ゴビンダさんは、緑のズボンに帽子。それに面会用らしい白の上着を着て面会室に現れ、何時ものように両手を合わせて「ナマステ!」と、明るい笑顔で挨拶した。
面会に同行してくれた客野さんが「面会を知らせた葉書は届いた?」と聞いたらば、それはまだ届いてないらしく、「何と無く今日は面会に来てくれる気がして、昨日はヒゲを剃りました」
「テレパシーですね!」「心が通じあってるんですね!」と笑い合って話が始まった。
ゴビンダさんは、布川事件の決定を、昼のニュースを録音で流す夜に知ったそうで、両手を叩きながら、「嬉しくて拍手しました」と、本当に嬉しそうに話してくれました。自分の体験でもありますけども、何んらか希望が欲しい獄中。我々の闘いが仲間の希望になる事実を目の前にして、もっと頑張らなければと思わされました。
ネパールの家族のこと、再審の弁護団の動き、私には判らない話もしてましたが、一番の気掛かりは家族。それなんだと感じました。社会に待つ家族がいる。それは幸せなことなのに冤罪の身は、そのことが苦しみや悲しみになる。何も無かった私は、ただ獄中の日々を明るく楽しく全力で、とやれましたが、ゴビンダさんは、そうは行かないですね。でも、そこを頑張って欲しいと思うし、そう言って来ました。
弁護団が鑑定をしたそうですが、布川が終われば、次はゴビンダさんの番ですからね。期待してますし、勝利に近づけるように、私も力を貸したいと思います。
今回のゴビンダさんは顔が明るかった。それが前回との違いでした。最後に、ゴビンダさんはアクリル板に両手を押し当て、さよならを言いました。私も、その手に重ねるように当てましたが、彼の手の温もりは感じられなかった。一日も早く取り戻したいですね。皆さん、一緒に頑張りましょう!
桜井昌司