再審開始・その日のうちの釈放
嵐のような激動の翌朝のゴビンダさんは?
「再審開始決定」と「刑の執行停止決定」、そして「即日釈放!」という大勝利から一夜明けた6月8日の午前10時、家族3人と横浜の入管に行き、ゴビンダさんに面会を申し込みました。ちょうど宮村啓太弁護士が面会中とのことで、待つこと30分。案内された面会室は、拘置所や刑務所とほぼ同じ。しかし、アクリル板の向こうには、「私服の」ゴビンダさんが、やや緊張した面持ちで座っていました。
「体調はどう?」「疲れてない?」「昨夜はよく眠れた?」ゴビンダさんと家族は、ごく日常的な挨拶や互いを気遣う言葉を交わしました。一昨日、成田到着後に横浜刑務所で面会したゴビンダさんと、今日、目の前に座っているゴビンダさんとでは、法律上の「身分」が一変しています。しかし、あまりの急激な展開に、本人も家族も、まだ実感が湧かないのでしょう。少なくとも表面的には、いわゆる「感動的な対面」とかではなく、ごくごく普通の落ち着いた様子に見えました。
以下は、家族との会話の後、私がゴビンダさんから聞いた話です。
7日午前10時すぎ、神田安積弁護士の面会で「開始決定と執行停止決定」を知らされた。その後、「荷物をまとめておくように」と刑務官から指示された。受刑者仲間たちは、工場の昼休みに「ゴビンダ、バンザイ!」と喜んでくれた。その後の動き(高検が異議申立をしたこと、釈放を取り消すよう高裁に求めたが、高裁が棄却したことなど)も、神田弁護士を通じて承知していた。そして夕方5時すぎ、刑務官から「釈放だ」と告げられた。まさか、その日のうちに釈放されるとは期待していなかったので、その瞬間、「頭が真っ白に」なってしまった。いよいよ外に出るときは、集まっている報道陣から撮されないよう、大勢の刑務官が人垣で取り囲んで護送車に乗せられた。30分くらいで入管に着き、7時のテレビニュースで、今朝「開始決定」が出た瞬間の裁判所前の映像やラダさんのインタビューの様子などを見ることができた。収容者が少ないため、いくつもベッドのある部屋に1人で入っている。テレビを自由に見られるし、シャワーもいつでも浴びることができる。ただ、古い下着類を出所時に捨ててきたので、着替えのシャツとパンツがない。汗をかいて気持ちが悪いので、1枚ずつでよいから差し入れてほしい。それから支援者に手紙を書くための便箋と封筒、切手も手元にない(これらは1階のコンビニで買って差し入れました)。「ここまで来られたことを、支援者のみなさんに感謝していると伝えてください」とのことでした。
客野美喜子