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2003 年 3月 1日 元西陣小学校にて 西陣分校 |
西陣の早春は天神さんの「梅」 2003年からは新しく西陣分校として、新しい企画を始めました。実際にゲストとして、職人の方にお話をお伺いし、参加者のみなさんといっしょに、西陣が培ってきた文化と季節感を実際に味わいます。 早春といえば、西陣では北野天満宮の梅が有名です。そこで、北野天満宮の梅で染めをされている梅染研究所の山本晃先生においでいただき、ものづくりへの思い、梅とともに生きてきたご自身のお話をお伺いすることにしました。 染織に興味のある方、地域の文化に興味を持っている方、地元西陣の方など、雨の降る中を10数名の方が参加してくださいました。 |
梅染めにたどり着くまで 山本先生が友禅の道に入った頃からのお話を聞かせてくださいました。兵庫出身の先生は京都にあこがれて、友禅の道に入られたそうです。それから、化学染料を使った染めよりも草木染めに魅力を感じ、試行錯誤するなか、梅染めに出会ったそうです。 当時、梅染めをされてる方はおられず、古文献のみからしか情報を仕入れることができません。それまでにご自分が培ってこられた友禅の技法などを使って、梅染めの美しい色を出す方法を見つけられたとのことです。 |
天神さんとの縁 ある日、山本先生が山積みされている梅の枝を見て、北野天満宮の宮司さんに聞いてみたところ、難なく持ち帰ることにOKが出たそうです。北野天満宮にしてみれば、業者に依頼して処分するようなものなので、それを持っていってくれるなら...ということで、梅の枝を必要とする山本先生とニーズが一致したわけです。北野天満宮の梅は、どんな人でももらえるそうです。 片方で捨てるといっていたものを、もう一方でもらってリサイクルする。今は、エコの意識が高まり、多くの方がそれを考えていますが、山本先生は20年も前にそれが人としての基本的な流れなのではないかと感じておられたそうです。 |
梅染めには古木を使う 従来、草木染めには、皮を使うのだそうです。しかし、梅染めには、皮のない古木を使います。その芯の部分は割ってみると真っ赤になっているのだそうです。枝に残っている色素を使って、染めをされるそうです。200年も経つと、幹は空洞化してしまうのですが、それでも花を咲かせ続けるのは、梅の生命力の強さを感じさせます。 また、赤みを強めたいときは、紅梅の新しい枝を使用するのだそうです。新しい枝のときは、皮を使って、染めます。山本先生は、それらを出したい色に応じてブレンドし、自在に使い分けるのだそうです。 |
自然への畏敬 「植物は正直なんですね。技術だけ学んでも、精神が横を向いていれば、どこかでトラブルが起こる。今の人には考えられないような自然への尊敬や感謝の心、そういう精神面を、僕は梅と通して学んだし、それをみなさんに伝えたい」という山本先生。ここに先生ご自身のの人生を通して感じてこられたことが凝縮されてるように感じました。 草木から命をもらって染める草木染め。 「私たちは『色』として見るけれども、木にしてみれば、『命』であり、『血』なんですね」と山本先生。だからこそ、大事にひとつひとつの染めの作品をつくっておられる方のお言葉は、誰よりも説得力があります。 |
最後は「老松」さんの和菓子で締め 最後には、北野天満宮の梅苑にもお菓子を提供しておられる有職菓子「老松」さんの梅を使ったお菓子とお茶をいただきました。 天神さんの梅を1年間つけ込んで作っているという「梅酒羹」。そして、お茶もただのお茶ではありません。梅園で出されているという梅のお茶です。 今回は、貴重な機会とあって、参加者の方も興味深げに先生のお話聞き入っていました。また、それだけでなく、季節の風味もじっくりと味わっていただきました。 |
参加者の感想 このような場があるってとっても素晴らしいことだと思います。 京都の素晴らしさをもっといろんな方々に伝えていければと心から思います。 初めてのものづくり塾で初めての場所で梅染のお話ももちろんよくて、貴重な体験でした。あんなにじっくりと職人さんのお話を聞けるなんてそうそうないですし。実際、この眼で作品を拝見してやさしい色合いに、また一つ素敵な出会いをしたなあという気持ちになりました。 |
梅って育てたり、観賞したり、食べたり、そして染めたりほんといろんな楽しみ方があるんだなあと実感しました。季節を味わうっていいことですね。なんだかとても日本人な気がします。 これからも機会があれば参加してみたいのでまたいろいろとお知らせください。ありがとうございました。 梅染めが作る「つながり」とやりたいことを受け入れてくれる京都と人々、うらやましい限りです。 |
また、みなさんと一緒に四季を楽しみながら西陣をよく理解していただくための企画を進めていきますので、みなさんご参加くださいね。 |
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