原則1


1 ビジネス界が、その影響力の及ぶ範囲において、国際的に宣言された人権を支援しかつ保護するよう、事務総長は求めた。

 企業の人権に関するリーダーシップは社会とビジネス界の双方にとって望ましいものである。企業が人権に関する社会的責任を果たしうることによりもたらされる恩恵は、以下のように、きわめて大きい。

 まず、それがビジネス界にもたらす恩恵として次のようなものが挙げられる。すなわちビジネス界は、社会的文脈に関する機会や問題をより良く理解することによって、市場、顧客および消費者と一層緊密な関係を築くことができる。良好な社会的評判から生じる利益を得ることができる。事業活動にとって安定しかつ調和のとれた環境を生み出す大きな機会が得られる。投資、契約、顧客を減じさせる有害な批判を減らすことができる。投資が成功しうるような安定した平和な社会から長期的な恩恵が生じる。

 次に、企業社会責任が社会にもたらす恩恵には次のようなものがある。すなわち、ビジネス界のイニシアティブによりもたらされる不適切な思想の悪影響を減らすことができる。社会的なパートナーシップが構築される。問題に対処する能力および革新がもたらされる。影響力を有する市民が生活一般の質の向上に対して十分に貢献することができる。

人権に関与する企業は以下のものを確保することになるだろう。

 職場
・安全で健康的な職場環境。
・結社の自由。
・私人間における差別禁止。
・強制労働または子供の労働の禁止。
・基礎的な健康、教育、住居への権利(これらのものが提供されない地域において企業活動がなされる場合)。

 職場の外
 武器の使用に関する国際的なガイドライン及び基準(法執行官のための国連行動規範、ならびに、法執行官による武器及び火気の使用に関する国連基本原則)を尊重すること。

 地域社会一般において
・個人、グループ、共同体の強制的追放の防止。
・地方自治体(local communities)の経済的生活の保護。
・公的な討議への貢献。企業は、その活動がなされている国のいかなる統治機関とも協力する。その場合、企業は、その活動、従業員、消費者、自らが属する地域社会に影響を与える事柄について、自己の見解を表明する権利と責任を有する。

人権フォーラム21事務局試訳


 
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