彼は私がネパールから帰ったばかりの事を知っていましたので、まず私に声をかけました。金井さんから預かった娘二人へのお土産を渡したことを報告し、私が撮った家族の写真、ネパールの写真を見せました。家族の写真には本当に喜んでいました。母親もしっかりと写っています。
彼は気遣いもしっかりしていて、私の報告を聞くと次に金井さんを見つめ、二人の話を平等に聞く態度を示します。金井さんが13日に裁判所要請があるが、いまゴビンダさんが一番裁判所に伝えてもらいことは何かと聞くと、身を乗り出して『私は事件を起こしていない。何もしてない私が10年以上もここにいるのは納得できない。もうこれ以上人生を無駄に出来ない。お父さんの死に目にも会えなかった。どんどん大きくなっていく娘にも早く会いたい。この苦しみを裁判所にしっかり伝えて欲しい』と厳しい目付きで話しました。私たちにはゴビンダさんの怒りや悲しみが良く分かる、間違いなく裁判所要請で伝えると約束しました。
また、金井さんがネパールに一度も行った事がない事を知ると『ここを出て国に帰ったら、是非自分の家に来てくれ。ネパールの山々を案内したい』と家族の写真を前にふる里のイラムを懐かしそうに思い描きながら話しました。
ネパールの山の写真、祭りの写真、家族の写真を前に元気に明るく二人を気遣いながら時間の来るのも忘れて語りあいました。
今は「支える会」の人との面会時間が最高の喜びだと言っていました。
1日も早く再審を勝ち取り、無実の彼をネパールの家族の元に返しましょう。
片川俊一