私たちが劣化ウラン戦争に反対する8つの理由

(「劣化ウラン戦争反対!小泉政権はイラク攻撃を支持するな!有事法制反対! 4・2緊急院内集会」基調より)


 私達は以下の点から、劣化ウラン弾使用に反対します。

1.日本政府は、劣化ウラン弾を新たな形の核兵器であると認めよ。劣化ウラン弾を使った対イラク戦争を核戦争と認めよ。
 劣化ウラン弾とは放射能をばらまく兵器であり、その被害は人体に対しても、環境に対しても、核兵器による被曝被害・放射能汚染と同じものである。その点で、劣化ウラン弾とは新たな形の核兵器であり、その使用は新たな核戦争である。
 しかし日本政府は、これまで一貫して、劣化ウラン弾を核兵器として認めてこなかった。これを認めれば、嘉手納など在日米軍基地に保管されている劣化ウラン弾が非核三原則に違反することとなるからだ。
 日本政府は劣化ウラン弾を新たな形の核兵器であることを認め、対イラク戦争を核戦争と認めよ。在日米軍基地の劣化ウラン弾の撤去を要求せよ。


2.広島・長崎の被ばくの苦しみを経験し、その上に立って非核三原則を国是とする日本が、劣化ウラン弾という新たな核兵器を使ったアメリカの戦争を支持するなどもってのほかである。


3.劣化ウラン弾は96年国連人権小委員会で非人道兵器・大量破壊兵器と決議されている。アメリカが唯一決議に反対し、日本は「棄権」した。なぜ棄権したのかその理由を答えよ。日本は劣化ウラン弾を非人道兵器と認めないのか。
 劣化ウラン弾の使用は、ハーグ条約およびジュネーブ条約に違反している。1996年国連人権小委員会では、クラスター爆弾や気化爆弾、生物兵器と並んで、劣化ウラン弾を大量破壊兵器・無差別殺傷兵器とする決議が採択されている。また、2002年の国連人権小委員会でも、劣化ウランを含む兵器の使用は、過剰な殺傷能力を発揮し、不必要な苦痛を与えるものであり、反人道的兵器とされている。
 アメリカはイラクの大量破壊兵器を破壊することを表向きの「大義名分」としている。小泉政権は繰り返し「大量破壊兵器」を支持表明の根拠にしている。劣化ウランの使用こそが、大量破壊兵器の使用である。「大量破壊兵器」廃棄のために「大量破壊兵器」の使用を支持するのか。
 国連で非人道兵器として認定されている劣化ウラン弾の使用など断じて許されるものではない。日本政府は、国連のこの決定を踏みにじるアメリカの劣化ウラン戦争への支持を撤回すべきである。
 また、この国連決議を尊重するのは当然のことである。日本政府は、劣化ウランを非人道兵器・大量破壊兵器として認めるのか否か、明らかにすべきである。
 さらに、この96年決議は、賛成15、反対1、棄権8で採択された。唯一反対したのはアメリカであり、日本は棄権にまわった。被爆国日本の代表が「棄権」にまわるなどとうてい許されるものではない。なぜ「棄権」投票を行ったのか、その根拠を明らかにすべきである。

4.日本でもアメリカでも危険な劣化ウランの環境への故意の放出は違法行為である。自国内で危険なもの、違法なものをイラクの人々の上にばらまくなどもってのほか。
 日本国内はもちろんのことアメリカにおいても劣化ウランは、核原料物質として、許可を得た事業者による厳重な管理の下におかれなければならないものである。当然のこととして、日本国内で劣化ウランをばらまくなどという行為は、犯罪行為に等しく、原子炉等規制法によって禁じられている。その劣化ウランが、イラク戦争では公然と兵器としてばらまかれている。自国内で危険で不法なものをイラクで使ってもいいというのはダブルスタンダードではないのか。まったく不条理なことである。
 劣化ウランという放射性廃棄物、放射性物質を他国領土へ不法投棄することは許されるのか。それをイラクの民衆や子どもたちの上にばらまくことは絶対阻止すべきである。


5.イラク攻撃に使われている劣化ウラン弾に日本の電力会社の劣化ウランが使用されている強い疑惑がある。このままでは、戦争支持だけではなく、日本が劣化ウラン戦争の加害者になる。「平和利用に限る」原子力基本法、武器輸出三原則に違反する。事実関係と見解を明らかにせよ。


6.日本政府は、劣化ウラン弾による被害を認めよ。
 1991年の湾岸戦争でもアメリカは大量の劣化ウラン弾を使用した。日本政府はこの湾岸戦争を支持し、90億ドル以上の戦費負担まで行った。現在、湾岸戦争で使用された劣化ウラン弾によって、イラクの子ども達の間にガン・白血病・先天性障害が多発している。日本政府は、この被害を劣化ウラン弾に起因するものと認めるべきであり、態度を明確にすべきである。


7.アフガニスタン戦争でアメリカが劣化ウラン弾を使用した疑惑を調査し明らかにせよ。
 2001年のアフガニスタン攻撃でアメリカが大量に使用した硬化目標攻撃用爆弾が劣化ウラン製であるという疑惑が深まっている。日本政府はアメリカに対し、アフガニスタンでの劣化ウラン弾使用の実態を明らかにするよう要求すべきである。


8.日本政府は日米安保条約違反のキティーホークの引き揚げを要求せよ。
 横須賀を母港とする空母キティーホークは、イラク攻撃の中心軸となっている。これは、日米安保条約の「極東条項」違反である。さらに、キティーホーク艦載機から硬化目標攻撃用爆弾が投下されている疑惑がある。もしそうだとすれば、日本が新たな核兵器・非人道兵器の使用に直接加担したことになる。日本政府は、即刻、キティーホークの引き揚げを要求すべきである。




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