中学生のための「慰安婦」展のチラシを偶然手に入れて、初めて「女たちの戦争と平和資料館」を訪れた。当資料館は、松井やよりさんの活動を記念して作られた、こぢんまりとした資料館である（館長・西野留美子さん）。入り口に一歩足を踏みいれて驚いた。「慰安婦」を名乗り出られた、韓国、朝鮮民主主義人民共和国、フィリピン、台湾、中国、オランダ、日本、東ティモールの方々の100人の顔写真がずらりとこちらを向いているではないか。悲しげな顔、苦しみに満ちた顔、憤怒に満ちた顔、もう解脱したかのように微笑んでいる顔顔。私は、暫くは動けなかった。狭義の意味で強制はなかったとする安倍首相や、強制を証明する文書は残っていないとする恥ずかしげな新聞広告をアメリカで掲載する面々は、一度でいいからこれらの写真と正面から向き合ってどうか。一瞬にして自らの化けの皮を剥ぎ取られずにはおくまい。※中学生のための「慰安婦」展 http://www.wam-peace.org/main/modules/tinyd1/index.php?id=1  歴史の真実とは何か、この方々の顔が力強く物語っている。私は写真好きなので、多くの写真や展覧会を見てきたが、今回ほど写真の迫力と威力に打たれたことはない。幸い、DAYSの6月号に写真と西野さんの文が掲載されている。記念館の場所が東京なので、訪れることのできない人はこの雑誌を一読されることをお是非勧めしたい。展示は中学生向きと銘うたれているが、内容は大人たちが見てもしっかりしたものである。「慰安婦」を強いられた女性たちの手記、これを読んだ者は本物のみが持つ真実性に打たれざるを得ない。私も思わず涙がにじんだ。日本軍の慰安婦制度の解説、教科書攻撃、数々の証拠写真（拉致された朝鮮人や中国人の「慰安婦」、トラックに乗せられている日本人「慰安婦」、日本兵が並ぶ慰安所、「慰安婦」募集文書等々）やコンドーム「突撃一番」、慰安所マップ等が展示されている。このマップは最初、高校生が学内展示用に作った物らしいが、実によくできている。 ※ＤＡＹＳ ＪＡＰＡＮ http://www.daysjapan.net/koudoku/bn/bn200706.html 現在の展示は来年5月25日までだから十分に時間があるので、首都圏在住の方々はもちろんこれ以外の方々も上京の折には訪れられることをお勧めする。なお、当館ではこれまで、置き去りにされた朝鮮人「慰安婦」展や東ティモール・戦争を生きぬいた女たち展が行われ、それらの資料を含めて、「慰安婦」問題の資料が豊富であり、この問題について勉強されようとする方々は見逃せない資料館である。 場所は早稲田大学の近く。WAM AVACOビル2F、〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18, TEL03-3202-4633、info@wam-peace.org, www.wam-peace.org ２００７年６月２７日 （西）
＜カンパのお願い＞ 日本軍「慰安婦」被害者の名誉と尊厳回復のための韓国ソウル「戦争と女性の人権 博物館建設基金」にご協力下さい。建設予定地を確保したにもかかわらず、必要な資金が不足していることから着工を１年延期せざるをえないという厳しい実情にあります。皆様の支援を再度心からお願いいたします。 【関連記事】 第８回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議（ソウル）報告 ――「アジア」から「世界」へ、国際連帯の力で戦時性暴力の根絶をめざす―― 改めて戦争責任を追及する［シリーズその１］ 安倍政権下で進む戦争責任・戦後責任の反動的巻き返しに反対する −−過去の侵略戦争・植民地支配・戦争犯罪隠蔽策動は、安倍の改憲＝「戦争ができる国」路線と一体−− 改めて戦争責任を追及する［シリーズその２］ 最高裁が日本軍「慰安婦」・強制連行裁判で不当な政治判決 ◎こじつけの国際法解釈に基づき、侵略加害を免責 ◎憲法改悪＝戦争国家への策動と連動 改めて戦争責任を追及する［シリーズその３］ 政府・文科省が沖縄戦「集団自決」の日本軍関与削除を強制 ◎史実を抹殺してまで日本軍の蛮行を正当化 ◎教科書検定の反動化と憲法改悪の動きが一体化 |
