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『亜空間通信』1025号(2005/06/12)
【『ユダヤ人にたいする秘密の戦争』訳出切望し拙著『アウシュヴィッツの争点』該当箇所紹介】
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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!
このところ、阿修羅掲示板で、『ユダヤ人にたいする秘密の戦争』という本の話が出続けている。
原著は英語で、日本語訳は、まだ無いようである。非常に残念なことである。誰か、この本の日本語訳をする者は、いないか。
議論沸騰の折から、1994年の発刊直後に買い求めた英語の原書を、古本の山の中から発掘したが、この本に関しては、拙著『アウシュヴィッツの争点』の巻末資料リストに、以下のように記している。この英語の索引で注文すれば、入手できるはずである。
ロフタス,ジョン/アーロンス,マーク『ユダヤ人にたいする秘密の戦争/西側スパイはどのようにユダヤ人を裏切ったか』。
Loftus, John / Aarons, Mark: The Secret War against the Jews. St. Martn's Press, 1994.
拙著の本文では、以下が、該当箇所である。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/aus-68.html
『アウシュヴィッツの争点』
(その68)終章:核心的真実
~または人類史の最後にしてほしい情報操作の本音の真相~
http://www.jca.apc.org/~altmedka/aus-69.html
極秘情報暴露の「脅迫」というイスラエル建国の裏話
ニュルンベルグ裁判の舞台裏の人事権をにぎっていた「狂信的シオニスト」、デイヴィッド・マーカス大佐の存在については、すでに第一部で紹介した。ここではもうひとつ、この「聖書の時代以来イスラエル軍の将軍の位をはじめてえた軍人」がエルサレム防衛戦で戦死する以前の、その前提条件となる国連パレスチナ分割決議の裏話を紹介しておこう。
『ユダヤ人にたいする秘密の戦争』という六七〇ページの大著が一九九四年一〇月に発行されていた。耳情報によると、日本で『マルコ』廃刊事件が起きたころには、欧米の中東関係者の間でもっぱらの話題になっていたという。早速買いもとめて、巻末資料には英文題名などを収録しておいた。共著者の二人は、ともにマスメディアで活躍中だが、共通点にはナチ元戦犯の行方追及の実績が挙げられている。代表格のジョン・ロフタスの方は、弁護士、司法省特別検察官を経験しており、かれ自身が摘発したスキャンダルについて、CIAから情報公開の許可をえている。「秘密の戦争」の主要な意味は「スパイ合戦」である。ただし、パレスチナ分割決議にかかわる部分では、「ユダヤ人にたいする」戦争というよりも、むしろ、ユダヤ人側からの猛烈な攻勢の記述になっている。国連での賛成投票集めの協力をうるために、のちのイスラエル首相ベン・グリオンらのシオニスト指導者が、イギリスやアメリカの有力者にたいして、極秘情報の暴露をほのめかす「脅迫」を再三おこなったというのだ。
第5章の「脅迫の種子」以下で、その脅迫の材料がくわしくのべられている。主な項目だけを要約すると、つぎのようである。
イギリス王室[エドワード8世、シンプソン夫人と再婚するために退位してウィンザー公爵]およびイギリス情報機関は、ナチス・ドイツをソ連と対抗させるために、イギリスとドイツの同盟関係をきずく交渉を戦争中もつづけていた。
アレンダレスらのアメリカ情報機関OSS(戦略情報局。CIAの前身)は、ヴァチカン公国の情報網を利用して、二人の大統領(ローズヴェルト、トルーマン)をだましつづけていた。
アメリカ最大の財閥ロックフェラーは、ドイツ最大の財閥I・G・ファルベンとの協力関係を戦争中も維持し、影響下にある南米の石油のドイツへの輸送をつづけていた。
以上の材料による脅迫対象者のなかでも、中南米問題の調整役をホワイトハウスから請け負っていたこともあるネルソン・ロックフェラーの位置づけは、ことのほか大きかった。ヨーロッパの九票にたいして、中南米には一九票もあったのだ。
ベン・グリオンらの脅迫作戦は基本的に成功した。だが、国連決議のつぎは戦争だった。
アメリカ国内でイスラエルの建国に反対していた勢力の中心なねらいは、アラブの石油にあったが、表面的な反対理由としては、中東の軍事紛争の阻止という平和目的がかかげられていた。事実経過はあきらかである。かれらの予測通りに、直ちに戦争がはじまり、以後、半世紀を迎えようとしている。シオニスト指導者たちは、この戦争の必然性をも早くから見越していた。最新鋭の武器の合法、非合法の入手に必死の努力を傾けていた状況は、その後の経過からもあきらかである。その到達点こそが、二〇〇発以上の核弾頭つきミサイルなのである。
以上のような世界ユダヤ人評議会とユダヤ人問題研究所、有力なユダヤ人たちの活動経過と、最初に紹介したようなニュルンベルグ裁判の舞台をまわした国際検察局の人事構成などとは、決して無関係ではありえない。もう、これ以上の論評をくわえるのは、蛇足にすぎないであろう。
だが、これだけの執念と実行力を持つ集団が、なぜ、もうひとつ志にたかい、人類全体の平和、平等、友愛の確立にむかわなかっただろうか。または、むかいえなかったのだろうか。憎しみをこえるのは、それほどにむずかしいことなのだろうか。それとも、国際金融資本の足かせが、それほどに重かったのであろか。問いかけたいことが、まさに山ほどある。
ユダヤ人のなかにも、アラブ人との連帯を真剣にもとめる人々がたくさんいる。その事実こそが、これからの世界を考えるうえでの唯一の救いであろう。まだまだ、やりなおしがきく人類社会であることを願いたい。心あるユダヤ人の有志の努力に期待しつつ、その努力に呼応することを、一日本人としてのみずからにも誓う。
以上の誓いをした以上、『ユダヤ人にたいする秘密の戦争』の訳出もしたかったのだが、手が出ない。
それどころか、シオニストのホロコーストの大嘘の問題では、拙訳『偽イスラエル政治神話』の訳出だけでも、大変な大仕事だった。日本は、その後、イラク派兵に至るまでに、中東問題に巻き込まれているのだから、重要な文献の訳出、出版は、必須の作業である。
誰かいないか。私は、今、湾岸戦争以来、1991年から14年間の念願、以下の米議会記録、『南西アジアにおける合衆国の安全保障上の関心と政策』の訳出に、なけなしの私費を投じている。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw-54.html
『湾岸報道に偽りあり』
隠された十数年来の米軍事計画に迫る
第九章:報道されざる十年間の戦争準備(4)
(その54)米帝国軍「中東安全保障計画」に石油確保の本音切々
[中略]
資料名だけはすでに一年前から知っていた『南西アジアにおける合衆国の安全保障上の関心と政策』は、マイクロ・フィシュではたったの四枚だが、議事日程で二月から三月にかけての六日間の証言と付属報告集であり、B5版で本文が三六八ページにもおよぶ長文のものであった。
表紙には斜めに、「 HOLD FOR RELEASE SEP 16」というゴム印らしい文字が二ヵ所に押されている。マイクロ・フィシュは白黒写真なので、色は分らないが、赤字の日づけ入りハンコだったのではないだろうか。「九月十六日に公開」ということは「それまでは差止め」の意である。この種の議事録には機密性があり、内容も一部は削除され、公開が遅れることも多いという。この場合、三月十八日に終わった聴聞会の記録が、以後約半年間、公開差止めとなっていたわけだ。同時期の軍事委員会議事録にはゴム印が見られないことから考えると、やはり、特別扱いだったのだろう。
内容は、定まり文句の「ソ連の軍事力の増大」ではじまり、「ペルシャ湾への合衆国(軍)の接近作業」(U.S. APPROACHES TO THE PERCIAN GULF )という題名の軍事作戦地図でおわっている。だが、むしろ驚嘆すべきなのは、実に詳しい石油事情の分析と予測である。つまり、「安全保障」といい「軍事力」というものの本音が、まさに石油資源地帯確保にほかならないことを見事に自ら告白しているのだ。途中からは「追加報告」となり、文書提出の「CIA長官の陳述書」、「緊急展開軍」(中央軍の前身)、「ペルシャ湾からの石油輸入:供給を確保するための合衆国軍事力の使用」などが収録されている。「事件年表」の発端が、一九七三年十月十七日から一九七四年三月十八日までの「アラブ石油禁輸」となっているのは、この報告の歴史的性格の象徴であろう。
大手メジャー、エクソン作成の報告書「世界のエネルギー予測」もある。
[後略]
以上。