『亜空間通信』807号(2004/06/28) 阿修羅投稿を再録

廃刊・回収・公式には存在しない『マルコポーロ』1995年2月号「松本サリン事件」緊急特集-1

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『亜空間通信』807号(2004/06/28)
【廃刊・回収・公式には存在しない『マルコポーロ』1995年2月号「松本サリン事件」緊急特集-1】

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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 政教分離の憲法に違反し、北朝鮮の対日秘密工作部隊、創価学会の支配下にある似非政党を粉砕せよ!

 なお、一昨日、この話を、北朝鮮問題の専門家、元・公安調査庁職員、現・アジア社会経済開発協会会長の菅沼光弘にしたら、「身辺に気を付けよ!」と忠告された。何かあったら、諸氏には、これだと疑って、調査されることを願う。

 以下は、本通信の前号で予告した恐怖の実録、その1である。余りにも長いので、その2は次号に回す。

『マルコポーロ』1995年2月号-p. 133

「松本サリン事件」以後、霞ヶ関集周辺の地下鉄サリン事件の直前までの江川紹子
「渾身のレポート!」

緊急特集1
松本サリン事件急展開!
オウム真理教に
「毒ガス疑惑」。

松本でサリン事件が起こった直後、山梨でもサリン残留物が土壌から検出された。
自然界には存在せず人為的にしか作れないサリンが何故、山梨の山中で発見されたのか。
報道の直後、オウム真理教は記者会見を開き、住民の一人などを殺人未遂罪で告訴した。
しかし普通の住民がサリンまで入手して、オウムに対して排斥運動をするものなのか?
「自分達毒ガス攻撃を受ける理由」についてのオウム側の主張は、にわかには納得しがたい。
なにしろ国家権力がオウムに脅威を感じ、ヘリまで使って、ガス攻撃をかけるというのだ。
一体オウム真理教は、何を考えているのか?
教団を追及しつづける筆者の渾身のレポート!

江川紹子●文
text by Shoto Egawa
ヤマグチゲン●写真
photo by Gen Yamaguchi

 富士山の麓、富士五湖から青木ヶ原樹海までに広がる山梨県上九一色(かみくいっしき)村。その最も静岡県寄りに位置する富士ケ嶺地区に次々に異様な建物が造られている。大型の空気清浄機が取り付けられたり、最近では窓一つない建物もできた。いずれもオウム真理教やその関連会社の施設だ。この富士ケ嶺地区には、正月早々から多数の報道陣が押し掛けた。元日付読売新聞に、衝撃的なスクープ記事が掲載されたからだ。

〈サリン残留物を検出/山梨の山ろく「松本事件」直後/関連解明急ぐ/長野・山梨県警合同で〉

 上九一色村で昨年七月悪臭が発生する騒ぎがあり、山梨県警がににおいの発生源とみられる一帯の土壌などを調べたところ、サリンを生成した際の残留物質である有機リン系化合物が検出された、という内容だった。

 地元の人の話では悪臭騒ぎがあったのは昨年七月九日未明と同月十五日夕方の二回。汚物や動物などの臭いではなく「カーバイドをぶちまけたような化学的な臭い」「ビニールを燃やしたような感じ」「目がチカチカする」「胸が苦しく吐き気がする」などといった訴えが警察や保健所に寄せられた。オウム真理教の施設第七サティアンビルに近い人ほど臭いを強く感じている。

 松本の事件とは違って、治療が必要なほどの人的被害はなかったものの、近くのブナなどの葉が褐色に変色するなどの異常も起きた。教団側は否定しているが、地元の人々は悪臭の発生源はオウム真理教だと確信している。

 ただ、当初の記事ではその現場が富士ケ嶺地区であることも、隣接してオウム真理教の施設があることも一切伏せられていた。マスコミのこうした自主規制を打ち破ったのは、むしろオウム側だった。

 一月四日、オウム真理教は記者会見を開き、上九一色村住民が結成しているオウム対策委員会副委員長で産業廃棄物処理業を営むAさんと「氏名不詳」を殺人未遂罪で甲府地検に告訴した、と発表した。

 告訴状によると、オウム側の主張する「事実」は次のようなものである。

 (1)Aさんは平成六年三月頃から同年十二月にかけて、産廃物処理を偽装し、上九一色村富士ヶ嶺のオウム関連の建物のうち通称「第一上九」と呼ばれる施設に対し、サリン、ソマン、VXガス等の有機リン系化合物を噴霧した。

 (2)「氏名不詳」は平成六年四月頃から同年十二月にかけて、ヘリコプター、セスナ機、軍用機等に搭乗し、上九一色村富士ケ嶺地区や富士宮市のオウム真理教施設上空を旋回飛行し、ヘリからサリン等の毒ガスを教団施設に向けて連日噴霧した。

 いずれも教団側が自衛予防措置をとったため、信者たちに「息が苦しい」「嘔吐する」「湿疹ができる」「鼻血が出る」「目の刺激痛、充血」「血痰が出る」など毒ガス中毒症の傷害を負わせるにとどまり、殺害の目的を遂げなかったもの、としている。建物に取り付けられた異様な巨大清浄機は、オウム側が開発した、濃硫酸と苛性ソーダを利用して毒ガスを無毒化する装置だという。こうした設備が彼らの言う「自衛予防措置」なのだろう。

 しかし信者らが被害に遭ったという教団施設のすぐ近くには民家や家畜小屋などもある。連日のようにオウム施設に対し毒ガス攻撃があったというわりに、住民にも牛や豚にも全く被害が出ていない。あったのは、七月の二回の悪臭騒ぎだけだ。

 訴えられたAさんは昨年秋、オウム真理教に反対する住民の自宅などから盗聴器が発見された事件の被害者の一人でもある。

 「うちはオウムがここにやってくるずっと前から産業廃棄物を発酵させて堆肥にする仕事をしている。堆肥を作る過程で水蒸気とアンモニアが発生するが、そのことをとらえてイチャモンをつけられたのだろう。化学薬品は一切使っていないどころか、そういうモノが混じらないように注意を払っている。オウムの主張はほとんどマンガみたいなものだが、ふりかかってきた火の粉は払わなきゃならん。闘います」

 Aさんは弁護士と相談し、誣告(ぶこく)罪や名誉毀損で逆告訴することも考えたいとしている。

 とにもかくにも、オウム側がこのような会見を開いたために、オウム真理教とサリンの関係を公然と論評するマスコミも出てきた。

 実は、松本事件の後も、オウム真理教の名前は一部で囁かれていた。現場から車で十五分ほどの所にオウム真理教松本支部がある。この土地はオウムが教団の名前を秘して地主から買ったことなどから、土地の返還を求める裁判が起こり、現在長野地裁松本支部で係争中だ。サリン事件の現場の近くにこの裁判を担当している裁判官が住む官舎があることもあって、住民側の弁護士の所に長野県警の捜査員がオウムに関する情報を聞きにやってきたこともあった。

 オウムにはCSIと称する科学班があったり、これまでも東京・亀戸で悪臭を発生させたり、石鹸水に見せかけて塩酸を持ち込もうとしてオーストラリア当局から罰金刑を受けるなどの事件を起こしている。また、可燃性溶剤のシクロヘキサンを積んだオウムのトラックが対向車線を走る車に衝突し炎上、相手方が死亡するという事故も起こしている。

 そのうえ、松本事件が起きる前から、麻原彰晃教祖は信者に向けての説法の中で「サリン」という言葉を何度か口にしており、オウムの機関誌にもその語が掲載されていた。そのいくつかを紹介しよう。

 〈急の法というのは即座の現象を現し、例えば、相手を直接的に射殺したりあるいは一撃で殺すような、例えば第二次世界大戦中に研究されたVXガスとか、あるいはソマンとかサリンとか、そういうもの、あるいは原爆などによる瞬間的な、その対象の生命を断つ方法、これを急の法則であると説きました〉(三月十四日、高知支部)

 〈質間者B 最近、東京都内で原因不明の異臭が発生するという事件が五、六回にわたって起こっているそうです。これは、環境庁や東京ガスが調べても原因不明ということだったのですが、オウムだけでなく、一般大衆にもJCIA(引用者注・日本のCIAの意か。内閣調査室、国家公安委員会、警察などを指すようである)の毒ガス作戦というのはあるのでしょうか。

 尊師(引用者注・麻原教祖のこと)可能性はあるね、可能性は。つまり、いかに電波によって、あるいはいかに毒ガスによってコントロールするかということがCIAの一つの至上課題だから、それを日本に対して実験することは、要するに日本人は属国だからどれだけ死んでもいいんだよ。だから、テストパターンとしては、「あり得る」というよりも「ある」と考えていいと思います〉(三月十五目、杉並道場)

 なぜオウム真理教サイドは、被害の医学的データを公表しないのか?

 〈八八年以来続いている毒ガス攻撃によって、特に近ごろは頻繋に、例えばわたしの行く先々でヘリコプター、飛行機等からの噴霧が行われるわけだが(中略)、ここではっきり現れたのがサリンなどの毒ガス現象であったということである〉(四月二十七日、南青山東京総本部道場)

 多くの普通の市民は、「サリン」という言葉は、松本の事件が起こり、警察が「サリンと推定される」と発表して、初めて耳にしたはず。にもかかわらず、事件の起きる前に教祖の口から何度もこの言葉が発せられ、一般市民に害が及ぶことも「ある」とはっきり言っていたのである。

 可能性としては、(1)麻原氏の「予言」が当たった(2)単なる偶然(3)事件とオウムに何らかの関連がある――の三つ。信者であれば(1)を強く主張するだろうが、普通に考えれば(2)か(3)のどちらかと思うのが自然だろう。

 しかし、(3)を主張する証拠はない。今回の山梨の有機リン系化合物の検出は、(3)説を一歩進めるものではあるが、これだけでオウムの犯行と決めつけられるものでもない。もし(3)説を展開すれば、まっとうな批判であってもすぐさま裁判に持ち込むオウム真理教のこと、民事裁判の提訴もしくは刑事告訴がなされることは容易に予想された。

 そのため、読売にしても、他紙あるいは週刊誌でも極めて慎重に記事にした結果、奥歯にモノのはさまったような表現にとどまり、一般の読者には分かりにくい内容になっていた。おそらくピンときたのはオウム信者とオウム被害者などの関係者くらいのものだったろう。そのモヤモヤを一気に拭いさってくれたのが、オウム真理教側の記者会見だったのである。現にこの後に発売された「週刊朝日」は〈山梨サリン事件とオウム真理教の関係/松本市の7人死亡から2週間後……〉というそれまでの報道にないストレートな見出しを掲げている(もっともその後同誌はオウム側に名誉毀損で訴えられた)。

 しかし、告訴状や新聞・雑誌の記事を読んでも、なぜオウムが毒ガス攻撃の標的とされなければならないのかさっぱり分からない。いったい誰が何のためにオウムに毒ガス攻撃をしかけるというのか。オウム側の機関誌、布教用ビデオなどによれば、彼らの主張は概ね次のようなものだ。

(1)日本人はマスコミを通じて日常的にマインドコントロールされている
 食べ物やスポーツ、セックスに関する低俗でかつ楽しい情報のみが与えられる。それによって日本人は無知化され、そこにさらに大量の悪いデータが叩き込まれる。そうして日本人は情報によって誘導されている。

(2)日本の滅亡の道は始まっている
 日本に氾濫しているハンバーガーなどのファーストフードやポテトチップスなどのジャンクフード、インスタント食品によって日本人は寿命を縮め、思考能力を奪われている。おまけに副作用の多い薬を大量に飲まされ、ほとんど企業利益のために毒を飲まされている状態である。アメリカの圧力によって食糧自給率は年々落ち込み、さらにやはりアメリカの言いがかりによる市場開放によってバブル崩壊後の経済復興は不可能に近くなっている。こうした状況にある日本を滅亡させるのは簡単である。

(3)アメリカが日本を滅ぼそうとしている
 (1)(2)のような状態にしているのは、アメリカの戦略である。その裏には秘密結社フリーメーソンなど世界制覇を狙うユダヤ人組織の存在がある。天皇もすでに彼らの傀儡となっている。情報操作によって思考は歪められ、経済も行き詰まり、食糧もなくなったところで、日本を攻撃しようとしている。

 在日米軍の存在で明らかなように日本はすでにアメリカの属国となっている。自衛隊も日本を守るための組織ではなく、完全に米軍の言いなり、むしろ米軍を守るための属国部隊にすぎない。さらに、核弾頭搭載のICBMが日本に向けてセットされている。

 何らかの方法によって日本を悪役に仕立てて戦争の口実を作り日本攻撃を開始、在日米軍は地下の要塞に潜り、ICBM、化学兵器、生物兵器、プラズマ兵器を利用して日本を徹底的に壊滅に追い込む。その後地下に隠れていた米兵が現れて日本を完全に征服する。こうして日本はアメリカに滅ぼされるのである。

(4)真の宗教であるオウムは、アメリカ及び日本の国家権力にとって脅威である
 オウム真理教は物質的豊かさよりも、精神的豊かさを求めることに価値を置く。このオウムの教義は、煩悩を肯定し、むしろ人々の煩悩をかき立てることによって成り立っている現体制にとってはとうてい受けいれられるものではない。オウムの教えが浸透するほど、個々の人間は幸福になるものの、国としては困る。このままオウムが急遠に拡大していけば、将来現体制にとって好ましくない勢力になる。危険な存在だと判断した権力側が、オウム真理教を弾圧している。

 自分たちに対するこの誇大評価。多く見てもたかだか一万人のこの小さな宗教団体を、アメリカ、日本の国家権力、それにマスコミが総掛かりで叩かねばならない必要が本当にあると麻原氏は本気で考えているのだろうか。

 オウム側が「権力のお先棒をかつぐ自称ジャーナリスト」と呼ぶ私にしても、オウムが真に精神の豊かさを求める宗教団体であれば、何ら問題にするつもりはない。しかし、オウムを巡る様々な被害を見聞きし、相談が持ち込まれ、放っておくわけにいかずに問題にしているというのが実態だ。

 また、被害者たちが警察に駆け込んでも、オウムが宗教法人であり、並々ならぬ強い権利意識を持つために、警察の腰は重いのがこれまでの常だった。

 「オウム真理教こそが被害者である」――オウムが何らかの事件との関わりを取りざたされる度に、彼らはそう繰り返してきた。

 五年前の坂本弁護士一家失踪事件の時もそうだった。坂本弁護士の自宅にオウム真理教のバッジが落ちていたのは、オウムに反感を持つ者がオウムの犯行に見せかけるために坂本弁護士一家を拉致し、バッジを置いていったという主張を展開。坂本弁護士の身内や坂本弁護士に相談していた「オウム真理教被害者の会」が疑わしいと宣伝した。

 昨年秋に発覚した上九一色村の盗聴事件の際にも、同様の主張がなされた。オウムを陥れるための住民らの自作自演であるというのがオウムの言い分。さらに、昨年九月、私の家に深夜二人組がやってきて、ドアの新聞受け用の穴から室内に向けて異臭のする気体を噴射する事件があった時も、オウム側のコメントは「これは当教団を陥れるための謀略であるとしか考えられません」というものであった。

 こうした「オウムこそ被害者」という論法も、前述の権力による弾圧という筋書きに則ったものである。私たちにとっては荒唐無稽の主張としか言いようがないが、信者たちはこの教えを頭から信じ込まされている。

 最近「オウムから脱落した」という元信者から私の家に電話があった。その人は「オウムの成就者はすごいんですよ。私にはとてもできないようなことができる」と語った。だから超能力がある、と今でも信じているのである。

 私は「オリンピックに出る体操選手やマラソン選手のようなことをあなたはできるか。あなたのできないことをやる選手たちは、超能力者か」と間うてみた。オウムはもともとはヨガサークルが出発点であり、まじめに修行を続けている人ならば、私のように鍛えていない人間よりはるかに体も柔らかいだろうし、私にできない動作をやってのけることもあるだろう。だがそれは彼らの鍛錬の結果であり、超能力とは異なる。

 その元信者は私の問いや説明に耳を傾け、「そういう考え方もあるんですね」と驚きの声をあげたが、このやりとりで彼らが自分の頭で考えることを放棄し、麻原教祖や教団幹部の言うことを鵜呑みにする思考パターンにさせられていることを改めて実感した。これこそがマインドコントロールではないか。

 一連の毒ガス攻撃によって、一般信者だけでなく麻原氏自身やその長男にも健康に異変が生じているという。

 〈今、わたしのこの左のこめかみのところに水疱ができている。私の口の中には水疱があり、そして私の長男である鏡暉(あきてる)の皮膚はまさにガサガサ、一般には「アレルギー反応」と呼ばれる症状を呈している。しかし実際、これはアレルギー反応ではない〉(三月十一日、仙台支部)

 一般の信者の健康状態にしても、オウム側が発表するのは医師の資格を持った信者のコメントだけで、詳しいデータは秘されたままだ。ただ、オウムの施設内に起居する「出家信者」たちが不健康な状態であることは容易に想像できる。私がオウムの施設に近寄ると見張りの信者が排除に出てきたが、いずれも顔色が悪く、唇も手足も荒れていた。その原因を考える時、見過ごすことができないのは、オウム内部での栄養状態の悪さと不衛生な環境、睡眠不足など信者の置かれた状態である。

 オウム真理教は殺生を禁じるとして、ゴキブリやネズミの類も殺さないようにと信者に教えている。そのため医療機関であるオウム真理教医院内でもゴキブリが徘徊したり、ネズミが出たりする。

 一九九〇年八月、人身保護請求事件を審理する大阪地裁に選任され、内部の調査に入った弁護士たちの報告書でも「事情聴取中、足下をゴギブリが徘徊していたが、衛生面においても問題があると思う」と記されている。上九一色村の施設の敷地にも粗大ゴミがゴロゴロしており、はっきり言ってとても汚い。食べ物も、最近では野菜の水煮を中心とするオウム食すらもほとんど出なくなり、「お供物」と称する饅頭やパン、果物などが中心のようである。カップラーメンの容器がゴミ捨て場にたくさん出ていたという地元住民の証言もある。

 ある大学病院の内科医師はオウム側の主張に「皮膚炎にはいろんな原因がありますから」と釘をさす。

 「接触性、アレルギー性、虫や植物など結構複雑です。毒ガスでも起こりうるでしょうが、その場合は他の原因と違って、医師に見せれば断定しやすい。診断書と血液検査の結果を公開すれば、すぐ分かる。何なら、私が教祖とその長男を診てもいいですよ。

 特に子供の場合、アレルギーは食物の偏りでも起こりうるし、環境が悪くても起こる。報道でみる限り、オウムの施設は子供にとって食物、環境、植物など皮膚炎が起こりやすい状況です。案外そちらの方が原因なのではないでしょうか」

 住民を告訴した以上は、捜査には全面協力すべきではないか。

 麻原氏親子は一度、オウムとは無関係の医師の検診を受けてみたらどうか。必要であればこちらで医師を紹介することもできる。この親子が本当に毒ガスの被害を受けているのかきちんと調べ、その結果を公表する義務が麻原氏にはある。第三者を告訴したり、その名前を公表したりする根拠にしているのだから、プライバシーを云々する資格はこの場合ない。オウム真理教は、本気でこの提案を検討してもらいたいものだ。

 オウム側はAさんらを告訴した後、報道によって「社会的評価が著しく下がった」として、立て続けにマスコミを名誉毀損で訴えた。

①TBS1=一月五日の朝の情報番組『ザ・フレッシュ』.

②『週刊SPA!』&漫画家小林よしのり氏=同誌に連載中の「ゴーマニズム宣言」

 そして③『週刊朝日』=前掲の記事

 オウム真理教は、これまでも外に敵を作り、戦闘的な姿勢を明示することによって内部の結束をはかってきた。一連の毒ガス攻撃宣伝も信者の引き締めに一役買っている。昨年四月には麻原教祖から信者宛に、こんな手紙が送られている。

 〈わたしの身体は毒ガス攻撃からの一時的逃避によって小康状態を保ち続けています。わたしは、毎日毎夜、信徒の皆さんの今抱えている問題に対する憂いと、皆さんの輪廻転生に対して心を痛めています。これからいつまで一緒に皆さんと生きられるかわからない〉

 今回もAさんらに対する告訴によって信者の疑問を封じ込めると同時に引き締めを図り、マスコミヘの連続提訴で批判的な論調を抑えようという意図が見え隠れする。

 しかし、捜査当局もマスコミもこのような教団内部の事情に囚われることなく、事件とオウムとの関連の有無について、徹底的に事実を究明する必要がある。坂本弁護士一家失踪事件では、オウムは警察の捜査に対して非協力的な姿勢を貫いた。しかし、今度はそうはいくまい。上九一色村の事件では、オウムの方から告訴したのだから、地元住民が不安を抱いている第七サティアンビルの内部の検証を含め、真相解明には当然のことながら全面的に協力すべきだろう。そうすることがマスコミ相手に訴訟を乱発するより、教団の求めてやまない「社会的評価」向上への近道にもなると思うが、どうだろうか。

[中略]

次号で、その2。

 以上。


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