米軍用地強制使用裁決申請事件
同 明渡裁決申請事件
意見書(一)
[目次]
第六 却下事由〈その三〉−収用手続の瑕疵(土地・物件調書の瑕疵)について 一 はじめに 起業者の強制使用の裁決申請に際し、土地調書及び物件調書は、いずれも裁決申請 書に添付すべき必要不可欠な書類である(土地収用法四〇条一項三号、同法四七条の 三第一項二号)。 したがって、土地調書及び物件調書の作成手続に違法がある場合には、土地収用法 四七条の規定するとおり、「使用の裁決の申請が」「この法律の規定に違法するとき」 に該当するものとして、起業者の申請が却下されなければならない。 本件の場合、土地調書及び物件調書の作成手続には、二つの重大な違法が存在する。 すなわち、土地調書に添付された実測平面図が内閣総理大臣の使用認定の前に作成さ れていること、また、土地調書・物件調書作成に際し、反戦地主・一坪反戦地主の現 地での立会いが拒否されていること、である。 本章では、右二つの問題を中心に論ずることにする。 二 土地調書添付の実測平面図の作成時期について 1 実測平面図作成時期についての防衛施設局の虚偽の説明 土地調書に添付された実測平面図は、いずれも平成七年五月九日の内閣総理大臣の 使用認定前に作成されたものであると言われている。 たとえば、平成九年二月二一日付「使用の裁決の申請理由説明要旨」の四頁におい ては、次のように述べられている。 「土地調書添付の実測平面図については、平成六年七月、測量専門業者に発注し、 いわゆる地籍調査作業により現地において調査測量した成果に基づき、同年九月に作 成した。」 施設部長坂本憲一氏も、第三回公開審理において、同趣旨のことを発言している。 「本件土地調書に添付した実測平面図につきましては、平成六年七月に測量専門業者 に発注し、同年九月に作成したものであります。・・・現地測量した日はいつか、各 施設ごとに明らかにされたいとの事項について回答いたします。平成六年七月一五日 から同年九月三〇日までの間に実施いたしました。」(第三回「公開審理記録」一七 頁)。 ここで問題になるのは、(1)防衛施設局の説明が真実であるかどうか、(2)防衛施設 局の説明が真実であるとした場合に、防衛施設局が主張するように使用認定前の実測 平面図の作成は適法であるか、ということである。(1)は土地・物件調書の作成の適 法性の問題ではないこと、(1)と(2)は、あくまでも別個の問題であることに注意され たい。 まず、右(1)の問題、すなわち、実測平面図が作成されたのは、施設局の言うよう に平成六年の七月から九月の測量に基づくものであるかどうかを検討することにしよ う。 この点で驚くべきことは、沖縄県知事に対する職務執行命令訴訟の福岡高裁那覇支 部での審理において、施設局は、次のように主張していたという事実である。 「平成四年裁決土地については、いずれも平成四年二月に収用委員会の使用裁決を 得ており、その裁決申請に当たり、現地で前記のような方法で杭打ち等の作業を行っ て、その実測平面図に現地復元性があることを確認している。そして、前記のとおり、 本件使用認定申請前に各実測平面図を作成したが、平成四年裁決の申請時に現地で測 量した際に打った杭等の状況に変化がなかったため測量作業を最初からやり直す必要 を認めず、今回の特措法に基づく使用手続のために改めて現地で測量作業をしなかっ た。そこで、本件使用認定の後に、那覇防衛施設局職員が、現地において平成四年裁 決土地に係る実測平面図の原案が本件使用認定後の土地の現況を表すことを確認した 上で、これを平成四年裁決土地に係る土地調書に添付して、土地調書となるべき図面 を作成した」(『判例時報』第一五六三号四四頁)。 右のとおり、平成四年裁決申請に係る土地の今回の土地調書に添付された実測平面 図は、本件各土地の使用認定の前に現地で測量作業されたことに基づくものではない。 防衛施設局の説明には重大な嘘が含まれていることが明白である。そして、そのこ とは、そのような実測平面図の作成方法が違法であるかどうかとは別問題であること に再度注意を喚起しておきたい。防衛施設局の説明が嘘であれば、防衛施設局の説明 を裏付ける証拠が存在しないとして、却下すればすむ問題だからである。 このことは、強盗を犯した人間に対して殺人を犯したとして検察官が起訴した場合 に無罪の判決がなされるのと同じことである。 防衛施設局の嘘が重大であることは、平成四年の裁決の対象になり、かつ今回も裁 決の対象になった土地が、以下のとおり膨大であることによっても明らかである(キ ャンプ・ハンセン関係を除く)。これらの土地の今回の裁決申請は、すべて却下され なければならない。
〈 施 設 名 〉 〈 土 地 の 所 在 〉 (1) 伊江島補助飛行場 国頭郡伊江村字西江上下スメカ原二五八二番 (2) 瀬名波通信施設 中頭郡読谷村字瀬名波鏡地原八九六−二番 (3) 嘉手納弾薬庫地区 中頭郡読谷村字伊良皆仲袋原一一〇一番 (4) 嘉手納飛行場 中頭郡北谷町字下勢頭下勢頭原四六一番 (5) 右 同 中頭郡北谷町字伊平赤道原八〇四番 (6) 右 同 中頭郡嘉手納町字野里新間原一四四〇番 (7) 右 同 中頭郡嘉手納町字野里前原一二八九番 (8) 右 同 中頭郡嘉手納町字野里南上原九五六番 (9) 右 同 中頭郡嘉手納町字野里南上原九五五番 (10) 右 同 中頭郡嘉手納町字野里南上原八二九番 (11) 右 同 中頭郡嘉手納町字野里村内八二番 (12) 右 同 沖縄市字山内石迫原一五七六番 (13) 右 同 沖縄市字山内仲原一四〇五−一番 (14) 右 同 沖縄市字山内西原一一六九番 (15) キャンプ瑞慶覧 中頭郡北谷町字北谷東前田原七八四番 (16) 右 同 中頭郡北谷町字北前伊波川原一〇二一番 (17) 右 同 中頭郡北谷町字大村山川原五二三番 (18) 右 同 中頭郡北谷町字大村山川原五〇三番 (19) 普天間飛行場 宜野湾市字神山黒数原七二一番 (20) 右 同 宜野湾市字宜野湾下原一〇八五番 (21) 右 同 宜野湾市字宜野湾大嶺原一〇〇七番 (22) 右 同 宜野湾市字宜野湾大嶺原一〇〇五番 (23) 右 同 宜野湾市字宜野湾宜野湾原七六六番 (24) 右 同 宜野湾市字宜野湾宜野湾原七四一番 (25) 右 同 宜野湾市字宜野湾宜野湾原六四五番 (26) 右 同 宜野湾市字大謝名軍花原一二五六番 (27) 右 同 宜野湾市字大謝名東原九九四−一番 (28) 右 同 宜野湾市字大山波佐原二二三六番 (29) 右 同 宜野湾市字大山加良当原一八七九番 (30) 右 同 宜野湾市字大山嶽ノ佐久原一七七二番 (31) 右 同 宜野湾市字大山嶽ノ佐久原一七七一番 (32) 右 同 宜野湾市字大山嶽ノ佐久原一七三五−一番 (33) 右 同 宜野湾市字伊佐上原七九三番 (34) 右 同 宜野湾市字大謝名東原九九四−二番 (35) 牧港補給地区 浦添市字城間西唐蒲六八七番 (36) 右 同 浦添市字城間淑口九四一−二番 (37) 右 同 浦添市字宮城イネコブ原九〇五番 (38) 右 同 浦添市字宮城イネコブ原一〇二六番 (39) 右 同 浦添市字宮城イネコブ原一一一二番 (40) 右 同 浦添市字宮城イネコブ原一一三三番 (41) 右 同 浦添市字宮城イネコブ原一一三四番 (42) 右 同 浦添市字宮城イネコブ原一一三五番 (43) 右 同 浦添市字宮城ゴフル原一一八一番 (44) 右 同 浦添市字宮城ゴフル原一二一四番 (45) 那覇港湾施設 那覇市住吉町三丁目三二八番 (46) 右 同 那覇市住吉町三丁目七二番 (47) 右 同 那覇市住吉町三丁目二六−一番 (48) 右 同 那覇市住吉町三丁目八番 (49) 右 同 那覇市住吉町二丁目一〇七番 (50) 右 同 那覇市住吉町二丁目八九番 (51) 右 同 那覇市住吉町二丁目八三番 (52) 右 同 那覇市住吉町二丁目七二番 (53) 右 同 那覇市住吉町二丁目三八番 (54) 右 同 那覇市住吉町一丁目一三七−一番 (55) 右 同 那覇市住吉町一丁目三四番 (56) 右 同 那覇市垣花町三丁目九一番 (57) 右 同 那覇市垣花町三丁目五八番 (58) 右 同 那覇市垣花町三丁目五七番 (59) 右 同 那覇市垣花町三丁目三二番 (60) 右 同 那覇市垣花町二丁目四一−一番 (61) 右 同 那覇市垣花町二丁目四一番 (62) 右 同 那覇市垣花町一一−二番 (63) 右 同 那覇市垣花町九番 (64) 右 同 那覇市垣花町八−一番 (65) 右 同 那覇市垣花町七番 (66) 右 同 那覇市垣花町二番 (67) 右 同 那覇市垣花町一−五番 (68) 陸軍貯油施設 中頭郡北谷町字砂辺差久原八三八−一番 (69) 右 同 中頭郡北谷町字砂辺差久原八三〇番 (70) 右 同 中頭郡北谷町字砂辺差久原七八三番
2 使用認定前の実測平面図の作成は違法である。 次に使用認定の前に測量作業を行って実測平面図を作成することが許されるかどう かが問題になる。 第三回公開審理において、坂本憲一氏は次のように述べている。 「土地収用法において、土地所有者等の立ち会い、署名押印を得て作成される土地 調書及び物件調書自体の作成時期につきましては、事業認定後に作成する旨の規定は ありますが、その作成に必要な資料を得るための調査測量の時期については規定され ておらず、調査測量に日時を要することから、必ずしも使用認定後である必要はない と解されております」(第三回「公開審理記録」一八頁)。 坂本氏が述べている理由は、要するに法に規定がないということである。たしかに、 実測平面図の作成時期について直接規定した文言は存在しないが、土地収用法三六条 が「事業認定の告示があった後」の土地調書の作成を起業者に義務づけ、同法三七条 がその土地調書に実測平面図の添付を義務づけていることからすれば、法の文理解釈 としては、使用認定後の実測平面図作成が義務づけられているとみるのが自然である。 また、右の解釈は、法が実測平面図を要求している趣旨にも沿うものである。すな わち、法が実測平面図の添付を要求しているのは、使用または収用裁決申請対象土地 を特定し、土地所有者に異議を述べる機会(法三八条)を与えるとともに、収用委員 会の審理充実を計るためであるが、そのためには、土地所有者が異議を述べる機会に 出来るだけ近い時期であることが望ましいことは明らかである。 なお、この点につき平成八年三月二五日の福岡高裁那覇支部判決は、反対の解釈を とっている。同判決は、実測平面図が何時作成されても、それが使用認定後に現地復 元性を有することが確認されれば問題はない、としている。しかし、五年前でも一〇 年前でも、一回測量作業がなされれば良い、というのでは、法が「実測平面図」を要 求した意味がなくなってしまう。また、現地復元性を有することを確認するのは、専 門の測量業者でなく防衛施設局の職員なのであるから、この面でも法が「実測平面図」 を要求した趣旨が没却される。福岡高裁那覇支部判決の論理は、土地収用実務の空洞 化をもたらすものである。 この点についての最高裁の明示的な判断はなされていないので、収用委員会が明確 な論理に基づき判断を示して却下すべきものと思料する。 三 反戦地主・一坪反戦地主の現地立会いを拒否して作成された土地・物件調書は 違法である 平成七年五月一九日付及び同月二三日付で反戦地主及び一坪反戦地主から「現地に おいて土地の現状を確認した上で、土地調書・物件調書の作成に立ち会いをしたいの で、至急、現地立入調査ができるよう措置なされるよう申し出ます」旨の文書が那覇 防衛施設局に提出され、これに対し、那覇防衛施設局が平成七年五月二九日、「申し 出については、その必要性が認められないので、ご要望には応じられません」旨の回 答をしたことは、争いのない事実である。 防衛施設局が現地での立会いを拒否して土地調書・物件調書を作成したことは争い のない事実であるから、このような現地での立会いを拒否することが許されるのか、 法が土地・物件調書の作成過程における土地所有者の現地での立会いを保障している かが問題になる。 土地収用法三六条二項は、「前項の規定により土地調書及び物件調書を作成する場 合において、起業者は、土地所有者及び関係人・・・を立会わせた上、土地調書及び 物件調書に署名押印させなければならない」と規定している。この「立会わせ」の解 釈として、土地所有者の現場での立会い権が保障されているものと解するのが相当で ある。 なぜなら、土地調書・物件調書の作成の目的は、対象土地を限定し、事前に争点を 整理することにあると考えられる。それは、法三八条で適法に作成された調書に真実 に合致していることの推定力が与えられていることからも明らかである。そうだとす れば、対象土地を限定し、事前に争点を整理するために、土地所有者の現地立会いは 不可欠である。土地所有者に現地立会いの機会を与えたにもかかわらず、土地所有者 が異議を述べなかったからこそ、調書の推定力が法によって特別に付与されることに なるのである。 長年建設省で土地収用管理官を勤めた小澤道一氏も「この立会いは、調書の素案・ ・・の記載が対象の土地又は物件に照らして相違があるか否かを現地において確認す るために必要とされている行為である」「立ち会わせる場所は調書を作成しようとし ている土地又は物件の所在する場所でなければならない」(小澤道一『逐条解説土地 収用法』上巻三八七、三八八頁)と述べている。 また、土地・物件調書の作成に際して土地所有者が現地で立ち会う権利は、憲法三 一条と土地収用法三六条二項の整合的解釈からも導かれるところである。 すなわち、憲法三一条は適正手続の保障を定めるが、同条が行政手続についても適 用のあることは、学説においても異論がなく、最高裁も平成四年七月一日の大法廷判 決において、このことを認めている(民集四六巻五号四三七頁)。 適正手続の保障が要請される行政手続の中に、財産権を制約する措置も、当然に含 まれる。したがって、土地収用法も、憲法三一条にもとづいて解釈・運用されなけれ ばならないのである。 土地・物件調書の作成過程において、土地所有者の適正手続を受ける権利が最大限 保障されなければならないとすれば、土地所有者が現地で立会うことは、当然に憲法 的要請として肯定されることになる。このような解釈は、行政手続法が制定され、情 報公開が問題になっている時代の流れに沿う解釈とも言えよう。 ところで、右のような解釈に対して、平成八年八月二八日に言渡された、いわゆる 沖縄県知事に対する職務執行命令訴訟の最高裁判決はこれを否定し、「調書が有効に 成立する署名押印の段階で、調書を所有者及び関係人に現実に提示」すれば、十分に 立会わせたことになる旨を判示した(『判例時報』一五七七号三五頁)。 右の最高裁判決の論理的根拠は明確ではないが、右のように解しても土地所有者は 異議を付する権利を認められているのであるから、「現地における立会いの機会を与 えなくても、その権利を不当に侵害するものとはいえない」と言うようである。 最高裁の論理は説得的ではない。現地で立会わなければ異議を言うべきかどうかわ からないではないか、という主張に対し、最高裁の論理に従えば、とにかく異議を出 せばいい、ということになるからである。これでは、なんでもかんでも異議を出すこ とを最高裁がお勧めしていることになってしまう。本当に最高裁は、それでいいと思 っているのであろうか。 沖縄県収用委員会が最高裁判決に従わなければならないという義務は存在しない。 沖縄の実情を最もよく知っている沖縄県収用委員会が、沖縄の実情をふまえた判断 を示すことは、最高裁判決の誤った論理を克服する一石を投ずることになるという意 味で沖縄県民のみならず多くの国民に歓迎されるものと確信する。 また、仮に県収用委員会が最高裁判決を尊重するにしても、土地所有者が起業者に よって立入りを拒否され続けている場合に、起業者が土地所有者の現地立会いを拒否 して土地・物件調書を作成することまで最高裁判決が適法としているものでないこと に注意をして頂きたい。このような場合は、最高裁判決の射程外なのである。最高裁 判決を尊重することと、最高裁判決の射程外のことについて新たな法解釈を試みるこ ととは矛盾しない。本件のように、起業者が長年にわたって立入りを拒否してきて、 立入りを拒否してきた土地を新たに強制使用するための土地・物件調書の作成に現場 立入りが不要だというのは、誰が考えてもおかしい全く正義に反することなのである。 四 土地・物件調書に異議が付されている土地の申請は却下されるべきである 最後に、土地・物件調書の瑕疵そのものの問題ではないが、土地・物件調書に異議 が付されている土地のことにつき一言述べておきたい。 キャンプ・ハンセン関係を除く一二施設の土地調書・物件調書のうち、以下に述べ る一三筆の土地の土地調書・物件調書に異議が付されている。
〈 施 設 名 〉 〈 土 地 の 所 在 〉 (1) 嘉手納飛行場 沖縄市字森根角石西原一九一 (2) 右 同 沖縄市字森根伊森原二七二 (3) 右 同 沖縄市字森石根原三五九 (4) 右 同 沖縄市字森石根原三六一−二 (5) 右 同 沖縄市字森石根原三六二 (6) 右 同 沖縄市字森石根原三八五 (7) 右 同 嘉手納町字東野理原三五〇 (8) 右 同 嘉手納町字東野理原三五一 (9) 右 同 嘉手納町字東野理原三八一 (10) キャンプ瑞慶覧 北谷町字北谷東前田原七八四 (11) 普天間飛行場 宜野湾市字大謝名東原九九四−二 (12) 牧港補給地区 浦添市字城間西唐蒲六八七 (13) 右 同 浦添市字城間淑口九四一−二
異議が付された場合には起業者に立証責任が転換され、起業者が調書の記載事項の 真実性を立証しなければならない。このことについての異論は存在しない。 にもかかわらず、過去一一回の公開審理において施設局は、右一三筆の土地につい ての立証を一切なさなかった。 従って、右一三筆の土地の裁決申請がすべて却下されるべきことは明白である。 なお、防衛施設局は、収用委員会が去る一月六日、七日、九日に行った「立入り」 に際して、現地で防衛施設局の職員が説明したことをもって、起業者の立証がなされ たと言うのかもしれない。しかし、土地収用法六二条は審理の公開を定めているので あるから、土地所有者を排除した「立入り」での説明が起業者の立証であるとするこ とは、土地収用法六二条に反する。 また、土地収用委員会の審理の構造が対審構造であることは、今回の公開審理が始 まる前から土地所有者が力説してきたところであり、兼城前会長も「対審構造につい ては、可能な限り申し入れの趣旨に沿いたい」と明言したところである(第一回「公 開審理記録」四六頁)。反対尋問にさらされないものを証拠として採用することは、 この収用委員会の審理の構造からも許されないところである。 従来の職権主義的審理方法が永遠に続くものと考えて、土地収用委員会に甘え、立 証活動を十分に展開しなかった責は、施設局が負うべきなのである。
出典:反戦地主弁護団、テキスト化は仲田。