東裁判報告

東京高裁の不当判決に抗議し
歴史の真実を取り戻そう

                                          最終更新:1999年1月28日

東京高裁・不当判決!

1998年12月22日(火)14時より東京高等裁判所810号法廷 (第7民事部、裁判長裁判官・奥山興悦、裁判官・杉山正己、佐藤陽一)で、 東さんの南京・戦争裁判の判決が出された。 奥山裁判長は判決の主文を淡々と読み上げていった。

「主文 一 本件各控訴をいずれも棄却する。
    二 本件各附帯控訴(当審における請求を含む。)をいずれも棄却する。
    三 原判決主文第一項は、請求の減縮により次のとおり変更された。
      控訴人らは、被控訴人に対し、各自金五〇万円及びこれに対する平成
      五年五月一日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
    四 平成八年(ネ)第二三七九号事件控訴費用は控訴人東史郎及び同下里
      正樹の、同第二四〇七号事件控訴費用は控訴人株式会社青木書店の、
      各附帯控訴費用はいずれも被控訴人の各負担とする。」

1996年9月に始まった控訴審は、正当な歴史認識を欠き、 国際的には全く受け入れられることのない不当な判決言い渡しで幕を閉じた。
東さんと弁護団は3時より 裁判所内の司法記者クラブで行われた記者会見で抗議声明を読み上げ、 この判決が「歴史の事実を根本から踏みにじ」り、 「裁判所が『まぼろし派』に加担し、 きわめて政治的な判断をしたこと」で 「この判決をとうてい受け入れることは出来ず、 直ちに最高裁判所に上告するとともに、 東日記と南京大虐殺の真実を広く世の中に訴えて、 歴史の審判を期す」ことを表明した。
また、記者会見後、裁判所前で、多くの支援者と共に、 「不当判決 俯仰天地に愧じず」の文字を内外の報道陣の前に示し、 判決の不当さと、正義は裁判所側でなくこちら側にあることを訴えた。

判決報告集会=不当判決抗議集会

その日の夜6時からシニアワーク東京(東京・飯田橋) 地下大講堂で判決報告集会=不当判決抗議集会が行われた。 会場には中国からの報道陣が多数詰めかけたが、 丹羽弁護士の発言にあるように「まぼろし派」の恫喝が早くも効いたのか、 日本の報道陣の姿は見受けられず、翌日の各紙の報道でも集会の紹介はなかった。 (中国の「人民日報」は第1報で判決の当日夜に市民が抗議の集会を開いた、 と報じている。)

集会では、3名の弁護士から判決内容の報告があった。 中北弁護士は正当な歴史認識を持たない裁判所を批判。 丹羽弁護士は、歴史認識を深め、まぼろし派と対決をと訴えた。 空野弁護士は歴史認識を欠いた裁判官の書いた、 想像もできない判決文だと述べた。

東さんは判決に対する抗議と不当判決に屈しないことを述べられた(後述)。 続いて「支援する会」の山内さんが、記者会見で発表した「抗議声明」 を集会の決議とすることを提起、全員の拍手で承認された。
また評論家の津田道夫さんが「日本兵はなぜ残虐行為に及びえたか」 という題で講演をされ、 南京大虐殺などの日本軍の侵略行為の底に流れる 日本人の精神構造について分析された。 最後に、中国からの取材陣から、 この判決の不当性を広く中国の人たちに報道する決意が述べられ、 各地より駆けつけた支援の方々からの発言も得られた。
                       (文責:芹沢 明男)


抗議声明

本日(一九九八年十二月二二日)、東京高等裁判所は、 三年前の東京地裁に続いて、 またも国際的な歴史感覚を欠如した不当判決を行った。
東日記が真実であることは、審理を通じて誰の眼にも明らかになっている。 判決は歴史の事実を根本から踏みにじっている。
この裁判の本当の主体は、歴史の証言者を裁判で恫喝し、 真実を語ることを妨害し、また、 南京大虐殺を「まぼろし化」しようと暗躍する者たちである。 彼らは南京の放火も虐殺も中国軍のしわざだと主張してきた。 こういう主張は歴史の改竄にほかならない。

裁判所が「まぼろし」派に荷担し、 極めて政治的な判断をしたことに強い憤りを禁じられない。
私たちは、この裁判をとうてい受け入れることはできず、 直ちに最高裁判所に上告するとともに、 東日記と南京大虐殺の真実を広く世の中に訴えても 歴史の審判を期することをここに表明する。

   一九九八年十二月二二日

 

                    東さんの南京裁判報告集会参加者一同

                   (東さんの南京裁判をささえる会
                    東さんの南京裁判弁護団 )


東史郎さん−政治的な判決に抗議

私はこの判決は非常に政治的な意味合いを持った判決だと思います。 その有力なる証拠として、 今日の判決は当初11月26日午後1時15分に発表されることに決まっていた。 その日を決めたのが9月8日の公判において判事が設定したのです。 9月8日から11月26日の判決まで80日間あるのです。 しかるに、延ばした理由として「判決文が書けないから延期する」 というのが裁判長の言い分であったのです。 80日間もあるのに、 専門家の裁判官が判決文が書けないから延ばすなどということは、 あり得ることではありません。 それを延ばした。なぜ延ばしたか。 11月25日に江沢民国家主席が日本を訪問した。 その翌日に今日の判決を下したらどういうことになるかということをおもんばかって、 一ヶ月延ばしたとしか考えられません。 即ち、政治的な意味において一ヶ月延ばしたことははっきりしています。

日本において司法が独立しているか、私は非常に疑問を感じます。 このような判決はますます国際問題化すると思います。 この判決は国際世論が承知しないと思う。 しかしあえて裁判官はその道を取りました。 私は今86歳と8ヶ月ですけれども、断じて引っ込みません。 丹後半島から6年間、2000日目の判決が今日の不当判決です。 みなさま、今後ともどうかご支援のほどを。


東京高裁の不当判決に抗議し、更なる支援体制を築こう

12月25日に東さんと弁護団は最高裁判所に上告の手続きをしました。 1月半ば頃には最高裁より上告受理の通知書が届く予定です。 今弁護団は、 通知書到着より50日以内に提出する上告理由書の作成に追われています。
1月14日には弁護団会議が開かれ、今後の方針が討議されます。 いずれにせよ高裁の判断は明らかになり、その不当判決に抗議し、 「まぼろし派」に抗して歴史の真実を明らかにすべく、 東さん支援の体制を組んでいくことが 我々の今年の課題であることがはっきりしました。 最後に東さんのご長男の東隆史さんからの年賀状を皆さんにもお届けいたします。

 父の裁判ご支援ありがとうございました。
 高裁の結果は残念でしたが、正義は必ず勝ちます。
 本年もどうかよろしくお願いいたします。

 

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