おすすめ映画情報 『ミルク』
この映画「ミルク」は、第81回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞、編集賞、衣装デザイン賞、作曲賞の8部門にノミネートされ、脚本賞、そして主演のショーン・ペン氏がアカデミー主演男優賞を受賞しています。
この映画の主人公であるハーヴィー(日本ではこれまでハーヴェイと表記されていた)・ミルク氏は、アメリカの実在した政治家であり、ゲイであることを公表(カミング・アウト)してゲイを含む社会的少数者・弱者の権利のために行動した人物です。
彼は偏見と差別をはねのけて、1978年1月にサンフランシスコ市の市政執行委員に当選し、アメリカで初めてのゲイの政治家となりました。そして少数者への支援だけではなく公共・福祉政策で実績を築き、その後同性愛者の教師を解雇できるとする「提案6号」の住民投票に際し、それが成立すれば同性愛者のみならず人種の違う人々や障害者など社会的に立場の弱い人々全てにその反動の波が広がってしまうとして、その反対運動の先頭に立ちました。結局カリフォルニア州では反対が上回り、その反動的な条例案の成立を阻止することができました。
しかし、その直後の1978年11月27日に、同僚の執行委員だったダン・ホワイトにより民主派の市長だったジョージ・モスコーニ氏とともにミルク氏は射殺されてしまい、48歳の生涯を終えました。その直後サンフランシスコ市では3万人を超える人々がキャンドルを手に行進し、彼の死を悼みました。
この映画はミルク氏が政治家になる前から、射殺されるまでを克明に描いています。アカデミー主演男優賞を取っただけあって主演のショーン・ペン氏の熱演には感動してしまいました。
作品の終わりにミルク氏の熱いスピーチが紹介されますが、それは「希望を持つ」ことの大事さを何度も強調するものでした。「希望だけでは生きられないかもしれない。しかし希望を持たずに生きることはできない。あきらめからは何も生まれない。希望を持って生きよう。」というミルク氏のメッセージには、私たちも大いに勇気づけられます。彼が死んでから30年以上を経てもなお、彼が残した功績の大きさと彼のメッセージの重要さは変わっていないと思います。ぜひこの映画を見て、勇気と希望をもらって下さい。(公式ホームページはこちら)