無実のゴビンダさんを支える会

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きょうは運動会  2006年10月18日

「今日は運動会やってますから、面会の順番が前後するかもしれません」
 受付の刑務官に言われて門内に入ると、たしかに、小学校の運動会などで耳慣れた音楽にまじって、「ウオ〜ッ!!!」という、地を揺るがさんばかりの凄まじい大歓声が聞こえてきます。
「すごい盛り上がってるみたいですね」
「ここ2年ばかり雨続きで運動会ができなかったから、今日は久しぶりなんですよ」
 千人近い大の男ばかりが、ここぞと日頃のストレスを発散しているというわけ。これはもう「声援」というより、文字どおり「雄叫び」そのもの。

  「うちのパパ、きっと張り切ってるわよ。こういうの、だあい好きだから」
 「今日が運動会だって知ってれば、面会、別の日にしたんですけどね」
 「本人たちには、いつ、こういう行事予定を知らされるのかしら」
 「さあ、でも水曜が免業になること多いって聞いたことあります」
 「じゃ、これから水曜はなるべく避けたほうがいいかもね」
 面会室で、他の家族たちと話しながら、待つこと40分。ちょうど3時になる頃、番号を呼ばれました。

 ゴビンダさんは、ずっと野外にいたせいか、健康そうに赤く上気した顔をほころばせて、面会室に入ってきました。
 「ごめんね。せっかくの運動会の日に、おじゃましちゃって」
 「大丈夫、大丈夫。ちょうど今、終わったとこだから」
 「あ、3時までだったんだ。それならよかった。ゴビンダさんも、なんか競技に出たの?」
 「いえいえ、私は応援だけ」
 「そうなの?走るの、得意じゃなかったっけ?」
 「それは若い頃。今は、これだから・・・」と、出っ張ったお腹をポンポンたたく仕草。
 なにしろ大人数なので、各工場から選ばれた代表だけが競技に出るのだそうです。ちなみに、ゴビンダさんの所属する「第13工場」は、全部で19ある工場中、5位だったとか。  「こんなお天気の良い日に、丸1日、外で過ごしたのは、久しぶり。とっても気持ちよかった。昼食にはバナナがついてたし、夜にはお菓子も出ます」と上機嫌。

 「私、4類から3類になりました。ほら、見てください」
 得意げに突き出した胸のカラーバッチは、先月までの黄色から緑色に変わっています。
 「おめでとう!ゴビンダさん。えらい、えらい(拍手)」
 「3類は、月3回面会できます。手紙も月4通出せます。あと月1回、お菓子食べながら映画、見せてもらえる」
 その他にも、私物(本、手紙、写真など)を手元に置けるとか、差入品がすぐ翌日に受け取れるなど、いろいろ処遇面でのメリットがあるそうです。

 「みなさんからの手紙、ちゃんともらえてます。私、とっても喜んでる。なかなか返事、書かなくてゴメンナサイと伝えてください」  みなさん、事情はわかってくださっていると思うが、一人一人に返事を出すのが難しいなら、「支える会」への手紙で、お礼を述べたらよいのではないかと言っておきました。

 東京高裁・第四刑事部の裁判長が交代したことを話すと、「そうですか!今度はどんな人?」と身を乗り出して訊いてきました。よくわからないが、とくに悪い評判は聞いていないから、まずまず良識的な裁判長なのではないかと思う。ゴビンダさんが再審のことをいつも気にかけているのはわかっているが、なにしろ長い時間がかかることだから、弁護団を信頼して良い知らせを待っていてほしい。とにかく、今のゴビンダさんに出来ることは、少しでも早く仮釈放をもらえるよう、ここでの1日1日を大切に過ごすことだと思う。
 「ここを出られる日は必ず来るから、それまでがんばりましょうね」と言うと、「わかりました!」としっかり頷いていました。
 最後に、来週木曜日、事務局の西村さんと村石さんと一緒に、今月3回目の面会に来ることを約束して別れました。

客野美喜子