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3年ぶりの再会  2006年7月27日

3年ぶりでゴビンダさんとの面会を果たした、支える会の小野寺敦子さんからのメールを掲載します。
ゴビンダさんは、いつも笑って現われる。
小菅の時も、そして今日の横浜でも。

くやしいのだから、悲しいのだから、
泣いたっていいのに、笑顔じゃない時はない。
それも、いかにも幸せそうな、くもりのない笑顔だ。
来てくれた人に悪いからだろうか。
それとも、涙は全部飲み込んでしまったのだろうか。

私は、3年ぶりで会ったのに、ナマステさえ言えなかった。
だって泣くべき人が澄んだ目をして笑っているのだもの。

毎日、涙を飲み込んでいたとするなら、
おなかがふくらんでもよさそうなものを、
とてもスッキリ、スマートで、顔色もよく思えた。

腕に赤いバッチをつけて、「これは真面目に勤務した人だけにくれるもの。
今のとこ、ボクたち三人だけ」と言ったような気がしたから、
いっそう気おくれしてしまった。
いきなり暗い落とし穴に落ちたような不運にめげず、あのように
清々しい笑顔になれるとは、どれだけのことを水に流したのだろう。
私は話す言葉を失ったまま、小学生のように客野先生の横にいて、
ガラスの向こうのゴビンダさんを遠い人のように眺めていた。

独房というからには、食事も一人ぼっちなのだろう。
一人の食事は淋しい。淋しいからいろんなことを考える。
こみあげて涙と一緒に飲み込むこともある。
面会で泣かなくても、彼の泣き場はいっぱいあるのだね。
聞いて良いことはあまりに少ない。
面会の後は、いつものことながら、彼を置き去りにする
うしろめたさにとらわれる。

客野さんと別れて横浜線に乗った。
夏野菜の畑を通過する。
まっ盛りの収穫を積んだ軽トラが家路を急ぐ。
房の外は生活に満ちているというのに、今のゴビンダさんには無縁。
突然、ひまわりの大群が広がった。
つい今しがた、ゴビンダさんに差入れたタオルと同じ色だ。
彼が選んだ黄色、なるほど元気な色だ。
空の下のひまわりは、夏の猛暑にもめげず、
細い茎に大輪を持ち上げ、そのまま元気な色になっている。
畑は元気がみなぎって、夕日に負けず、丈高のひまわりは黄色。
連日雨続きで水かさの増した川が勢い良く下る。
やがて海に出るまで遠くない。
きっと、そう遠くないよね。
こんど、ゴビンダさんにも、そう伝えよう。

小野寺敦子