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2001年11月10日
元西陣小学校にて 西陣プロジェクト |
第3回のテーマは「西陣夢まつりを終えて」のはず... 11月10日、第3回目の西陣での会議を開催しました。7月の「西陣円卓会議」、9月の「西陣会議」に続き、第3回目です。前回は「西陣夢まつり」への期待について話し合いました。そして今回は実際に夢まつりを終えて、見てきた人、展示に参加した人、それぞれの立場から、ご意見をお伺いしようという試みでした。 でも、会議を開始してすぐに話が転がっていき、西陣の後継ぎ問題や分業のこと、中国での生産による弊害など、話はどんどん転がっていきました。「夢まつり」の話はできませんでしたが、西陣の厳しい現状を生の声で伝えていただくことができました。大阪から初めて参加された女性があまりの厳しさに驚いておられました。 そのときの会議の内容をご報告します。 |
織り手は60歳台に支えられている 最近、きものの卸しや小売に関わっておられる方が「きもののことをあまりにも知らなさ過ぎる」ことが職人の方から指摘されていました。それは、第1回の西陣円卓会議でも指摘されていたことです。風合いのことも知らなければ、どんなものがいいものなのかもわからないのです。「売り手がもっと商品のことを知るべき」と厳しい意見が聞かれました。 では、どのような方が織りのことをよく知っておられるのかというと、やはり実際に織っておられる方。でも、そのお仕事に従事されてるのは今はほとんどが50歳以上。平均年齢は60歳から70歳くらいといわれています。あと10年も経って、その方々が体が動かなくなったときに、だれが継ぐのでしょうか? |
"ガチャマン"の時代は終わった もはや織りをやっているだけでは、生活をしていかないのです。なので、仕事を継ぎたくても継ぐことをできず、その代で終わっていくケースが多いのです。 でも、西陣織の仕事を継いでいる人がいないわけではありません。しかし、その多くの方は織っていないようです。若い方のおられる会社では、ほとんどが商社化してしまっているようです。 "ガチャン"と織れば"万"円儲かった時代ははるか彼方なのですが、その時代の栄光をずっと引きづっているひとも少なくないとのこと。「もう一度、原点にかえって」と職人さんが訴えておられました。そうすれば、「ほんとうにいいものづくりをする職人さんが残る」と。 |
中国への技術移転 西陣織は安い労働力を求め、丹後に出ました。そして、さらに安さを求めて韓国、中国へと生産拠点を移動していきました。しかし、それが今となっては、織り手さんが西陣の中で仕事をすることができないという問題を引き起こしています。そして、生産力を移しただけでなく、そのときに同時に西陣が長年培ってきた技術も中国に出してしまったのです。 こうして供給過剰になってしまったきものは、どうすればいいのでしょうか?中国で消費できるものななら、新しい市場を探ることができるのですが、きものは日本人のものですからね。やはり生産したものは日本に戻ってきます。 「中国に出ていったために、織り屋さんは自分で自分の首を絞めてしまった」ことが指摘されていました。 |
歯車のひとつでも欠けたら みなさんもご存知のとおり、西陣織の工程は徹底的に分業されています。その仕事をするひとはもう、その人しかいない分野もあります。その人がいなくなってしまったら、「歯車が回らなくなってしまう」のです。 もうすでに、そのような兆候が現れはじめています。横糸を通したあとにとんとんとするための筬。今はステンレスでできたものが多いですが、やはり竹筬が織物の仕上がりにもいいそうです。その竹筬の竹をとるひとがもう、お仕事ができなくなってしまったとか。そのおかげで、もう竹筬をつくることもできなくなってしまったそうです。 こうして、ひとつひとつの工程から職人さんがいなくなってしまうのも時間の問題のように思えてきます。 |
西陣の生きる道は... 和装業界の不振だけでなく、産業の空洞化や後継者不足といった問題を抱える西陣は、これからどうやって生き残っていくのでしょうか。ある職人の方がおっしゃってました。「西陣はデザインを生かせばよいのでは」と。中国でつくっていても、中国では出せない色がある。イタリアのデザインが優れていても、イタリアには出せない色がある。太陽の光は国によって、違います。西陣には、西陣にしか出せない色使いで、西陣のデザインを生かした道を探していけるのではないか?という意見がありました。 まだ、可能性はあるはずです。これからの西陣のために、さらに西陣プロジェクトは探っていきます。 |
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