「こんな暑い時間に、ここまで来るの大変だったでしょ。日傘とかさしてきた?」
まずは、こちらを気遣ってくれるゴビンダさんに、
「大丈夫。あえて一日で一番暑そうな時間帯を選んで来たんだから。そのほうがゴビンダさん、嬉しいかと思って」と笑うと、
「ほんと、面会室に来たときだけ、少しの間でも涼しい思いができて、ほっとします」とうなづき、「工場には扇風機があるけど、自分の部屋にはまったく風が入らないので、いつも汗びっしょりです。今年も体のあちこちに汗疹が出来ちゃって・・・」と、顔をしかめながら、二の腕を見せてくれました。
しかし、暑さにまいってはいても、「このところ、嬉しいニュースが続いたので、気持ちは、とても明るいです」とのこと。
「昨日、桜井さんにハガキを出しました。7月14日の東京高裁の再審開始決定、おめでとうと書きました。また検察が"特別抗告"したそうだけど、もう大丈夫ですよね?きっと再審無罪になると信じてます」と、熱をこめて言っていました。
昨年来、最大の心配事だったラダさんの甲状腺腫が、ニューデリーの病院で受けている投薬治療のおかげで、「もうほとんど見てもわからないほど小さくなった」と、前回の面会で、蓮見さんから聞いて、「ほんとによかった。安心しました」とのこと。
また長女ミティラが、6月に優秀な成績でSLC(School Leaving Certificate:小学校から10年間の中等教育の修了試験)に合格し、さらに2年間のAdbance Level (高等教育)への進学が決まったことも、父親であるゴビンダさんに、大きな喜びと希望を与えています。
「Advance Level には、4つの学科があり、ミティラは『マネージメント』を選んだ」というインドラさんからの報告を伝えると、とても満足そうに頷いていました。
ミティラの合格を知ってすぐ、7月4日付でお祝いの手紙を、私の住所に送ったそうです。しかし、今日現在、まだ、その手紙は私のところに届いていません。毎度のことながら、ネパール語の翻訳と検閲に1ヶ月以上も要することに溜息をつくしかありません。
面会後、購入窓口から「汗止め粉末」を差し入れました。つまりベビーパウダーです。今どき、こんなものを使っている成人男性が、世間にいるでしょうか? しかし、これが文房具、下着、運動靴、洗面用品などと並んで、刑務所の購入品リストにあるのです。つまり、「ベビーパウダーは、受刑者にとって、夏の必需品!」と公認されてるわけですね。
追伸:
今年の運動会は、10月3日に決まったそうです。
客野美喜子