『亜空間通信』174号(2002/02/27) 阿修羅投稿を再録

国産杉守らず杉花粉症患者を激増させ国産葱などは守るセーフガードは極悪犯罪

送信日時 : 2002 年 2 月 27 日

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『亜空間通信』174号(2002/02/27)
【国産杉守らず杉花粉症患者を激増させ国産葱などは守るセーフガードは極悪犯罪】

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 転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 昨日(2002/02/26)、わが電網宝庫の2年前の春からの杉花粉記事を点検したら、明白に記憶している重大問題が、いくつか抜けていた。別途の電子手紙文書館に収めただけで、花粉連載の方には入れていなかったのだ。

 その内の最も重要なものは以下である。その補強として、一昨年の記事をも再録する。

電子手紙の送信日付け順・注釈付き一般公開文書館(昨年春)
2001.5.31.(木)82%から19.6%に激減の木材自給率なのに国産杉は守らず葱を守るセーフガードは極悪犯罪

送信日時 : 2001年 5月 31日 木曜日 7:55 AM
件名 :[pmn 15094] 杉は守らず葱を守るセーフガードは極悪犯罪

 昨年春、1961年以降の林野庁の"『図説・林業白書』を武蔵野市中央図書館で取り寄せて、杉花粉症問題の連載、(その9) 82%(61年)から19.6%(97年)に激減の「木材自給率」として電網宝庫発表しました。次の頁です。(この頁は最後に再録する)
http://www.jca.apc.org/~altmedka/kahun-9.html

 さて、この春、たまたまか、それとも事前の打ち合わせがあっての桜吹雪の演出でしょうか、ハンセン氏病の裁判で国が負けの判決が出た途端に、大方の予想を覆して、小泉「新」首相が「控訴せず」と、花道登場の見栄を切って点数を稼ぎました。

 小泉家が、何と、少なくとも4代前から、日本の伝統ヤクザの家系であったとか、3代前の祖父は「刺青大臣」の渾名で、本当に背中に龍の刺青をしていて、純一郎坊やは、抱かれて風呂に入ったとか、やばい、やばいの核心を突く記事の紹介と、わが個人的「小泉」体験は、下記に入れました。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/turedure-1-5.html#0529
(木村愛二の生活と意見2001.5.29. わが直接の小泉体験)

 今は野党幹事長の管直人も、たまさか厚生大臣だった折に、エイズ裁判の処理で点数を稼ぎました。ともに、裁判と運動が頂点に達し、悪役転じて二枚目の「引き際」を演出しただけのことで、棚から牡丹餅の点数稼ぎにすぎません。 

 上記の二つとも、大方の庶民の懐には直接響きません。ほんのちょっとの補正予算を組めば良いだけの話です。ところが、この私の懐にまで直接響く重大問題が、小泉「新」首相の登場と同時に発生しました。私の好きな長葱が、1本10円以下に下がって、ほくほくしていたのに、突如、1本、50円以上に値上がりしたのです。

 もっとも、これは、史上最低の支持率を誇ったチョコレート馬鹿首相の最後っ屁の政治的癖球だったようですが、葱っ屁は特に臭いのです。

 同時に、「セーフガード」なる亡国片仮名語が、そこらじゅうに溢れかえりました。要するに、中国産の安い野菜だけが、いきなり、「輸入数量制限」の槍玉に上がったわけですが、調べてみれば、これは実に呆れた話です。

 私は、昨年春からですが、杉花粉症が酷くなって、抗生物質まで呑まざるを得ず、徹底調査の結果、日本の林業を崩壊させ、杉花粉の激増を招いた木材の輸入に最大の問題があり、アメリカ様、様、様、の鉄砲で奪った原始林伐採の生産費零同然の「米ツガ」の輸入を制限すべきであると、主張してきました。

 その際には、貿易協定の類いまでは調べませんでしたが、アメリカが、自国の都合で輸入制限したことが何度かあることぐらいは知っていました。ところが、今回、こげな国際協定があったのに、発動実績は、アメリカが五回、日本は零だったなどと正確に知れば、なおさらに、怒り心頭に発するのは当然ではありませんか。

 林野庁の広報に電話して意見を開陳すると、反論しないどころか、実に素直に同調します。暖簾に腕押しの感あり。ともかく、農水省の電網宝庫を検索して、問題の条文を頂戴しようとしたら、画面で「アクロバット」ってな亡国片仮名語の柔物が派手に動いて、読み難い薄い小さな文字で出てきて、結局、かなりの値段の柔物を入れないと数字で取り込めないことが判明し、またまた、この馬鹿!

 しかし、数字で取り込めて、しかも、非常に分かりやすくまとめた記事を発見しました。以下、「生協コープかごしま」の電網宝庫記事を紹介します。

セーフガードとは何か?

 セーフガードには、一般セーフガードと特別セーフガードの2種類があり、特別セーフガードはWTO農業合意によって、自由化(関税化)した品目だけを対象とし、一般セーフガードはこれ以外の全ての農産物、鉱工業製品が対象です。
 
 今回焦点になっているのは一般セーフガードで、関税引き上げだけでなく、輸入数量制限を実施でき、発動期間は最長8年間(原則4年間)という措置です。野菜や果物、キノコなどの輸入急増に対しては大きな効果を発揮できるとされています。

発動手続き

  一般セーフガードを発動するには、政府による実態調査などの手続きが必要です。農産物を例に取ると、まず農水省が輸入状況をつかみ、実態調査が必要かどうか把握します。開始が決まれば大蔵・通産両大臣に通知すると共に、世界貿易機構(WTO)にも通知する。発動要件が具体的に備わっていれば、どのような措置をとるか三省間で協議して関係審議会に諮問します。発動は答申を得た後に行われることになります。

発動状況

 一般セーフガードは、関税と貿易に関する一般協定(GATT)時代から認められている緊急輸入制限措置です。GATT時代の一九九四年末までに世界で四十二件、世界貿易機関(WTO)協定下でも八件、それぞれ発動されています。保護主義を嫌いWTO体制を進めてきたアメリカでさえ、この間五回発動させて自国の農家の権利を守ってきました。しかし食料自給率の低い日本の発動実績は、GATT、WTO時代を通じて一度もありません。

発動要件

 一般セーフガードは輸入の急増により国内産業に重大な損害またはその恐れがあり、国民経済上緊急に必要が認められる時に発動できる。発動することで影響を受ける国に対して、他の品目の関税を下げるなどの保障措置を取るよう努力しなければならないとされている。

 以上で引用は終わり。

 このように、かなり早くから、日本の林業を保護し、杉花粉の発生を減らすことが可能な協定が、国際的にも存在していたのです。この措置を怠った日本政府は、「強きをくじき」の勇なき犯罪者以外の何者でもないのであります。もっとも、中国の農民を「弱者」とあなどっての今回の措置だったとすれば、それは、国際力学の上での恐るべき誤算として、跳ね返ってくるでしょう。日本の10倍の人口を擁する超大国で、反日の気運が、澎湃と高まるに違いありません。

 小泉君、どうするかね。「セーフガード」を「政府防衛」と読み替えても結構だから、なんとかせんかね。

 野党の諸君、何をしとるのかね。政治秘書の公費を猫ばばしたり、石原都知事のディーゼル車の「都内乗り入れ規制」ではなくて、実は加害者の自動車工業界への補助金詐欺の猿芝居に騙されて、提灯を持ったり、こそ泥並み、間抜けな二重スパイ並み、ああ、ああ、やんなっちゃった、ああ、ああ、驚かない!

 以上で引用終わり。

 以下が2年前の悲惨時期から始めた電網宝庫連載の内、特に関係する部分である。

編集長の毒針:緊急課題!(一昨年春)

杉花粉被害放置政策に猛然反撃の独立反乱!
“杉林焼き払い放火作戦”開始宣言!

(その9) 82%(61)から19.6%(97)に激減の「木材自給率」

 杉花粉症、または花粉病が、「日本独特の病理現象」であることを、さらに声を大にして強調したい。私が使う「日本独特の病理現象」の意味は多岐にわたる。

 第1は、基本的、かつ、決定的な条件である。「杉」自体が「日本独特」なのである。正直を最良の政策として正直に告白すると、私自身が今春、この事実を初めて知ったのである。今春、未曾有の症状悪化という酷い遭い、ついに自ら徹底調査を覚悟したのであるが、まずは平凡社『世界大百科事典』で「杉」を引くと、英語ではJapanese cedar.ラテン語の学名はCryptomeria japonica D. Donとなっている。近縁の自生種が中国大陸などにもあるようだが、「従来1属1種の日本特産種とされ」てきたもので、「スギ科」の分布も、中国大陸東部から日本周辺、北アメリカ大陸の西岸、メキシコ湾周辺に限られている。植林までして大量に育成しているのは、日本だけである。

説得力ある資料の不足の一因は雀の涙の研究費

 当然、杉、および杉花粉の研究では、日本人が率先するべきなのであるが、業界は気息奄々、国有林まで抱える林野庁が膨大な赤字で「絶望的な独立採算制」(『国有林の過去・現在・未来』飯田繁、筑波書房、1992.9.16.p.165)を嘆くこと久しい状況に立ち至っている。研究費は雀の涙である。

 林野庁の担当の国内貿易対策課からは、本シリ-ズ既報のファックスを受け、続いて、歴史的な統計を求めたが、その後、まったく返事がない。やはり、その日暮らしの仕事しかしていないのだろう。図書館で林業関係の研究所や統計・年鑑類を当たってみても、散発的な情報しか得られない。仕方なしに、自力で『図説・林業白書』の各年度版の調査を開始した。

「外材」の激増と「木材・木製品業の企業倒産状況」

 2000.4.14.地元の武蔵野市中央図書館に「取り寄せ」を申し込んでいた「東京都立図書館」蔵書、『図説・林業白書』1975年版から1980年版までの6冊が届いた。「取り寄せ」は1回に6冊と制限されているので、これが今週の精一杯である。これをもすぐに返却して、さらに、それ以前の6冊の「取り寄せ」を請求すると、来週の金曜日、4.21.には入手できる予定である。1981年版以降、1998年版までは、武蔵野市中央図書館にもあったので、都合、14冊の年度版の統計を見ることができた。

『図説・林業白書』の中心的な内容は、正式には「林業の動向に関する年次報告」として国会に提出されているものである。ただし、それぞれの年度版の構成の仕方は、徐々に変化している。構成の変化には、その年度の状況の特徴が現われている。歴史的な見直しが必要な時期には、過去に溯る統計が示されたりする。

 私の狙い目は、すでに本シリ-ズで明確にしているように、「国産」の杉の製品化の状況なのであるが、「木材(用材)自給率」や「用材供給量」などは、すべての「木材(用材)」を対象としたものである。しかし、林野庁からファッスで得た「主要品目の価格」表でも、「素材」では「すぎ中丸太」、「製品」では「すぎ正角」が筆頭になっている。「自給率」や「供給量」の変化に関しても、近似値として考えてしかるべきであろう。

『図説・林業白書』の各年度版の文章までは読む時間の余裕も、気持ちの余裕もないが、掴んでは投げ、掴んでは投げ、パラパラめくって行くと、1979年度版と1980年度版には、1961年度に溯る「木材(用材)供給量の推移」と題するグラフがあった。本文で「外材への依存がさらに強まっている」(1979年度版)、「外材の割合は一層高まっている」(1980年度)とする部分の説明の「図」である。

 なぜ、この時期に、1961年度に溯る報告をまとめたのであろうか。基本的な理由は、当然、上記のような「外材」の激増にあるが、国内では、業界として見過ごすことが不可能な悲劇の数々が、各所で展開されていたのである。1980年度版には、「木材・木製品業の企業倒産状況」(p.69)と題するグラフが掲載されていた。1978年度から1980年度に掛けて、「製造業」も「販売業」も、バッタバッタと倒れていた。

現在は20%前後の「木材自給率」は1961年度には82%!

 以下、1961年度以降の「国産材」の「自給率」のみを最初に紹介しつつ、「国産材」の「供給量」の増減を注記すると、次の通りである。

 注:1961年から1979年までは1980年版によるが、グラフのみで数字の記載がないので、「供給量」はグラフからの読み取りで「約5000万立方米」などとする。ただし、1973年度については1984年度版に記載があったので、その数字を記した。1980年度以降は、1984年年度版以降による。なお、「自給率」の増加は、ほとんど場合、「供給量」の全体の減少の結果であって、「国産材」による「自給」の「量」の増加を意味しない。

         自給率  供給量の増減

1961年度(昭36):82%     (約5,000万立方米)
1962年度(昭37):79%   横這い
1963年度(昭38):75%   同上
1964年度(昭39):73%   同上
1965年度(昭40):71%   同上
1966年度(昭41):67%   同上
1967年度(昭42):61%   同上
1968年度(昭43):53%   減少
1969年度(昭44):49%   同上(約4,500万立方米)
1970年度(昭45):45%   横這い
1971年度(昭46):45%   横這い
1972年度(昭47):41%   減少
1973年度(昭48):36%   同上(4,221万立方米)
1974年度(昭49):35%   同上
1975年度(昭50):36%   同上
1976年度(昭51):35%   僅増(約3,500万立方米)
1977年度(昭52):34%   減少
1978年度(昭53):31%   横這い
1979年度(昭54):31%   同上(約3,250万立方米)
1980年度(昭55):31.7%  僅増(3,456万立方米)
1981年度(昭56):34.4%  減少(3,163万立方米)
1982年度(昭57):35.7%  僅増(3,215万立方米)
1983年度(昭58):35.4%  同上(3,232万立方米)
1984年度(昭59):36.0%  同上(3,287万立方米)
1985年度(昭60):35.6%  同上(3,307万立方米)
1986年度(昭61):33.5%  減少(3,161万立方米)
1987年度(昭62):30.0%  同上(3,098万立方米)
1988年度(昭63):29.2%  僅増(3,100万立方米)
1989年度(平元):26.9%  減少(3,059万立方米)
1990年度(平2):26.4%  同上(2,937万立方米)
1991年度(平3):25.0%  同上(2,800万立方米)
1992年度(平4):25.0%  同上(2,717万立方米)
1993年度(平5):23.6%  同上(2,560万立方米)
1994年度(平6):22.4%  同上(3,448万立方米)
1995年度(平7):20.5%  同上(2,292万立方米)
1996年度(平8):20.0%  同上(2,248万立方米)
1997年度(平9):19.6%  同上(2,156万立方米)
1998年度(平10):21.0%  同上(1,933万立方米)

 しかり、しこうして、「杉花粉症患者」の立場から、遠慮のない苦言を呈すると、「貧すれば鈍する」とか。林野庁の職員自体が、このような歴史的経過を、まるで知らない状態にまで落ち込んでいたのである。しかし、「ジリ貧」の林業関係者が、「被害者意識」を抱き、消極化し、林業政策の歴史的な見直しを避けている間に、花粉の大量発生の基盤は、着々と築かれていたのである。天候次第では、いつでも、花粉は大量発生し、患者も大量発生するのである。

 そこで、「恐怖の予測」。来年は、どうなるのであろうか!

 気象庁の「お天気相談所」に問い合わせたところ、すでに本年3月13日、本年6月から8月の長期予測が出ていた。「東日本」では「平年並の気温」または「高温」、それぞれが40%の予測。つまり、基礎条件の「小枝」が、そのまま、もしくはさらに繁るようだと、前年の7月から8月に「高温」だと大量発生する可能性の高い杉花粉は、来年もまた、「本日は晴天なり!」「全員一層奮励努力せよ!」とばかりに、かの、パチンコ狂騒曲の伴奏を得て、日本列島の各地を猛襲するのである。

 ジャンジャン、ジャンジャカジャンジャン、ジャンジャカジャンジャカ、ジャン!

 以上で引用終わり。

 以上。


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