緊迫する国会情勢−−5月中旬にも有事法案衆院通過の危険
対北朝鮮戦争準備を許すな!
有事法制の今国会成立を断固阻止しよう!


民主党の対案提出で高まる有事法制成立の危険。5月中旬の衆院通過強行ねらう政府・与党

 有事関連3法案の5月中旬衆院通過、今国会での成立の危険性が高まっています。
 民主党は4月24日、有事関連3法案の対案を決定し、30日にも国会提出する方針を明らかにしました。小泉首相はじめ政府・与党側はこぞってこの対案を歓迎しました。政府・与党は、5月連休明けから有事法制の国会審議を本格化、加速化させ、6日趣旨説明、8日参考人質疑で、5月中旬にも衆院通過させようと動き始めています。有事法制をめぐる国会審議は、4月末から5月連休明けにかけて最大の山場を迎えます。野党第一党が有事法制の議論の土俵に乗り、明確にその成立へとカジを切り始めたことによって、有事法案の今国会成立が一気に現実味を帯びてきました。日本の反戦平和運動は今が正念場です。ブッシュのイラク先制攻撃で、有事法制の危険性がより一層明らかになった今だからこそ、有事法制反対、対北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)戦争準備を許すなの声を全国から国会に集中し、有事法制の今国会成立を何としても阻止しなければなりません。

※<民主党>有事関連法案の対案決定 修正協議焦点へ
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030425-00000090-mai-pol
※<民主党>有事法案の対案を大筋了承 緊急事態法制チーム
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030423-00000110-mai-pol


国会審議のアリバイづくりに手を貸す民主党。対北朝鮮戦争準備の本質押し隠す危険な役割 

 政府と真正面から闘う姿勢を欠落させたままで対案を提示し、「政権担当能力」を示そうという民主党のこの間の態度そのものが、有事法制の今国会成立を狙う政府・与党を勢いづかせ、国会審議を加速化させていることは明白な事実です。敵に利用されるだけの、決定的とも言えるその犯罪的役割を厳しく批判しないわけにはいきません。
 4月24日に衆院特別委で強行可決された個人情報保護法案は、まさに有事法制の国会審議を進めるための犠牲に供されたといっても過言ではありません。そもそも24日の委員会採択と5月6日の本会議採択自体、5月連休明けから有事法案の本格審議を進めるために民主党が強く主張して与野党合意で決めたことです。本来、有事法制と一体のものとして徹底して闘うべき個人情報保護法案の採択を容認するばかりか、有事法制の成立に手を貸そうという野党の態度は愚の骨頂、絶対に許されないことです。
 さらに先日の政府のORHA(イラク復興人道支援室)への要員派遣決定についても、民主党の賛成方針が呼び水となりました。4月17日に民主党の岡田幹事長が支持方針を表明、それに促されるように政府は翌18日に派遣方針を決定したのです。
 そして今度は有事法制の対案です。内容以前の問題として、今国会で有事法制を成立させるという政府・与党が描くシナリオを一気に現実的なものにしたこと、この点で民主党の対案決定は決定的な役割を果たしました。 

 しかも民主党の対案自体が、政府案と与党修正案のまるのみ案です。「武力攻撃事態」「武力攻撃予測事態」への対処、すなわちブッシュの先制攻撃への協力と態勢づくりを基本内容としている点で政府案および与党修正案と大差ありません。「有事」をどう定義するかという有事法制の根幹部分で全く同じ認識を示しているのです。そればかりか民主党は、二つの事態を明確に分けた与党修正案を「一歩前進」とさえ評価しています。与党からも「十分議論の対象となる」と評価の声が上がっています。
 民主党の対案は、自衛隊撤収の際の「国会の議決」、「危機管理庁の設置」、国民保護法制を整備した後での施行など「国会を無視しないでくれ」「基本的人権の制限を減らしてくれ」と言っているにすぎません。基本的人権の保障を盛り込んだという基本法案については、「基本法ありきではない」とはじめから与党ににじり寄る姿勢を示しています。
 政府案も与党修正案も民主党案も、北朝鮮脅威論では一致しています。「防衛」に名を借りた北朝鮮に対する軍事的恫喝、突き詰めれば予防攻撃=先制攻撃を想定している点では全く変わりないのです。北朝鮮に対して軍事的恫喝を加え、アメリカが先制攻撃を始めた場合、日本が協力することを支持するのかどうかという根本的な議論が欠落しています。有事法制が北朝鮮をターゲットにしていること、北朝鮮に対する先制攻撃への日本の協力を規定するものである点を批判することなしには、有事法制を批判することはできません。
政府案、与党修正案、そして民主党の対案の間でなされる国会審議がどんなものになるかは目に見えています。

イラク戦争の真っ最中に突然再浮上した有事法制。北朝鮮への軍事的恫喝と戦争準備態勢づくりを許してはならない

 イラク戦争の真っ最中に日本政府は、有事法制を今国会で成立させる方針を提起しました。戦争で子どもたちが殺され、国土が破壊され、戦車が進駐し、空爆が加えられている真っ直中にです。これだけでも許し難いことです。備えあれば憂いなしではありません。アメリカが、遠い将来ではなく現に行う戦争への総動員態勢が急浮上したのです。次の標的・北朝鮮に対する先制攻撃を想定して、その戦争に日本は国を挙げて動員しようとしているのです。
 そして4月25日、北朝鮮が核兵器を保有し核実験実施を示唆したという報道が米CNNを通じて流されました。その真偽はまだ定かではありませんが、朝鮮半島情勢が一気に流動化し、危機が再燃する危険性が高まっています。実際、現在太平洋に展開している4隻の米空母を北朝鮮に近い海域に展開し軍事的圧力をかける可能性も指摘されています。はっきりしていることは、北朝鮮の核問題、朝鮮半島の核問題は平和的外向的に解決する以外にないこと、絶対に朝鮮半島で戦争を起こしてはならないということです。このような状況の中で有事法制などもってのほかです。なぜなら有事法制は、北朝鮮に矛先を向けた、北朝鮮先制攻撃のための戦争協力法に他ならないからです。もう一度繰り返します。朝鮮半島で絶対に戦争してはならない。そしてそのためには絶対有事法制を許してはならないのです。

「国民保護」はまやかし。国民保護法に警鐘を鳴らせ

 有事法制と一体のものとして、「国民保護法」の概略が示されました。この「国民保護法」なるものは、野党が有事法案に対して「自衛隊優先」「国民保護が抜けている」といった批判に応える形で政府が「2年以内を目標に整備」するとして持ち出してきたものです。しかし「国民保護」とは名ばかり、「国民の権利の蹂躙法」「私権の制限法」「国民義務法」であることが明らかになってきています。
 骨子では、国民が土地・家屋の提供を拒否したり、物資の売り渡しを拒否した時は強制的に収用できるといった権利制限と強制措置、医薬品の保管協力を拒否した場合の罰則などが盛り込まれています。有事法制特別委での議論では、「国民は協力に努める」「隣組によって監視する」「平時からの日常的な訓練が必要」「米軍からの調整官派遣要請」などの意見が相次ぎました。「国民保護」といった言葉にだまされてはいけません。「2年以内に整備する」(政府)、「有事法施行の前に整備」(民主党)といった、有事法制の歯止めとなりうるようなものでは最初からなくて、それ自体が危険極まりない反動法案です。

※大量破壊兵器攻撃を想定 国民保護法制骨子判明
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030410-00000024-kyodo-pol
※国民の権利制限 有事関連法案本格審議入り
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030418-00000102-kyodo-pol


今度はイラクで銃撃戦をやるつもりなのか−−PKO武器使用基準緩和の動きが急浮上。

 先に述べたように、この間の民主党の態度が政府と右派マスコミを勢いづかせています。
 有事法制の今国会成立の危険性が高まる中、今度は読売新聞が焚きつける形で、PKO(国連平和維持活動)武器使用基準緩和問題が急浮上してきました。読売新聞の座談会で、民主党の岡田幹事長は、PKOに参加した自衛隊の武器使用について「国権の発動たる戦争とは違う。国際的な基準で考えるべき」と述べ、公明党、自由党の幹事長とともに、そろってPKO武器使用基準を緩和すべきだと表明しました。そして産経新聞も加わる形で、「主要政党の足並みがそろった」「見直しの機は熟した」と騒ぎ立てています。このような中、小泉首相は26日、イラク復興での自衛隊派遣の場合には武器使用基準を見直す可能性に言及しました。
 さらに読売座談会の中で岡田幹事長は、「憲法改正」の発議要件として「衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成」は厳しすぎるとして「発議は2分の1で十分」と、明確に改憲をにらんだ発言を行いました。これと歩調を合わせるかのように、自民党の憲法調査会は今国会中に、「憲法改正要綱案」骨子をまとめる方針を固めたと報じられています。憲法の平和主義をなし崩し的に投げ捨てる動き、ましてや改憲の策動など断じて許してはなりません。これに同調する、否リードさえする野党の動きに対しては厳しい監視と批判、抗議が必要です。

※小泉首相 イラク復興支援での自衛隊活用 PKO基準緩和も
 http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200304/26/20030427k0000m010120000c.html
※PKO武器使用、「国際基準並み緩和」…民主・公明・自由3幹事長表明
 http://www.yomiuri.co.jp/features/gulf2/200304/gu20030422_04.htm
※読売新聞社説 [武器基準緩和]「主要政党の足並みがそろった」
 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030422ig90.htm


5月国会行動・署名提出を準備!有事法制やめよの声を政府・与党に集中しよう!

 有事法制をめぐる状況は緊迫しています。5月半ばにも予想される衆院強行採決にストップをかけること、そのためにありとあらゆる機会に有事法制=戦争法の本質を暴き、訴え、反対の世論を喚起していくこと、そしてその声を政府・与党に集中していくことが急務です。私たちはイラク開戦直後、「アメリカの対イラク戦争・劣化ウラン戦争と日本の加担・有事法制に反対する緊急署名」を提起し取り組んできました。4月2日の院内集会・署名提出に続き、5月上旬には再度の署名提出、国会議員への要請行動を行う予定です(日程は決まり次第公表します)。緊急署名に託された有事法制反対、北朝鮮敵視政策反対の声を国会に届けましょう。

*お手元にある緊急署名は5月2日頃までに事務局にご返送下さい。
2003年4月26日



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