☆光州訪問記その2 あれから二十年…オモニの慟哭
第四話 歴史の事実を現実に写し出す光州市民たち
自治労音協事務局次長 小川典子
今年も、5・18がやってきた。光州市では、昨年はじめて、金大中を迎え追慕集会が開催された。これまでの民主化闘争への問いかけをあらたに投影した瞬間でもあった。
参加者の遺族たちの心境はいかばかりであったことだろう。
二度目の訪問となった昨年、5・18集会の式典を待つ静けさの中で一人のオモニが二十年前を思い出すかのように、列席していた軍人に向かって泣叫ぶ姿はわたしたちに過去の事実を思い出させた。
光州市営墓地から移された墓標が会場である、5・18光州民衆抗争追慕祈念公園内に二百五十墓ある。集会の後、多くの市民たちが、二十年前に家族であったものたちの好物を供え墓碑に語りかける光景は、二十年の年月を忘れはしない人々の思いを語っていた。
2000.5.18 民衆抗争追慕祈念公園墓地にて
2000年5月18日 光州民衆抗争追慕祈念集会参加の金大統領夫妻
二十一年前の『光州事件』は今でも多くの韓国人には理解されていないことは前号でも述べたが、当時の軍事政権チョンドファンは、韓国全土に広がる民主化闘争の金大中という変革の中心人物の拘束で一気に広がる市民・学生の抗議のデモや集会をことごとく弾圧していた。そのターゲットにされた金氏の地盤であった光州市民に対し、計画的な弾圧を計画し実行した。それは悲劇的な結末で収束されたが、戒厳令化の韓国国内では、勇敢に自治権を求め守ろうとして闘った人々を、暴徒であるがごとく中傷し、国内の民族対立であるかのごとく宣伝した報道機関や政府から抹殺され続けてきた。
金大中政権に変わっても、その「ねつ造」の意味を多くの国民は理解できないでいる。南北の朝鮮半島が存在する限り、解決できない問題として…。 (つづく)
●光州広域市国際協力室日本担当
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