韓国平和ツアー報告
2000.6/29〜7/3
独立記念館・キヨレー(民族)の塔
東京平和運動センターは、4年前から日本軍による住民虐殺などの戦争犯罪を現地で実証するためと歴史の認識を正しく理解するために平和ツアーを取り組んできました。タイにおいての捕虜、シンガポールにおいての住民、南京市民、大石虎石溝鉱山労働者、撫順市平頂山住民虐殺などの実態を現地で視察し、なんと残酷な言葉もでないほどの大きなショックを受けました。
そして小説「悪魔の飽食」でその実態が世に出され世界の人々を恐怖に陥れたハルピン市の関東軍第731細菌部隊跡を訪問したときには人には言えない緊張感を覚えたものでした。
今年は本郷議長を団長(自治労東京委員長)に16団体、労組から18人が参加し、侵略し支配し36年間植民地としてきた隣の国、韓国において日本軍国主義の犯罪の現場に行く事としました。6月29日成田空港を発った飛行機は2時間余で韓国金浦空港に到着、皆で韓国は本当に近いなあと言うのがまずは第一声、そして空港の外は日本の梅雨空と同じどんより曇っていてむし暑いのも同じ、迎えのバスで首都ソウルに向かう車は快調に飛ばしていたが、突然、通訳さんが道路を横切るかたちでのデコボコのコンクリートについて、これは北からの侵略に備えて地雷が埋め込まれているのだとの説明にエッと息を飲み込む、翌日「統一展望台」に向かう途中、漢江の土手はスパイ侵入防止のための軍用有刺鉄線が張り巡らされて厳重な警戒がしかれ、高速道路の数箇所には中央分離のブロックを取ればただちに軍用機の滑走路になるし、ソウル防衛のため建築した高層アパート群も戦争に備えて他のアパートよりも外壁は厚くなっているとの説明に、改めて韓国は朝鮮戦争が1953年7月休戦協定後今日まで続いている状態に変わりなく、民族分断の悲劇をみることになり、そのことが統一台でさらに詳しく説明を受け一日も早い平和的統一を願う事になりました。
韓国挺身隊協議会との交流 6月30日ソウル市
今回の韓国訪問では、「韓国挺身隊問題協議会(従軍慰安婦)」との交流、「光州学生運動記念館」「西大門刑務所跡」など日本軍の戦争犯罪を中心に視察しましたが、天安市黒城山麓に1982年に完成した「独立記念館」について報告することにします。豊臣秀吉の侵略から西郷隆盛の征韓論とつづき1894年明成皇后(閔妃)殺害から始まる韓国侵略の実態が詳しく展示されています。軍国主義日本の韓国支配は世界の歴史史上、その類例がないほど苛酷なものであったとして、具体的に韓国人の言論、出版、集会、結社などあらゆる自由を剥奪して、独立運動に対する非人道的な弾圧、土地調査事業としょうして土地の収奪、日本式に強要するため氏名の剥奪、神社参拝、皇民教育、中国・太平洋諸国侵略には強制的に徴兵、婦女子は女子挺身隊として動員し従軍慰安婦としての犠牲を強いるなど、121万坪という広大な敷地に第7展示館まで建設し詳しく展示してありました。中でも日本軍は独立運動家に対する取締りは残虐をきわめ、虐殺した写真や監獄内での逮捕した韓国人民を拷問にかけている場面は実物大の人形を使い、苦しさのあまり悲鳴をあげる声なども流され、とても日本人としてはそこに居ることはできませんでした。
今日、日本では国会議員や閣僚や学者などが再三にわたり、韓日併合は正しかった侵略ではないと植民地支配の否定、従軍慰安婦についても否定と問題発言があとをたたないが、タップコル公園内であった韓国の歴史を学ぶ日本の修学旅行の生徒に会ってホッとした気持ちになりました。高等学校の海外修学旅行の70%が韓国を訪問しているとの報道にこれから将来の韓国と日本の信頼関係がさらに増し、ひいては朝鮮半島の平和的統一も近いうちに実現するのではないだろうかと思います。通訳の女性は共和国の金正日総書記が8月15日には今度はソウルを訪問するだろうと統一にむけて目を輝やかしていたのが非常に印象的でした。
歴史の大きな流れからすれば韓国と日本は世界で最も近い国といえるのが今回の韓国平和ツアーでした。韓国の友人を多く作り交流を深め平和統一に向けて私たちも努力していきたいと思います。
■訪問先の説明
◆6月29日(木)
○景福宮
朝鮮王朝を建国した委成桂によって1392年に建てられた最初の正宮。12万6000坪あり広大な敷地に200棟をこえる殿閣があり、栄華を極めたが1592年壬辰の乱により焼失。
日本軍統治時代は建物を遮蔽するように「朝鮮総督府」が建てられたが5年前に完全に撤去した。
◆6月30日(金)
○西大門刑務所跡(歴史館)
祖国の独立のための数多くの愛国烈士たちが苦しめられ、命を奪われた西大門刑務所は韓国民族の独立の現場であり、生々しい歴史の跡地になっている。
○タップコ公園
1919年3月1日、日本帝国からの民族独立が宣言された歴史的な場所北側の壁面には独立運動の場面を描いたレリーフが並び当時の様子を物語っています。
◇韓国挺身隊問題協議会との交流
日本軍従軍慰安婦問題を支援するNGOの協議会。日本に対する賠償問題などについて講演と交流。
◆7月1日(土)
○独立記念館〜天安市
自主と独立を守り通した韓民族の歴史・文化と特に国難克服史及び日本帝国主義の侵略に対抗した独立運動、そして国家発展に関する資料を収集、展示、研究することによって国民の透徹した民族精神を涵養し、人類平和に貢献することを目的に建てられた。
日本の教科書における韓国歴史の歪曲事件をきっかけに、1982年8月建設を決議し国民の募金により1987年8月15日完成。
◇光州市市民、学者、新聞記者の皆さんとの交流
1980年5月17日、全斗煥保安司令官(その後大統領)が前年10月の朴正煕大統領暗殺以降高まっていた民主化運動弾圧のため、戒厳令を韓国全土に拡大し、金大中、金鍾泌氏ら与野党指導者を拘束したのをきっかけに、光州市で市民たちが、激しいデモを展開した。このため戒厳軍が投入され翌18日から27日にかけ軍と武装した市民たちが衝突し、政府発表によると193人が死亡した。
この光州事件について全南大学・呉在一教授、光州市経済流通局体鄭昌均氏の皆さんとの交流。
翌日、呉教授らの案内で、「光州学生運動記念館」「光州事件犠牲者墓地・望月洞墓地」など視察。
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