東京高裁刑事4部は、とうとう再審開始を決定した。さらに刑の執行停止が実現し、ゴビンダさんは当日のうちに横浜刑務所を出て、東京入国管理局横浜支局に移った。あとは帰国のための手続きが整い次第、強制送還という形だが、来日中の家族(妻ラダさん、長女ミティラさん、次女エリサさん)と一緒に、79歳のお母様や兄インドラさんたちの待ちわびる故国ネパールの首都カトマンズに帰ることになる。
ゴビンダさんが日本で一生懸命働いた仕送りで建てた家を、ゴビンダさん自身は今度初めて見ることになる。
支える会は、決定前日の6月6日、家族3人の緊急来日を招請し、7日の決定には3人が立ち合い、喜びの瞬間を支援者とともに分かち合うことができた。
ラダさんたちは、6日早朝6時20分成田着のタイ航空で来日。その足で横浜刑務所に向かい、ゴビンダさんに面会。ゴビンダさんは、明日は絶対によい結果がでる、と笑顔で家族を迎えたという。
本日7日は午前10時の決定通知を高裁前で大勢の支援者やメディアとともに待ち、「開始決定」と書かれた垂れ幕を掲げた弁護団の一人が駈けてくる姿を確認した瞬間、3人は抱き合って喜びを表現した。
午前11時からは、弁護団と日本弁護士連合会の記者会見に同席し、喜びと支援への謝意を述べた。
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家族とともにメッセージを寄せる、左から菅家利和さん(足利事件無罪)桜井昌司さん・杉山卓男さん(布川事件無罪) 写真提供/日本国民救援会 |
その後午後1時半より、支える会、国民救援会の支援者とともに東京高検を訪れ、再審開始への異議申し立てをしないように申し入れを行ったが、この時点ですでに検察は異議の申し立てをしていたことが判明し、要請はいつもに増して厳しいものとして行われた。
だが、午後3時過ぎ、東京高裁が早々と刑の執行停止に関する検察の異議を棄却したことが伝わり、にわかにゴビンダさん釈放が現実味を帯びてきた。
再度、司法記者クラブに戻って記者会見したラダさんは「今日は、朝は開始決定にふさわしい青空だったが、その後 検察の異議申し立てで嵐のような悪天候になり、最後にまた釈放という形で晴れに戻った。慌ただしい1日だった」と笑顔で語った。
家族は、あす横浜刑務所ではなく、入管施設でゴビンダさんと面会することになった。私たち、支える会はできるだけ早急にゴビンダさんの帰国が実現するよう、引き続きサポートしている。