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死の影の谷間から
<死の影の谷間から>
ムミア・アブ=ジャマール/著
今井恭平/訳
現代人文社/刊
これまでの情報ログ
Comment on the Supreme Court's Decision in Williams I and II

2つのウィリアムズ裁判における連邦最高裁決定について

2000年4月24日
C.クラーク・キッシンジャー(Refuse and Resist)



 連邦最高裁が最近下した決定は、現在連邦地裁に係争中のムミアの事件と関連をもっているようです。以下は、レフューズ・アンド・レジスト(ニューヨーク市に拠点をおく人権団体でムミア支援を行っている)のC.クラーク・キッシンジャーからの情報で、2つのウィリアムズ裁判といわれるこの事件の連邦最高裁決定が、ムミアの裁判とどのように関連するかについての解説を含んでいます。
 
 翻訳は萩谷良さん。#は、今井による注です。


4月18日、連邦最高裁が、1996年に制定され、反テロおよび効率的死刑法(AEDPA)と呼ばれている、新たな人身保護法に関わりをもつ、2つの決定を発表した。どちらの決定も現在地区法廷のヨーン判事の決定を待っているムミアの裁判に影響するものだ。

新法が、ヨーン判事のような連邦判事の、州法廷判決を検討し、覆す権限を制限しうるか否かが重要である。
オコナー、レーンクィスト、ケネディ、スカリア、トーマスからなる5人の保守系判事が、リベラル派判事の4人を数で上回り、州の囚人が人身保護請求を提出した場合に、再審を命ずる連邦人身保護法廷の権限を制限する議会の決定を是認した。
今や、ムミアは、再審を受けられるためには、州法廷判事が正しくないとか間違っていたとかいうことを証明するだけではなく、彼らのとった措置が理由を欠いたものであることを証明しなければならない。言い換えると、ヨーン判事は、ペンシルベニア州法廷が正しくない措置をとったとしても、その誤りが理由のないものではないというだけで、ムミアの再審を拒むことが認められるのである。
だが、州法廷の決定が、単に正しくないだけでなく、理屈にあわない場合というのは、どういう場合なのか。このことを、連邦最高裁は言っていない。これを理由のひとつとして、少数派の4人の判事(スティーヴンズ、スーター、ギンズバーグ、ブレイヤー)は、この言葉の遊びを非難し、連邦判事の権威は新法によって低められてしまうことはあってはならず、連邦判事は、憲法問題に関する州判事の判断が間違っていたなら、独立に判決を検討して再審を命じる、昔ながらの、制約されることのない権利をもつべきだ、とつよく主張した。

では、ムミアの裁判はどういうことになるのだろう。なんの指針もないので、ヨーン判事は、ペンシルベニア法廷が連邦憲法問題についてくだすどんな決定をも、正しくないと呼んで、救済を拒否することも、理屈に合わないと決めつけて再審を命じることも、自由にできるように思われる。
この新たな決定は、ムミアの裁判でしかじかの事実が明らかになった場合に裁判がどうなるかということについて、何かヒントを与えてくれるだろうか。どうもそうは言えない。
ただ、この場合、連邦最高裁が、ムミアの裁判において提起されたのと同様の問題について、死刑判決を覆した(ウィリアム v. テイラー裁判)ということは、述べておくに値する。すなわち、刑罰の段階における審議の無効性(ineffectiveness of counsel during the penalty phase)である。

彼らは、ムミアの裁判ほどつよい説得力のない事実にもとづいて、バージニア最高裁の決定は理屈に合わないと判断することによって、死刑判決を覆したのである(レーンクィスト、スカリア、トーマスは、決定のこの部分に反対していたが)。

ヨーン判事が決定を下すべき問題としては、次のようなものがある。
  1. ムミアの裁判で、彼の弁護士が、なんの調査もしておらず、証人と話もしていないと認めているときに、州法廷がムミアの再審を拒んだのは、理屈にあわないことだったかどうか。
    #一審で、公選弁護人がほとんど弁護活動を放棄していたことを指す。このことを、当時の弁護人自身が認める供述を95年の再審請求の際に提出している。これは弁護士による法的援助を受ける権利を定めた合衆国憲法修正6条違反というのが弁護側の主張。


  2. 証人が、自分達は警察から、自分たちの見たことについての報告内容を変えるよう執拗に要求されたと主張しており、1人は虚偽の証言をしたと認めているとき、州法廷がムミアの再審を拒否したのは、理屈にあわないことだったかどうか。
    #95年から96年にかけて、一審当時に法廷に立つことを警察から妨害されたシングルタリー証人や、一審のとき警察に脅迫されて偽証したジョーンズ証人などがあらためて法廷に立ち、自分たちが警察からの脅迫を受けた事実を証言した。


  3. 地区検事局が、陪審員の資格のあるアフリカ系米国人を10人も陪審団から外したことを認めているときに、州法廷がムミアの再審を拒否したのは、理屈にあわないことだったかどうか。

  4. 証人の1人で、ムミアが、自白したとされている夜についてなんの言及もしていないと報告した人物が、証言台に立つことが出来ないという虚偽の報告のために証言することを妨げられた場合に、州法廷がムミアの再審をしたするのは、理屈にあわないことだったかどうか。
    #ムミアが事件当夜、「自分が撃った」と「告白した」という証言(事件から2カ月もたってから、フォークナーの親友だった白人警官が言い出した)に対する有力な反証として、当夜ムミアのそばに付き添っていた警官が、その日誌に「黒人被疑者は一言も口をきかなかった」という記述をしたことがある。この警官は法廷に証人として出廷を求められたとき、虚偽の理由を申し立てて出廷しなかったことが明らかになっている。


  5. 地区検察官が、ムミアの政治的発言と、事件より12年も前に関わりをもっていた団体のことを、証拠としてもちだしたりしているときに、州法廷がムミアの判決について新しく尋問を行うことを拒否したのは、理屈にあわないことだったかどうか。
    あるいは、これらの憲法違反についての誤り[原文通り]は、単に正しくないだけなのか。
    #ムミアがもとブラックパンサーであったことを検察側が法廷で陪審員に告げたことをさす。事件の無関係な思想的背景を示すことは、思想信条の自由を犯す。
第二の決定(これもウィリアムズ裁判と呼ばれている)は、ムミアと同様に、州法廷のさしがねで証拠の提出を妨害された再審申請者に、証人尋問の権利を認めている。
しかし、ムミアがこうした尋問の機会を得るためには、彼の主張の完全な記録を作ることがセーボ判事とペンシルベニア最高裁に妨害されたということを証明しなければならない。
これは、証人尋問に関する現存の法的枠組みを変えはしなかったし、我々の 証人尋問申請においてヨーン判事には充分に説明されていることである。

ただし、このウィリアムズ裁判において、被告の2件の殺人とレイプの有罪判決を支持する証拠はたくさんあった(ほかに4件の殺人と被告を結びつける証拠もあった)のに、連邦法廷は、被告がこの件で有罪か無罪という問題には全く無関係なくある問題で公正な裁判を受けているかどうかという問題だけにもとづいて、州法廷に拒まれていた尋問を証人したのだ、ということは、特筆に値する。


フィラデルフィアの連邦地区法廷における ムミア・アブ・ジャマールの尋問については、まだなんの日程も決まっていないが、その日にはおおぜいの人が午前9時から法廷の外に集まり、組織代表者、国際的法律家、外国からのオブザーバーを法廷に入れるという計画が進められている。ムミアの再審を支援する著名人は、人々に尋問にいっしょに参加することを呼び掛ける公共サービスから流すための声明を録音している。

その最初のものは、エドワード・アスナーによるもので、オンラインでは
http://www.freespeech.org/
で、RealAudioまたは、放送用音質のMP3で聴くことができる。我々は、放送関係者、アーティスト、活動家に、このテープの使用を勧める。
アリス・ウォーカーのテープも近々だされる。尋問の日程の発表を見逃しのないように。
www.j4mumia.org
をチェックするか、International Concerned Family & Friends of MAJ (215-476-8812)にお問い合わせ願いたい。


以下原文

Monday, April 24, 2000, 3:27 PM
From: "C. Clark Kissinger"

Impact of the new Supreme Court decisions on Mumia.
Comment on the Supreme Court's Decision in Williams I and II

On April 18, 2000, the United States Supreme Court issued two decisions concerning the new habeas corpus statute, known as the AEDPA, signed into law in 1996. Both decisions affect Mumia's case, now pending before U.S. District Court Judge Yohn

The more important opinion deals with whether or not the new law limits or restricts the authority of federal judges, such as Judge Yohn, to review and overturn a state-court conviction. By a vote of 5 to 4 the conservative majority, led by Justice O'Connor and including Rhenquist. Kennedy, Scalia and Thomas, endorsed Congress's action in placing "a new restriction" and "a new constraint on the power of a federal habeas court to giant a state prisoner's application for a writ of habeas corpus...." That new restriction limits the authority of federal judges to order new trials where the petitioner's constitutional rights were concededly violated. Now, in order to get a new trial, Mumia must demonstrate not only that the state court's judges were incorrect or wrong - but that their action was more - that it was "unreasonable." In other words Judge Yohn is authorized to deny Mumia a new trial even if the Pennsylvania state courts acted incorrectly - just so long as their error was not "unreasonable." But when is an incorrect decision by a state court "unreasonable"- as opposed to merely incorrect? This, the court did not say. That is why, in part, the 4 justices in the minority (Stevens, Souter, Ginsburg and Breyer) decried this word game and insisted that the authority of federal judges should not be diminished by the new law and that if state judges decided constitutional issues incorrectly then federal judges should have the time honored, unfettered right to conduct an independent review and order a new trial.

So where does this leave Mumia's case? Without any guidelines, Judge Yohn appears to be free to call any of the decisions by the Pennsylvania Courts on federal constitutional issues "incorrect" and deny relief - or label them "unreasonable" and order a new trial, Does this new decision give any hint as to whether - given the facts in Mumia's case - it's going to be one way or the other? Not really. However, it is worthwhile to note that in that case the Supreme Court reversed the death sentence (Williams v. Taylor) on an issue that's identical to one of the issues raised in Mumia's case: the ineffectiveness of counsel during the penalty phase. And they did it by finding the decision of the highest court of Virginia to be unreasonable on facts less compelling than those in Mumia's case (with Rhenquist, Scalia and Thomas dissenting from that part of the decision.)

An example of some of the issues that Judge Yohn will have to decide:
  1. Was it unreasonable for the state courts to deny Mumia a new trial when his lawyer admitted he did no investigation and talked to no witnesses?

  2. Was it unreasonable for the state courts to deny Mumia a new trial when 3 witnesses claimed they were harassed by the police into changing their account of what they observed and one admitted to testifying falsely?

  3. Was it unreasonable for the state courts to deny Mumia a new trial when the district attorney's office admitted to removing 10 qualified African-American jurors?

  4. Was it unreasonable for the state courts to deny Mumia a new trial when the one witness who reported that Mumia made no comments on the night he was alleged to have confessed was prevented from testifying by the false report that he was unavailable?

  5. Was it unreasonable for the state courts to deny Mumia a new hearing on sentencing when the district attorney introduced evidence of Mumia's political statements and associations 12 years earlier?
    Or, were these errors about constitutional violations merely incorrect?
The second decision (also named Williams) upheld the right to an evidentiary hearing for a petitioner, like Mumia, who was precluded from introducing evidence by actions of the state court. However, in order to get such a hearing Mumia must demonstrate that Judge Sabo and the Pennsylvania Supreme Court prevented him from making a complete record on his claims. This did not change the existing framework of the law relating to evidentiary hearings and was fully briefed to Judge Yohn in our motion for an evidentiary hearing It is worth noting however, that in this Williams case, with abundant evidence supporting the defendant's conviction for a double murder and rape (with evidence linking the defendant to 4 other murders), the court granted a hearing denied by the state courts solely on the issue of whether or not the defendant received a fair trial an issue totally unrelated to the question of his guilt or innocence.