2011/3/10 | 奈良中学校、柔道部顧問による傷害事件 被告教師と、原告両親の証人尋問の報告 | |
2011年3月8日(火)、13時30分から、横浜地裁503号法廷で、奈良中学校、柔道部顧問による傷害事件(平成19年(ワ)第4884)の人証調べが行われた。 傍聴券にはならない予定だったが、前日になって急きょ、被告側の傍聴人の予定が20名ほどいるので、全員が入れない可能性がある、開場も13時00分からにし、先着順になるとの裁判所から連絡が入ったという。 本来なら、裁判所外に傍聴券を求めて並ぶところ、法廷入口前にロープが張られ、係員がついて来た順に一列に並ぶよう指示された。 傍聴席は46席。私は、小林さんから連絡をいただいて早めに行っていたので傍聴することができたが、傍聴できなかったひともけっこういたようだった。 裁判官は、森義之氏、峯俊之氏、橋本政和氏。 その場になって、証人尋問の順番をどうしましょうかということになり、原告側は「えっ、私たちからと聞いていますが」と言ったが、被告教師からのほうが流れ的によいでしょうということになって、元奈良中柔道部顧問のT氏から、本人尋問を行うことになった。 宣誓書はT氏、原告である小林父、母、三人一緒となった。 なお、メモする私の手が会話に追いつかない、尋問が長時間であったこと、柔道の用語がわからないことなどから、不正確な部分もあると思うが、以下が当日のおよその内容。 |
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柔道部顧問T氏の証人尋問 | ||
被告代理人弁護士の主尋問から。 Q:Kくんはどのような生徒だったか? A:元気で活発。しかし、対人関係のトラブルが多かった。服装に問題があった。 Q:柔道部では? A:ムードメーカー。後輩の面倒見がよい。 Q:進路決定について、H高校を勧めたわけは? A:本人のよいところを生かす、伸ばす、知ってもらうため。 Q:よいところを伸ばすとは? A:柔道部で一部の生徒や教師とは親しくコミュニケーションもとれていたが、彼によい印象をもっていない人もいたので、面倒をみてれるひとのいるところにと思った。 Q:H高校の顧問とあなたの関係は? A:幼馴染で、高校の同級生。 Q:推薦入学か? A:スポーツ推薦。成績の基準が、Kくんの場合は難しかったので。 Q:KくんにH高校には行かないと言われて、よい感情をもっていなかったのでは? A:そんなことはない。 Q:KくんがH高校に行かなくて、あなたが困ることは? A:ない。こちらからお願いすることなので、推薦がだめになったからと言ってマイナスはない。向こうから、推薦の話が来ていたわけではないので。 Q:X高校のレスリング部に行きたいということは、Kくんと話したか? A:話した。 Q:レスリングをやるのが、入学の条件だったのか? A:はい。 Q:なぜ、そのような条件がついたのか? A:成績基準が、一般受験だと難しいかもしれないということだったので。 Q:そのことは、いつ聞いたのか? A:進路相談を担任が同席して、2回した、1回目に進学先を見直して、2回目にX高校に決まった。 Q:決まって、どう思ったか? A:うれしく思った。 Q:事故の前日の12月23日のことについて。○○中学校での練習にKくんは参加したか? A:参加している。 Q:あなたは引率していたのか? A:はい。午前中、引率していた。午前中、3年生は外でランニングをし、午後から乱取りに参加していた。 Q:事故のあった平成16年12月24日当日について。1校時目の体育の時間、I担任の注意をKくんが腕組みをして聞いていたと陳述書に書いているが? A:Kくんはふてくされていると感じた。態度が悪いと感じて、注意した。あとから聞いた話では、体操着に着替えずバスケをしていて、注意されると「うるさい、先生が来る前からこっちはやっていたんだ」と言ったという。「注意されているのに、その態度はなんだ」と叱った。 Q:このような態度はよくあったのか?見かけたときには注意していたのか? A:はい。 Q:注意したあと、Kくんが練習を休むことは? A:とくにない。 Q:12月24日に、すでに引退している3年生をなぜ、練習に参加させたのか? A:1年生が新人戦を控えていたので。また、冬休みの前日だったので、一生懸命やっていたときを思い出してほしかった。受験のある3年生は帰宅させていた。 Q:12月初めに、T先生がSくんに暴行したと原告の陳述書にあるが? A:Sくんは高校受験をする生徒なので、12月は練習に参加していない。 Q:Sくんについて、高校に進学してからトラブルがあったのか? A:学校の先生と合わないということだった。Sくんの家に行って、本人、母親と話した。卒業後も一緒に旅行に行ったりした。 Q:12月24日当日の経過について。3時頃、校門付近でKくんを捕まえて、無理やり部活に出させたということはあったか? A:ない。2時45分頃、Kくんが階段を下りてくるのと会った。今日、これからおばあさんのところに行くから、部活を休むと言った。家に確認するから待っていろと言って、電話をしたが不在だった。お母さんの携帯電話番号を本人から聞いて、かけた。母親に確認すると、おばあさんちに行く予定はないということだったので、Kくんに、部活に出ろと言った。Kくんは「はい」と言って、格技場に行った。途中、○○くんと合流した。 Q:陳述書で、Kくんの母親は、電話を受けていないと言っているが? A:おばあさんちに行くかどうかは確認をとらないとわからないことなので、電話した。そのあと、職員室で新年度の打ち合わせほした。 Q:Kくんを外で待ち伏せて、連れて行っていない根拠は? A:くつ。平日は格技場まで上履きで行っている。外で捕まえたというなら、格技場のところに外履があるはず。 Q:当日、部活に参加したのは? A:20名が参加した。内訳は、1年生6人、2年生9人、3年生6人。 Q:打ち合わせをしていたので、最初からは参加していないということか? A:最初に柔軟体操や回転運動、打ち込みをすることになっているが、打ち込みから参加した。 Q:投げ込みのあと、打ち込みと陳述書にあるが、どう違うのか? A:投げ込みは、技に入って投げるまでの約束練習。打ち込みは技に入るまで。自分のいないところでは、投げ込みはさせない。けがや事故につながるから。 Q:注意していたことは? A:自分が不在のときは投げ込みはさせない。乱取りも禁止している。組む相手の体の大きさが違う場合もいけない。参加生徒が集中していないとけがをする可能性がある。投げっばなしにしないなど。 Q:開始から30分くらいまでの間、生徒だけだったということは、その間に帰ることはできたか? A:できた。 Q:乱取りの元立ちはどうやって決めるのか? A:私が指示することもあるし、元立ちがしめる赤い帯を置くときもある。 Q:その時はどうやって決めたのか? A:覚えていない。 Q:あなたが元立ちをしていたのか? A:はい。 Q:乱取りに参加したのは? A:7組14人。 Q:参加が20人ということは、6人余るが、何をしているのか? A:回りで見ていたり、壁に入る。 Q:壁に入るとは? A:乱取りで寝ているところになだれ込んだり、足があたったりすることを防ぐために、人間かせ壁になる。 Q:壁になる生徒は、乱取りをよく見ているのか? A:見ている。見取り稽古という。7組が乱取りしているうちの上級者の周りで、見て学ぶ稽古。 Q:乱取りの本数は? A:4本、インターバル、7本程度。 Q:Kくんとの乱取りは、市から出ている報告書の通りか? A:はい。 Q:なぜ、Kくんを乱取りの相手に選んだのか? A:見取り稽古の相手にふさわしいと考えた。他の生徒はトレーニングをしていたり、組む相手が決まっていた。乱取りをやっていて、元気そうだった。 Q:1、2セットKくんが乱取りをやって問題なさそうだったから、3セット目はT先生と組んだのか? A:はい。 Q:3セット目と4セット目の間に休憩はとることなく行ったのか? A:いいえ。回りの様子を見た。組みあったままだったが。 Q:体を動かす乱取りはできなかったのか? A:回りが、14人以上が動き回っているので、激しく動くとぶつかる。インターバルで、回りを見て、体格差など適切に相手を選んでいるか見た。 Q:どのような技をかけたのか? A:はっきりと覚えていない。 Q:なぜ? A:ひとつの技をかけるとき、倒れる方向が変わったりするので、かける技も変わる。 Q:投げ込みは磨きたい技をかける。背負い投げとか。乱取りは、何を使って投げるかという決まりがないということか? A:はい。 Q:記憶内でよいので、言ってほしい。 A:大内刈り、背負い投げ、一本背負い、体落とし、巴投げなどは連動するなかで、そういった技はかけていると思う。 Q:あなたは、Kくんから投げられたか? A:はい。 Q:Kくんが畳に頭を打ったことは? A:ない。投げ技をかけるとき、引手、吊り手を使って完成されるので、頭を打つことはない。 Q:過去のT先生が投げて、生徒が頭を打ったことは? A:ない。頭を打つというのは、もつれあって倒れたときや、投げるほうが崩れて状況で、投げそこなったとき。 Q:あなたが過去に投げそこなったことは? A:ない。 Q:3セットまでで、Kくんに変わった様子は? A:ない。 Q:襟首をつかんで、振り回すことは? A:ない。 Q:柔道の練習中にこのような行為は想像がつくか?あり得るか? A:想像つかない。 Q:Kくんが投げ技をかけられて、空中で回転して、回転が速くて脳の血管が切れたことは? A:ない。 Q:他の指導者から聞いたり、本で読んだことは? A:ない。 Q:3セット目と4セット目に、それぞれ1回ずつ絞め技をかけているか? A:はい。投げ技やその他の技は体力が必要。絞め技は一旦入ると取れにくいので、体の大きくない生徒も使いやすい。 Q:奈良中は比較的小さい選手が多いので、それで絞め技をよく練習していたのか? A:はい。 Q:試合で、対戦相手からかけられることは、よくあるのか? A:はい。 Q:はずす練習もやるのか? A:やる。 Q:絞め技をかけるときの注意は? A:体力や体格差。 Q:試合で使うこともあるのか? A:ある。 Q:1回目の絞め技は記載の通りか?Kくんは半落ち状態になったのか? A:半落ち状態になった。 Q:それはどういう状態か? A:意識がなくなっているが、手足をばたつかせている状態。 Q:横隔膜を押して、頬を1回たたく、活法というのは、柔道で絞め技のあと、よくとられる方法なのか? A:はい。 Q:絞め技をかけた生徒と乱取りを続ける判断は? A:意識がはっきりしているか、目は相手を見ているか、しっかり歩けているか、腕に力が入っているかで判断する。 Kくんは、活法のあと、自分から起き上がり、「お願いします」と言って、私と組んだ。 Q:絞め技のあと、注意するようなことは? A:問題なかった。 Q:腕に力は入っていたか? A:はい。 Q:野地医師の意見書では、受け身が不完全性について書かれているが、Kくんは絞め技のあと、うまく受け身がとれていたか? A:受け身の問題は2つある。1つは、本人がしっかりと受け身をとれているか。2つは、投げる側がしっかりと投げているか。上級者に投げられると怪我が少ない。投げる側が相手をしっかりコントロールできている状態であるから。 Q:あなたくらいの技術を持っていたら、投げそこなうことはない? A:はい。 Q:手を引く行為が、加速損傷を助長することは? A:きれいに投げる行為のなかに、技を完成させるために引手を引く。1本とるためには、相手を投げる際に、3段階ある。@崩す、Aつくる、B技をかける。技をかけるときに、引手を引っ張らないとしっかり技がかけられない。 Q:引手とは、受け身をとる寸前に引行為ではない? A:はい。 Q:2回目の絞め技をかけた意図は? A:奥襟、つまり首の後ろを持ったまま一本背負いをかけると首を絞めることになる。やってはいけないことの一つ。見取り稽古に見せるために絞め技をかけた。 Q:2回目も半落ちになったのか? A:なっていない。 Q:どうなったか? A:帯がほどけていて直すように指示した。Kくんは走って直しに行った。遅かったので、「早くしろ」と言いに行ったら、崩れるように倒れた。 Q:それまで、変わったことは? A:なかった。 Q:起訴されたあと、生徒や保護者が上申書をたくさん書いてくれた。結局、不起訴になったが。上申書はどういう経緯で集まったのか? A:テレビや新聞報道を見て、事実と違うと、引退した生徒が怒って、実際はこうだと書いてくれた。 Q:あなたが頼んだわけではない? A:卒業生や保護者が自分で書いてくれた。 Q:その保護者たちは、今日も法廷に来ている? A:はい。 Q:平成20年に、Kくんと偶然会ったことがあるか? A:はい。お店で中学の同級生の○○くんとKくんと、偶然会った。 Q:そのときのやりとりは? A:裁判のことは、自分が引き金になっているかもしれないが、わからないと言っていた。 Q:裁判のことは理解していない様子だったか? A:はい。 ********* 横浜市の代理人からの質問。 Q:Kくんの柔道の技量はどの程度だったのか?横浜市大会で団体5位に入賞のときのメンバーだったのか? A:はい。 Q:実力があるということで望まれて入った? A:そういうことではない。 Q:受け身に不安のある生徒だっか? A:そんなことはない。 Q:Kくんは有段者試験は受けていたか? A:受けていない。 Q:通るくらいの技量は? A:あった。 Q:Kくんの1年上のMくんに、部活で特別な指導をしたか? A:していない。 Q:指導の仕方がおかしいと注意されたことは? A:ない。 Q:保護者の苦情を受けたことは? A:ない。 Q:3年生を送る会で、Kくんも試合をしたのか? A:はい。本人がやってみたい。できる範囲でということだったので、様子をみて。 ********* 原告代理人の落合弁護士から、反対尋問 Q:Kくんは対人関係トラブルが多かったというが、中学に入って、どれくらいからか? A:1年生のときから。 Q:具体的にはどういうことか? A:ものごとが思い通りに進まないと、大きな声を出したり、ものに当たったりした。 Q:そういうときの相手は? A:生徒だったり、教師だったりした。 Q:直接見聞きすることはあったか? A:はい。何度も。 Q:直接見たのは、何回くらいか? A:数はわからない。何度か。 Q:注意をしたことは? A:やってはいけないことをしたら、いけないと言った。 Q:注意した際、Kくんは謝ったり、反省したりしたか?反抗することは? A:私に対して、反抗したことはない。 Q:服装の問題とは? A:制服のワイシャツを出している。ブレザーを着たまま腕まくりするなど。 Q:あなたが注意することは? A:あった。 Q:どの程度? A:しょっちゅう。 Q:問題がある、手のかかる生徒だったか? A:はい。多少、声をかけなければならない生徒だった。私に対して悪態をつくことはほぼなかった。 Q:H高校は柔道の指導者が幼馴染で、Kくんに適当と思って勧めたのか? A:はい。 Q:先方に、こういった生徒を入学させたいと話したことは? A:ある。 Q:平成16年12月24日に事故が起きたどれくらい前か? A:時期ははっきりしない。彼が顧問になってからは、技術とか、体力とかあう子がいたら送ってね、という話をしていたので。 Q:そういうなかで、あなたが指導者な話して、Kくんが「行きます」と言えば推薦してもらえる状況だったのか? A:はい。 Q:H高校に推薦されて、Kくんは進むだろうと思ったか? A:とくに思わなかった。 Q:X高校のレスリングは、Kくんの親が勧めたのか? A:I担任が勧めた。 Q:それは、H高校の顧問に話したあとのことか? A:はい。そうです。 Q:Kくんから、レスリングをやると伝えられたのか? A:面談を2回やったあと。 Q:その面談には、Kくんも同席したのか? A:はい。 Q:Kくんの両親は、Kくんが面談に同席したことは全くなかったと言っているが? A:私は間違っていない。 Q:I担任、T先生、Kくんの両親の4人で、X高校に行かせたいという話をしたことは?その時に、レスリングをやるということは、本人からではなくて、両親からではなかったか? A:いえ、違います。 Q:KくんがX高校に決まったときは、うれしかったか? A:はい。全員進路が決まることはうれしい。 Q:Kくんを推薦するという話をすでにしていたので、プライドが傷ついたとか、顔をつぶされたという気持ちは? A:全くない。 Q:100パーセントないと言い切れるか? A:はい。 Q:12月23日、別の中学校での練習にKくんが参加したとき、午前中、あなたの目に見えるところで、練習していたのか? A:外でランニングをしていた。 Q:12月23日の前、2週間程度、Kくんは柔道の練習に参加していなかったのではないか? A:進路が決まってから、何回か出ていた。はっきりと記憶はしていないが。 Q:2週間出ていなくて、「出てこい」と言っていたのではないか?部活に出てこなくて、理由がはっきりしない場合、通常、出てこいということは? A:ある。 Q:Kくんに、「出てこい」と注意、指導した記憶は? A:ない。 Q:2週間くらい出ていない記憶は? A:ない。 Q:24日の午前中、I担任に対するKくんの口のきき方がよくないと注意したとのことだが、「うるせー」と教師に言っているのを見て、腹が立つ、けしからんという気持ちは? A:ない。行為はけしからんが、担任がやるべきことなので。 Q:腕組みを直す状況だったのに?「注意されているのに、その態度は何だ!」と強い口調で言ったのか? A:ふつうに言った。声を大きくするということもない。 Q:Kくんが練習に参加する前に、母親に電話をして、直接、話したのか?母親は全くなかったと言っているが、本当に電話したと記憶にあるのか? A:はい。 Q:校門付近で、T先生が待ち伏せしていて、練習に出てきなさいと、Kくんを強く出させたのではないのか? A:違う。 Q:あなたの陳述書に「サマーバケーション」と出てくるが、南国のビーチに行くような気持ちで取り組もうと。厳しく指導することを「サマーバケーション」と言われたのではないのか? A:全くわからない。 Q:学校関係者からも「サマーバケーション」と聞いたことがある。聞いたり、書類を見たことは? A:ない。 Q:横浜市の情報開示で、学校関係者からの聞き取りで、強い指導という意味で「サマーバケーション」と言っているとあるが、見たことは? A:事実は少しかけ離れていると思った。 Q:Kくんの日ごろの態度がよくない、柔道の指導に出てこないということで、24日はみっちり厳しくしごいてやろうと思って、あなた自身、参加したのでは? A:そんなことはない。 Q:あなたは今、何段か? A:3段。 Q:当時は? A:2段だったと思う。 Q:そのあなたが、中学生と乱取りするときに、日頃から注意していることは? A:試合で起こりうるような状態に近い状況で練習すること。 Q:どういうことか? A:試合ではありえないシチュエーション、壁に当たったら1回「待て」がかかるとか、抑え込み10秒しない。実戦でないことには時間をかけない。 Q:24日は、4分やって、30秒休み、4分ということだが、こういうやり方は日ごろからやっていたのか? A:はい。 Q:30秒の休憩はきちんと休むのか? A:休憩はきちんととる。しかし、30秒のインターバルというのは、相手を変えるのにかかる時間や服装を直す時間、「よろしくお願いします」とあいさつする時間であって、休息ではない。 Q:休息する意味もあるにはあったか? A:はい。 Q:中学生と乱取りするとき、30秒で1回、相手と離れて、相手も、あなたも1回休むのか? A:状況によりきり。休憩を与える場合もある。 Q:どんなスポーツでも、疲労度を見て、適当に休憩をとるという認識はもっているか? A:はい。 Q:3セット目のとき、かけた技は覚えていないが、先ほどの技はかけたのか? A:はい。 Q:教委から事情を聞かれたとき、「技はいろいろあるが、覚えていないが、全部の技を3、4回かけた」と説明したとあるが? A:覚えていない。 Q:事情を聞いているのは、特定の教委のひとか? A:別々のひと。 Q:トータルで何時間くらい聞かれたか? A:計算していないので、わからない。 Q:1〜2時間ということか? A:何日にもわたって、何時間もかけて聞かれた。 Q:Kくんは一方的にやられている状態なのでは? A:訓練状況から、力も入っていた。技をひととおりというより、技をかけあったなかで、絞め技をかけた。 Q:Kくんが技をかけたのは、わずかではないのか? A:そんなことはない。 Q:割合としては、どの程度か? A:わからない。技をかけるのも、投げるのも、投げられなくても、技をかけるに入るし。 Q:襟首をつかんで投げるのは、組んだ状態で投げるのか? A:組んだ状態で、移動しながら。 Q:絞め技をT先生が中学生にかけることで、相手の技量が向上することがあるか? A:ある。かけられる前に、かけられやすいシチュエーションがわかれば、技術が向上していく。 Q:1回目で、半落ちまでさせなければならない事情はあるのか? A:長い時間絞めるわけではなく、ほんの数秒かける。見取り稽古を含めて、技の入り方をみせる。 Q:Kくんのことを快く思っていないので、立て続けに技をかけたり、半落ちにさせたのでは? A:違う。 Q:Kくんがふらついたり、練習前より疲れていたという認識は? A:とくに問題ないと思った。 Q:実際は体力を含めて、落ちてきたのではないか、今ふりかえってみれば? A:その時は。 Q:24日にKくんと乱取りを行うようになった開始時点で、Kくんの様子がおかしいことはなかったか? A:はい。 Q:突然、具合が悪くなったという認識か? A:はい。 Q:T先生が高校進学の関係で、2回ほど話した日にちはいつか? A:覚えてい ない。 原告代理人の高木弁護士から補足質問。 Q:23日以前、3年生の部員の何割くらいが、部活動に参加していたのか? A:・・・・3年生部員7人中・・・・4人くらい。 Q:24日は? A:・・・・24日は6人くらい。 Q:Kくんは高校では柔道をしないとその時には決まっていたのか? A:はい。 Q:T先生が元立ちになることはよくあるのか? A:はい。 Q:24日、Kくんを選んだ理由は? A:他の生徒相手に練習していて、十分に汗をかいていたから。 Q:高校に入って、柔道をしないのに? A:本人のためだけでなく、回りで見ている生徒のため。 Q:2回目、1回目も? A:はい。 Q:変形奥襟絞めは、気管を絞めるのか? A:違う。全く、気管は絞めない。 Q:4セット目、状況的に乱取りを続けても問題ないと思ったのか? A:ないと思う。 Q:「サマーバケーション」という言葉は使ったことがあるか? A:はい。 Q:どういう時か? A:神奈川県は、柔道では全国でもトップレベル。がんばろうと。 Q:それはかなりの頻度か? A:いいえ。 Q:特定の人に対して使うのか? A:とくに、特定ということもない。そんなに自分から使うこともない。 Q:喫煙した生徒に、体育館教官室で指導したことは? A:そういう生徒はいない。 Q:顧問からの聞き取りで、教育委員会が作成している書類があるが、ここに書いてあることは事実か?○○がタバコを吸っていた時、怒ったら逃げていったので、体育館教官室で話したと書いているが? A:在学中ではなく、卒業してから。 Q:柔道の死亡事例で、硬膜下血腫という言葉を見たり、聞いたりしたことは? A:とくにない。 Q:柔道の指導者研修を受けたことは? A:ある。 Q:24日に、3、4セットで、いろいろなかけた技は忘れたが、かけた技はここで言ったか? A:はい。 ***** 被告代理人弁護士から、補足質問。 Q:練習は、能力に応じて、技をかけさせたりした、そういう教育か? A:はい。 Q:平成20年10月にスーパーで偶然、Kくんに会ったとき、中学時代のことをどう話したか? A:あの時は楽しすぎた。戻りたいと言っていた。 Q:先生のことをどう言っていたか? A:先生以上の先生と、あれから会っていないといった。 ****** 橋本裁判官から、質問。 Q:24日、半落ちのあと、投げそこなったのを含めて、どんな技をかけたか? A:大内刈り、一本背負い、・・・・・そのくらい。 Q:半落ち以前は? A:今の技くらい。 Q:半落ちのあと、Kくんを投げきったことはあったか? A:あった。 Q:寝技をかけたことは? A:なかったと思う。ちょっと覚えていない。 ここまでで3時15分。 15分程度、休憩。 |
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Kくんの父親の本人尋問。 | ||
原告代理人、落合弁護士から、主尋問。 Q:Kくんは、奈良中の2年生のときに柔道部に入ったのか? A:はい。 Q:T先生に誘われて入ったのか? A:はい。 Q:柔道部に入ったあと、24日の2週間前は除いて、Kくんが柔道部の練習を休んだり、さぼったりしたことは? A:基本的にはない。 Q:24日前の2週間までは、積極的に参加していたということか? A:はい。 Q:柔道を楽しんでいた? A:はい。 Q:中1のとき、病院で脳波を診てもらった理由は? A:校庭の鉄棒から落ちた。先生が問題ないだろうがと言って、連れて行ってくれた。 Q:異常はあったのか? A:なかった。 Q:その後、異常は? A:ない。 Q:平成16年12月24日前に、Kくんに病気や異常はあったか? A:なかった。 Q:H高校への勧めはT先生からあったのか? A:はい。 Q:最終的にX高校に進学したのはなぜか? A:本人は共学の学校に行きたかった。 Q:レスリングをやりたいと言い出したのは? A:高校を選ぶときはなかった。学校を見学したときに、レスリングが楽しそうだと思ったと話した。H高校への推薦入学をT先生から進められていたが、本人が行きたいと思って、X高校に行った。 Q:T先生に、本人が経緯を説明したことは? A:X高校は共学だから、レスリングのほうが興味あるということをKが説明した。 Q:どういう状況で説明したのか? A:説明したその日に、T先生がひどく怒っていると言った。そこで、私とKの母と、担任のI先生、T先生と、平成16年12月2日に会った。商売がら、手帳に詳しく書いている。 Q:その記載は、今も残っているのか? A:はい。 Q:面談は4人か? A:はい。Kの父と母、I担任、T教諭。 Q:その場にKくんは? A:いなかった。 Q:T教諭と、Kくんも交えた面談は2回あったのか? A:記憶にも、手帳上もない。Kが、X高校に進学したいと言っている事を説明するために機会をもっている。 Q:そのときに、T先生は? A:横を向いたきりで返事もせず、明らかに不機嫌そうだった。 Q:その時の担任の言葉は? A:T先生に、「本人が希望しない進学をしても、途中で辞めてしまうから、本人の希望を優先してほしい」と説得してくれた。しかし、T先生は、最初から最後まで、不機嫌そうに横を向いていた。 Q:X高校に決まってよかったですねという言葉が、T先生から出たことは? A:ない。 Q:12月にX高校に進学が決まったのか? A:はい。 Q:12月24日の前の2週間、Kくんが柔道部の練習に参加していなかった事実をいつ知ったのか? A:平成19年1月19日。神奈川県警の事情聴取で初めて知った。 Q:それまでは、練習に参加していると思っていたのか? A:はい。部活に終わるくらいの時間に帰宅していたから。 Q:Kくんはなぜ、練習に参加しなかったのか? A:T先生に強く勧められた高校を断ったこと、柔道ではなく、レスリングを選んだことで、サマーバケーションをやられると思って、練習に参加しなかったという。しかし、すぐに帰宅すると、親にわかってしまうので、友だちの家で、時間をつぶしていたということだった。 Q:それは誰から聞いたのか? A:Kの事情聴取をした警察から聞いた。 Q:12月23日の練習に参加したことは聞いているか? A:出たのは事実と言っていた。その日は外の中学校での練習で、しかもT教諭は午後からいなくなるので、安全だと思ったから出たと説明していた。 Q:警察に傷害罪の告訴状を出す前から、警察はこの件で捜査をしていたのか? A:はい。 Q:警察官から、こういうことが判明したと聞いたことはあるか? A:はい。 Q:T教諭が「サマーバケーション」を行っていたと聞いたか? A:刑事から聞いた。 Q:どういうことだと聞いたのか? A:意に沿わない子どもたちに暴行を加えている。それも、1人、2人ではなく、複数。しかし、先生や親に知らせると、仕返しされるので、周囲に悟られないために暗号を使っていた。だから、親たちは知らない。それが生徒たちにとって自分の安全を守るためだったと警察が説明してくれた。 Q:警察に事情を聞かれるなかで、Kくんの調子が悪くなった時のことを話してほしい。 A:1月24日に警察に事情を聞かれて、情緒不安定になった。ひどい下痢になった。また、部屋から出てこれなくなった。T先生に仕返しされる。内緒のことを親や警察に話したので、仕返しをされると、盛んに言っていた。そこで、警察に電話をして、警察官が息子の気持ちを落ち着かせてくれた。 Q:I担任から、T先生の行動について、こんなことがあったと聞いたことは? A:息子の1年先輩のMくんが、T先生から暴行を受けて、学年の先生はよく知っていた。副校長に言ったが無視されたと聞いた。 Q:それは、いつ頃聞いたのか? A:・・・手帳を見ないと、思い出せない。 Q:柔道部のZくんが、警察の事情聴取で話し、こういう捜査結果が出たということは? A:Zくんは、Kよりひどく暴行されていたと、刑事から聞いた。 Q:小林さんから、I先生に法廷で証言してくれるようにお願いしたか? A:I先生は、自分には神奈川で教員をしている息子が2人いる。証言台に立つと、2人に悪い影響を与えてしまうので、かんべんしてくれと言われた。 Q:24日当時、練習までのことはI先生から聞いたか? A:I先生から、授業が終わって、通路に立っていたら、Kと小柄な生徒がI先生の横を通って、下駄箱に行った。そこにT先生はいなかったと聞いた。 Q:Kくんは、校門で捕まったと言っているのか? A:はい。 Q:24日に、Kくんは危険な状態で、病院に搬送されたのか? A:はい。 Q:退院は1カ月後か? A:リハビリセンター病院に転院するための退院。 Q:24時間体制で、家族がそばについていて、たいへんだったか? A:はい。手術することも厳しい状況で、息子の命を守るために私たちは24時間ついていた。 Q:両親は、横浜市の対応に憤りを感じているか? A:はい。平成17年1月から2月にかけて、事故報告書が作成され市教委に提出された。その事故報告書に問題がある。1月4日付けの事故報告書には、「柔道と怪我とは関係がない」という記載になっていた。そのことを知ったのは、「変な報告書が提出されているからただちに訂正してもらいなさいと、ある人に言われたことで初めて知った。 Q:事故報告書には、保護者から聞いているという記載があるが、話したことは? A:ない。 Q:1回目の報告書に問題があるということで作ったのが、2回目の報告書ということか? A:はい。 Q:奈良中の口止めや情報操作を見たり聞いたりしたことは? A:聞いた。事故のことや学校に救急車が来たことも、親にも絶対に話してはいけないと副顧問や教師が言っていたと言っていた。そのことは、捜査していた警察から聞いた。 Q:T先生本人が、生徒に口止めしたと聞いたことは? A:○○くんの母親から、T先生は、教育委員会の聞き取り前に、部員全員を集めて、「言ったことは全部書かれる。不確かなことは言わないほうがいい。誰が何を言ったか、あとで全部わかるからな」と言ったと、それを生徒が親に話して、親が小林に話すべきだと言って、教えてくれた。 Y教育主事に話したところ、T教諭は「事実でした」と校長の前で認め、きつく叱ったいう話を私たち両親の前で言った。 Q:あなた方が、2月に警察に告訴した理由は? A:警察はすでに捜査をしていたので、告訴はしないでもいい。しかし。息子は障がい者になった。高機能障害で苦しんでいる。親としてのけじめ、責任と思い、告訴状を出した。 Q:その後、不起訴になった? A:そうだ。 Q:今現在のT教諭への気持ちは? A:私の父親は教育者だった。教育委員会にも長く勤務していて、私にとっての理想だった。しかし、息子の事故の後に出てくる言葉は、暴行、仕返し、サマーバケーション、口止め、隠ぺい・・・。学校というのは、生徒の命を守るところ、生徒を一人前に育てる場。そこで働くのが、T教諭や他の先生、教育委員会の人たち。裁判に訴えないと真実がわからない。裁判のこの場になっても、真実が語られない。事件が発生し、私は誠実に、真実を述べて、接してきた。この場で何が真実か、はっきりとさせていただきたい。24日、T教諭は、学校に戻って男泣きに泣いたと聞いた。その時の思いをもう一度、思い出してほしい。 ****** T教諭の代理人弁護士からの反対尋問。 Q:Kくんの進学は、レスリングをやることが条件になっていたのか? A:あとから、条件になった。普通に受験するか、どちらでも選択肢はあったが、レスリングの監督が「ぜひともうちにおいで」と言ってくれたので、そちらに決めた。 Q:レスリングをやらないでも行ける高校はないか、4人の面談のときに出なかったのか? A:そういう話は出なかった。 Q:小林さんから提出された録音の反訳の陳述書で、「この間も警察で何度も口チャックを何度も言われたんだ」とあるが、あなたはKくんの警察の取り調べに立ち会ったのか? A:最初、私とKが一緒に聞かれ、後半は私は抜けた。 Q:事情聴取に同席した時にKくんが話した内容は、1月21日の内容とほんとんど同じか? A:はい。 Q:警察の聴取は何回あったのか? A:1回。 Q:反訳元は2月1日。反訳から提訴まで10カ月。現在、3年たつが、その間、Kくんが話した内容は変わっていないか? A:はい。 Q:Kくんが23日の練習に出たときの話をもう一度、話してほしい。 A:当日は校外の中学校での練習だったので、@T先生から暴行を受ける可能性がない、A午後にはT先生がいなくなって、Y先生なので、安心だと話していた。 Q:23日についてのやりとりは、Kくんはいつ頃、あなたに話したのか? A:時期は思い出せない。 Q:提訴の前か、後か? A:・・・思い出せない。 Q:反訳の25頁は、どういうニュアンスか?Mくんという先輩がリンチにあったという記述。 A:何でけがをしたかを親にも言わなかったかの理由について、Mくんが、親に言ったら、あとでもっとひどい目にあうと思い、言えなかった。だから、今まで出てこなかったと聞いた。 Q:Kくんは、Mくんがけがをする現場を見ていたのか? A:私にはわからない。 Q:Kくんが柔道部に入った時点で、Mくんは退部しているが、知っているか? A:知らない。 Q:「サマーバケーション」という言葉をあなたたちは、リンチやいじめを指して、言っているのか? A:私たちが言っているのではなく、子どもたちが言っている。事件のあと、母親が、「サマーバケーションの意味は?」と聞いたら、「意味なんてない」と言った。事情聴取を受けた日、刑事から、「サマーバケーション」の意味を聞いていたので、そのあとのやりとり。 Q:隠語という意味で質問しているのか? A:はい。 Q:T教諭からサマーバケーションにあっている時は、どういう感じで? A:柔道に名を借りたリンチだと私は思っている。 Q:○○、××に聞いたところ、提訴してからの上申書で、「リンチを受けたことがない」ということになっている。聞いたのは誰からか? A:一般的に次々とやっていたと、警察が言っていたので、聞いた。 Q:「自分たちはあっていない」という上申書の内容を確認したことは? A:していない。 Q:なぜ? A:真実を捻じ曲げた書類が非常に多く、その一つだと思った。 Q:これらの上申書は、真実を曲げていると思っているか? A:真実をすべて述べていると思っていない。 Q:陳述書に、「○○さんから私に電話があり」「T教諭から、12月初旬に○○さんに電話があり」と書いている。Kくんがけがをする何日か前、12月中旬、○○くんは練習に参加していない。そのことは知っているか? A:はい。T先生から○○くんの母親に12月初旬、電話があり、T先生が○○くんなどに口止め工作をしたそうですと聞いた。 Q:誰から聞いたのか? A:養護教諭の○○先生から聞いた。 Q:○○くんが提出している上申書には、「警察の誘導尋問がひどかった」という内容を書いている。養護教諭に○○くんの言っているのは違うとか、確認することは? A:ない。養護教諭は、校長にも、○○くんの件で怒り、進言したが、逆に叱られている。同じことを警察にも、教育委員会にも言っているので、疑っていないから、確認しなかった。 Q:あなたの柔道に対する理解について。乱取りで、砲丸投げのように、ぐるぐる回されて手を放し、何メートルもふっとぶことが可能だと思うか? A:柔道は知らないので、わからない。Kが話したことを、他の子がやられている状況をKが話している。 Q:プロレスでも、何メートルも飛ぶと言うことはない。そんなことがあるのか?確認したか? A:私は柔道を知らないので、T先生のやったことを評価することはできないので、Kが言ったことを使って、専門家に聞いた。 Q:何メートルも吹っ飛ぶことがあると回答したのか? A:そういった形で話したことはない。 Q:奈良中柔道部の練習を見に行ったことはあるか? A:事故のあと、練習を見た。 「どんなに激しい練習をしても、帯の結び目はとけない。テレビの柔道の試合で、帯がほどけたのを見たことがあるか?」とKに言われた。 Q:専門家に確認したか? A:していない。 ******* 別の代理人弁護士からの反対尋問 Q:Kくんが、脳震盪で受診したことはあるか? A:はい。脳震盪かどうかはわからないが。 Q:いつ? A:中学1年のとき。 Q:原因は? A:鉄棒から落ちた。 Q:脳震盪ではないのか? A:病名はわからない。 Q:教育委員会に提出された調査報告書に、Kくんの姉が「脳震盪で受診した」と述べていると書いているが、知っているか? A:娘は、病院が行った診断がどういう内容だったか、情報を持っていないと思う。 横浜市の代理人からの反対尋問。 Q:料理人を目指すために、専門学校に行ったのは、Kくん自身が決めたことか? A:はい。 Q:料理人になることに魅力を感じて? A:魅力を感じてというより、大学にも行けない、他に道がないということで選んだ。 Q:何年行ったのか? A:1年行った。 Q:卒業と同時に調理師免許を取得した? A:はい。 Q:運転免許は技術試験は受かった? A:はい。 Q:教科がとれなくて、あきらめたのか? A:はい。 Q:レストランには1年5カ月、働いていた? A:はい。 Q:「ある時期から、検事の態度が変わった」と書いているのは? A:「柔道場で、柔道技を使ってたら、何をしても責任を問われない」と言われた。 ここまでで、4時半。 |
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Kくんの母親の本人尋問。 | ||
原告代理人の落合弁護士から、主尋問。 Q:Kくんは、大けがのあと、平成17年1月にいったん退院しているか? A:はい。 Q:神奈川リハビリセンター病院に入院する予定で、退院したが、そこには入院しなかった? A:はい。結局、自宅で療養した。 Q:4月からは、X高校に進学したのか? A:はい。 Q:X高校に通っている間の様子、記憶することについて、どういう状態だったか? A:最初のひどい頃は、夜、一生懸命に覚えても、朝、全部忘れている。今もだが、当初はもっとひどかった。 Q:計算はできたのか? A:読み書き、計算も全部できなかった。小学1年生のドリルを買ってきて、2人でやった。 Q:高次脳機能障害の診断はされたのか? A:はい。 Q:事故のあと、中学に通える状態にはなったのか? A:通うというより、車に乗せて学校に連れて行って、友だちに会わせて脳を刺激するために行った。 Q:授業に、友だちに付き添ってもらって行ったことは? A:最後の、最後のほうでは、あった。 Q:小林さんは、事故後、引っ越したか? A:息子は地理や方向感覚がなくなった。迷子になるので、GPS機能のついた携帯電話を持たせ、学校に通える範囲の家に引っ越した。 Q:今現在、どこかに自分自身の力で行くことは? A:できない。 Q:繰り返し行くところ、学校や職場は一人で行けるか? A:体が覚えるまで、繰り返せば、行ける。 Q:何の心配もなく、行けるのか? A:自宅で、パソコンでGPSで見て、私が待機していた。こっそりついて行ったり、現地に先回りすることもあった。 Q:目的地に行けずに、挫折することは? A:気丈な子なので、目的を持ったら、3、4時間かかってもいく。 Q:わからなくなったら、電話する? A:困った時には、電話でSOSすることを訓練して積んだ。 Q:Kくんの成績は? A:とても厳しく、毎晩のように、学校の先生が一対一でみてくれた。 Q:高次脳機能障害について、担任は? A:担任が、放課後教えてくれると、よく覚えている。しかし、次の日の朝には真っ白になる。「これが高次脳機能障害なんですね?」と言われた。 Q:Kくんのきょうだいはみんな大学を出ているのか? A:はい。 Q:Kくんも、大学に行きたい気持ちはあったのか? A:高校のクラス全員が大学に行くので、自分も行きたいと言っていたが、あきらめて、調理師学校に行った。 Q:T教諭について、Kくんはどう言っているのか? A:Kは、決してT先生の名前を言わない。「あの人」と言う。「自分の夢を全部奪った。せめて1回くらい謝ってほしい」と言っている。 Q:調理師免許について? A:14教科中12教科落とした。実技は何回かで通った。1カ月以上、追試に追試で、受かった。 Q:合格をとれた? A:卒業式の前日、面接でカバーしてくれた。短期記憶はできるので、教えてすぐ聞けば、答えられる。 Q:専門学校を卒業する頃、自動車学校に通っている? A:学科を27回受けたが、断念した。試験場にも10回通った。本人が障がいを受け入れて、「もういい」と言って、あきらめた。 Q:飲食店の仕事の内容は? A:皿を洗ったり、ナプキンをたたむ、コップに水をつぐなど、単純な作業。注文をとるとかはできない。知能はふつうで、会話もできるので、お店のひとがつい間違えて買い物を頼んで、2、3時間、戻ってこれないということもあった。 Q:1年5カ月で続かなくなったのか? A:T教諭の関係者が次々と来て、様子を見に来るので、店に迷惑をかけられないと思い、辞めた。 Q:今はどうしているのか? A:別のところに、居場所をつくっているが、壊されたくないので、証言はしたくない。 Q:記憶前提での仕事か? A:グラスを磨くとか、調理場からホールまで料理を運ぶ。 Q:12月24日、T先生から電話を受けたことは? A:私はその日、受けたことは全くない。 Q:覚えていないということか? A:その日は、夫と2人で仕事の打ち合わせをしていたので、2人とも同じ記憶。 Q:高次脳機能障害は見えない障がいだと言われているが? A:あるとき、落合弁護士が、自分が両足、片腕を失っても、法廷に立てる。しかし、Kくんのように高次脳機能障害になったら、自分は弁護士の仕事ができない。とんでもない障がいだと話された。 Q:最後に話したいことは? A:私は外傷性高次機能障害の会に参加している。ほとんどが、交通事故や高い所からの落下が原因。人の力だけで、息子の脳に同じ障がいが起きている。T先生は何をしたのか、しっかり検証してほしい。 *********** 横浜市代理人弁護士から、反対尋問。 Q:「サマーバケーション」という言葉を聞いたのは、いつか? A:夫が話したことと同じ。神奈川県警の刑事さんから聞いた。 Q:Kくんの学校推薦が内定する2週間から、逃げていたというのは、誰から聞いたのか? A:刑事さんから。 Q:学校の推薦は何推薦か? A:スポーツ推薦。 Q:事故直後の夕刊フジの記事を知っているか?記者に質問を受けているか? A:当時は、ありとあらゆる報道が来ていたので、誰に受けたか記憶にない。 Q:3年秋に先生からスカウトされて、上の学年の子もけがをさせられたが、そのときにきちんと対応していたら、今度の事故は起こらなかったというのは、あなたの言葉か? A:夕刊フジだけ、突出してそのようなことを書いていたので、驚いていた。 *********** 裁判官からの質問。 Q:Kくんのため、今、あなたがしていることを教えてほしい。 A:午後3時過ぎに息子が帰ってくるので、誰か必ずいるようにしている。朝はボーっとしているので、背中を押して準備させる。休日は、体のバランスが悪いので、何年もマンツーマンでインストラクターをつけてリハビリをしているが、全部、親が付き添う。 裁判長からの質問。 Q:退院してからの症状は? A:当初、知能は74まで落ちたが、今は98。長期記憶ができない。失語症の症状で、周囲で大勢のひとが話すと、知らない外国語を聞いているみたいだと言っていた。一対一なら、かなり難しい内容でも話すことができる。 記憶は、メモをする訓練をした。 Q:自立は難しい状態か? A:一度死滅した脳は二度とは再生しないので、障害が変わることはない。 Q:知能の回復は? A:当初は、夜、歯を磨きに行って、歯ブラシと歯磨き粉を持って、茫然と立っていた。今は、読み書きができるまでになったが、ふつうの生活は厳しい。 Q:3時頃、家に帰ってから、何をしているのか? A:訓練をしている。会話、コミュニケーションの訓練。スポーツジムなど。休みにはあらゆるリハビリをしている。 Q:それは効果があるのか? A:ある。ただし、障害が大きいので、現実が変わるわけではない。体力がついたり、そういうこと。 ここまでで5時。 |
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なお、次回は、4月12日(火)、13時30分から、同じく横浜地裁503号法廷で、口頭弁論(実際には法廷で書類のやりとりが中心)。 医師2人の証人尋問を予定があえば、5月か6月に入れたいと裁判所は意向を示した。 ************** ここから、武田私見。 証人尋問を聞いて、強い部活動はとくに、事故・事件が起きても、教師も生徒もみな同じ対応をすると、改めて感じた。 (830122 850323 S880805 970700 980725 051206 me101220 参照) そして、「サマーバケーション」という言葉は、群馬県高崎市の東京農業大学第二高等学校(東京農大二高)ラグビー部金沢昌輝くん(高2・17)が、合宿当日に自殺した事件(020325)を想起させた。この部活では、特定の部員に注意が集中することを部員たちは、「ハメ」と呼んでおり、昌輝くんも顧問からハメられていた。このラグビー部の部員たちは、他の部活部員とは違い、顧問と対立しても、みんなで原告側の上申書を書いて出してくれた。 学校はそうでなくとも、自分たちの非は認めたがらないが、強い部活の場合、在校生、卒業生、地域までが、部の存続のために力を貸してくれるので、学校側はやりやすい。 法廷を出た廊下での教え子や保護者らのはしゃぎっぷり。もしかしたら、生死をさまよったのは、Kくんではなく、自分の子どもだったかもしれないとは思わないのだろうか。いじめと同じで、強いものについていたら、自分たちは安心だと思っているのだろうか。いじめるような人間は、理由などいくらでもこじつけて、いつ、その暴力の矛先が、どこに向くかもわからないというのに。 多くのひとは、学校にいる間はまだしも、卒業してしまえばしがらみがなくなるから、本当のことを言ってくれるのではないかと思う。しかし現実には、自分の卒業した学校の名誉を守りたい。 そして、学校の人間関係は思う以上に広くつながっている。スポーツやブラスバンドなどの活動は、その道で身を立てたいと思っていれば、しがらみはずっとついて回る。 その道から離れても、学校時代の同級生らとの関係を続けたいと思えば、流れに乗らざるを得ない。 うそをついたり、知らん顔をしてしまうと、心が痛くなるから、かえって同じ後ろめたさを持つ仲間との連帯感が強くなる。そこにいる間は、自分たちは悪くないと思えるから。 そして格闘技。目の前で、仲間が半殺しの目にあったのを見ていれば、そしてなおかつ不起訴処分になり、何の差しさわりもなく、今も教師や柔道部顧問を続けているのを見ていれば、逆らうことの恐怖心は強いだろう。 事件・事故当初は本当のことを話してくれていた子どもたちの証言も、オセロのコマがひっくり返っていくように、次々と変わっていく。被害者は孤立し、地域にいられなくなる。 法廷で、T教諭を目の前にして、小林さん夫妻はどんな思いだったろうと思う。 T教諭はとくにご両親に頭を下げるでもない。Kくんは死んでいたかもしれない、現在も、重い障がいに、本人も家族も苦しんでいる。仮にも元教え子で、自分と組み合った直後に救急車で運ばれているのに、そのことに対する後悔や悩みは全く証言のなかで出てこなかった。出てきたのは、ただ、「問題のある生徒だと思っていた」ということだけ。 中学3年生の男子となれば、反抗期真っ盛り。むしろ、やんちゃで当然。 その男子生徒が、顧問には一切、反抗したり、逆らうこともできなかった。他の先生に対しては不遜な態度をとっていても軽口さえたたけない。それだけ、“怖い存在”だったのではないだろうか。 事故を起こした教師に共通する点。生徒を信じない。 熱中症でふらふらになっていても、甘えている、さぼっている、演技していると思い込む。 引退した3年生が、しかも高校では柔道をする予定のない生徒が、部活をさぼるのに、「おばあちゃんちに行く」とわざわざ顧問に言い訳しなければならないのも奇異なことだが、それを携帯電話で確認し、「うそじゃないか」と言って、柔道場に出させる顧問の行動も理解しがたい。 被告弁護士は、T教諭は打ち合わせで、遅れて部活に参加したのだから、逃げる気になったら逃げられるはずとの言葉をT教諭から引き出した。 不良グループから呼び出された子どもが、なぜ、呼び出しに応じてしまうのか。逃げられないと観念し、ここで逃げ出せばかえって相手に、リンチの口実を与えてしまうとわかっているから、素直に呼び出しに応じてしまう。 Kくんの場合も同じではないか。顔を合わせない間は何とでも言い逃れができる。しかし、24日に待ち伏せまでされて、逃げるためのうそも見抜かれてしまった。この日を乗り切っても、まだ卒業までには日がある。最後までは逃げきれないだろうと観念したのではないだろうか。 T教諭は、なぜ、Kくんを乱取りの相手に選んだのか? 1年生の大会が近いのであれば、引退する3年生に時間をかけるより、1年生と組んでやるのが自然だろう。もしくは、高校に行っても柔道を続ける生徒と組むのが自然だろう。あるいは、在校生と引退する3年生のことを思えば、むしろ、3年生と下級生とを組ませるのが自然な成り行きだと思う。 見取り稽古というが、入部したばかりならいざ知らず、この時期にわざわざ、しかも危険性を教えるために見せるのは不自然だろう。危険を教えるためであればむしろ、夏合宿の頃にはすでに教え終わっていなければならない。 T教諭は実力差があれば、相手の動きをコントロールできる、だからかえって安全だと話した。 それは、実力のあるほうが、相手の安全に配慮した場合のことで、逆に言えば、実力差があれば、相手がどんなに抵抗しても、痛めつけることはたやすいということだろう。 相手を完全にコントロールして安全に訓練を行うことのできる実力を持つ人間が、交通事故にあったのと同じ程度の破壊力をもって子どもに大けがをさせた。しかも、コントロールしきれると今も自信をもっているということは、むしろ過失でさえなく、完全に故意だったと実証しているようなものではないかと思う。 まして、Kくんは初心者ではなかった。受け身の心配もない実力者だった。T教諭は自分でも、受け身には2つの問題があると言っている。Kくんの受け身に問題がなかったなら、あとは投げる側の意図しかない。 軍隊で、警察で、自衛隊で、大学の部活動で、相撲部屋で、訓練、鍛練の名前のもとに私的制裁が行われている。 スポーツにかこつければ、たとえ死亡するという重大な結果を招いたとしても責任を問われない。その安心感があるからこそ、同じことが繰り返されてきた。同じ人間が同じ過ちを平気で繰り返してきた。その環境のなかで育った選手が、後輩や教え子に同じことをやってきた。 再発防止のためにも、暴力の連鎖を断つためにも、スポーツにかこつけた暴力をけっして見逃してはならないと思う。 |
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