[イラク特措法を廃案に!自衛隊派兵に反対する 7.20大阪集会 集会決議]
イラク特措法廃案!自衛隊派兵を阻止する闘いを地道に作り上げよう!

1.イラク戦争は泥沼化している。米中央軍のアビザイド新司令官は7月16日、イラクで「古典的なゲリラ型の戦闘が米軍に対し行われている」ことを認めた。現地司令官が「イラク全土が戦争状態にある」ことを認めたのである。イラク戦争をめぐる状況は新しい段階に入った。米英軍に対するイラク人民の抵抗は全土に拡がっている。戦争の「大義」のでっち上げが明白になり、米軍兵士の犠牲が拡大するにつれ米国内の世論も変わり始めた。米軍兵士からも政権トップに対する公然たる批判が噴出している。士気の低下と厭戦気分が拡がっている。

2.イラク特措法は破綻している。イラク特措法の前提条件が二重の意味で崩れている。まず第一に大量破壊兵器問題である。すでにラムズフェルド国防長官自身が「決定的新証拠なしに開戦に踏み切った」ことを認めた。第二にイラクの現状である。自衛隊が派遣されれば、ゲリラ戦争のまっただ中にたたきこまれることが確実となった。
 イラク特措法は、米軍が圧倒的な軍事力によって圧勝した、治安維持はスムーズ、相手が壊滅し抵抗が消失した、イラク民衆が米英軍を解放軍として歓迎している−−このような都合のいい超楽観的な虚構の上に成り立っていた。「大量破壊兵器はいずれ見つかるでしょ」、「非戦闘地域に派遣する」、「治安悪化は戦闘とは言わない」等々の言葉遊びはこのような甘い現状認識と見通しのもとで可能であった。しかし情勢は変わった。そして政府答弁も変わり始めた。「イラクの治安は期待したほど改善されていない」「殺すことも殺されることもある」「正当防衛は戦闘行為ではない」−−現実に銃撃戦と戦闘を行うことを前提とした答弁へ、イラク民衆の殺りくと自衛隊員の戦死を前提とした答弁に変わった。戦地への自衛隊の海外派兵と交戦、民衆の殺りく−−憲法を公然と蹂躙し、戦後一貫して否定してきた交戦権の行使に踏み込み始めた。
 米は激戦地バラドへの自衛隊の派兵を要求している。バスラでの英軍兵士の殺害、バグダッド空港周辺でのC130輸送機への地対空ミサイル攻撃−−日本が当初自衛隊派遣を想定した地域が次々と「危険地帯」となり、政府は動揺し始めた。政府は総選挙前、10月の自衛隊派遣の延期を示唆し始めている。イラク特措法は、成立を目前に控えかつてない危機にある。

3.小泉政権は選択を迫られている。イラク戦争の新たな現実を認め廃案にするのか、このまま虚構を積み重ねて自衛隊派兵まで押し切るか。泥沼化したイラク戦争への自衛隊の派遣が陸海空あわせて1000人で済む保証はない。数兆円の請求書はこれからである。これを決めるのは、イラクの現状と民衆の抵抗闘争、国際的力関係、国内情勢と国内世論、そして何よりも私たち国内の反対運動の力である。

4.小泉政権の責任は重大である。すでに、大義のない戦争、クラスター爆弾や劣化ウラン弾で数万人の人々を殺し甚大な被害を与えた戦争を支持した。さらに、占領軍、侵略軍への加担、民衆弾圧と殺りくに直接協力し、一人1億円で自衛隊員に死ぬことを要求している。アフガン戦争へのテロ特措法による加担以来信じがたいほどの対米追随、対米奉仕活動が抜き差しならぬ段階に入ったのである。
 イラク特措法は今週与党の強行採決で成立する危険性がある。しかし闘いはこれからである。イラク民衆の闘いは今後ますますこの特措法の条件を掘り崩すだろう。イラク特措法を発動させない闘い、自衛隊を派遣させない闘い、発動させても派兵軍を撤収させる闘いで攻勢に出ることは可能である。イラク特措法反対の闘いはアメリカの全世界での戦争に協力し自衛隊を海外派兵する「恒久法」、特に北朝鮮を想定した有事関連法の具体化=戦争にむけた国内総動員態勢に痛打を与えることになるだろう。私たちは長期戦の構えで地道な活動を続けていこう。

          2003年7月20日
       イラク特措法を廃案に!自衛隊派兵に反対する7.20大阪集会参加者一同