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日本はアフリカの紛争解決のために力を注いでいるのではないですか。高村外務大臣は、3月にガボンで行われたTICAD IV閣僚級準備会議での演説で次のように、TICADと平和の関係を述べています。 「『経済成長を通じた貧困の克服』という、アジアの先行事例は、アフリカでも必ずや有効であるに違いない――。TICADはそう、信じて参りました。インフラ作り、ODAによる投資の誘発、農業支援という日本の提案は、この方向を推し進めるものであります。またそのためにも、「人間の安全保障」や「平和の定着」が大切である。これも、TICADが弛まず主張してきたことでありまして、日本の新提案は、ここに十分な目を配ろうとしています。」 紛争地域では、投資も金儲けもできない、ということでしょうか。しかしこの「平和の定着」という軍事的な要素が絡む概念が、TICADプロセスの中で提案さてきたことに、危険な匂いを感じざるを得ません。 「平和の定着」の目的がたんに、アフリカにおける投資や金儲けの環境づくりだけではない、ということは、1993年のモザンビーク、94年のルワンダ周辺国(ケニヤ、ザイール)などのアフリカ諸国だけでなく、カンボジアや東ティモールなどへのPKOへ断続的(ゴラン高原へは10年続けて今でも!)に参加し続けている現状とTICADが発足した時期を重ね合わせることで、容易に想像ができるのではないでしょうか。 最初のTICADが行われた1993年は、当時の細川首相が国連演説で安保理常任理事国入りの意思を表明した年でもありました。日本政府は2005年にも安保理常任理事国入りを画策しましたが、失敗に終わりました。しかし同年12月に国連内に設立された平和構築委員会の一角を占め、PKO派兵への道筋を確保し続けています。 国連の中でも大きな票田であるアフリカへの支援とPKO派兵の継続は、これまで何度も挫折してきた日本の国連安保理常任理事国入りを実現するためではないでしょうか。 日本政府は、次なるアフリカへのPKO派兵として、スーダン派兵を狙っています。しかしスーダンは、自衛隊をその活動領域に組み込もうとするアメリカ軍の対テロ戦争の対象地域です。イラクにおける米軍活動の支援は憲法違反である、と厳しく断罪された自衛隊が、ふたたび米軍の対テロ戦争の影の下でPKO活動に従事することは「平和への定着」に逆行すると言えるのではないでしょうか。 日本が世界に誇り貢献できる「平和の定着」は、TICADや国連などの場で憲法9条の理念を広め、その実現に向けて踏み出すことではないでしょうか。沖縄に次ぐ在日米軍が駐留する神奈川の地でTICADが開催されるいま、私たち市民はもう一度「平和の定着」のために日本がしなければならない貢献を考える必要があるでしょう。
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