注 : 被害者の氏名は、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。 また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。 |
S.TAKEDA |
030729 | 部活動死 | 2008.2.19 2009.7.12更新 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2003/7/29 | 東京都杉並区の専修大学付属高校のバレーボール部の新潟県魚沼郡湯之谷村での合宿中、草野恵さん(高1・15)が意識不明で倒れる。 31日、午前10時30分、外傷にもとづく急性硬膜下血腫・脳腫脹により死亡。 遺体の右眼まぶた周囲には大きなあざがあった。 |
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合 宿 | 2003/7/27-31 4泊5日の予定で、新潟県北魚沼郡湯之谷村で開催されたバレーボール部の合宿に参加。 バレーボール部の合宿は、拓殖大学第一高等学校と合同で、体育館のコート一面を半分ずつ共用。 |
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経 緯 |
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被害者 | 小学校4年生から6年生にかけて、スイミングスクールに通う。 中学校で3年間、バレーボール部に所属。 2003/4/ 恵さんは専修大学付属高校に入学。女子バレーボール部に加入。 毎日のように、バレーボール部やU顧問について、楽しげに母親に話していた。 バレーボール部の朝練を1日も休むことはなかった。 7/10以来、U顧問の名前を恵さんの口から聞くことはなくなった。 「バレーなんかに入るんじゃなかった」とつぷやいていた。 7/27 合宿に行く恵さんを母親が電車で送っていく途中、恵さんは母親に「生きて帰ってきたら、お祝いしてね」「大丈夫かな」「倒れないかな」「怖いなぁ」などと話した。 |
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顧 問 | 入部当初、恵さんはU顧問について、「U先生ってすごいんだよ」「今日、U先生が、メグミって名前で呼んでくれた」などと、尊敬している様子で、よく母親との会話に名前が出てきていた。 7/ 9 恵さんは宿題として提出をしなければいけない保健体育の友だちのノートを借りて帰宅。 7/10 借りたノートを自宅に忘れ、自分のノートだけを宿題として提出。友人は提出できない理由を保健体育の教師に報告。 それを聞いたU顧問は、体育館でのバレーボールの練習中に、メンバー全員の前で、恵さんを呼び出し、机を蹴飛ばした。(机はかなり飛んだ)。大声で、「このチームに、あんたみたいな自己中な者はいらないんだよ!」と叱責。 恵さんは早退し、翌日は練習を休んだ。 恵さんの手術中、U顧問は両親に事態の説明をすることもなく、腕時計を見ながら、ひっきりなしに大学ノートにメモを取り続けていた。 事故後、顧問教師から一度も説明を受けることはなかった。 電話で話しをしたとき、顧問は「「何でもします。何をしたらいいのでしょうか」といわれ、「それなら、全て話してください」と遺族がお願いするが、「学校の一員ですから、お話しできません」と言って口を閉ざしてしまう。 |
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調 査 | 合宿から帰るバスの中で、顧問教師が部員に「草野さんのお母さんに渡すので、知っていること、聞いたことを全て書くように」と言って、メモを書かせた。 後日、U顧問は3年生、F顧問は2年生に、「一度、草野さんへ見せたけど、それを見て怒ってらっしゃるので、自分で見たことだけに書き直しなさい」と指導した。 メモは、遺族に渡されなかった。 |
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事故報告書 | 事故後、校長が持参した1度目の「事故報告書」には、バレーボール部の顧問教師が、「j○○校長殿」と書いてあった。「メグは、救急車で運ばれた日の午前中に休んで居たけれど、元気に練習に復帰した」と書かれていた。 校長が2度目に持参した報告書には、「午前中に倒れた時にも、意識が無かった」「意識が無いように見えた」「名前を呼びながら、顔を叩いたけれど反応がなかった」と書いてあった。 |
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背 景 | 前年の合宿でも、現2年生部員(当時1年生)が、倒れて意識がなくなったことがあった。 1年生にとって、7月の関東大会までは、2、3年生中心の練習だったため、きちんとした練習をしたことはなかった。夏の合宿がはじめての本格的な練習になる。 |
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学校の対応 | 校長に保護者が聞いても、「私は、新潟にいたわけではないのでわかりません」と言うだけ。 現場にいた顧問教師に「説明してほしい」と何度も連絡を入れるが、学校側の弁護士から「報告書を渡しているので、これ以上、説明することはありません」という内容の手紙が届くだけだった。 12/13 学校は、女子バレーボール部の保護者会で、校長が恵さんのことを「草野恵は自己過失」と説明。 どうして事故が起きたかの説明はなく、事故後の話だけだった。 両親を保護者会に呼ぶことは一度もなかった。 学校側は、バレーボール部の保護者に「顧問は私が守りますから」と言い続けているという。 学校側は、恵さんの死亡事故のことを女子バレーボール部の保護者にしか話をしていなかった。 夏休み明けに、恵さんの死亡を知らず、クラスで恵さんの名前を呼び、授業を行おうとした教師がいた。 学校側は女子バレーボール部の部員に、「外部に対して話をしないように」「外で話すな。話すと草野が悲しむから」などと口止め。 |
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その後 | 2007/12/5 新潟県警は、練習中に転倒した際、負傷の状況を確認するのを怠り、翌日も練習を続けさせ、頭部打撲による硬膜下血腫で死亡させたとして、業務上過失致死の疑いで顧問の男性教師F(39)と女性教師U(38)の2人を書類送検。 2008/7/ 嫌疑不十分で不起訴となる。 |
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裁 判 | 2006/7/25 両親が、学校法人専修大学付属高等学校を相手取って、約1億1千万円の損害賠償を求めて、民事裁判を起こす。 U顧問・F顧問らの安全配慮義務違反の過失を問う。 |
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和 解 | 2009/6/30 東京地裁で和解。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
和解条項 |
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参考資料 | 裁判の傍聴、「折り鶴とともに」(学校災害から子どもを守る全国連絡会 資料集)、2007/12/5スポーツ報知 裁判傍聴 通信 ほか | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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