若草色の作業着で面会室にあらわれたゴビンダさんの第一声。
だいぶ前から今日の面会を心待ちしていたが、朝、起きてみたら雨だったので、ここまで来るの大変だろうと気にしていたとのこと。東拘にいた頃から、こういう細やかな気配りを、いつも誰にでもしていたっけ。ゴビンダさん、変わりませんね。
体調
先月まで「風邪がぬけきらなくて喉が痛い」と言っていたので、「その後どう?」と訊ねると、「喉はもう痛くない」。「それなら、今のところ、体調はいいのね?」と念を押すと、「ええ、でもお・・・」と口ごもり、「体はいいけど、夢がわるくて・・・」。
「は???」と聞き返すと、いつになく弱々しげに言うには、「毎晩、裁判で負ける夢ばかり見ちゃう」んだそうです。「今からそんなに心配しなくても大丈夫。新しい弁護士も2人増えたし、勝負はこれからなんだから」と慰めましたが、こんな夢を見るのは眠りが浅い証拠。やはり、逮捕以来、今日まで、安眠したことがないのでしょう。
ネパール情勢と家族の安否
昨日、蓮見さんがラダさんに電話したところ、「食料や燃料を買いだめして家にこもっていれば安全だから心配いらない。物価は上昇したが、とくに生活に問題ない。騒乱状態もやっとおさまって、子供も学校に行きはじめた」と言っていたことを伝えました。
「24日に国王が民主化へ向けた演説を行ったのを受けて、25日、主要7政党がゼネストと抗議行動の中止を決定。26日、毛沢東主義派も3カ月間の停戦を宣言。ネパール情勢は正常化しつつある」という最新の動きについて、ゴビンダさんも、およそのことはTVニュースなどで知っていると言っていました。今日のインターネット・ニュース(英語版のカンティプール、ヒマラヤンタイムズ、ネパールニュース)をプリントアウトして持参したところ、「パンフレット扱い」で差入れることができました。
家族との文通など
3月8日に受け取ったラダさんの手紙に返事を書いて、4月11日、客野宛に発信したそうです。ただし、これが翻訳・検閲を経て、実際に私のところに届くのは、また1〜2ヶ月先ということになるでしょう。
オーストリアの妹さんからの手紙(12月にゴビンダさんが書いた手紙に対する返事)が、先日、神田先生経由で刑務所に届いているのですが、これもまだ翻訳中です。
手紙の往復に半年もかかることを考えると、ゴビンダさんが家族来日を待ち望む気持ちはよくわかる。ただ、お母さんの再来日は体力的に難しいようだ。むしろ、次に来てもらうとしたら娘さんたちかと思うけれど、年齢的な配慮も必要だろうし、いずれネパールの国情が落ち着いてから、あらためて検討することにさせてほしいと言っておきました。
日本語クラスの成果
「ひらがなは、全部、読み書きできるようになった。今、山とか川とか、簡単な漢字を習っている」のだそうです。クラスは6月までなので、どのくらいできるようになるかわからないが、その後も自習は続けたいとのこと。
3級に昇進!
「わたし、今月から3級になりました」と、胸のバッチを見せてくれました。
「おめでとう!よかったじゃない」
「これからは、手紙の発信も面会も月2回できます。手紙は、1通は家族、もう1通は支援者のみなさんに出します。でも、面会は、今までどおり、月1回でいいです」
「え、どうして?せっかくだから月2回来るようにするよ。来てほしいでしょ?」
「それは、私は、毎日でも来てほしいけど、忙しいから大変だろうと思って」
じつは、もっと早く知らせてくれれば、4月も2回面会できたところ、どうやら遠慮して知らせなかったようです。そんな気を遣わなくていいのに。
しかし、考えてみると、5月から新法施行により累進処遇が廃止されて、基本的に誰でも月2回面会できるようになるんですよね。ゴビンダさん、せっかく3級になったばかりなのに、なんか、損したような気も・・・(苦笑)。
客野美喜子