沖縄県収用委員会審理記録
長野真一郎弁護士(土地所有者代理人)
○土地所有者代理人(弁護士 長野真一郎)
地主代理人の長野です。私のほうから前回に続いて釈明を求めたいと思います。前回は大城さん並びに島袋さんから物件調書作成の瑕疵、これが現地も見せずに調書が合っているかどうかの確認を求める、しかも、嘉手納の飛行場の大城さんたちの土地の場合には、物件調書を見せながらそれには実際には実測平面図さえつけていない。こういうでたらめな手続きが明らかになりました。そして、その後、署名した人についてさえ、後に勝手に期日を指定して呼び出して、拒否したというふうにしているということも、釈明によって明らかになったと思います。
それに続きまして、今回、私は求釈明申立書四の2の、まず(一)から(五)に関して釈明を求めたいと思います。釈明を求める理由を、まず簡単に説明いたします。
土地収用法の36条の1項は、「事業の認定の告示があった後」、このあった後というのが重要なんですが、「起業者は土地物件調書を作成し、これに署名・押印をする」と、こういうふうに規定されています。これは、裁決の前提となります土地などの現況は、あくまで裁決時の現況であると、これを前提としまして、使用認定の告示の前に調書をつくることを禁止したものと、こういうふうに明確に解釈されております。
そして、その物件調書には、土地の現況を示すものとして、実測の平面図を添付する。これも要求するところであります。ところが、今回、施設局が申請理由の要旨4ページの(2)のアで述べておりますのは、平成7年5月9日、その使用認定の告示前の平成6年の9月に実測平面図を作成して、これを物件調書に添付しておると。こういうふうな主張があるわけです。これは法の要求する使用認定の告示後の物件調書、並びに同実測平面図の作成に反するのではないかと、これが釈明の趣旨です。
具体的には、求釈明書の4の2の(1)で、使用認定告示の事前に調書の作成に着手していたのではないか。
2番目として、実際に現地測量をした日がいつなのか、各土地ごとに明らかにしていただきたい。
これをまず釈明を求めたいと思います。
○当山会長代理
それでは、施設局どうぞ。
○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)
使用認定告示の以前に、土地調書及び物件調書の作成に着手していたのではないか。平成6年7月測量専門業者へ発注し、いわゆる地籍調査作業により、現地において調査・測量をした成果に基づき、同年9月に作成したとあるのは矛盾した主張ではないかとの事項に回答いたします。
土地収用法におきまして、土地所有者等の立ち会い、署名押印を得て作成される土地調書及び物件調書自体の作成時期につきましては、使用認定後に作成する旨の規定はありますが、その作成に必要な資料を得るための調査測量の時期については規定されておらず、調査測量に日時を要することから、必ずしも使用認定後である必要はないと解されております。
したがいまして、本件土地調書に添付した実測平面図につきましては、平成6年7月に測量専門業者に発注し、同年9月に業者が作成したものでありますが、何ら矛盾はいたしません。
現地測量した日はいつか、各施設ごとに明らかにされたいとの事項について回答いたします。
平成6年7月15日から同年9月30日までの間に実施いたしました。
○土地所有者代理人(弁護士 長野真一郎)
今のお話ですと、使用認定の告示のありました平成7年5月9日の以後に現地で測量したことは結局ないと、今うなずかれましたけれども、そういうふうに3番目の回答いただいたと確認します。
そうしますと、今の見解によりますと、認定の告示の前に実測測量した図面が添付されていると、こういうふうになりますけれども、今回、裁決申請に添付されております土地物件調書には、今言われました平成6年の9月までに測量したと、こういうふうに資格のある測量士の名でもって、測量日が記載された書面が添付されているんでしょうか。
○当山会長代理
質問は3、4ですか。
○土地所有者代理人(弁護士 長野真一郎)
ええ、3、4に関してです。
○当山会長代理
それに関しての回答ですか。
○土地所有者代理人(弁護士 長野真一郎)
関して、ですから今の回答によりますと……。
○当山会長代理
今、その回答を求めてよろしいですか。
○土地所有者代理人(弁護士 長野真一郎)
ええ、お願いします。
○当山会長代理
じゃ施設局、よろしくお願いします。
○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)
告示日である平成7年5月9日以後に、現地測量をしたことはないのかという事項について回答いたします。
本件、土地調書に添付した実測平面図につきましては、平成6年7月測量専門業者に発注し、同年9月に業者が作成したものであります。
○当山会長代理
今、4番のほうも一緒にお答えいただけますか。
○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)
使用認定前の実測平面図でも適法と考えているのかとの事項について回答いたします。
土地収用法において、土地所有者等の立ち会い、署名押印を得て作成される土地調書及び物件調書自体の作成時期につきましては、事業認定後に作成する旨の規定はありますが、その作成に必要な資料を得るための調査測量の時期については規定されておらず、調査測量に日時を要することから、必ずしも使用認定後である必要はないと解されております。
○土地所有者代理人(弁護士 長野真一郎)
今のに関連して聞きますが、今回の裁決申請書に添付されております物件調書、これに添付されている実測平面図というのはいつ作成されたか、作成日が記載されているんですか、いないんですか。
○当山会長代理
施設局、どうぞ。
○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)
作成日は記載されております。
○土地所有者代理人(弁護士 長野真一郎)
資格のある測量士が、ちゃんと間違いなく測量したというのであれば、作成日が記載されているはずなんです。今のお話ですと、結局、使用認定の告示の前、それが例え2年前、3年前、4年前であっても、とにかく過去に測量した図面があって、それのコピー、しかも日付さえも空欄にしたものをつければそれでよいと、こういうふうに施設局は考えているというふうに理解しますが、それでよろしいんですね。
違うなら違うと言ってください。
○当山会長代理
今、質問でしょうか。
○土地所有者代理人(弁護士 長野真一郎)
はい。
○当山会長代理
どうぞ、施設局、お答えがあれば。
○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)
過去につくられた資料に基づき、それを付けることは可能でございます。
○土地所有者代理人(長野真一郎)
そうしますと、裁決の前提となる現況というのが、いつの現況かが全く物件調書上は明らかにされてないと、こういうことになります。しかも、物件調書を示して、その間違いがあるかどうかを土地所有者に確認する際に、いつの図面で間違いないかどうかの確認もできない、日付も書いてないんですから。そういういい加減なことをしているということが今明らかになったと思います。
それでは最後に、そうしますと、この物件調書作成に関しては、使用認定の告示後、実測平面もしていなければ、現地確認をしていないと、こういうふうに確認してよろしいんですか。これは求釈明の2の(5)です。
○当山会長代理
はい、施設局どうぞ。
○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)
物件調書作成に関し、だれがいつ現地を確認したのか、施設ごとに明らかにされたいとの事項について、回答します。
物件調書につきましては、使用認定告示後、当局職員が現地調査を実施した上、その素案を作成いたしております。
○当山会長代理
はい、ご苦労様。
○土地所有者代理人(長野真一郎)
当局職員が現地で何をしたと言うんですか、測量したと言うんですか、目で見ただけと言うんですか。確認の中身を明らかにしてください。
○当山会長代理
施設局、どうぞ。
○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)
物件調書につきましては、現地調査をいたしております。
○土地所有者代理人(長野真一郎)
ですから、調査の中身を聞いているんです。
○当山会長代理
今の質問は、こうでしょうか。ちゃんとした業者がやっているか、施設局の職員がやったのかと、こういうことですか。
○土地所有者代理人(長野真一郎)
そういう意味です。
○当山会長代理
これ、回答できますか。できるんだったら、やってください。
質問事項の5には、だれがやったかという事項があるんです。そのへんのことを聞いていると思いますが。
○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)
先ほどお答えいたしましたが、当局職員が実施しております。
○土地所有者代理人(長野真一郎)
では、今、釈明で明らかになりましたのは、当局職員が行った。したがって、測量士の資格ももっていない方が目で確認をしたと、こういうふうに理解をされます。
そうしますと、結局、いつの作成か分からない平面図を添付して、起業者のみが現地を確認して、一方、権利を奪われる土地所有者に対しては、現地の確認すらさせずに、調書に署名押印を求める、こういう態度を施設局が今回の手続きでとってきたということが明らかになったと思います。
この手続きの瑕疵、これは重大な瑕疵だと私たちは考えますけれども、この点につきましては、今の釈明に基づいて、別途、意見を述べたいと思います。
つきまして、同じ2の(6)に移ります。使用認定のなされた13施設すべてにつきまして、施設の任務、概要、管理部隊名並びに使用部隊名、及びその任務、これについて釈明を求めます。
○当山会長代理
施設局、どうぞ。
○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)
本釈明につきましては、平成9年3月10日付けで貴収用委員会に対しまして、本審理になじまない旨、回答しております。
○土地所有者代理人(長野真一郎)
この審理になじまないという名文句、これ名言か、迷いか、もうそれは聞いている方にご判断を任せますが、これを前回連発しまして、奇特な方が数を数えると20回以上、この名文句を坂本さんは連発したそうでありますけれども。
今回、収用委員会は、兼城会長が冒頭に実質審理を行いますと、こういうことを宣言されました。実質審理というのは、あくまで具体的な事実に基づいて、裁決が認められるかどうか、これを判断すると、こういうことです。
そして、しかも今回、防衛施設局はその申請理由の2ページ以下、この申請理由におきまして、我が国への駐留軍の駐留は、我が国の安全並びに極東における平和及び安全の維持に寄与するんだと。そして、施設及び区域を駐留軍に提供することは我が国の条約上の義務である。施設及び区域の運用上これらの土地が必要欠くべからざるものであると、こういうふうに説明をして、裁決を求めているわけです。自らこういう理由でもって、これらの基地のこれらの土地が必要だと言っておきながら、実際に駐留軍がどのような任務をもってこの施設を利用しているのか、これ説明できないというんですか。
収用委員会、釈明をお願いします。
○当山会長代理
施設局、どうぞ。
○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)
先ほど回答いたしましたとおりでございます。
○土地所有者代理人(長野真一郎)
このような回答では、実質審理に施設局が応じているとは到底言えないと思います。自らの申請理由について説明ができないと、こういう点を確認して、とりあえず私のほうからの求釈明を終えたいと思います。
○当山会長代理
ご苦労様です。
それでは、続きまして、阿波根昌秀さん、お願いします。