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「西陣の四季を味わう 〜晩夏の節」
〜先人の知恵を生かした住文化を残すために〜
2003 年 8月 30日 蘗(ヒコバエ)ノ家にて
西陣分校

西陣の夏の涼を味わう

第4回目の西陣分校には、関西木造住文化研究会(KARTH)の田村さんと武田さんをお迎えしました。会場はいつもの元西陣小学校から場所を移し、KARTHのオフィスでもある町家「蘗ノ家」にお邪魔してお話をお伺いしました。

今回は、実際に夏でもクーラーのいらない町家の空気とじっくり感じていただこうというねらいです。


少しひんやりした町家の空気

蘗ノ家は、すごくシンプルでありながら、素材や工法にこだわった町家です。
中に入ってみると、少し空気が落ち着いた感じがするのがわかります。それは、家の柱や土壁が湿気を吸収してくれるからです。また、表から裏庭まで風の通り道ができているので、いつも適度に風を感じることができ、快適であることに気付きます。

講師の田村さんの頭上にある黒い球体は体感温度を測定するグローブ温度計です。この家では家中の温度や湿度を常時測定しています。この日は25度。外よりも5度ほど低い気温でした。湿度は30%程度とのことでした。


KARTHの活動と町家を取り巻く環境

まず、蘗ノ家ができた経緯と、KARTHの活動について、代表幹事の田村さんからご紹介いただきました。3年ほど前にNHKのニュースで取り上げられたときの映像も拝見し、棟梁の方や大学と協力して進めておられる防火や耐震の実験の様子を拝見することができました。

「町家の素材や工法については、安全性を示す根拠がないから建てられない」という行政の姿勢に対して、「それならば、その安全性を証明する実験をしよう」というのが活動の趣旨です。


打ち水」の実験

夏の涼をとるために、庭へ「打ち水」をして、部屋を涼しくするという習慣があります。これは、庭の気圧を変え、対流を起こすことで風を吹かせるというメカニズムになっています。

その「打ち水」をすることによって、室内の温度がどのように変化するのか、部屋のさまざまな高さの温度が測れるよう、温度計で計測されてました。

今年は雨が多くて、この実験はなかなかはかどらなかったそうです。


素材と家の造りにこだわる

夏は涼しく冬は温かい暮らし方、地震に強い柱の立て方、そして、地球環境に負荷をかけない土壁...町家について、素材から、構造から詳しくお話をおうかがいしました。

しかし、今、伝統工法と言われる手段で町家を建てることのできる職人さんは70代、80代の方が中心です。今のうちに継承しておかなければ、もう、それを教えてくれる人はいません。そんな現実も考えさせられました。


「京の夏野菜カレー」を味わいました

今回は講演会のあとに、懇親会を開催しました。担当してくれたのは、いつものとおり、五感食楽の小平さん。

京都嵯峨の地鶏、美山のじゃがいも、山科なす、太秦のぼっちゃんかぼちゃ、伏見とうがらしなどなど、京の夏の食材をふんだんに盛り込んだカレーです。ごはんはもちろん、丹波篠山のコシヒカリ。ひとつひとつの食材を味わいました。

素材や調理方法にこだわったカレーはやはり絶品!おかわりする女性もいたりですぐに売り切れてしまいました。


盛り上がった懇親会

カレーを味わいながら、講師の田村さん、武田さんを囲んでの懇親会。
参加したのはものづくり塾の塾生、染めの職人さん、町家の保存に関わる方、宇多野ユースホステルの方々...

それぞれ立場は違いますが、伝統文化を残すという思いは同じ。これらを取り巻く厳しい現状と思いを語り合い、じっくりと今日の講演を深める場となりました。


運営にあたり、宇多野ユースホステル様のご協力をいただきました。ありがとうございました。

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