[イラク特措法を廃案に!自衛隊派兵に反対する 7.20大阪集会 報告]
米英の戦争犯罪の原点−イラク戦争における民間人犠牲者
2003年7月20日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
1.民間人犠牲者を暴き出すことの意義
(1)イラク戦争における民間人犠牲者の問題は、過去の問題ではない。
今なおイラクは「戦場」であり、新たな民間人犠牲者が生まれている。
(2)「湾岸戦争を超える」民間人犠牲者数
(3)民間人犠牲者を暴く“Iraq Body Count”の活動
その地道な取り組みと犠牲者に関する高い評価
(参考)今なお戦争の犠牲となっている多くの子供
時事通信「イラクの子供1000人以上死傷=不発弾の暴発で−ユニセフ」 (2003.7.18)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030718-00000699-jij-int
記事要旨:国連児童基金(ユニセフ)当局者は17日、バグダッドで記者会見し、イラクのフセイン政権が崩壊した4月9日以来、廃棄された武器・弾薬、不発弾の暴発などにより、全土で1000人以上の子供が死傷したと発表した。
2.最新の民間人犠牲者の推定
(1)“Iraq Body Count”は、Max7711人、Min6058人を主張する。
(2)病院における犠牲者の記録が明らかにされ、その数は激増した。
4/13 Max1620人 Min1367人
4/27 Max2488人 Min2029人
5月に入り病院の記録と一部の聞き取り調査の結果が明らかに。
5/24 Max6942人 Min5334人
(3)その他の調査団体が明らかにした犠牲者数の推定(5月中旬時点)
・AP通信 2100人〜2600人 情報源は明記されず
・ロサンジェルス・タイムズ バグダットとその近辺だけで、1700人〜2700人
負傷者は8000人 独自の病院調査結果に基づく。
・CIVIC この団体の調査が、今後の犠牲者数評価の一つのポイント。
ナシリアでの戸別調査:1000人近い犠牲者を確認。
(CIVIC:Campaign for Innocent Victims in Conflict)
参考 Iraq Body Count 4065人〜5223人 (5月中旬)
イラク政府(4/3) 2252人が死亡、5103人が負傷
3.民間人犠牲者が示すイラク戦争の実相
(1)イラク戦争は、多くの民間人を巻き込んだ凄惨な戦争だった。
過去の戦争における民間人犠牲者数
・アフガン戦争 3125人〜3620人
・湾岸戦争 3500人〜1万3千人
(2)地上戦は民間人の犠牲を劇的に増大させた。
・米英軍は自軍の損失を最小限にするために、徹底した空爆と地上軍の殲滅を実施。
(3)無差別大量殺人兵器の大量使用−ナパーム弾、クラスター爆弾の大量使用
参照 参考資料3
(4)計画的に民間人施設を「誤爆」した疑いもある。
・民間居住区への大量の爆弾の投下
・相次いだ「誤爆」
4.イラク軍兵士の犠牲者数の評価
・資料6の記事 1万3500人〜4万5千人
この数値は、イラク軍部隊の3〜10%が犠牲となったことから推定されたもの。
(参考)ほとんど報道されないイラク兵士の犠牲
日時 場所 犠牲者 情報源
3/22 バスラ近辺 10〜20人 Mail on Sunday
3/26 カルバラ 300〜500人 CNN
ナジャフ 500〜650人 CNN
3/31 ヒンディーア 35人以上
ナジャフ 100人
4/1 カルバラ ? AP
ディクニーア 80人 AP
4/2 カルバラ 1200人 現地米軍
4/3 空港途中 数百人 AP ロイター
空港 320人 AP ロイター
クート 30人 AP ロイター
ナジャフ 20〜人 AP ロイター
4/5 バグダット周辺 2000〜3000人 米中央軍
(参考)この戦争がいかほどまでに一方的、非道なものであるか。米兵士の声
「これはフェアな戦争ではない。なぜイラク兵士が投降しないのかが理解できない。サッカーのホームゲームの場合、3対2はフェアなスコアだろう。しかしここで行われているのは、119対0といったことなのだ。」(イラク兵士の飛散した死体の映像と共に)(ロイター) 3/24被害記録
5.犠牲者数をめぐる論争と新たな取り組み
(1)様々な論調
・カウントの拒否、あるいは意味はないとする論陣
−米政府、M・アーキンス
・第二次政界大戦と比較し数千人の犠牲者を認めた上で、格段に少ないとする論陣
−軍関係、軍関係のシンクタンク、保守系シンクタンク、等
・統計の正確さをめぐる論争
−民間人と軍人を区別していない。
−そもそも不正確な集計である。等
(2)新たな取り組み
・Iraq Body Count 犠牲者一人一人の確認作業
・CIVICの戸別聞き取り調査
6.戦争における民間人犠牲者をこれ以上生み出さないために
(1)今なお民間人犠牲者を生み出している最大の元凶は米英による軍事占領
参照 参考資料4,5
(2)米英軍の即時撤退、これが唯一の解決法
(3)戦争を仕掛けた張本人 米英による無条件賠償を求める!
(4)日本の反戦平和の課題 自衛隊をイラクに派兵させないこと
−イラクの現状を暴き、広めていくことの重要性
データならびに参考資料
民間人犠牲者に関するデータ 参照 Iraq Body Count
A.犠牲者が確認された場所(病院とそれ以外)
Max Min
病院 3343人 2388人
その他 5368人 3670人
合計 7711人 6058人
B.犠牲者の地域別
Max Min
バグダット 4002人 2907人
バスラ 518人 433人
ナシリア 932人 918人
ナジャフ 438人 299人
ヒッラ 249人 126人
ラシディア 99人 91人
カルバラ 63人 63人
バベル 62人 62人
ティクリット 20人 5人
ラマディ 22人 22人
ファルージャ 20人 17人
北部 397人 271人
C.犠牲者 日付別
@戦前 16人
A戦闘終了(〜4/10) 4625人
B混乱期(〜4/20) 353人
Cその後(4/20〜) 48人
戦争開始以後(A以後) 1900人
(一部は加算されていない)
D.犠牲になった兵器の種類
Max Min
・爆撃・ミサイル 810人 644人
・銃撃 374人 321人
・不発弾(注1) 320人 275人
・クラスター爆弾 211人 179人
・その他
注) 不発弾の中には、相当数のクラスター爆弾の未発弾が含まれている。
(参考資料1)“Iraq Body Count”をめぐる記事
“戦争は1万人の民間人を殺したと見られる。研究者はそう語る。”Guardian 13 June
“War may have killed 10,000 civilians, researchers say”
http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/0,2763,976392,00.html
・イラク侵略の間、少なくとも5000人の民間人が殺害されたと見られる−独立系調査団体はこのように主張している。さらなる証拠が照合されるにつれ、その数は1万人に達するであろう、と伝えている。
・イギリス、アメリカの大学教師と調査員たちのボランティア・グループである“Iraq Body Count(IBC)”は、メディア報道に基づき民間人犠牲者の統計をまとめ上げ、戦闘において5000〜7000人の民間人が死亡したと推定している。
・それらの数値を14のその他のカウント(そのほとんどがイラク国内で実施された)と比較した最新の報告は、その結論を確証している。
・複数のグループの調査団は、イラク国内の病院や遺体安置所を訪問したり、死亡者の親族に対する聞き取りを行った。その中の二、三の団体は、主要都市における実地調査を実施している。
・三つのまとまった調査結果は、戦闘期間においてバグダットだけで1700〜2356人の民間人が死亡したことを示唆している。
・キール大学の心理学の教授でありIBC報告の著者でもあるジョン・スロボダ氏は、イラクにおける調査結果は、彼らのグループ(IBC)の数値を支持していると、述べている。「私たちが批判されてきた一つが、ある人から言質を取るジャーナリストのものを引用するといった点です。しかし今私たちが気が付いていることは、いつ何時ある団体がイラクに行き、プレスを通じて得られるデータの細部を検証したとしても、私たちのデータには間違いがないということだけではなく、しばしば低いサイドの数値であるという事なのです。」
・「その全体像は、イラクにおいて多くの民間人の死亡者の地獄があったという、確固たる絵図を現在再構成しているのです。」
・IBCの報告を立証するいかなる素材も認識していないと、国防省のスポークスマンは述べている。また「戦闘の最中、我々は、民間人間の犠牲者を最小にすることに心を砕いてきた。我々は、軍を標的にしてきた。民間人犠牲者がx人いることを示す一連の数値に対して、一切の手引き、あるいは信頼性を付与することができない」と。
・今週AP通信社が発表した、3月20日から戦闘が終息した4月20日の期間におけるイラク国内の60の病院の調査結果に基いた、少なくとも3240人の民間人死亡者に関する数値を、IBCの全体は網羅している。しかし多くの遺体が、イスラム教の習慣に従い早々に埋葬されたり、がれきに埋まっている。
・スロボダ教授は、次のように述べている。原則的には、9月11日の攻撃による死者総数の評価に用いられてきた方法と同様の科学捜査法が援用された(犠牲者)総数のカウントを妨害するものは何もないと。それは、政治的な意向と手段についての問題である。
・民間人の死亡に関する不完全な記録であってもまとめあげる価値がある。民間人犠牲者がほとん存在しないとされている戦争に先だって、それは補償金の支払いと主張を判断する助けとなる。このように、彼は述べている。
・米軍のスポークスマンのジェームス・カシーラ中佐は、次のように述べている。ペンタゴンは犠牲者を数えない。その理由は、彼らの取り組みは、市民を狙ったのではなくむしろ敵軍を打ち負かすことに照準を合わせていたからである、と。
・国際法の下では、米は「合法的な戦闘作戦において発生した負傷と損失」を償う義務を負わない、と彼は述べた。
・イラク政府は、1991年の湾岸戦争において、2278人の民間人が死亡したと評価している。
(参考資料2)湾岸戦争における民間人犠牲者の推定−ラムゼークラークの指摘
・「爆撃は、電力や通信といった生活必需サービスばかりではなく、食料、水道水、医療サービスまでも奪い、イラク市民の近代的生活に必要なほとんどの基本条件を破壊した。」「・・・バスラではトラックにより飲料水が供給されていた。下水処理・衛生システムは破壊されたままで、通信システムの多くは機能不全のままであった。」「医療・厚生施設も部分的にしか機能しておらず、病院はそのわずか25%の能力しか発揮できない状態だった。そして飢餓と病気により、毎日、何百人ものイラク人が生命の危機にさらされていた。」「小児の死亡率は1991年末に3倍に増え、地方によっては4倍にもなった。」
・湾岸戦争終了後の恐るべき調査結果。「6週間にわたる苛烈な爆撃と破壊的な長期の制裁により、数万人のイラク市民が死に追いやられた。・・・調査によると、イラクに対する米国の攻撃でおそらく15万人以上の市民が死亡した。この中には少なく見積もっても10万人にのぼる戦後の死者が含まれている。」
(参考資料3)イラク全土に散布されたクラスター爆弾(割愛)
(参考資料4)事務局論評 “イラクの人道的危機を加速する自衛隊派兵−「イラク復興支援」最大の妨害者は米英軍と軍政政権”
(参考資料5)米軍占領の実態に関する記事 (7/12被害記録)
“残虐かつ違法:米はイラク人負傷者を治療もせずに放置している”
Electronic Iraq “Crue and illegal:U.S. leaves injured Iraqis untreated ” (7 July 2003)
http://electroniciraq.net/news/946.shtml
(要旨)イラクの米占領軍は、負傷したり、病気にかかったイラク人を治療することを拒否している。それらの患者が米による直接的な被害者でない場合には。このようなショッキングな行為は、ジュネーブ条約に反している。
6月30日、バグダット260km北方のハディサでの廃棄された武器の集積所における大爆発によって、数十人のイラク人が死亡し、多数が負傷した。犠牲者たちは、スクラップとして売るための薬きょうを拾っていた。
BBC放送によると米中央軍司令部のスポークスマンは、集積所は米軍ではなく、イラク人のものであり、この地区の米軍は負傷者を搬送する義務はなかったと述べている。
しかし米軍は、あらゆる面でそのことへの責任を負っている。
第一に、米軍は占領軍として、イラク民衆に安全を保障する義務を負っている。(注:イラク中部ツワイサの核施設が略奪されたことによって周辺住民が被曝した問題も同様に、米軍にその責任がある。)
第二に、米軍は法的にも、人道的にも、負傷者に対する支援を提供しなければならない。ジュネーブ条約には、そのことが明記されている。・・・・占領から3ヶ月経過しようとしているが、いまだに米軍は、破壊されたイラクの医療施設の復旧に関する法的な義務をほとんど果たしていない。6月26日、WHOのスポークスマンはロイター通信社に対して、イラクの医療システムは「極めて逼迫して」おり、公衆衛生が悪化し始めてからは、その機能の30〜50%以下しか稼働していないことを述べた。子供に対する疾病、伝染病、そして不発弾の脅威が存在しているのである。
第三に、薬きょうの回収によって食いつながなければならないほど、イラク民衆の生活は困窮している。占領軍である米は、イラク民衆が必要とする十分な食料と就労の機会を提供しなければならない。
このような、米軍の負傷者に対する法的義務の拒否、また占領軍として民間人に負っている全般的な義務を、米は果たしていない。このような実例は、その他にも多くある。・・・・・
民間人犠牲者に関する資料(関連記事の抜粋・粗訳)
資料1 The Philadelphia May 4 2003
Civilian death in Baghdad total at least 1101
・バグダットにおける民間人犠牲者数 少なくとも1101人
情報源 街の19の大病院の記録を総合
・実態は、この数値よりもさらに高いことは確かである。さらに女性、子供を含む1255人が“ほぼ間違いない”民間人犠牲者。カウントされていない人々は、墓地、病院の庭、公園、モスクの土地にすでに埋葬されている。
・6800人以上が負傷している。病院の記録。
・国防総省:過去の戦争に比べて極めて犠牲者は少ない。1人と評価。
・民間人犠牲者を兵士を区別した情報に基づく数値は、3月19日〜4月9日(首都陥落)のもの。最大の犠牲者は、4月4日と5日。米軍が街に突入した時である。
・バグダット中央のシャヒード・アル・アドゥナン病院(記録による):戦争開始からの17日間で、44人の民間人が死亡。41人がその最後の5日間で死亡。
・イラク人医師は、「記録は不完全」。女性と子供は民間人としてカウントされる。しかし男性の犠牲者の場合、“サダム挺身隊”と民間人の区別ができない。年齢等を参考に区別する場合もある。また兵士は軍IDを保有している。
・この記録では、犠牲者が米軍によるものなのか、イラク軍によるものなのか、この区別が困難であるとの指摘もある。しかし大半の場合は、米軍によるものと見なしている。
・医師の言葉:「記録が完璧かだって。私は1日に10人の手術を行ってきた。・・・・正確だと信じている。」
・バグダットにおける犠牲者の総数には、イラクのその他の場所の犠牲者は含まれていない。その他のイラクの都市では、一覧表は作成されていない。しかし米軍の侵略があった期間における数多くの犠牲者を裏付ける明白な情報はある。ナジャフでは、ナジャフ・教育病院の報告によると、286人の民間人と57人の兵士が犠牲になったことが報告されている。
・イラク赤新月社には、5月の中旬まで民間人犠牲者に関する報告がなかった。病院からの報告は、信頼できる情報となる。赤新月社は、19の病院における死者と負傷者の記録が得られるであろうと述べている。
・バグダットで最大の犠牲者を出したのは、市南西部の、第三師団が空港から侵攻してきた地点である。
・民間人と医師が明確に確認できた1101人の記録中845人が、空港近辺のアル・カラマ病院、アル・アスカン病院、ヨモーク病院からのものである。
・さらに1255人が、“ほぼ間違いない”民間人犠牲者である。アル・カラマ病院における450人の犠牲者の内、30%は女性と子供たちであった。その他は男性であり、服装から民間人と、医師たちは確信している。さらに多くの民間人の犠牲者がいただろうが、すでに埋葬されており、これ以上の正確なカウントはできない。
・これとは対照的に、米軍137人、英軍33人が記録されている。イラク政府が最後に発表した犠牲者数は、総数で1250人であった。
・多くの犠牲者が病院ではなく近所で埋葬されたりしているために、実際にはさらに多くの民間人犠牲者が出ているのは間違いないであろう。「私たちは10人をモスクに埋葬し、45人以上を家で治療しましたよ」とアメール・K・キンディさんは述べている。
・ペンタゴンのスポークスマン:「民間人1人の死でさえ、あまりにも多すぎる1人の死である」と述べている。
・湾岸戦争での爆撃とその他の“直接的な戦争の効果”による民間人の犠牲者は、3500人と推定される(カーネギー・メロン大学のオズボーン・ダポンデ上級研究員)。第二次世界大戦での戦闘では、数百万人の犠牲者を出した。
・ワシントンにおける独立系シンクタンクである防衛情報センターのマーク・バルゲス研究分析員は、「以前の民間人死者の総計との比較では、バグダットの数値は低いように見える」と述べている。東京やドレスデンにおける空襲と比較すれば。
このように米系シンクタンクは民間人犠牲者を過小に評価し、また爆撃対象もスポットであったことを強調する傾向がある。過去の戦争との比較を持ち出して。
・米政府高官は、常に犠牲者数を低く見積もろうとする。また米軍はクウェートにおける訓練において、民間人犠牲者を最小限に抑える訓練を受けていた。
・しかしイラクに入るや、民間人と兵士の区別がつかない、検問所で誤って民間人を殺害する事件が相次ぐ。
・米軍は、民間人が犠牲になった地域に救急車が入ることを阻止したりもした。また極端な医薬品の不足を放置している。
・死亡者総数の絵図は、アル・アスカン・病院の庭における150の墓である。「多くの遺体がここにある。しかし誰もここに見に来ることができない。」(米兵が警備しているのである)。
資料2 The SFGate 3 May 2003
How many iraqis died? We may never know
Some observers are pressuring Pentagon to put forth an informed estimate
・サダム・フセインを追放する戦争でにおいて、世界はイラクで一体何人が殺されたのかを知ることはないであろう。一貫して米国が戦闘において殺害された人々の数を推定することを拒否していることがその一つの理由であり、また正確な数をかき集めることは、イラク政府の崩壊後においてほとんど不可能になっているからである。
・「私たちは、死者を数えたりはしない」とトミー・フランクス司令官は述べた。ブッシュ大統領は次のように述べている。「新たな戦略と精密兵器によって、われわれは民間人に対して武器を向けることもなく、軍事的目的を達することができる。人間のいかなるデバイスも、戦争の悲劇から逃れることはできない。けれども無実の人々よりも、犯罪者が戦争に恐怖せねばならない場合、それは大きな前進である。」
・ペンタゴンは、イラク人犠牲者の概数を伝えるべきであると考えている一人に、カーネギー・メロン大学において1991年の湾岸戦争の犠牲者を推定した人口統計学者のベズ・オズボーン・ダポンデ氏がいる。「ペンタゴンは、民衆への侵攻の影響に関心を持つべきである」と彼女は述べている。殺されたイラク人の数は、政治的な反論を招く統計である。戦争前、国連の担当官に基づく評価によると戦争で50万人が殺されるであろうとの見通しを明らかにし、それは戦争に反対する人々に広く引用された。崩壊以前のイラク政府は4月3日、2252人の民間人が殺され、5103人が負傷したと主張した。バグダットは4月9日に陥落した。
・ペンタゴンが推定を行わないために、その他は宙に浮いてしまった。
・ロンドンに拠点を置くウェッブサイト“IraqBodyCount”は、イラクの民間人犠牲者の評価を行ってきた。戦場からのメディアのカウントを基礎にしている。その数値は、最小で2197人、最大で2670人となっている。このサイトの調査員は、犠牲者の評価に関する最低二つの独立した報道機関からの情報を基礎にしており、その情報源はカタールにベースを置くアルジャジーラ、アラブ・サテライトから、ニューヨーク・タイムズまでを網羅している。このサイトの調査員は、名も語られることもなく殺され、忘れされらた戦争によって失われる犠牲者に絶望を感じている。「しかしながらイラクに対する猛攻によって殺された多くの民間人は、また彼らの犠牲の総数は、虐殺に対して税を支払う人々には気づかれないままであろう」とそのサイトは述べている。このサイトは、ニューハンプシャー大学の経済学者であり、アフガン戦争の犠牲者をカウントし続けたマーク・ヘロルド氏の取り組みに基盤を置いている。彼は、調査員は報道された最低二つの組織からの証拠によっているために、イラクの数値はあまりにも低いものであろうと述べている。「独立した二つの情報源を得ることは努力を要することである。しかし多くの例が示すように、その場面を極めて詳細に書き上げた唯一の人物を持っている」とヘロルド氏は述べている。ロンドンにおける推定犠牲者数は、実際の民間人死亡者数よりも10〜20%おそらく低いであろう、彼は見ている。
・ロバート・スケールス退役将軍は、このウェッブサイトの数値が正確かどうかは分からないが・・・・・米軍は、民間人の損害を避けることに成功したと結論づけている。「死亡した民間人をめぐるあまりにも不釣り合いな数は、殺そうと意図したものである。これは普通ではない」と彼は述べた。歴史的なタームでは、イラクにおける民間人犠牲者は小さいものであると彼は述べている。これまでの第二次世界大戦におけるドイツの例と比較しても。イラクの人口が2300万人だとすると、57万5千人の犠牲者が出たことになる。
ダポンデ氏による湾岸戦争の犠牲者の評価は1万3千人である。その中には、一ヶ月近くにわたる空爆によるものも含まれている。
・しかしヘロルド氏は、特にイラクのような都市の対するターゲットの場合には、精密で強力な今日の米軍兵器は民間人犠牲者を減らしてはいないと述べている。「これらの爆弾が目標近辺をヒットしたとしても、付近の民間人を殺害する事になろう」と彼は述べている。
・しかしワシントンにある“戦略と情報研究センター”のアンソニー・コーデスマン氏は、戦後を分析した中で、イラクにおける「effects-based」爆撃は、無差別な損失というよりもむしろ限定された効果を生み出すことを目的とした空爆であり、民間人の犠牲者を減らしたと述べている。「たとえ、歴史的なタームにおいて米英が、取るに足らない民間人犠牲者と二次的な損害を負わせたことをイラク人が示唆してとしても」。「いかなる数値を彼らが生み出したとしても、それは議論されるであろう」とヘロルド氏は述べている。「ベトナム戦争において、彼らはその教訓を学んだと」。
資料3 The Christian Science Monitor 22 May 2003
Surveys pointing to high civilian death toll in Iraq
Preliminary reports suggest casualities well above the Gulf War.
・イラクの独立系のものを含む調査によると、先の戦争において5000−10000人のイラク民間人が殺されたことを示唆した証拠が集まりつつある。
・いまだに確定的な推定を行うことは時期早尚かもしれないが、調査員たちは警告している。3500人の民間人が殺されたと見られている湾岸戦争をはるかに越える民間人犠牲者のレベルに達する病院、墓地、モスク、家庭からの速報に。「数千人が死亡し、数千人が行方しれずとなっており、数千人が捕らえられている」とイラク赤新月社の追跡部の責任者のハイダー・タイエ氏はバグダットで述べた。「これは巨大な悲劇である」。
・非戦闘員に対する武力行使の一つの目安として、兵士が直面した抵抗と比較して、イラクにおける戦争は、特に残虐である。1989年のパナマ侵攻作戦“正当な理由(Just Cause)”では、米軍の軍事的災難によって13人のパナマ人が殺された。先の戦争で5000人のイラク人が殺されたとするならば、その比は33対1となる。米軍と英軍の担当官は、民間人の犠牲者を避けるであろうすべてのことを行うと主張していた。しかし、戦闘が終了して以来、爆弾がそれたり、ターゲットを間違えて選択したしまったり、米軍が首都北部に向けて急速に押し寄せたために、空から、地上から多くの民間人を殺してしまったことが明らかになっている。
・イラク政府当局が秘密にしてきたイラク軍兵士の犠牲者に関する数値は全くない。多くの民間人犠牲者を引き起こした一つの要因であり、犠牲者の正確なカウントを複雑にしている要因は、神出鬼没のフェダーイン軍が、進軍する同盟軍部隊と戦うために民間人に家屋に隠れたり、民間人の服装をしていたからである。
・病院の記録もない。そのために、真の民間人犠牲者の規模は、過小評価されているだろうと見られている。
・「私たちは病院からの情報に基づく数字を入手しているが、それはほんの断片であることを即座に理解した」と、バグダットの赤十字国際委員会の職員であるネーダ・ドウマニしは述べている。「殺された個人を追跡し続けることは困難である。また私たちは、補足できなかった数字もあると思われます。私たちは、それらを公表することを見合わせています」。
・「戦争の期間、ある人たちは死亡証明書を求めて病院に遺体を運んできました。その他には、道、あるいは学校で発見された遺体を埋葬していました」とバグダットの墓地の責任者は語った。「イラクに、誰が今すぐに民間人の死者に関する数値を与えることができるのですか」。
戸別調査
・Campaign for Innocent Victims in Conflict(CIVIC)は、戦争における犠牲者の詳細な聞き取りを実行する150人の調査員を動員してきた。米政府の援助を得ることを目的に、死亡者、負傷者、財産の損失に関する記録を集めている。全集計には数ヶ月を要するとCIVICの取りまとめ役のマーラ・ルジスカ氏は述べている。また、そのデータはますます入力されている。しかしボランティアたちは、南部の町ナシリアではすでに1000人を越える民間人犠牲者を記録している。それは首都と同数である。「バグダットでは、1000あまりの墓を発見した。それは最終的な数値ではない」と赤十字の担当者は語った。地方の住民たちが民間人が埋葬されていると言っている(墓地を)「毎日、私たちは次々と発見している」。調査員たちは、米海兵隊バグダットに侵攻した道沿いのナシリアとナジャフの間のユーフラテス川に沿って、特に高密度で民間人犠牲者を発見している。アフガニスタン(1800人の民間人が殺されたと見積もられている)とイラクの最も大きな違いは、アフガニスタンでは航空戦が支配的であったのに対して、イラクでの戦争は地上/航空戦であった点であるとヒューマン・ライツ・ウォッチの研究員、ルービン・ブルゲティーは述べている。「航空戦は、無傷ですむ。しかし精密兵器を保有していたら、格段に正確に多くのことを成し遂げることができる。しかしこのことは地上戦では当てはまらない。しかし地上戦には多くの犠牲者を伴うことは明らかである。地上戦はやっかいなのである」。
一つの焦点 クラスター爆弾
・「多くのクラスター爆弾が人口密集地で使用された」(ヒューマン・ライッツ・ウォッチ)。イラク全土における、民間地域と隣接するイラク部隊に対する、非精密火砲であるクラスター爆弾の使用と市街戦の組み合わせは、民間人の死者の数は1万近くとなるであろう、と見られている。
中略
イラク人民間人死者
・非政府系メディア組織は、先の戦争において殺害された民間人の数に関して大きな幅のある数値を生み出してきた。その幅は、不完全で、不確定、有用ではない情報の結果に基づいている。
・IraqBodyCountは、・・・・・、4065〜5223人の民間人犠牲者。
・5月15日、AP通信は2100〜2600人の民間人の推定したレポートを題した。それは情報源には言及されていない。
・米国防総省は、死亡者に関す推定に関する一切を拒否している。
・二つの組織が病院を訪ね回り記録を数えあげることによって、バグダットの民間人犠牲者の推定数が明らかになった。5月18日のロサンジェルス・タイムズでは、1700〜2700人の民間人がバグダット周辺で殺害されたことを報道した。ナイト・ライダー・エージェンシー(Knight Ridder)は、5月4日、1100〜2355人の推定数を公表した。
資料4 Workers World 29 May 2003
Counting dead and wounded civilian
・ロサンジェルス・タイムズ紙:5月19日に病院の調査結果を掲載。バグダットのみで少なくとも1700人が死亡(確定)、8000人以上が負傷。
・さらに首都において記録されていない民間人の死者は、少なくとも数百人にものぼり、総計すると1000人近くになるかもしれない。この結果は、イスラム埋葬協会(Isramic burial societies)と失踪者を追跡している団体による。
・イラクの軍事的占領を統治している米軍のお偉方は、「民間人の死亡者を集計する計画はない」との声明を出した。ペンタゴンのスポークスマン−デーブ・ラピン中佐は、「殺された人々が、民間人か、兵士かを検証する方法がない」と言い放った。しかしその記事は指摘している。「たとえ軍服を脱いで、また兵器を手放していても、しばしば識別するためのいくつかの方法はある」と述べている。また「彼らのうちの幾人かは、私たちに、彼らが兵士であることをうち明けた。なぜならば彼らは、死ぬようなことになった場合、家族が捜すことができるように求めたからである」と医師は説明した。
・イラクの病院の管理者は、患者の情報と軍属を細部まで記録している。米軍が病院の略奪を認めた後にも、スタッフはどうにかしてメモ、患者の状態、埋葬された墓の情報を残していた。
モンスール中央病院
バグダットの4つの病院が集まったdub bed 医療シティにおいて、医師は、「米軍は、彼らの犠牲者の記録を押収し、移動させた」と報告している。市の登記所(誕生、死亡に関する)は、戦争による死亡者の公式なカウントの実施を求めた。しかし、それには数ヶ月を要するであろう。戦争期間中、病院は亡くなったすべての遺体を処理することはできなかった。多くは施設のグランドに埋葬された。モスクは車やビルに埋まっている遺体の捜索に協力した。若者たち15歳か16歳であるが、傷んだ遺体の埋葬にボランティアとして協力した。「米軍が来た最初の数日間の移動させるのに極端な危険をともなうにもかかわらず」と記事は述べている。「彼らは勇敢だ」「それは恐怖を伴う仕事だった、極めて恐ろしい」とボランティアを組織したエンジニアは語った。イラク赤新月社の行方不明者の追跡を担当するハイダー・タリ氏は、このように記録に残されることなく埋葬された墓地が3000近くにのぼるであろうと推定している。その内の三分の一は民間人の死者であろう。
・ウイリアム・M・アーキンは、最後の集計が終わった時、戦争で亡くなったイラク民間人の数は、「数千人になるであろう」と述べている。
資料5 The Guardian 17 May 2003
Campaigner Count Bodies to Ensure US Compensation
・略 「私たちは、米軍がこれ以上の民家人を撃たないだろうとは想像できない」。
・イラク戦争支援予算法案の下、それは先月通過した、24億ドルを“援助”(賠償、法的な意味での、公式には決して使われない言葉だが)とその他の支援、復興手段のために積み立てている。
・しかしワシントンの高官にとっては好ましいことではないのだが、イラクでの死者のカウントが存在している。唯一の独立した、また適正な調査が、米の人権団体によって実施されている。それは忍耐を要する過程である。
・それぞれのの病院には、死亡した患者や運び込まれた遺体が記録された手書きの本が存在している。
・バグダット中央のアル・キンディ病院では、サダム・フセインの像が轢き倒された4月9日までに192人の民間人が亡くなったことを示している。バグダット西部のアル・ヨモーク病院では、記録は行き届いてはいないが、病院が閉鎖された4月6日までの期間に99人が亡くなったことを示している。
・しかし両病院のスタッフは、記録が全ての数値を与えているのではないことを認めている。民間人が軍服を脱いだ兵士であるかもしれないし、また略奪者の手によって殺害されのもしれない。また病院に運び込まれることなく亡くなった人々もいるに違いない。「私たちが全ての数を知ることができるのか、分からない」と記録の責任者は述べている。
・最も正確な調査は、“Campaign for Innocent Victims in Conflict”によって実施されているものであろう。CIVICはカリフォルニアのマーラ・ルジスカ氏によって運営されている。彼女は、150人の調査員を有しており、三の異なる情報源によって亡くなったと報告されている民間人の犠牲者のおのおのを調べあげている。完全な集計となるまでには、少なくともあと数ヶ月が必要であろう。しかし集計は数千になりそうである。ルジスカ氏(26歳)は、昨年アフガニスタンにおいても同様な調査を実施した。彼女のチームは824人の民間人死亡者を確認した。その戦争で2000人が死亡したと彼女は信じている。
・彼女のロビー活動と民主党上院議員パトリック・レーヒーの支援は、法案における前例のない変更を付け加えた。過去の歳出予算法は、アフガニスタンの犠牲者への支援として375万ドルが割り当てられた。そしてすでに支出されている。彼らはイラク法のための証拠を準備しており、それはサダム政権の崩壊後に通過した。
・「私は、米政府が戦闘の犠牲者に対して人道的対応を取ることを求める」とルジスカ氏は述べた。・・・・
資料6 The Guardian 28 May 2003
Body Count
・略
・イラク人は、彼らの国に向けて開始された戦争は不法あり、すべての犠牲者は等しく哀悼が捧げられるべき無実な人々であると主張するであろう。さらに少ない西側の新聞や人権団体は、民間人に焦点を当てた戦争死亡者の計算を始めている。
・“Iraq Body Counter”は、民間人犠牲者を5425〜7041人と見積もっている。ロサンジェルス・タイムズのバグダットと周辺地区の27の病院の調査は、このエリアで1700人の民間人が亡くなったことを示している。
・このカウント間における偏りは、バルカン、チェチェン、アフリカにおける戦争の影響を受けたのであろう。その地域では、民間人は深刻な脅威にさらされている。イラクからの証拠は、この戦争が異なったものであることを示している。
・ロサンジェルス・タイムズ紙は、民間人600人の遺体とさらに多くの兵士の遺体を埋葬した4つのモスクの埋葬協会と接触した。イラク赤新月社の行方不明人の追跡の責任者は、記録されていない3000人の遺体を埋葬し、その内の三分の二が軍人であると推定している。
・バグダットでインタビューを行った政府高官や軍人が示唆していることは、軍人に死者が民間人を越えているということである。この不釣り合いは、第一次湾岸戦争ほど顕著ではない。その戦争では、3500人の民間人が死亡し、10万人の兵士が死亡した。
・この戦争では、大半の部隊の10%しか犠牲になっていない。この米・英軍が遭遇した抵抗は、イラク内部に侵攻するにしたがった、第一週に限定されている。その後は、多くが逃亡してしまった。
・戦場におけるイラク兵士の様子。
3月24日に、塹壕にミサイルが着弾し4人の兵士が殺害された。「最初の1週間で250人が175人に減った」。4月4日にはクラスター爆弾が、ドーラ市降り注いだ。負傷者を助けに行こうにも不発弾が多く、それも出来なっかった。そして負傷者は死んだ。このショックは新たな大量逃亡を引き起こした。4月9日までには、部隊は13人の将官と、腕に傷を負った一人の兵士だけになった。80%以上が逃避してしまった。25人、ちょうど10%が死んだ。
・イラク砲撃部隊の兵士の証言。4月5日に、空爆があった。一時間の間に、18砲の内7砲がやられた。これらは、民間人地域の路上に設置されていた。その他のものは、椰子の木の下に隠した。7〜10人が殺された。その他は逃走した。・・・・・
・中略
・戦争前、シンクタンクはイラク軍は38万9千人であり、その中に8万人の共和国防衛隊が含まれると見ていた。また6万人の準軍事組織と65万人の予備役がいると見られていた。後者の内のどれくらいに召集がかけられたのかは不明ではあるが。
・バグダット周辺における部隊において確認されている3〜10%の死亡率を外挿できるとすると、ある調査は、部隊と準軍事組織において1万3500人〜4万5千人の間の犠牲者が出たと見ている。最も激しい戦闘はバグダット近辺と南部からの途上で展開された。そのすべての犠牲者の割合は、低い方の数値に近いものであろう。
・戦争終了後の概算はラフなものである。しかしイラク政府がまったく集約していないために、それがすべてである。米はこの問題を避けている。「私たちはボディ・カウントをしない」と米軍指揮官であるトミー・フランクスは述べている。
[イラク特措法を廃案に!自衛隊派兵に反対する 7.20大阪集会]
■ 集会の報告
[基調報告]
イラク戦争の泥沼化、ブッシュ・ブレアの窮地の下でのイラク特措法廃案の闘い
[報告]
「恒久法」と日本軍国主義の新しい危険−−−国際平和協力懇談会の「提言」について
[集会決議]
イラク特措法廃案!自衛隊派兵を阻止する闘いを地道に作り上げよう!