編集長の辛口時評 2006年8月 から分離

アメリカ上層部でのイスラエル批判を増幅する好機

2006.08.03(2018.3.29分離)

http://asyura2.com/0601/holocaust3/msg/351.html
辛口時評060803 アメリカ上層部でのイスラエル批判を増幅する好機

 前回の辛口時評

では、以下のようなイスラエルとアメリカの孤立状況を指摘した。


 9・11事件の直前には、イスラエルが人種差別国家として糾弾され、南アフリカのダーバンで開かれた国連の「反人種主義・差別撤廃世界会議」で孤立し、アメリカとイスラエルが、退場するという事態が起きていたのである。


 このようなイスラエルとアメリカの孤立状況が、911事件の自作自演、テロリストとの戦いと称する武力行使、イラク戦争へと連動し、今はレバノン戦争へと拡大、深化している。

 アメリカ国内でも、急速に、イスラエル批判が高まっている。特に顕著なのは、アメリカの上層部でのイスラエル支援否定論の増大である。

 最新の状況は以下の投稿である。


<レバノン攻撃>元政府高官3氏(キッシンジャー、スコウクロフト、アーミテージ) ⇒ 米政権のイスラエル擁護を批判(赤旗)
http://www.asyura2.com/0601/war83/msg/275.html
投稿者 gataro 日時 2006 年 8 月 03 日 14:09:27: KbIx4LOvH6Ccw

2006年8月3日(木)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-08-03/2006080307_01_0.html

イスラエルのレバノン攻撃 / 擁護の米政権を批判

キッシンジャー元国務長官
スコウクロフト元大統領補佐官
アーミテージ元国務副長官

 キッシンジャー元国務長官ら米共和党元政府高官が相次いで、イスラエルのレバノン攻撃を擁護し続けるブッシュ政権の中東政策に対して批判の声を上げ、方針転換を呼びかけています。

 フォード、ブッシュ父の両政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたスコウクロフト氏は、ワシントン・ポスト紙七月三十日付への寄稿で、「弟子」にあたるライス国務長官を批判。

 同長官が「単なる停戦ではなく問題の根源に対処する必要がある」と述べているのは正しいが、「問題の源泉」はライス氏が言うようなイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラではなく、一九四八年のイスラエル建国に伴い発生したパレスチナ問題が解決されていないことだと指摘しました。

 スコウクロフト氏は、六七年の境界線に基づいたパレスチナ国家の樹立などの「包括的解決」に今こそ着手すべきだとし、そのためにはイスラエル、パレスチナの両当事者だけに任せるのでなく、米国など国際社会が主導的役割を果たすべきだと提言しています。

(⇒ Beyond Lebanon
This Is the Time for a U.S.-Led Comprehensive Settlement
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/07/28/AR2006072801571.html

By Brent Scowcroft
Sunday, July 30, 2006; Page B07)

 キッシンジャー氏はワシントン・ポスト三十一日付で、レバノン問題解決のためにも、米政権がイランとの直接交渉に踏み切るべきだと提起しました。

(⇒ The Next Steps With Iran
Negotiations Must Go Beyond the Nuclear Threat to Broader Issues
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/07/30/AR2006073000546.html

By Henry A. Kissinger
Monday, July 31, 2006; Page A15 )

 一期目ブッシュ政権で国務副長官を務めたアーミテージ氏は二十七日のNPR放送のインタビューで、「空爆でヒズボラは根絶できない。空爆はヒズボラに力を与えるだけだ」とイスラエルの軍事行動を批判。米国は、ヒズボラに影響力をもつシリアと交渉すべきだと提案しています。

 国防次官補を務めていた八三年に在レバノン米国大使館が爆破されたときも、イスラエル側は「レバノンのことはよく分かっているから心配するな」と保証したが、現実はまったく違っていたと述べました。
 [後略]


 以下の論評は、私、木村愛二の投稿も反映している。


http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/8bdb0db52f663de8ef60bb599a48f9c6
地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測
国際情勢の分析と予測

米国の代表的なマスコミがイスラエルの存在そのものを否定、イスラエルの切り捨てが決定か?
2006-07-21 01:18:58/イスラエル・ユダヤ

●イスラエルの存在自体が誤りとワシントンポスト論説委員が主張

腰を据えて歴史に取り組め リチャード=コーエン  2006年7月18日

イスラエルが犯した最大の過ちは、イスラエル自体が過ちであることを忘れたことだった。それは正当な誤りであり、善意の誤りであり、誰にも罪のない過ちであった。しかし、アラブのイスラム教徒(少数のキリスト教徒を含む)の中に欧州ユダヤ人の国家を建設するという考えは一世紀に及ぶ戦争状態と我々が現在目撃している種類のテロリズムを生み出してきた。イスラエルは北ではヒズボラと、南ではハマスと戦っている。しかし、最も恐るべき敵は歴史それ自身だ。

これはイスラエルとアラブの戦争が現在イスラエルとイスラム教の戦争(イランはアラブ国家ではない)に変化し、継続し、拡大している理由である。これは争いが変化し悪化する理由である。これはイスラエルが現在、30年前は存在しなかったヒズボラという組織と戦っている理由であり、ヒズボラがかつてはイスラエルの潜在的な味方であったイランという国家により支持されている理由である。イスラム世界では、ユダヤ国家に対する潜在的で陰に隠れた憎悪が泡立ち、表面に達しはじめている。サウジアラビア、エジプト、ヨルダンやその他のアラブ国家はヒズボラを非難するかもしれないが、それらの国で一般庶民がその様な意見に賛成しているかどうかは疑問だと思う。

ヒズボラを非難することは無意味である。狂信者は理性的でないものだ。そして、ハマスを非難することも同様に無意味である。それは悪臭のする、イスラエルへの憎悪を組織の方針とする反セム主義の部隊である。しかし、イスラエルに対して自制するように忠告すること-敵のためではなく、自分自身のために-には意味があったと思われる。どんなことがあろうとも、イスラエルは既に失うことに決定した領土であるレバノン南部の緩衝領域とガザ地区そのものを軍事力で取り戻す事は決して行うべきでない。

ガザ地区からの撤退を開始したイスラエルの指導者であり、現在は昏睡状態のアリエル=シャロンに対する強硬な批判派は、「ガザはテロリストの天国になるだろう。穏健派のパレスチナ政府は民兵を管理することが出来ず、ガザはイスラエルにロケットを発射しテロリストを送り出す為に利用されるだろう。」と常に主張してきた。それはまさに実際に起きたことだ。

一部の批評家が警告していたことだが、イスラエルの南レバノンからの撤退は、イスラエルの敵により、強力なユダヤ国家にとっての敗北と認識され、ヒズボラによってそう主張された。ヒズボラはこれを自らの手柄とし、おまけにそうあるべきだとも主張した。ヒズボラの継続的な攻撃はイスラエルの血を流させた。最後には、イスラエルは脱出し、それを安全な国境であると国連が約束した。レバノン軍がそうさせた(そして、勘定は郵送だった)。

全ての批判者が警告したことが現実となった。しかし、それらの領域を再占領することは現在起きていることより更に悪いことだ。それは落ち着きのない怒った群衆を支配し、占領勢力として罪業を犯したと全世界に避け難く認識されるというかつての状態にいきなりイスラエルを戻すことになる。賢明な選択枝は、閉鎖することなく防衛可能な国境まで撤退することだ。それは、ヨルダン川西岸地区の大部分から撤退すること、そして歴史が注意力散漫でどこか別の場所に去ってゆくのを期待して待つことを含む。それにはしばらく時間がかかり、それまでの間はテロやロケットによる攻撃が持続することだろう。

近日中に発刊予定の書籍「世界の戦争」で、見事で読みやすいとの評判の英国人歴史家であるNiall Fergusonはかなりの部分を19世紀から20世紀までのぞっとするユダヤ人の歴史に割いている。ホロコーストを気にする必要はない。1905年にはロシアの660カ所でポグロムが発生し、800人以上のユダヤ人が殺された。これらは全て、2週間以内に発生している。それが多くの欧州ユダヤ人にとっての世の中だったのだ。

彼らの多くが米国やカナダ、アルゼンチン、南アフリカに移民したのは驚くことではない。残りの者がシオニズムの夢を奉じて、最初はトルコの植民地、後に英国の植民地となったパレスチナに移住したのも驚くことではない。現地に留まった者の多く(例えばポーランドのユダヤ人の97.5%)はホロコーストで殺された。

別の才能ある英国人歴史家のTony Judtは近著「戦後」を、この現代の文明化された国にとって、ホロコーストの承認がどれほど必要不可欠であるか、との結びで締めくくっている。イスラム世界の多く、特にホロコーストを否定する大統領のMahmoud Ahmadinejadを有するイランはホロコースト承認の輪には加わらず、欧州のユダヤ人に対してほんの僅かな領土を与えることすら拒否しており、その後はイスラム世界出身のユダヤ人に対しても拒否するようになった。彼らはイスラエルを誤りではなく犯罪だと認識している。彼らがその考えを改めない限り、20世紀最長の戦いは21世紀でも延々と継続することだろう。イスラエルにとって最も賢明なのは、腰を据えて取り組むことだ。

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/07/17/AR2006071701154.html

●イスラエル建国を20分で承認したトルーマン大統領以来の中東政策の失敗

木村愛二氏によると筆者はCNNキャスターであり、イラク戦争の惨状とレバノン攻撃の遠因を、イスラエル承認に求めているとのこと。
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Dobbs: Not so smart when it comes to the Middle East

We Americans like to think we're a pretty smart people, even when evidence to the contrary is overwhelming. And nowhere is that evidence more overwhelming than in the Middle East. History in the Middle East is everything, and we Americans seem to learn nothing from it.

President Harry Truman took about 20 minutes to recognize the state of Israel when it declared independence in 1948. Since then, more than 58 years of war, terrorism and blood-letting have led to the events of the past week.

Even now, as Katyusha rockets rain down on northern Israel and Israeli fighter jets blast Hezbollah targets in southern Lebanon, we simultaneously decry radical Islamist terrorism and Israel's lack of restraint in defending itself.
<以下省略>
http://www.cnn.com/2006/US/07/18/dobbs.july19/index.html

【私のコメント】
 ワシントンポスト・CNNという、ユダヤ金融資本の支配下にある米国の代表的なマスコミがイスラエルの存在そのものを否定する論説を発表したことの意味は余りに大きい。今年3月のミアシャイマーらによるイスラエルロビー批判論文では、イスラエルの存在を認めた上でその政策転換がイスラエルにとって有益であることを主張していたのとは大きな違いである。ワシントンポストの論説を見ても、一見ホロコーストで多くのユダヤ人が死亡した事を取り上げてイスラエルを擁護している様にも見えるが、ナチスがガス室で殺したとの発言はなく、ロシアにおけるポグロムを取り上げて「ホロコーストを気にするな」と主張している。これは、事実上ホロコースト問題でのドイツ批判が捏造であるとのイラン大統領やコール元首相の主張を認めたも同然である。ポーランドのユダヤ人の死亡もそのかなりの部分は、実際には反ユダヤ感情の強いポーランド人による殺害であったと想像され、決してドイツ批判であるとは限らない。

 ワシントンポストの論説の「イスラエル自体が過ちであるが、それは正当な誤りであり、善意の誤りであり、誰にも罪のない過ちであった。」との部分も非常に重要である。イスラエルは米英のユダヤ人が協力して東欧やイスラム世界のユダヤ人をパレスチナに移住するようし向けて建国され、その後も米英の援助と支持によって維持されてきたものである。そこには米英のユダヤ人の悪意と罪が間違いなく存在する。しかし、ワシントンポストはその米英の責任が存在しないかのように振る舞っている。イスラエルのユダヤ人は、全ての悪の責任を負わされ、生贄として米英に切り捨てられたということだ。私が4月以降主張してきたイスラエル生贄説がどうやら現実のものになろうとしている。恐らく、イラク戦争も、米国の世界覇権崩壊後に予想される米国庶民の生活苦も、911の自作自演テロも、全てがイスラエルという国の単独犯行、あるいはイスラエルが中心となって米英の協力者を使って実行した犯罪行為と発表され、全ての罪がイスラエルに被せられるのだろう。そして、悪の国家イスラエルが滅亡し、イスラエル国民がアラブ人に嬲り殺しにあう様子が報道されるのを見て米国の庶民も鬱憤を晴らすのだろう。今となっては、米国のテロ戦争そのものが、イスラエル(ひょっとすると英国のユダヤ支配階層も?)を罠にはめるための壮大な釣りであった様にも思える。独仏露・イランが実は米国と協力してイスラエル(と英国?)を罠にはめた壮大な劇が今クライマックスを迎えようとしているのかもしれない。

 無論、FRBなどを通じて米国を搾取してきた米英のユダヤ人はその搾取が不可能になり、一部の者が見せしめとして密かに処刑されていくのだろう。中東戦争の大混乱の中でその密かな処刑は決してマスコミで大々的には取り上げられないが、国際情勢に関心のある者にとってはユダヤの世界覇権消失という世界史的転換は必ず認識されるはずである。そして、ユダヤ金融資本はイスラエルを失うことで大きく弱体化し、非ユダヤ勢力の支配の元に細々と生き延びることになるのだろう。
 [後略]<


 今は、アメリカ上層部でのイスラエル批判を増幅する好機である。