活動支援というのが大きな柱として入ってくると思います。私たちのネットワークとしても、ぜひ女性の市民活動の支援をしてほしいという提言をしているわけです。
 そういうこともありまして、埼玉県に作られる市民活動サポートセンターはいったいどうなるんだろうという興味で、私はこの問題に関るようになったわけです。
 神奈川では市民活動サポートセンターが2年前にオープンしたということですので、取材に行ってきたんですけれども、テレビ神奈川で取材をした10分くらいの番組がありますので、これを見ていただきたいと思います。

 (テレビ放映)

●6階から11階までの3500平方メートル

 少し補足して説明をさせていただきたいと思います。
 「96年度のかながわ県民活動サポートセンター事業報告書」というものがあります。かなり分厚いものですが。ふつうの行政の事業報告書とは違って、かなり具体的に、活動がわかりやすく説明されているものです。お回ししますので見ていただければと思います。
 横浜駅の高島屋のある出口から3〜4分のところに15階の建物があって、6階から11階がサポートセンター、その上は福祉プラザということで社会福祉協議会が入っています。かなり大きいビルの6階から11階まで、3500平方メートルがサポートセンターに割りあてられているわけです。
 神奈川県に岡崎さんという知事が就任したときに、政策として打ち出されたということです。岡崎さんという方は、もともと大蔵省の官僚の方で、環境庁に行かれて、その後ご自分で環境NGOを設立なさった方だそうです。ボランティアのサポートセンターみたいなものが必要だという、かなり強い知事の意向があって、こういう施設ができたそうです。
 そういう背景だったので、決めてから8か月ぐらいで議会を通して、かなりのスピードで作ってしまったということです。それだけに市民の意見を取り入れることができなかったそうで、オープンしてしばらくは、ほとんど中もガラガラでした。
 私たちが訪れたときには、開設から2年たって、資料の棚も全部埋まっていましたし、印刷機なんかもすごい稼働率で、年間400万枚も印刷されたりで、もうフル稼働しているという状態でした。
 作るときには市民の声を聞けなかったのですが、スタートしてから市民の声を聞きながらいっしょにセンターを作っていったということだそうです。

●年中無休、午前8時半から午後9時半まで

 どういう組織体制でやってるかですが、ここは組織的には公設公営──要するに県が建てて、県の職員が配置されて運営しているというかたちです。ですから所長さんも県の部長級の方ですし、私たちがお話をうかがった交流サポート課の課長さんも県の職員です。
 24人の体制で、午前9時から午後10時まで開けているということですので、職員の1日のシフトは8時半から5時までと、1時から9時半ということです。年中無休ですが、職員は土・日分はローテーションを組んで休みをとっている。だから24人といっても1日にいる職員の数は決して多くないということです。
 職員の仕事は、運営面のことと、交流サポートのためのボランティアサロンの運営──ボランティアサロンというのは、机だけあってほかには何もないスペースで、予約も必要なくパッてそこに行って、空いてれば、その場所を使えるという所ですが、3フロアーぐらいあるから、めったなことがない限りいっぱいで入れないということはない。かなりスペースがあるなあという感じです。こういうサロンを運営したりとか、調査研究をしたりとかが、職員の仕事です。
 それから活動支援のコーナーでは、具体的にアドバイザー制度というのを設けています。このアドバイザーというのは県の職員ではなくて、民間のボランティア、市民団体のグループの人がアドバイザーになります。その方たちに、相談については県から委託するというかたちになっています。

●少しずつ役割を広げて、さまざまな拠点に

 3年間にわたる事業の概要を見てみると、初年度は「場の提供」、2年度が「情報提供」、今年度が「総合支援」ということで、少しずつ歩きながら考えていると担当の課長さんがおっしゃってました。
 埼玉から電車に乗って行っても、あそこの施設を使いたいというぐらい便利そうなので、もし同じような施設が私たちの埼玉県にもできたらいいと思っています。いまのところ埼玉県では公設民営という方向性だそうですか、このへんに関してはちょっと議論があるところだろうとも思います。
 神奈川では、年間3500万円ぐらいの事業費で運営されているということですが、県の場合、ちょっと大きな国際フォーラムを開くと3500万円ぐらい使っちゃうんですよね。
 実際には、相当いろんなことをやっています。「防災ギャザリング」という防災の問題をやる市民フェスティバルを開いたり、市民祭りみたいなのを開いたり、結構年がら年中、この場所を拠点にしてやってるわけです。「防災ギャザリング」も、かなり大規模なお祭りで、市民の団体だけが活動するのではなくて、行政からも防災関係の担当の人たちがきちんと入って、連携をしながらやるという試みがいくつも行われています。
 埼玉県の場合、そういう試みがいま始まったところだと思うんですが、神奈川県の場合は市民と行政の提携という方向が進んでいます。広報も、業者委託でなく、ちゃんと職員が手づくりで作っています。

●問われる職員の質の問題

 これは、女性センターもそうですが、市民活動サポートセンターを作るときには、そこの職員の質の問題が一番大きな問題だということを常々思っています。
 今回取材をした神奈川で強く感じたのは、職員の方が、市民活動の団体の方だか、県の職員だかぜんぜんわからない──セーターを着てラフなかっこうで、ひげを生やしている方もいらっしゃいました。お話をうかがっていても、お役人という感じではなく、非常にフランクな感じでした。自分の活動、お仕事の話をすごく熱心に話してくれて、市民と県の職員との関係がこんなふうにいい感じなら、公営もいいなあと(笑い)思ったほどです。
 民営の場合はどういうシステムにするか、これから考えていかなければいけないわけですが、たとえ民営の場合も、どういう職員がそこに配置されるかというのは非常に大きな問題だろうと思います。
 これから市民活動サポートセンターを作るにあたって、どういうふうなセンターにしたいか、どういうふうにしてほしいかというようなことを、私たち市民が具体的なかたちで提案をしていくという活動をしなければいけないんじゃないだろうかと思います。
 たとえば、神奈川では、場所を借りるのに電話予約だけでいいんです。そして当日お金を払えばいい。めんどくさいところだと、電話予約して、申込書を出しに行って、それも5時までとか言われる──そういうのを、たとえば電話予約1本で、当日お金を払えばいいというシステムも、作る前に私たちからいろいろ意見を出しておくことが重要ではないかと思っています。
 以上で報告は終わりにしたいと思います。(拍手)

長 内 報告はここまでです。あとは市民活動サポートセンターを、私たち市民にとって、便利のいい、使い勝手のいいものにしていくためにはどんなことをしたらいいかということを話していきたいと思います。せっかく委員の方や県の方がいらっしゃいますので、聞けることはどんどん聞いていただきたいと思います。よろしくお願いします。では会場から意見のある方。

■サポートセンターへの注文■

 ── 大宮にある国際ボランティアの会のKと申します。
 私ども要するに海外での活動ですので、どうしても企業型になっています。NPOについては、どうしてもボランティア活動とイコールに語られがちです。そのイメージをちょっと壊していただかないと、広がっていかないんじゃないかと思うんです。ボランティア活動もNPOの一つに入るという考え方をしていただきたいと思っています。
 サポートセンターというイメージについては、神奈川のサポートセンターは、少し私のイメージとは違うと思ったんです。どちらかといえば場の提供ですか。それは非常に結構なことだと思うんですね。
 私たちにとっても法人格を取るかどうかということは、検討しなければならないと前向きに思うのですが、法人格を取るのは非常に苦労がいると思います。会計などについても情報公開も義務づけられているわけですね。それに対応できるかどうかということをこれから検討しないと、法人格を取るかどうかわからないなと思っています。
 そういうNPO法案とのかねあいの中で、サポートセンターにお願いしたいのは、財源や人材の確保という面で助言していただけたらありがたいと思うんです。私どもの会でも、もうすでに会計処理などもコンピューターを使っております。たとえばサポートセンターの中に、各NPOが直接自分たちでは抱えていけない税理士や会計士、あるいは弁護士とか、そういった専門的な方も抱えて、紹介していただけたらありがたいと思うのですが。

長 内 NPOイコールボランティアという考え方を変えてほしいという点については、東京やほかでもそうなんですが、定義の議論なると話が前に進まないということが、各地の経験で報告されています。定義については、それぞれが考えればいいんじゃないかというふうに思うんです。ボランティアという言葉の中にどういうものまで含まれるのか、あるいはNPOや市民活動の部分にどの部分まで含めて言うのかについては、まず自分たちがこう考えるということを先に言ったほうがよろしいかと思います。
 神奈川の場合では、サポートセンターの設置条例があるんですが、ここにはボランティアという言葉は一つも書いてない。一方では、ボランティアと言わなければなかなか理解しないという人もいます。
 だから、定義そのものにはあまり踏み込まないほうがいいと思うんですが、埼玉県の方と委員の二子石さんのほうから、定義そのものについてお考えをいただきたいんですが。
 もう一つは、サポートセンターの内容について、専門家の方の紹介あるいは相談のシステムをということでした。このことについて、いま構想の中にはあるのかないのか、答えられる範囲で答えていただけますか。

●「ボランティア」という言葉にこだわらない方向

二子石 神奈川県が、神奈川県民たちといっしょに作った神奈川県の条例では、やはりボランティアと市民活動の整理がつかないみたいですね。それで、この条例では、「県民の自主的で、営利を目的としない、社会に貢献する団体、活動する団体」と言ってるんですね。それを支援する施設をサポートセンターと言っているわけです。
 埼玉県でも、以前の推進協議会ではボランティアの定義に関しては、もう何時間かけても解決ができないことで、その人が関っているテーマによって、ボランティアに対する考え方が少しずつ違うんですね。それで、推進協議会の途中で、「これ以上やるのやめよう、もっと先へ進もう」という話し合いをした覚えがあります。
 それは、そのはずなんですね。みんな、活動しようとする思いが違うんですよ。だけど、それなりに社会に貢献している。それを、こっちだけの定義でやると、こっちが違ってくるという矛盾がうまれてしまう。そのことは論じないということで先へということになった覚えがあります。
 そういうことも経て、サポートセンター構想委員会ができてるんですね。委員で話し合っている中では、支援する対象は、神奈川が言っているような考え方に似ています。ボランティアの定義はしていません。「自主的で営利を目的としない、社会に貢献する団体、活動する団体」を支援するサポートセンターということです。

坂 井 大阪ボランティア協会では、自分の専門分野を生かして、市民活動支援に参加している人もいます。

 ── サポートセンターには、市民活動を始めるときの行政側の窓口の役割を担って欲しいと思います。

坂 井 サポートセンターが、市民と行政をつなぐ役割になるといいと思っています。

 ── サポートセンターの予算は、どのぐらいになるのですか。それから、人件費はどのぐらいになるのでしょうか。公設民営でというのは、決まっているのですか。

二子石 神奈川では公設公設でやっているわけですが、埼玉では現在、公設民営の方向で議論が進んでいます。運営費は県の予算で、活動費は市民がもつというかたちになるかと思います。また、アドバイザーやコーディネータについては、県の運営費から補助するという方向で検討されています。

 ── サポートセンターへの要望ですが、県中央に1か所だけサポートセンターを作っても、その地域以外に人にとっては利益の薄いものになってしまう。せめて県内5か所ぐらいで同時多発的にサポートセンターができるといいと思います。県内全域にひろめるためには、やる気のある市町村がサポートセンターを作り、それに県が補助するというスタイルで拡大していけないものでしょうか。

坂 井 神奈川県では1か所をモデル事業として展開して、ノウハウをためていくというやり方らしいですが、本県ではサポートセンターは1カ所設置して、伊奈町にある既存の県民活動総合センターと県内8か所にある生活センター(支所)との連携を図って、総合的な取り組みをしたいと思っています。

 ── サポートセンターを伊奈町に作るのだけは、不便なのでやめてもらいたいと思います。
 サポートセンターの内容としては、人材バンク的なものがあるといいと思います。また、資料もそろえてもらいたいし、NPOについて総合的な理解をもって、きちんとした情報を持ったスタッフもそろっていて欲しいと思います。

二子石 公設民営というかたちで、NPOが運営をしていくことになれば、そうした中身は市民自身の課題になると思います。

長 内 たいへん残念ですが、終了の時間が参りました。このフォーラムをきっかけにして、サポートセンターについての市民サイドの要望をまとめて提案していくことにしたいと思います。
 どうもありがとうございました。


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