“ウソの戦争”
○窮地に陥る米英「戦争プロパガンダ」。
○翼賛メディアのウソとでっち上げに警戒を!


T


(1)米英政府・軍当局は思い通りならず苛立ちと焦りを強める。ついにはプレスセンターを空爆し武力で封殺を図る。
爆撃で破壊されたイラク情報省の屋上(上)と情報省庁舎内にあるプレスセンターのAFP通信記者室(AFP=時事; Yahoo写真ニュースより)
 米英政府・軍当局は苛立ちと焦りを強めています。世界最強の圧倒的軍事力と最新鋭のハイテク兵器の力で「楽勝」のはずの作戦が行き詰まり思わぬ苦戦に陥っているだけではありません。世界中をごまかせるはずの大々的な“戦争プロパガンダ”が通用せず、見透かされ始めたからです。
 怒りにまかせて米英軍はイラク側の情報を封殺しようと29〜31日にかけて情報省を爆撃し破壊しました。プレスセンターが置かれていたところで、情報操作が思い通りにならず暴力手段で答えたのです。米英情報に批判的な記者や報道陣をも殺害しようとしたのでしょうか。全く卑劣な行為です。
※元プレスセンターが壊滅 米英軍のバグダッド空爆(共同通信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030331-00000161-kyodo-int
※<イラク戦争>イラク情報省、空爆被害でプレスセンターを移転(毎日新聞)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030401-00000030-mai-int

(2)米世論支持率70%の背景には米政府・軍当局と「戦争広告代理店」の世論誘導がある。
 米政府・軍当局は気が気ではありません。70%の支持率をずっと維持しなくてはならないからです。確かに開戦後2〜3日こそ、「従軍取材陣600人」を率いた“エンベッド取材”(米軍と寝食を共にしての取材)は、茶の間で居ながらにして「TVゲーム」感覚、「参加型」で一緒に戦っている様を演出し大当たりしました。ところが今はこれが全く裏目に出ています。補給路が脅かされ、苦戦しクタクタになる兵士を見て気分が悪くなる国民が続出しているといいます。開戦直後は反戦世論を一掃したと思ったのに、このままじゃ台無しになります。現地で戦う兵士の家族や同僚を出演させ、涙と勇気をたたえる翼賛番組で必死に好戦世論を維持しようとしています。今後益々米英は激しい「戦争プロパガンダ」で巻き返そうとするでしょう。

 しかし当局の情報はウソばっかりで、さすがに米英系メディアも「大本営発表」に対する態度で揺れが見え始めました。エンベッド取材、ウソ報道をめぐる論争も始まっています。もちろん翼賛性は変わりませんが。圧倒的支持を得たはずの米国内世論も支持が根強いものの次第に疑念と重苦しい気持ちになってきているようです。
※正義演出 ブッシュ政権のメディア戦略(東京新聞)
 http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20030320/mng_____tokuho__000.shtml
※イラク戦争と報道 虚々実々、情報戦と管制の中で(毎日新聞)
 http://www.mainichi.co.jp/news/article/200303/27i/011.html
※対イラク攻撃・米軍従軍取材の現場 「戦争の核心」見えるか(毎日新聞)
 http://www.mainichi.co.jp/news/article/200303/27i/004.html

(3)信じてはならない米英政府・軍当局発、米系メディア発の“戦争プロパガンダ”。
 3月23日ナシリアの戦闘で捕虜になった米兵士の捕虜の映像が米国民に衝撃を与えました。米政府は、イラク国営TVで流されそれをアルジャジーラが全世界に放送したことに怒り狂い、26日にイラク国営TVを攻撃し職員を殺戮しました。もちろん軍事施設ではありません。報復攻撃です。アルジャジーラに対しては米証券取引所の取材から追放する報復措置を取りました。アルジャジーラを米から追い出そうと必死です。
※アルジャジーラ、またハッカー攻撃受ける=イラク戦報道への反発か(時事通信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030328-00000260-jij-int
※アルジャジーラ、米国に「報道の自由」の支援求める(ロイター)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030327-00000218-reu-int

 ラムズフェルドは、「米兵の捕虜映像はジュネーブ条約批判だ」と言いがかりを付けて非難しましたが、世界中から相手にされませんでした。それもそのはず。彼らもそれ以前に南部戦線での一列に並んで歩くイラク側の捕虜の映像(兵士ではなく民間人という報道もあります)を大々的に流したばかりでした。それだけではありません。アフガニスタン戦争では、マザリシャリフでタリバン兵の捕虜虐殺に加担しましたし、キューバのグアンタナモ基地ではタリバン兵捕虜に鶏小屋生活を強いて虐待しています。これらは単に映像の問題ではなく虐殺・虐待であり戦争犯罪です。今更何を言うかという感じです。
※捕虜映像の放映、自粛を要請 米国防総省(毎日新聞)
 http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200303/24/20030324k0000e030038002c.html
※「マザリシャリフ大虐殺の続編−コンテナに詰め込み窒息死させる「安上がりの大量処刑」が新たに発覚」(署名事務局)
※「この捕虜の扱いにこそアメリカの対アフガン戦争の本質がある!信じられないブッシュ政権の人権感覚」(署名事務局)

 米の苛立ちの背景には、米国内のマス・メディアをほとんど全部を翼賛化させ、従軍取材に取り込んで「進軍ラッパ」に利用したつもりが、この情報化時代、米国外から事実報道が大量に流れ込み、政府のメディア戦略、情報戦争が守勢に立っている実情があります。苛立ち逆上した米英軍が、開き直ってさらに残虐な殺戮行為、破壊行為をやる危険が出てきました。要注意です。勝っても好き放題、負ければ負けたで逆上する。本当に手に負えない連中です。

(4)米系メディア・コングロマリットの情報独占体制と世論操作の危険−−誰が発信元なのか。まずニュース・ソースを見ること。
 ニュース・ソースをまず見ることです。日本の新聞・TVの場合、もちろんNHKを筆頭に現地支局や特派員もほとんどは、米英政府・軍当局の管制報道の垂れ流し、欧米系のメディアの後追いです。特派員のいない場合は「時事通信」「共同通信」の配信ですが、これも発信元を確認しなければなりません。

 発信元が、米英政府・米英国防省・米英現地司令部の「大本営発表」、イスラエル政府発表、イラク反体制派(親米派と反米派があるので注意、クルド系も親米派、反米派様々です)なら、彼らにとって都合のいい報道については、まずはウソと見て間違いありません。この間日本のマスコミ騒がしてきた「楽勝シナリオ」「フセイン死亡」「イラク政府首脳死亡」「化学兵器工場発見」「バスラ民衆蜂起」等々、ことごとくウソだったことを思い出してください。そしてそれらをおうむ返しに伝えるだけの米英の主流メディアも疑ってかかるべきでしょう。

 特に米系メディアの筆頭、世界最大のメディア王マードック氏が持つフォックス・ニュース、そしてCNNやTV3大ネットワーク、ウォールストリート・ジャーナルなどはウソのオンパレードです。よく見て下さい。ラムズフェルドやパウエルなどが頻繁にフォックス・ニュースを使っていることが分かるでしょう。ウォールストリート・ジャーナルは、開戦直前に反対が強い欧州で「新しい欧州」をまとめ上げ、米国支持の「有志連合」結成宣言を画策した悪名高い財界主流の新聞です。。
※マードックが保有するのは、タイムズ、ニューヨーク・ポスト、米ネオコン(新保守主義者)のウィークリー・スタンダード、フォックス・テレビなどである。フォックス・テレビは、社会の超保守化推進の立て役者でケーブル支局を最大限活用して3大ネットワーク(ABC・NBC・CBS)の独占体制を崩壊させ影響力を拡大している。また英でタイムズとサンを買収して英メディア市場を制覇した。国連で米英に逆らったフランス叩き・仏製品ボイコットの急先鋒に立ったのもこのタイムズ、サン、そしてフォックス・ニュースである。世界で約80種類の新聞と11種類の雑誌を所有し、読者は数千万から数億に上ると言われる。
※1990年代に米メディア産業もM&Aで巨大化しコングロマリットに肥大化した。ヴァイアコムのCBS、ウォルト・ディズニーのABC、AOLタイム・ワーナーのCNN、GEのNBC。これにFOXがなぐり込みをかけ食い込んだのである。これらメディア独占資本は、トップとブッシュ政権との癒着関係を強め、ますます一握りのメディアの意向次第で情報操作、自主規制が効くようになった。
※イギリスではガーディアンや大衆紙ミラー、アメリカではニューヨーク・タイムズ、日本では朝日新聞や毎日新聞など、リベラル系、反戦系・非戦系メディアは、中には面白い記事もあるが、社説と一般記事でバランスを取ったり、状況で言うことがコロコロ変わったりで首尾一貫しないのが特徴だ。しゃきっとして欲しいものである。それに比べ保守系、例えばイギリスではタイムズやサン、アメリカでは殆ど全部のメディアは首尾一貫して主戦論である。日本では読売と産経と日経は、戦争となると俄然元気になっている。いわば「戦争新聞」なので「断固支持」。「すすめ、すすめ、兵隊すすめ」式の“進軍ラッパ”を吹いている。特に読売・産経は反対運動を含めて反対する論調は全く掲載せず。まるで米政府の広報機関かペンタゴン機関紙のようなひどさだ。これでよくもマス・メディアを自認するものである。

 しかし今の情報化時代、その気になれば、真実はつかむことが可能です。恥ずべき“戦争プロパガンダ”、大手メディアの翼賛報道、要するに「世論誘導」にごまかされない、ウソとデマを見抜く力と知恵を持ちましょう。私たちも少しでも役立ちたいと思います。


U

(1)「ウソの戦争」−−「ウソも百ぺん言えば真実になる」!始まる前からナチス・ゲッペルスばりのデマゴギー。
 今回のイラク攻撃ほどデタラメな戦争はありません。欧米の一部では「ウソの戦争」と揶揄されているほどです。「フセインは核兵器を開発している」「生物化学兵器を大量に開発し保有している」「アルカイダと結び付いてテロを仕掛けようとしている」「フセインはイラク国民を無差別に虐殺している」「フセイン政権は今にも崩壊しそうだ」「米英が攻めればイラク国民が歓喜する」等々。要するに「フセインは悪魔だ」「独裁者だ」「為政者の価値はない」「生きる価値はない」「暗殺しても当然だ」と、国内外世論を徹底的に洗脳したのです。ここには国連憲章も国際法も一切ありません。
 これじゃ、まるでナチス・ヒトラーの宣伝相ゲッペルスです。「ウソも百ぺん言えば真実になる」と豪語した人物です。ヒトラーの片腕として、ユダヤ人、「障害者」などを「生きる価値のない命」として虐殺する犯罪行為をドイツ国民に洗脳するために、「情緒」と「繰り返し」手法を使ったことで知られています。
※「13 Myths on War in Iraq」by Rich Cowan March 07, 2003
 http://www.zmag.org/ZNET.htm
※「War of lies」Manuel Grandjean 6 February 2003
 http://www.lecourrier.ch/essai.htm?/traductions/traduction_2003_016.htm

(2)今の時代の特徴−−情報戦争においても「アメリカの覇権」と「世界の民衆」がぶつかる時代。
 そもそもイラクは脅威でも何でもなかったのに、9・11のショックを利用してブッシュ政権内部のネオコン(新保守主義者)たちが、「一気にイラクを叩いてしまえ」と、人為的に世界政治の最大の焦点にしたのです。アメリカの「一極支配」の恐ろしさです。戦後長い間、冷戦時代にアメリカに対抗していたソ連や社会主義諸国が崩壊したことが、アメリカを傲慢にさせ増長させているのです。脅威のないところに脅威を作り出す。平和なところに戦争を作り出す。こんな恐ろしいことが可能になったのです。誰かが言いました。「いつから戦争は“製造”できるようになったのか」と。

 しかし歴史は皮肉なものです。アメリカに対抗する「もう一つのスーパーパワー」を生み出しました。“民衆の反戦パワー”です。2月15日に1500万人もの世界中の民衆が反戦で立ち上がったこと、その背後には何億人、何十億人もの平和を希求する人々がいること、この「新しい民衆の力」がブッシュ・アメリカの前に立ちはだかっているのです。

 この「民衆パワー」は国連を突き動かし米英主戦派を孤立させ「査察継続派」を押し出しました。同時に「民衆パワー」の多くは独自の情報伝達ルートを持ち、米英の“心理戦争”にごまかされない力をも持ち始めています。私たちが今生きている時代は、まさに情報戦争においても“アメリカのグローバルな覇権”と“グローバルな民衆の力”がぶつかり合う時代なのです。

(3)なぜ米英はウソばかりつくのか−−合法性、正当性の欠如。
 しかし今回なぜ米英はここまでひどいウソとデマしかつかないのか。なぜここまで手を変え品を変えウソばかり付くのか。「情報戦争」ときれいな言葉で表現するには、あまりにも幼稚すぎるものです。−−それはかつての湾岸戦争時には少しはあった「合法性」が今回は全く欠如しているからです。脅威も紛争もないところに戦争状態を作り出し、従って国連憲章や国際法で正当化されないのに攻撃しなければならないからです。ブッシュやブレアに残された方法はたった一つ、メディアを使った世論誘導、つまりでっち上げと底抜けのデマゴギーだけなのです。

 1991年の湾岸戦争の時、当時のアメリカは国連憲章と国際法を武器に安保理をまとめ上げ、イラクのクウェート侵攻に対して、国連決議・国際法という形式的な「正当性」に基づいて、多国籍軍を侵攻させました。もちろん当時もパパ・ブッシュ政権はウソとデマを連発しました。一番有名なのは、クウェートでイラク兵が病院に進入し赤ん坊を放り投げ殺したという、女の子の議会証言です。「ナイラの証言」と言われたものです。しかし少女は後で在米イラク大使の娘であり彼女の証言はウソだったこと、今や悪名高い世論操作機関となったアメリカの「戦争広告代理店」が演技指導したこと、工作資金がクウェート政府から出ていたことなどが、「戦後」になってニューヨークタイムズで暴露されたのです。
 世界中に配信された「油にまみれた鳥の写真」もセンセーションを生み出したが、これもウソだったことが分かっています。この湾岸線戦争の時に新しい段階に入った「戦争プロパガンダ」が、今回フル稼働しているのです。
※『戦争報道』(ちくま新書 武田徹)が新刊で出ている。この「第3章 湾岸危機以後の戦争報道」に、米の湾岸戦争以降の「戦争プロパガンダ」の歴史が概観されている。レーガン政権の次席補佐官ディーバーが、ベトナム戦争の教訓からメディア・コントロールの方式を編み出したこと、それが「ディーバー・システム」と呼ばれ、「パッケージ」(報道メディアが飛びつきやすいように魅力的に構成された情報パッケージ)「洪水による操作」が駆使されていること、クウェート少女「ナイラの証言」の仕組まれた陰謀、今や有名になったボスニア・ヘルツェゴビナ紛争における「民族浄化」「強制収容所」のデマと「戦争広告代理店」の暗躍。等々。
※3月9日のサンデープロジェクトは「戦争へ導くアメリカの情報操作」と題して、ベトナム戦争の教訓を学んだ米政権が湾岸戦争以降、戦争プロパガンダを加速化していることに警告を発する興味深い特集番組を放送した。

(4)開戦後一層ひどくなったウソとデマ。唯一の真実は「戦争している」だけ。
 開戦後米英政府や米系メディアから流れている報道の中で彼らに有利な情報について真実であったものがこれまで一つでもあったでしょうか。全部ウソとデマと言っても過言ではありません。冗談じゃなく、彼らが真実を伝えたのはただ一つ、「戦争をしている」ということだけ、それだけです。ざっと挙げても次のようにたくさんあるのです。
−−「フセインは死んだ」「アジズ副首相は亡命した」「複数の政府要人も死んだ」
−−「バスラは陥落した」「ウンムカスルも陥落した」
−−「楽勝」「短期で終わる」「終結は近い」「数日で首都攻略」「フセイン政権は国家の統制権を失った」「政権崩壊間近」
−−「罪なき市民は攻撃しない」「一般市民の犠牲は殆どない」「精密誘導爆弾は正確だ」
−−「ナジャフで化学兵器工場が見つかった」「これまで知られていなかった巨大工場だ」
−−「バスラで民衆蜂起があった」等々。

 元々国際法的な正当性がない今回の侵略戦争ですが、屁理屈で取って付けた「イラク国民の解放戦争」と「大量破壊兵器」の2つのでっち上げがバレてしまえば、米英は窮地に陥ります。以下2つのでっち上げが風前の灯火になっていることに触れておきたいと思います。私たちが目を離してならないことは、米英が「大量破壊兵器の証拠」を外から持ち込み「あった、あった」と騒ぎ立てる危険です。
※3月28日の日経「米英軍 重なる誤算」にコメントを寄せたケネス・ポラック・ブルッキングス研究所上級研究員は言う。「米政府の理想は、大量破壊兵器の発見と市民の歓迎の両方を実現することで、一つでも実現すれば戦争を正当化できる。問題はどちらも実現できなかった場合だ。」


V


(1)あざ笑うかのような住宅密集地への集中爆撃。すでに化けの皮がはがれた「イラク国民のための解放戦争」。
 3月26日、28日に起きたバグダッドの市場・住宅地での犠牲者について、米統合参謀本部マクリスタル作戦副部長や現地カタール中央軍司令部のブルックス准将は責任逃れや責任転嫁で汗だくの弁明。「イラクが放ったミサイルが誤って市場に当たった」「いや、米のせいにするためにイラクがわざとやった」等々。米当局は認めるどころか公然と開き直りました。しかしアルジャジーラや海外の報道が映像や証言で真実を伝え続けます。凄惨な現場も正確に映し出しました。遺体散乱に世界は衝撃を受けています。クラーク米国防総省報道官は、国防総省内の翼賛記者の巣窟での弱々しい「誤爆では?」の質問にさえ苛立ち、「死傷者が出ているのは全てフセインのせいだ」と吐き捨てて、逃げるように会見場から消えました。正当性の欠片もない侵略者の後ろめたさ、虐殺者の真実がここにあります。
※バグダッドの市場で爆発 58人死亡とイラク高官(朝日新聞)
 http://www2.asahi.com/special/iraqattack/TKY200303290042.html
※<イラク戦争>米軍の誤爆「イラクのミサイル」と説明 (毎日新聞)
 http://news.lycos.co.jp/topics/world/operation.html?&cat=2&d=28mainichiF0329m110
※バグダッドの住宅地にミサイル2発、住民15人死亡(朝日新聞)
 http://www2.asahi.com/special/iraqattack/TKY200303260304.html

 米英による無差別大規模空爆、国際社会からの非難をあざ笑うかのような殺戮行為に怒りを抑えることができません。私たちのホームページトップにイギリスの反戦サイト「イラク・ボディカウント」を紹介していますが、サイトを開くたびに加速度的に増えていくカウント数を見て衝撃を受ける毎日です。バグダッドに比べて、バスラなど他の都市での空爆や戦闘の犠牲者は、記者や特派員からの情報が少なく、ほとんど実情が分からなくなっています。非常に心配です。
※1週間で死者350人、女性・子供多く イラク側(朝日新聞)
 http://www2.asahi.com/special/iraqattack/TKY200303270267.html
※「イラク民間人の犠牲者数を集計するウェブサイト」HOTWIRED Leander Kahney 2003年3月28日
 http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030331202.html

 いずれにしてももはや米英軍の化けの皮ははがれました。少なくともイラク現地と中東全域の民衆にとって、米英軍は侵略軍であることは明々白々です。「イラク国民のための解放戦争」というウソの「大義名分」はバレバレになったのです。
※私たちは「イラク戦争被害の記録」をフォローしている。なるべく多くの情報を比較検討できるように様々な情報をリンクした。ぜひ参照して欲しい。
※<イラク戦争>イラク政府「米英軍の誤爆」と非難 市場着弾(毎日新聞)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030329-00001069-mai-int

(2)イラク国民を虐殺しておいて何が「解放」か。「誤爆」という言い方をやめるべき。
www.iraqbodycount.org
 日本の新聞やTVは未だに「誤爆」と表現していますが、全くふざけた言葉です。その実態は殺戮、虐殺なのです。本来なら「空爆」もおかしな言葉です。現地住民にとっては「空襲」なのですから。イラクではまだ戦争が始まって10日間しか経っていないのに、「イラク・ボディカウント」によればすでに28日までに376人が「誤爆」と称した殺戮されたのです。「誤爆」なんて言い方はすぐにやめるべきです。イラクの一般市民や被害者が聞けばどう思うか、無神経にもほどがあります。アフガニスタンで米は「誤爆」で一般市民少なくとも3千数百人を殺しました。今も殺戮は続いています。これでも「誤爆」なのでしょうか。
 米英が誇る「精密誘導兵器」はイランやシリアやトルコ、サウジアラビアなど近隣諸国に撃ちまくっているのです。米英軍当局に言わせれば、いくら逸れたといってもバグダッドに命中したのだからうまくいっていると思っているはずです。現に「少しくらいは犠牲者が出るものだ」と開き直り始めています。腹立たしくてなりません。
※誤爆?続き反米感情高まる 犠牲者の映像にアラブの怒り(朝日新聞)
 http://www2.asahi.com/special/iraqattack/TKY200303290273.html

(3)「バスラで住民蜂起」も「解放軍として凱旋」もウソ。シーア派が多数のバスラですら米英軍に憎悪。
 毎日新聞は26日夕刊トップでデカデカ「バスラで住民蜂起」と書き立てました。ウソと分かった後、誤報を公式に謝罪すべきです。28日に第3面に「バスラ蜂起は幻?英、情報に過剰反応か」という記事を小さく載せました。「過剰反応したのは毎日でしょ」と言いたくなります。もちろん全紙が載せたものです。これはカタール駐留の英軍報道官が情報源で、BBCが大々的に放送し、考える力のない日本の新聞が確認せずに大々的に垂れ流したものです。実際はアルジャジーラの特派員が語るように「小競り合い」、ロイター通信によるとテヘランの反体制組織によれば「騒動」といったもののようです。

 にもかかわらず未だにブレア首相は「バスラで限定的な蜂起があったと確信している」と述べ(26日)、妄想や憶測で戦略や作戦を立てている英軍の怖さを逆に示していると言えるでしょう。
※[追跡・イラク戦争]「バスラ住民蜂起」情報(毎日新聞)
 http://www.mainichi.co.jp/news/article/200303/28i/i006.html
※「シーア派も米を敵視 米誤算、南部で一斉蜂起起きず 「圧制」より「侵略」に抵抗」(朝日新聞)

(4)「米英兵士よ。お前たちは何故ここにいるのか!」−−「楽勝気分」が早くも「厭戦気分」へ。歓迎されると思い反撃にショックを受ける単純な米英兵士。
 イラク南部サフワンで米英軍が持ち込んだ支援食糧に住民は殺到したが、そこで「フセイン、フセイン」の踊りの輪ができて、米英兵士はショックを受けたと言います。またゲリラ攻撃を受けて負傷した兵士が、住民に歓迎されない状況に心理的トラウマを受けているようです。政府に騙され踊らされた一般兵士の真実がここに端的に表れています。
※「Wounded U.S. Soldiers Shocked at Iraqi Resistance」Reuters Thu March 27, 2003
 http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?type=focusIraqNews&storyID=2463370
同じ趣旨の記事は毎日3月30日付「解放助けにきたのに・・・」「負傷米兵士病院で会見 予想外の抵抗に衝撃」。
※「支援食糧に歓喜、でも『サダム』連呼」3月27日 読売新聞。さすが読売です。「根強い忠誠心」と憎々しげな小見出しをつけています。「くれてやったのに、なんだその態度は」と言わんばかり。侵略者に対する民衆の反発をこのような言い方でしか書けない侵略の共犯者同紙の貧しさがよく現れています。

 米英政権は、自国軍の志気を高め、敵軍の志気を挫くために、まず最初に「フセイン政権短期崩壊」「短期終結」を大宣伝し、フセイン大統領やその家族、政府要人の死亡を騒ぎ立てました。そのウソがばれるや今度は、「米英解放軍への大歓迎」を期待しました。しかしこれもかないませんでした。そして今や「フセイン独裁」を騒ぐしか残っていないのです。今「フセイン独裁批判」を売りにする“中東専門家”は米英当局や日本のメディアからも引っ張りだこ。イラク民衆、イラクの子どもたちの姿を思い浮かべながら発言すべきです。
※今ここへきて政府与党やTV・マスコミに迎合し「フセインの血の独裁」「イラク民衆は皆フセインが倒れることを願っている」など「フセイン政権批判」を前に出す「中東専門家」の堕落した態度には呆れかえります。その面を下げて「今イラクに行って一般民衆と語ってきたらどうか」と言いたくなります。きっと袋だたきに合うでしょう。

(5)イラクの「自衛権」、「民族解放戦争の権利」を否定する論調に断固抗議する。
 「正義のための戦争」で死傷した米英兵士を悲しみ讃える論調、イラク兵がどれほど汚い手を使い残酷であるかをでっち上げる論調が右翼系マスコミで増えています。反吐が出そうです。読売は29日「民族衣装の下に軍服 市民装うイラク兵」「米兵襲われ重傷」(おいおい米兵を被害者にしてどうするのだ)、26日「フランクス司令官 沈着指揮 大統領の信認厚く」、産経も29日「娘の誕生日までに帰還を」「イラク南部で戦死の少尉 開戦前の手紙届く」「遺族ら関係者の涙を改めて誘っている」「米歩兵部隊 小休止で温かい食事」等々。まさに「すすめ、すすめ、兵隊すすめ」式の、「慰問袋」式の記事です。

 ラムズフェルドはイラク軍は「戦争法」違反だとわめきました。「投降する振りをして攻撃した」「脱出しようとした一般のイラク人をイラク兵が射殺している」と。発信元は冒頭で紹介した米FOX・TVです。その他米英「大本営発表」の「病院を軍事用に使っていた」など数え上げれば切りがありません。
 侵略者に対してイラク軍だけではなく、ムジャヘディンだけではなく、民兵や一般市民が抵抗し反撃して何が悪いのか。大手マスコミが垂れ流すイラク側の抵抗に難癖を付けるやり方に腹の底が煮えくりかえります。圧倒的な物量で襲いかかる敵に対して変装くらいしかできない。ゲリラ戦しかできない。自爆テロしかできないのです。対空砲火もまともにないため油を燃やすしかない。「ローテク」しかないのです。イラク民衆には国際法で認められた正当な自衛権があるはすです。まさに「正義の戦争」「民族解放戦争」とはイラク側の抗戦のことを指すのです。

(6)ブッシュ政権に巣くう人種差別主義者たちには理解できないイラク民衆の民族主義、祖国防衛主義。根底にあるのはイラク民衆の力と意志。
 米の現地司令官はショックを受けていると言います。「今戦っている敵は過去の敵と少し違う。民兵の存在は知っていたが、その戦いぶりは知らなかった。」と。砂嵐の激しさにも、補給難による食糧不足にも、驚きと戸惑いを隠せないと言います。そんなに楽な戦争と思ったのでしょうか。快適な戦争だと思ったのでしょうか。おそらく若い兵士はTVゲームのようなルンルン気分の楽しい戦争だと勘違いしたのでしょう。彼ら若い兵士の映し出される映像はどれも考え込んだり、しゃがみ込んだり、うつむいたり。自分たちが何故歓迎されないのか、なぜそこにいるのか。よく考えるべきです。
※「司令官『本音』米で波紋」朝日新聞3/29。
※「米英軍、前線への補給遅れが深刻化 水・燃料・食糧不足」「1日1食さえ滞り兵は物憂げ」(朝日新聞)
 http://www2.asahi.com/special/iraqattack/TKY200303290263.html
※米英軍の食料援助はプロパガンダの道具=支援団体(ロイター)。NGOは米英の支援のやり方がTV映像用であり決して支持されないだろうと警告する。
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030329-00000450-reu-int

 米英軍兵士や戦争を支持する米英国民は、ブッシュ政権やネオコンの書いたシナリオのデタラメさ−−ちょっと攻撃すればイラク国民は歓喜しフセイン政権はすぐに崩壊するだろう−−に完全に騙され踊らされていたのです。
 すでにこのウソは根底から覆されています。米軍は何十万枚、何百万枚のビラを撒き、TVジャックをして「戦争が終わればイラクは自由だ。自分たちで自由に政府を選べる」「シーア派がフセイン打倒に立ち上がった」「米軍はもうバグダッドに入った」等々、デマ宣伝を垂れ流しているといいますが、誰も信じないし誰も動かないのです。イラク市民はこれを破り捨てたり、TVスイッチを切ったりして激しい反発を示しているといいます。
※米軍がTVジャックや宣伝ビラ イラク市民に自由訴え(朝日新聞)
 http://www2.asahi.com/special/iraqattack/TKY200303280328.html

 確かにフセイン政権の為政に反対したり批判する人々はいるでしょう。しかし「だがそれ以上に米英の侵略を許さない」というのが、圧倒的多数のイラク国民の意思なのです。現にサダムのために命を捧げる人もいるでしょう。しかしサダムでなくても「彼らは独立のために闘うのです。」米英の指導者たちは、根っからの人種差別主義者であるがために、イラク民衆のナショナリズムの爆発と高揚を全然理解できなかったのです。
※「彼らはサダムのためではなく、彼らの独立のために闘っている。」「They are Fighting for Their Independence, not Saddam」 March 27, 2003 by the Guardian/UK by Seumas Milne
 http://www.commondreams.org/views03/0327-07.htm
※「空爆でフセイ支持でない人も反米 銃を取る民間人」3月28日(毎日新聞)。「イラク国民感情に変化 住民犠牲で反発募る」3月27日(毎日新聞)。


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(1)「化学兵器工場発見」の大ウソ。
 「ナジャフの核兵器製造工場大発見」−−この発信元はイスラエルの右派紙エルサレム・ポストの特派員が23日付で報じたものを、同日あのフォックスTVが取り上げたという臭いラインでした。パウエルは25日、ナジャフの化学兵器工場はウソだったことをあっさり認めました。米国防総省幹部は「98年以降化学兵器が製造された形跡はない」と語りました。
※BuzzFlashというウェブサイトは早くも24日に、「これは“発見”ではない。この施設は1991年から知られている。」と報じました。当時の報告には、「製造能力はあるが現在製造・貯蔵していることを示す証拠は見つからなかった」とあります。Source: GulfLINK, "Suspect BW Sites in Iraq," DIA, October 1991, File: 961031_950719_60210003_92d.txt.
 http://www.buzzflash.com/contributors/03/03/24_plant.html

 それだけではありません。米ABCテレビが29日に明らかにしたところによると、パウエル国務長官が2月5日の国連安保理で、自信ありげに「化学兵器開発に関連している」「猛毒リシンか化学物質の製造設備がある」と主張した疑惑施設には何もなく、あったのは迫撃砲弾と医療器具だけだったのです。ナジャフの件と言い、この一件と言い、もし全部がウソであることが分かったら一体どうするのでしょうか。なぜ甚大な犠牲者を出してまで侵略したのか、ますます「大義名分」が立たなくなるのです。
※イラク「疑惑施設」に化学兵器なし=調査チーム肩すかし−米テレビ(時事通信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030330-00000739-jij-int

(2)苦し紛れに米英が「大量破壊兵器の証拠」を持ち込みでっち上げる危険。騙されるな。
 だから私たちが恐れるのは、米英が「化学兵器の証拠」をでっち上げることです。世界中が監視しなければなりません。現にロシアのイワノフ外相は米英のでっち上げの可能性を厳しく指摘しています。仮に米英が「発見」しても、それが本当かどうかを判断できるのは国連査察団だけであると警告したのです。
※「US may 'fabricate' WMD evidence in Iraq: Russia」Press Trust of India Moscow, March 26
 http://www.hindustantimes.com/news/181_221875,0005.htm

(3)米英の毒ガス・生物化学兵器使用に監視の目を。
 米英軍は繰り返しフセインが化学兵器を使用すると牽制しています。24日にも米国務省高官はフセインが南部を統括するアリ・マジド元国防相に使用許可を与えたとする情報を入手したと伝えました。これも信じがたいことです。何の証拠も根拠も示されていません。化学兵器を使って得をするのは米英であってイラクではないからです。
※UNMOVICのブリクス委員長も、3月18日、「イラクは化学兵器を使いそうもない」とコメントしました。「Blix Says Unlikely Iraq Will Use Chemical Weapons」March 18, 2003 (Reuters)
 http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?type=topNews&storyID=2402314

 ひょっとすれば、米英が「イラクの化学兵器使用」を騒ぐのは、実際に米英が生物化学兵器を使いそれをイラクのせいにする前兆かも知れません。ラムズフェルドは現に2月5日の議会証言で、生物化学兵器を使用すると言明しているのです。自分が使ってそれをイラクの罪に被せる。空漠でやったのと同じ悪巧みが企てられてもおかしくはありません。米英はスカッドミサイルについてもウソを付いたのです。陰謀と謀略。何をするか分からない連中なのです。
※化学戦の防御準備認める=「米英が使用の可能性」−イラク情報相(時事通信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030328-00000506-jij-int
※<イラク戦争>バグダッド攻防が迫り、化学兵器で駆け引き(毎日新聞)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030327-00000158-mai-int
※イラクが大量破壊兵器を使ったとの情報ない=国連査察委員長(ロイター)。UNMOVICのブリクス委員長は、イラクがスカッド・ミサイルを使ったと米英が非難したが射程150qのミサイルで違反していないとの見解を示した。  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030328-00000268-reu-int
※「Lack of Skepticism Leads to Poor Reporting on Iraq Weapons Claims」FAIR March 25, 2003。スカッドミサイルをめぐるNBCやFOXニュースのウソに抗議しようと呼びかけているメディア監視NGO。
 http://www.fair.org/activism/scuds.html
※ラムズフェルドの化学兵器使用の恫喝については以下の記事を参照。
※「US Plans for Use of Gas in Iraq」The Sunshine Project 7 February 2003
 http://www.sunshine-project.org/publications/pr/pr070203.html
※「Could the United States Use Riot Control Gas Against Iraq?」Crimes of War Project March 24, 2003
 http://www.crimesofwar.org/special/Iraq/brief-riotControl.html

(4)今頃明らかになった「イラク核兵器開発の証拠」の大ウソ
 すでに国際原子力機関(IAEA)エルバラダイ事務局長は、開戦前2月5日にパウエル国務長官が鳴り物入りで宣伝し、ブッシュが1月の一般教書で明らかにした「核兵器開発の証拠」を信頼性がないと断言していましたが、IAEA高官は改めて3月25日、米国が主張する「イラクがニジェールからウラン500トンを輸入しようとした」とする証拠文書について、これを稚拙極まりない偽造文書だと断言し、「イラクの核開発計画の再開は確認されていない」との立場を確認しました。
 IAEAも国連もこのまま放置しておいていいのでしょうか。今すぐ米英を告発すべきです。少なくともこれを根拠に侵略を始めたのですから。きちっとケジメを付けなければなりません。これに基づいて「最後通牒」「宣戦布告」をしたブッシュブレア、これを根拠に国連で武力行使決議をごり押ししようとしたパウエルとストローには重大な責任があります。そして実際に誰がこの偽造文書を作ったのか。犯人を徹底的に探しだし米英の責任を追及すべきです。さもないと米英は同じ犯罪を繰り返すでしょう。
※ニューズ・ウィーク日本版3月19日号13nはこう暴露している。3月7日、IAEAはイラクの核兵器開発に関する米英側の「イラクがニジェールからウランを買い付けようとした証拠」なるものは偽造文書だと報告した。これに対して米側は「この話を持ち出したのは英側だ」と責任逃れし、英側は「いやニジェールの名を挙げたのはアメリカだ」と責任のなすりつけ合いをやったという。まだある。フセインとアルカイダとの結び付きについて、イギリスは疑問視しているが米が押し切ったという。
※<IAEA>米の「イラクのウラン輸入文書」は偽造 高官が明示(毎日新聞)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030326-00001020-mai-int
※「まさか、こんな茶番劇がイラク攻撃の根拠になるの?「決定的証拠」出せず。ウソとはったりのパウエル国連報告」(署名事務局・論評)


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(1)結局ウソは隠せない。真実を追い求める者がいる限り。
 おそらく一番真実味があるのがイラク国営TVとアルジャジーラなど中東系メディア、次いで仏系など欧州系メディアでしょう。米英のメディアは殆ど疑ってかからねばなりません。NHKや民放各社、新聞各社がメインのニュースで流すのは米英の「大本営発表」や米英系メディアの垂れ流しばかり。アルジャジーラなどの情報は断片的に流されているだけです。私たちはできるだけ米英以外の「中立系」メディアを見て比較検討することしかありません。

 米英側の誤算はバグダッドに残る各国メディアだと言います。91年の湾岸戦争当時バグダッドに残った欧米メディアはピーター・アーネット記者の米CNNテレビ1社だけ。私たちはうんざりするほど米軍のワシントンと現地司令部のスクリーンの「TVゲーム」を見せつけられたものです。被害はほとんど伝わりませんでした。しかし今回は、特にフランスのテレビや主要紙の大半、アルジャジーラを初めアラブ系メディアの大半も取材陣やジャーナリストを残留させ現地ルポを配信し続けています。
※「Does the West understand how this hated war is altering the Arab world? Al-Jazeera has changed everything ? the agenda is no longer dominated by Western news outlets or state-controlled media」By Fergal Keane 29 March 2003 Independent
 http://argument.independent.co.uk/regular_columnists/fergal_keane/story.jsp?story=391779
※「Al-Jazeera Tells the Truth About War My station is a threat to American media control - and they know it」by Faisal Bodi March 28, 2003 by the Guardian/UK
 http://www.commondreams.org/views03/0328-07.htm
※「反米・親イラク」鮮明に=急先鋒はアルジャジーラ−アラブ報道(時事通信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030327-00000044-jij-int
※英では「バスラ蜂起」や「ナジャフ化学兵器工場」のデマ報道についてBBCの副ディレクターがミスを認めた。またガーディアン誌上で論争が行われ始めた。「BBC boss admits 'daily' mistakes in Iraq」Jason Deans Friday March 28, 2003。
 http://media.guardian.co.uk/broadcast/story/0,7493,924747,00.html
「BBC chiefs stress need to attribute war sources Claims and counter-claims in the media」Ciar Byrne Friday March 28, 2003。
 http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/0,2763,924172,00.html

(2)中東系メディアと反戦インターネットが暴く「ウソの戦争」。「侵略者の情報」に対抗する「民衆の情報」。
 私たち反戦運動の武器は真実であり、米英メディア独占に風穴を開けるインターネットの力です。アルジャジーラや中東系マスコミの報道は、世界の反戦系サイトにも洪水のように流れ込んでいます。反戦行動を世界的に喚起しているNGO団体やグループはどれも自分のホームページを持っています。またメールやメール・ニュースが世界中を飛び交っています。戦況報道、被害報道、大量破壊兵器に関する偽情報、イラク民衆の生活や苦悩、悲惨など、欧米や日本の大手メディアが流せない、あるいは報道自主規制した情報が流れています。意志と関心を持った人々は誰であれ、真実の情報を得ることができる、全く新しい時代に入っているのです。
※「ブレアの誠実さとメディア」デビッド・エドワーズ2003年3月21日Znetより。益岡賢氏は、イギリスのガーディアンやミラーという反戦系と言われるメディアもまたブレアの見かけの「誠実さ」にごまかされていることを指摘するエドワーズの論評を訳されている。
 http://www.jca.ax.apc.org/~kmasuoka/places/blair0303.html
※グリンピース・ジャパンは「イラクで何が起こっているか」として様々なサイトを紹介している。曰く。「イラクへの米国などによる戦争報道では米国系のメディアを中心に一方的な報道がなされることがあります。しかし、インターネット上で得られる情報を活用すれば事態を多角的に見ることが可能になります。」と。
 http://www.greenpeace.or.jp/info/features/nowar/situation_html
※「対イラク戦争の情報を求め、国外ニュースサイトに向かう米市民」Leander Kahney 2003年3月17日 HOTWIRED
 http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030318202.html

 一片の合法性もない侵略戦争のウソは、必ずバレます。今のところは米国民の多数は侵略支持と言われています。イギリスでも侵略支持が増えたといいます。しかし戦況が膠着し自国軍の被害が増え始めて、さすがの「超楽観論」も後景に退いています。兵を出している米英の世論は、どちらかと言えば反戦派は確信的ですが、主戦派はその殆どがマス・メディアの翼賛報道にだまされ踊らされている傾向が圧倒的に強いのです。戦況の悪化と反戦運動の進展次第で、必ず世論は変わるはずです。

 私たち署名事務局も、できるだけ早く的確な情報や論評を掲載し、それには参考・関連リンクを付けるようにして、各自で情報を情報源に遡って確かめることができるように心がけています。ささやかながら真実伝達の一部となって、世界中の真の情報、真実、事実を報道し紹介するよう努力したいと思います。

2003年3月31日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局