1 社会民主党の「社会」の意味って
かつての社会党、現在の社会民主党の党名の「社会」の原点にある思想は、「喜びも痛みも共に分かち合い、お互いに支え合う」ことだと思います。この間、「自己責任」が強調され、あらゆることが「自助努力」に帰されてきました。
その結果、痛みは高齢者、障がい者、女性、失業者、貧困者に強く現れ、地方から都市に人も金も移動し、活力が失われていきました。
けれども、都市は地方なくして存在することはできませんし、人間は一生強く賢くいられる訳ではありません。どうしたらより公平で公正な社会システムを作ることができるのかを住民の方々と一緒に対話し、暮らしに一番近い場所から政策を考えるのが、私たちの役目です。
2 仕事と住まい
私は大学生の時から16年間、仕事と住まいを失った「ホームレス」の人たちの元にボランティアで通ってきました。この経験が私の政治に関わるきっかけです。
当時から「日雇い労働者」の方々は、仕事がなくなれば即野宿になり、やがては路上死に繋がる厳しい状況が既にありました。不安定な働き方であればある程、失業した時に生活丸ごとの破壊が始まります。
派遣など不安定な仕事を選ばざるを得ない人が増える中、暮らして食べていかれるまともな仕事と、生活の基礎となる住まいがあらゆる人に必要な状況になりました。
社民党は「ヒューマン・ニューディール」を提案し、医療・介護、教育、農業・林業、環境保全、太陽光発電などの自然エネルギー創出、公共交通などの分野で働く人を増やす提案をしていますが、地域社会の維持に必要不可欠で、将来性のある領域へ産業の構造転換をすべき時です。また、「同一労働同一賃金」など、正社員と非正社員の賃金を均等にし、労働時間の短縮や食べていかれるような最低賃金の設定を進めます。
3 暮らしの安全網−医療・介護・年金・福祉
日本には「国民皆年金」の年金制度も、「国民皆保険」の医療制度も、「介護の社会化」の介護保険もありますが、この国の「お寒い現実」が身に沁みるのは、経済的に困窮した時や病気になった時、歳を重ねた時です。伊那谷でも、「こども時代の貧困化」や「老老介護」や「孤独死」は無縁ではありません。単身化と高齢化と雇用の不安定化という現状で、国民の不安を受け止めきれていない社会保障制度に対する国の責任=公的支出を増やすことが必要です。
全国どこでも、子どもを産む場所があり、自治体病院や公立病院を中心に必要な医療を受けられるよう医療従事者増や病院運営に国がてこ入れすることが急務です。
また、現役時代の賃金格差により、男性に比べて平均寿命は長いのに、年金額が低い高齢女性の貧困を解消するためにも、月額7万円以上の暮らし基礎年金を求めていきます。
4 食べ物・水・みどり
伊那谷で農業に従事する多くの方々から、「農業では食べれない」「農業を継いでくれと言えない」という切実な声を伺います。しかし、他方で日本の食糧自給率は40%ととても低く、食の安全も大きな課題です。また、耕作放棄地の増加により、田んぼが果たしてきた「天然のダム機能」=保水力も低下しています。
農業や林業の新たな担い手を養成し、地産地消を進めると同時に、生産物の販路拡大に向けて地方(生産者)と都市(消費者)の「食べ物」を媒介にした交流を進めます。「農園民宿」や「農地付き別荘」などを活用し、伊那谷の魅力を全国各地に発信します。
また、地に足の付いた「スロー」な暮らしを望む人たちが増える中、昔ながらの開発などに走らず、伊那谷の豊かな環境を維持していきます。
5 非戦平和と憲法
私は赤穂高校時代、平和ゼミナールの活動で、戦争中、駒ヶ根市に疎開していた「陸軍登戸研究所」の研究員の方々から聞き取りをするなど、地域の戦争の歴史を掘り起こしてきました。また、社会人になってからも米軍機の爆音訴訟や、憲法を守るグループにも参加してきました。大義や正義を語りながら、その真の姿は人殺しでしかない戦争に加担せず、平和構築の役割を担います。
しかし、日本は相変わらずアメリカの戦争に加わろうとしています。憲法を変え、自衛隊を自衛軍にしようとする動き、自衛隊海外派兵恒久法案の動きなど、予断を許しません。
アメリカはオバマ政権に変わりましたが、日本に対する軍事的な依存と要求に変化はありません。在沖縄米軍のグアムへの移転経費3兆円や在日米軍への「思いやり予算」毎年2000億円以上など、日本に支払う余裕はありません。
日本が世界に果たす貢献方法は、医療・教育・農業・灌漑・災害復興支援・地雷撤去などいくつも考えられます。