有事法制、イラク特措法成立、イラク派兵以後の動き 2004年4月 (次)(戻る)
2004年4月
2004年4月1日
■自民党の山崎拓前副総裁と平沢勝栄衆院議員(総務政務官)が1日、拉致問題打開を目指し、北朝鮮側と接触するため中国・大連入りした。
■ロイター通信によると3月のイラク駐留米軍の死者数は少なくとも50人に上り、2月の21人の倍以上に増加、月間の死者数では過去最悪だった昨年11月に82人に次ぐ数だったことが1日明らかになった。
2004年4月2日
■日米両政府は2日、日米合同委員会を外務省内で開き、日本国内で罪をおかした米兵容疑者について、日本の捜査当局が取り調べる際「第三者」の米軍関係者の同席を認めるなど日米地位協定の運用改善で正式合意した。
■政府税制調査会は2日の金融小委員会で、金融所得課税を一体化するための納税者番号制度導入について、納税者の選択制とする方針で一致した。
■米国政府は2日、ビザ(査証)なしで入国する日本などからの観光客にたいし、入国時に指紋採取や顔写真の撮影を行うと発表。
2004年4月3日
■ロイター通信は昨年3月のイラク戦争開戦以来米兵の死者数が4月3日までに600人に達したと報道。このうち選乙で死亡したのが409人、事故などによる死者は191人。
■日本、中国、韓国政府はコンピューターの公開型基本ソフト(OS)の共同開発規格統一を進めることで3日、合意。
■中国を訪問した川口外相は3日、北京で温家宝首相、李肇星外相とそれぞれ会談し、尖閣諸島(中国名・釣魚島)への中国人上陸事件について「極めて遺憾」と抗議。一方、温首相は小泉首相の靖国神社参拝について参拝中止をあらためて要求。
2004年4月5日
■イラク中部のイスラム教シーア派聖地ナジャフ近郊で4日、シーア派ムクタダ・サドル師の支持者らによるデモ隊にスペイン軍など連合軍側が発砲。少なくとも20人が死亡、約200人が負傷。またスペイン国防省は、ナジャフでの衝突で、スペイン兵と共に任務に就いていたエルサルバドル兵4人が死亡、9人が負傷。
■イラク南部バスラ州の州都バスラで5日民兵組織「マハディ軍」を含む約1000人が州庁舎や州知事宅を占拠、包囲。バスラの民衆は連合国暫定当局(CPA)に発行を停止された同師系週刊誌の発禁処分解除や、米軍が2日に拘束したムスタファ・ヤクビ師の釈放を要求している。
2004年4月6日
■イラク南部ナシリヤで6日、反米武装勢力と駐留イタリア軍が衝突。中部クートや南部アマラでも武装勢力とイラク駐留連合軍の交戦が続発。多数の死傷者が出る。ナシリヤでの衝突は一般市民を含めイラク人18人前後が死亡、イタリア兵12人が負傷。
■イラク中部に展開中のウクライナ軍が武装勢力に攻撃され自軍基地に撤退。戦闘で武装勢力数十人が死亡。
2004年4月7日
■イラク・ファルージャで米軍ヘリコプターがモスクをミサイル攻撃し約40人が死亡。ロイター通信は7日までに、イラク全土の戦闘で、米英軍の兵士ら30人以上が死亡、イラク人約160人が犠牲になったと報道。
■福岡地裁が小泉首相の靖国参拝を「違憲」と判断する判決。判決文では「首相の参拝は、宗教的施設である靖国神社を援助する効果をもたらした。社会的通念に従って判断すると、憲法が禁止している宗教的活動に当たる」。また靖国神社について「戦没者追悼場所として必ずしも適切でない。今後も違憲行為が繰り返される可能性が高い」としている。
■小泉首相は7日夜、同日の福岡地裁判決で自らの靖国参拝が意見と判断されたことに関連して「個人的な信条に基づく参拝だから、私的な参拝と言っていいのかもしれない。公式の行事というか、国の行事として大々的にやっているわけではない」と述べた。
■中国で北朝鮮高官と会談した山崎拓前自民党副総裁が小泉首相に会談の報告。山崎氏は「北朝鮮側は(実際に)返すのではないか」との認識を示した。
2004年4月8日
■イラクへの物資空輸に当たる航空自衛隊の津曲義光・航空幕僚長は8日早朝(日本時間同日午前)、クウェートで記者会見し、空自のC130輸送機で米軍など連合国軍の兵士を輸送したことを明らかにした。武器・弾薬を単体では輸送していないが、他国兵士が携行可能な武器・弾薬を含んでいる。
■イラク国内で8日、日本人3人が武装グループに拉致され、カタールの衛星テレビ局「アルジャジーラ」が3人を写したビデオテープを放映。グループは「日本政府が3日間以内に自衛隊をイラクから撤退させなければ人質3人を殺害する」と警告。福田康夫官房長官は同日「自衛隊を撤退させる理由はない」と拒否。
■イラク各地で反米、反占領闘争が広がる。4月4日からの5日間で計459人のイラク人が死亡。
■イラク・ファルージャに米軍が掃討作戦を行う。ファルージャだけで5日から280人以上が死亡、負傷者は400人と同市の病院長が指摘。
■自衛隊が活動しているイラク南部サマワ中心部の連合軍暫定当局(CPA)事務所付近で8日砲弾による攻撃が行われた。
■陸上自衛隊のサマワ宿営地近くで3回にわたり迫撃砲弾とみられる爆発事件が起きた事件で、陸自は8日、宿営地近くの2カ所で着弾後を確認。
2004年4月9日
■イラク邦人人質事件で9日、首相としての責任を問われた小泉首相は「私自身の問題じゃありません。国全体のイラクに対する安定復興支援にどう取り組むかという問題」などと発言し、自衛隊撤退の考えがないことを強調。
■小泉首相はイラク邦人人質事件について、犯人グループが要求している自衛隊撤退について「ありません。テロリストの卑劣な脅しに乗ってはいけない」と明確に拒否する発言を行う。
■イラク・アブグレイブでイタリア人4人と米国人2人が拘束される。
■イラク・アブグレイブで9日、燃料などを輸送中の米軍の車列が襲撃され、少なくとも9人が死亡。うち、2人は米兵。
■英BBC放送は米国の警備員として務める英国人男性がイラク中部ヒートで射殺されたと報道。
■ドイツの民間非営利団体「ドイツ援助行動」は「バグダッドやファルージャでは援助活動が完全停止した。イラク戦争中より事態は悪化している」としてイラクからの全面撤退を検討していることを明らかにしたとの報道。
■9日、バグダッドで数千人規模の反米集会が開かれる。
2004年4月10日
■チェイニー米副大統領が10日夜、羽田着の専用機で来日。
■川口外相が10日夜、「3人は純粋の民間人」「日本は多額の時金と人員を持って、イラク復興に取り組んでおり、自衛隊もこのために派遣している」と犯人側に呼びかけるビデオを収録。
■イラク・バクバで駐留米軍と反米武装勢力が戦闘。イラク人40人が死亡。数人の米兵が負傷。
2004年4月11日
■イラク邦人人質事件を受けイラクからの自衛隊撤退を求める様々な街頭行動が各地で行われる。
2004年4月12日
■外務省の竹内行夫事務次官が12日、「イラク(の邦人)には退避勧告を出している。邦人保護の責任はあるが、主権が及ばないところには、限界があるのは当然だ」と強調。
■12日、米中央軍のアビザイド司令官が会見で米兵2人と米民間人7人の計9人が行方不明になっていることを明らかにする。
■イラクのイスラム教スンニ派組織「イスラム聖職者協会」幹部のアブダルサラーム・クバイシ氏が「日本人の人質は解放されると思う。(犯人側の)安全保障などいくつかの理由で1日、2日遅れるかもしれない」と語る。
■イスラエル軍がガザ地区でパレスチナ人グループと銃撃戦を行いパレスチナ人3人を射殺。
2004年4月13日
■米軍が今月に入りファルージャで猛攻を開始し、住民ら600人以上が犠牲になったとの報道。人質事件の背景に米軍のファルージャ攻撃があるとの報道。
■イタリアの民間人4人がイラクの武装グループに拉致される。
2004年4月14日
■小泉首相は14日の党首討論でイラク戦争の大義だった大量破壊兵器が以前として見つからないにも関わらず「日本の決断、私の判断が間違ったとは思っていない」と言い放った。
■イラク・サマワで米国主導の占領統治に反対し、自衛隊の撤退を求める300人規模のデモが起きる。
■イラク北部のモスルの市場に迫撃砲が撃ち込まれて爆発少なくとも4人のイラク人が死亡、6人が負傷。
2004年4月15日
■イラクで人質となっていた3人が解放される。聖職者協会は、3人を人質にしたグループが「日本の首相の無責任な発言にかかわらず、人質の解放を決定した。日本が政策を変え、自衛隊を撤退させるよう国民は働きかけてほしい」と呼びかける声明を公表。
■ラムズフェルド米国防長官は15日の記者会見で、兵士2万人に3ヶ月の駐留延長を命じることを柱とするイラク駐留軍の増強計画を正式発表した。「駐留延長は兵士には気の毒だが、勝つために必要なことはしなければならない」と述べた。
2004年4月16日
■スペイン下院は16日、首相信任投票を行い、連続列車爆破テロ直後の先月の総選挙で勝利した社会労働党のサパテロ書記長を新首相に選出。
■16日、防米したヨルダンのアブドラ国王はサンフランシスコでの講演で「テレビを付けると、イスラエル軍戦車がパレスチナ住民と戦闘になっている。場面が変わると米軍戦車がイラク人と衝突している。アラブの民衆には、イスラエルと米国の映像が完全にダブって見え始めた。そこから生まれるのは米国への激しい敵意であり、その結果を受けるのは米国民のあなた方だ」と訴えた。
■16日、バグダット郊外で行方不明になっているフリージャーナリストとNGOのメンバー2人が自動小銃を持った8人に拉致されたと行動を共にしていたイラク人男性が話していることが明らかになる。
■小泉首相は16日、埼玉県所沢市内で街頭演説し、イラク人質事件に触れ「(イラクは)まだ安定した状況になっていない。民間人が活動したくても、そういう状況になっていない」「退避勧告を出しているのに、従わずにいろいろな痛い目に遭っている」などと述べ3人の行動を批判した。またその上で「こう言う時だからこそ、日頃から訓練している自衛隊を、イラクの中でも安定しているサマワに派遣し、汗を流してもらっている」などと述べた。
■16日の記者会見で福田康夫官房長官は苛くっで解放された法人が現地での活動継続を希望する発言をしたことについて「帰国して頭を冷やし、よく考えてから判断されることだと思う」などと述べた。
■16日、時事通信社が4月の世論調査をまとめる。イラクへの陸上自衛隊本隊を派遣した政府の判断を正しいと考える人は45、4%と半数を下回り、これまで3回の調査で最低となった。
2004年4月17日
■イスラエル軍は17日、ガザ市内で武装ヘリコプターで走行中の車にミサイルを発射。乗っていた「ハマス」の新指導者アブドルアジズ・ランティシ氏とボディガードら計3人が殺害される。
■17日、バグダット近郊で行方不明になり、武装グループに拉致されていたフリージャーナリスト安田さんとNGOメンバー渡辺さんの2人がバグダッド市内で解放される。
■17日、イラクで拉致された日本人解放に貢献したイラク・イスラム聖職者協会のクバイシ師は「日本政府は人質が解放されず、日本人が誘拐されたり、殺されたりしたほうがいいと思っているはずだ」「日本政府は(事件を)イラクでの自衛隊駐留を正当化する口実に従っている」「多くの日本人が自衛隊駐留に反対しているのに、日本の外相が日本人の望みを感じようとしないことに心が痛む」と述べた。
■イラクで武装勢力の襲撃を受けて行方不明になっていた米陸軍上等兵が拘束され捕虜交換を要求するビデオが放映される。昨年5月の大規模戦闘終結宣言以来、米兵に人質は初めて。
2004年4月19日
■中米のホンジュラスが駐留期限の今夏前に約370人の部隊を早期撤退させる意向を表明。
2004年4月20日
■衆院憲法調査会の中山太郎会長が、来年5月に調査会の最終報告を提出した後、直ちに憲法改正案を策定するための「憲法改正特別委員会」を国会に設置したいとの考えを表明したとの報道。
■防衛庁の古庄幸一海上幕僚長は20日の定例記者会見で、自衛隊の国際貢献活動が将来増えることを前提とした上で、集団的自衛権を認めるのが「当然だ」との見解を示した。自衛隊トップが憲法上の問題に関わる見解を明らかにするのはきわめて異例。
■中米ドミニカ共和国のソト国防相は20日、「イラク駐留軍は今後、2週間以内に帰還する」と表明、イラク中部で治安維持などに当たっている部隊約300人を7月末の駐留期間を待たずに撤退させる方針を表明。イラク撤退の最大の理由は治安の悪化。タイ、フィリピンも治安が悪化した場合、イラクからの撤退の可能性を検討。ブルガリアは、駐留継続の条件に新しい国連安全保障理事会決議の採択を挙げている。
2004年4月21日
■イラク南部バスラの警察署3カ所で21日爆発が起き、少なくとも死者が68に達した。
■サウジアラビアのリヤドの内務省庁舎で爆発があり治安期間の公館を含む少なくとも10人が死亡。
■イスラエル軍が21日、パレスチナ自治区のガザ地区にヘリコプターや戦車で侵攻、パレスチナ人8人を殺害。負傷者20人。
■イラク・ファルージャで激しい戦闘があり、米軍の攻撃で民間人6人が死亡、10人が負傷。
2004年4月22日
■22日、北朝鮮で石油とLPガスを積んだ貨物列車が衝突。大規模な爆発が起き死傷者が3千人に達するとの報道。(23日AP通信は死者数百人、負傷者数千人と報道)
■防衛庁は22日、石破防衛庁長官がイラク南部サマワに派遣する第二次部隊の編成命令を出したと発表。
■防衛庁は陸上自衛隊を派遣しているイラクの治安状況の悪化に関連して、警備隊員を30人前後増員する方向で検討を始めたとの報道。来月、派遣される第二次隊から増員する方針で、派遣部隊は基本計画の上限である「600人以内」のぎりぎりまでふくれあがるとの報道。
■米上院のマケイン議員がイラク情勢の安定に向け少なくとも一個師団(1万人規模)以上の増派が必要として、沖縄に駐留する米海兵隊師団を派遣すべきと主張。
2004年4月23日
■重大な刑事裁判の審理に市民が参加する裁判員法案、刑事訴訟法改正案が23日、衆院本会議で自民、民主、公明、3党による修正の上可決された。
■司法試験の実施主体である「司法試験委員会」は23日、4年生大出身者が免除される一次試験について学校教育法上の「大学」でない朝鮮大学校出身者や、小学校から大学までを15年以下で終える一部の外国の大学出身者は免除されない差別を撤廃する方針を固め「一次試験免除に関する規則」の改正案をまとめた。
2004年4月24日
■イラク南部バスラ沖のペルシャ湾で24日、石油積み出し施設に接近した不審な小型船3隻が相次いで爆発。警戒していた米兵3人が死亡。
■24日、イラク全土で爆発、砲撃が相次ぎ市民ら36人が死亡。
2004年4月25日
■25日バグダッド市内の路上で米兵が通行人らに発砲、子ども4人を射殺。(目撃者の話として26日報道。)
■25日、イラク南部サマワ近郊で25日、オランダ軍部隊が停止命令を無視した車に発砲、イラク人一人が死亡、6人が負傷。
2004年4月26日
■イラク・バグダッド北部のワジリヤ地区にある複数の施設を捜索中爆発が起こり米兵2人が死亡、5人が負傷。
■イラク・ファルージャで米海兵隊と武装勢力が衝突、米兵1人が死亡、8人が負傷。武装勢力側も8人が死亡。
2004年4月27日
■イラク南部のサマワに派遣されている陸上自衛隊員から、遺伝子情報をつかさどるDNAが含まれる血液を派遣直前に採取し、防衛庁が保存していることが分かった。
2004年4月28日
■イラク・ファルージャに停戦を破り米軍が攻撃機や戦闘ヘリコプター、戦車を投入し攻撃。ブッシュ米大統領はこれに関連し28日、「米軍司令官は必要な行動を起こす権限を持っている」と述べ、総攻撃も辞さない姿勢を示した。
■28日、福田康夫官房長官ら4閣僚の国民年金保険料未納が新たに発覚。先に未納を認めた3人を含め7閣僚となる。
■井上喜一有事担当相派28日の衆院有事特別委員会で「軍事利用をしない」との国と地元の合意がある成田空港の扱いについて「有事に対処するために、どうすることが一番国民を守ることになるか、という判断だ」と述べ、米軍や自衛隊の利用はあり得るとの認識を示した。
2004年4月29日
■29日、イラク南部サマワの自衛隊宿営地の200メートル先に砲弾2発が撃ち込まれる。砲弾は迫撃砲弾。
2004年4月30日
■イラク・ファルージャ近郊で自爆攻撃を受け米兵2人が死亡。
■米兵がイラクの刑務所で、収容者に拷問や性的虐待をしていたことが30日までに明るみに出る。