無実のゴビンダさんを支える会

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これからは、笑って話しをしよう
2011年9月12日  蓮見順子

 7月23日づけの鈴木鑑定により、事件現場にゴビンダさん以外の人物がいたことが証明され、再審開始に向けて大きな進展を見てからはじめて、9月11日に妻のラダさんと兄のインドラさんが来日しました。  ラダさんは9回目、インドラさんは3回目の来日となります。12日(月)お二人は今回の来日で最初の面会に、横浜刑務所を訪れました。面会に同行した蓮見順子さん(支える会 共同代表)のレポートを掲載します。

 9月12日午前8時45分に、ゴビンダさんの奥さんのラダさんとお兄さんのインドラさんと共に目黒の宿泊先を出て、横浜刑務所に向かいました。港南中央の駅から、横浜刑務所に向かって行くと、刑務所の敷地に入る路上に多くのメディアが待ち受けていて、簡単な取材と、二人が刑務所に向かって歩く様子を撮影しました。

 刑務所の面会待合室で少し待って、番号を呼ばれ面会室に入ると、扉が開いてゴビンダさんが現れましたが、いつものような笑顔はなく、少し堅い表情で私たちにナマステの挨拶をしました。
 夫婦兄弟が抱き合わんばかりに喜びを露わにして再会する場面を想像していた私には、ちょっと不思議な感じでした。それでも、やはり家族ですね。まるで毎日会っているかのようにすぐに親しい会話が始まりました。ゴビンダさんが最初に言ったのは、これまで家族との面会では泣くことも多かったけれど、このように良い状況が生まれたのだから、これからの面会では泣くのはやめて、笑って話をしようということでした。
 家族の話に入ってゴビンダさんが訊ねたのはまずお母様の体調についてです。私が面会に行くときは、前もってカトマンズの家族に電話をして、確認して行きますが、時にはお母様の体調が非常によくないこともあります。それでも、心配しないようにかならず、元気ですよと伝えます。
 インドラさんは、歩くのも困難になっているし、酸素ボンベが必要であるなど、かなり詳細にお母様の体調を説明していました。口先だけの元気ですよの言葉より、ゴビンダさんも納得したようでした。

 娘さんたちの学校の話などの後、今回の新展開の話に入りました。インドラさんは、ネパールでこの件が大きく報道され、連日報道陣からの取材や電話に追われているとか、友人たちからくる沢山のお祝いの電話などについてなど話して聞かせました。
 カトマンズではほとんど誰もがこの件について知っている、そしてゴビンダさんは無実だと信じているということを伝えました。ゴビンダさんは、もしネパールの人々が自分に対して、ほんの少しの疑いをもっていたとしても、それは今回のDNA鑑定の結果で、すべて払拭されたと言いました。検察はどうしてこのような大切なDNA鑑定もせず、無実の人間を14年間も牢に入れておくのかと、怒りを露わにしていました。
 インドラさんは、そのような怒りのために、家族と会ってうれしくても堅い表情になったのだと後で言っていました。

 インドラさんが、大勢の取材陣が面会が終わって私たちが出てくるのを待っていると話すと、ゴビンダさんは、メディアはずっと自分に好意的に報道してくれている。感謝していると伝えてほしいと言いました。
 最後に私が、唇と胸についた唾液から、B型のゴビンダさんのではないO型の血液反応が出て、弁護団がそれを新たな証拠として申請するということを伝えると、ゴビンダさんは初めて嬉しそうににこっと笑って、扉の向こうに消えました。

 この後、照りつける太陽の下、近くの公園で沢山のメディアに囲まれ取材を受けました。それが済んで、ラダさんとインドラさんはさらに三つのメディアから個別の長い取材を受け、4時過ぎにようやく中央港南駅を後にすることができました。長い一日でした。

 ラダさんとインドラさんは21日に離日するまで、刑務所の定める面会回数の許す限り面会に訪れるほか、14日の支援集会や東京高裁、東京高検への要請などゴビンダさんの早期釈放・再審開始を働きかけるために連日多忙な予定をこなすことにしています。