「グッドニュース!10月2日、また3類にえらばれました!規律違反しなかった、それからきびしい規則の中で、きんちょうしながら、いっしょうけんめい、真面目にはたらいた結果と思います。これから月3回面会できるので、みなさん、よろしくお願いします」
その翌日、足どりも軽く横浜刑務所を訪れた片川さんと私を、ゴビンダさんは満面の笑顔で迎えてくれました。
「10月3日、運動会がありました。今年は、私も開会式に参加しました。楽しかった。グランドで、500mlのスポーツドリンクとバナナ1本もらって、夕食にはクリームケーキも出ました。美味しかったです」
まだ少し興奮気味のゴビンダさん。なにしろ変化にとぼしい刑務所生活のこと。運動会は、みんなが楽しみにしている一大イベントなんですね。
片川さんが、もうすぐネパールに旅立つが、何かほしいものはないかと訊ねると、
「娘たちの写真をたくさん撮って来てください。家の中だけじゃなく、学校に行くところとか、いろいろ」
「それがね、なかなか撮らせてくれないんだよ。去年、通学の様子を撮ろうとしたら、恥ずかしいから、学校にまでついてこないでくれとか言われちゃって」
(そりゃそうだ。年頃の娘たちなんだから)と、そばで聞いている私は笑ってしまったのですが、
「大丈夫ですよ!お父さんが見たがっているからと言ってください!」
と、大まじめな顔で頼んでいるゴビンダさんなのでした。
10月28日、この日は私一人で面会に行きました。22日にネパールから来日中のLさんを蓮見さんがお連れしたので、これが今月3回目の面会ということになります。
「ちゃんと3回、来てくれたんですね。エライ、エライ!」と褒められて(?)しまいました。
「三浦さんのこと、ニュースで聞いて、びっくりしました。アメリカの警察署の中で自殺できるなんて、信じられないことです。背中に傷とかあったんでしょ。もしかして殺されちゃったかもしれない。日本政府、なぜ文句言わないですか?おかしいですよ」と、しきりに憤慨していました。
ゴビンダさんは、三浦さんと面識はないのですが、東京拘置所にいた頃、何度か差入れや手紙をいただいたことがあるので、サイパンで逮捕されてからの動きをずっと気にかけていたのです。きっと、三浦さんの支援を受けていた他の方たちも、獄中でニュースを聞いて、ゴビンダさんと同じように衝撃を受けていることでしょう。
「4年前に買ってもらった冬用の下着、もうボロボロになってしまいました。穴があいたところ、何度か針と糸で直したんだけど、これ以上、無理みたい」というので、新しいニットキルト上下を差し入れました。
ゴビンダさんにとって、横浜刑務所に来てから6回目の厳しい冬が、もうすぐやって来ようとしています。
客野美喜子