Subject: [Africa on Line 00000024] 第24号!
Mon, 8 Nov 1999 23:50:00 +0900
========================================================== ■■■■ ■■■■■■■ AFRICA ON LINE ■■■■■■ アフリカ情報インターネットマガジン ■■■■ 第24号 1999年11月8日発行 ■■■ ========================================================== □今回のもくじ ■アフリカからの話題 ●モンバサの少女 ■アフリカの紹介 ●アフリカ関連WEBサイト ■アフリカ関連イベント ●全国ツアー ●北海道 ●関東・甲信越 ●中部・東海 ●関西 ●海外 ■今日のひとこと ----------------------------------------------------------- ■Realtime Africa アフリカからの話題 ----------------------------------------------------------- 南野さんはケニアでスワヒリ語を学んだ後ジャカランダクラブでスワヒリ語 クラスの講師を勤められていました。現在名古屋でスワヒリ語クラス「フラ ハクラス」を主宰されています。この記事は南野さんが生徒向けに書かれた 文章をご本人の許可を得て転載しました。なお次回のスワヒリ語クラス生徒 の募集は来年の4月です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ●モンバサの少女 by 南野 純 東阿弗利加の街は東京の街程大きくはない。海岸のモンバサにしても鉄道 の駅から北行きのバスの停留所までは脇目も振らずに歩けば二十分程の道の りだ。カンナの咲いた広い花壇を横切り、自動車の販売店の並ぶ元エチオピ ア皇帝の名を持つ通りを東へ進んで、突き当たりで左折し、海岸九部族のひ とつディゴの道路を道なりに行くと右にマンゴやパパイヤの詰まった篭が並 んでいる植民主義者マキノンの市場が、左に色とりどりの布を軒先から所狭 しと吊した店が犇めく商業通りの入り口が見え、右にカアヴを切った所に尖 った塔を持った回教寺院がある。その先がバス停だ。ここまで来ればひと安 心だ。 最近は人が混んできて街を歩くにも緊張を強いられる。まして胴巻きに旅 券と帰りの航空券と全財産を隠し、肩に一月分の衣類と写真機とスワヒリ語 の辞書の詰まった鞄を掛けての歩行には体力も必要だ。前日の夕刻もの憂げ に揺れるユウカリと、レンガの官舎から手を振りながら飛び出してくる汽車 を愛でる子供たちに見送られて冷えた水の湧く首府を発った。最初は飛行機 で行こうと思っていたが日に数便ある飛行機のどの便にも一つの空きも無か った。その足で鉄道駅に向かい二等寝台車の切符を求めたが、これも得られ ずしかたなく一等寝台車の二人部屋で夜を過ごすことになった。 同室の者が西洋人だったら少し嫌だなと思った。阿弗利加まで来て子音が 多くて聞き取りにくい言語で会話するのは気乗りがしない。案ずる間もなく 現れたのは阿弗利加人だった。海岸九部族のひとつギリヤマ族の出身でモン バサの市民で造船所の技師をしているとのことだった。話しているうちに私 が回教に興味があると知ると、死後と世界について懇々と話続けるのだった。 曰く、人間が死ぬとアズラエルという天使が霊魂を取りにきて、この天使は 片足を天国の第七層に片足を天国と地獄を結ぶ橋に載せており、生前の行い が正しくない者は火の燃え盛る地獄へ、良き行いをした者は泉の水が絶える ことなく湧き出、緑の草木に満ち溢れ、花の香る天国への案内をする等々。 気がつくと時刻はとうに零時を回っていた。 列車は三百二十七マイルの道のりを、幾つもの駅に止まりながら一晩かけ て完うする。小さな駅では官舎の寝台から出てきたばかりの男が妻を横に従 えて腰巻きだけを身につけてカンテラを掲げているのが目に入ったりする。 鉄路の回りのサヴァンナは前世紀末の建設当時と然程変わらないような気が する。いや百年どころか、人類が直立歩行を始めた四百万年前とそれ程違っ ていないかも知れない。頭の高さで両手を精一杯広げたようなアカシアが地 平線を形作っているのが、帰り遅れたかすかな光りの帯に浮かびあがってい る。またたく間に幾つも過ぎ去っていく鉄路の脇の鍾乳石のような蟻塚の中 では何が営まれているのだろうか。瞼が重くなってきたので話し手に話の礼 を言い、おもちゃのような階を登って弧を描いた天井と寝台の間に身を滑り 込ませた。 ガタンという振動とともに列車に制動がかかった。窓からは南国の眩しい 日差しが斜めに差し込んで来ている。しかし駅に着いた気配がない。同室の 紳士は荷物を持たず出ていった。なかなか列車が動き出さないので私も伸び をしながら外にでてみると前方に立ち往生している機関車が目に入った。隣 の駅からもうすぐ応援が来るとのことだった。東海岸のモンバサとヴィクト リア湖畔のキスムを結ぶウガンダ鉄道は無論単線である。故障車を隣の駅の 待避路まで運ばなくてはならない。マジヤチュムヴィというその駅名を聞い て少し安心した。海岸が遠くないことが分かったから。意味は塩辛い水であ る。 結局2時間遅れて列車はモンバサに着いた。日差しは刻々と強くなっている。 バス停にたどり着いた私はほとんど満席で今にも出発しそうなバスを横目に 食堂に突進してコオラを注文する。コオラは小さい瓶のもの程美味という伝 説があるが、ここでは中瓶しかない。喉が乾いていたので一気に飲み干し、 バスに飛び乗る。前列に可愛い少女が居たので正則スワヒリ語で挨拶をする。 明るく素直な挨拶が返ってくると思ったがそうではなかった。おずおずとし た挨拶とやや間があって次に続いた言葉が私を打ちのめした。「あなたはこ こに坐りたいのか。」 私は自分の至らなさと異文化に対する自分の無知を恥じ入る気持ちで一杯 だった。君をどかそうなんて夢にも思っていないし、君が大人を差し置いて 席に坐っていることを責める気持ちなど微塵もない。申し訳けない。だいた い見知らぬ旅行者が子供に話掛けて良い訳がないではないか。例え自分の娘 のように思えたとしても。大人は大人と話をするものだ。こんな簡単なこと を今まで学んで来なかったなんて。 また阿弗利加は目上の者を重んじる伝統の廃れていない社会である。何年 か前長距離バスで旅をしていた頃、ある町に着き、物売りがバスを取り囲み、 乗客にバナナや揚げパンなどの食料を売りに来た時のことを良く覚えている。 隣の老人が茹で卵をひとつ買い、それを近くにいた少年に手渡した。少年は すぐさま卵の殻をむき始めた。孫に卵を買ってあげたのだと私は思った。し かし事実はそうではなかった。きれいに殻をむかれた卵は老人の元に戻され、 礼の一言もなく老人はそれを受け取り食べ始めたのである。少年は当然のこ とをしたのだろう。それに少年は老人の孫ではなかったのかも知れない。 「否。」 我に返った私は少女の目も見ずに短く答え、後部の空席に歩を速めた。 ----------------------------------------------------------- ■Africa a la carte アフリカの紹介 ----------------------------------------------------------- ●アフリカ関連WEBサイト 『University of Pennsylvania African Studies Center』 http://www.sas.upenn.edu/African_Studies/AS.html ここはペンシルバニア大学のアフリカ研究所のホームページです。研究所と いっても、大学院や、アフリカの言語を学ぶ学校が併設されています。また ここにもアフリカ各国の情報を集めた資料集的なページがあるのですが、 カーボベルデもサントメプリンシペもありました! ただし、ここに掲載されている内容はわずかで、そのかわり、関連サイトへ のリンクが設けてあります。アフリカのマイナーな国に興味のある人は、こ こからたどってみたら?(の) ------------------------------------------------------------ ■Event Guide アフリカ関連イベント ------------------------------------------------------------ ●全国ツアー ○アフリカの音楽『魂の鼓動』 タンザニアのイリンバ奏者・ザウォセおよびチビテグループ日本公演! ■岡山 日時:11月13日(土)18:30〜 会場:岡山県立美術館ホール 料金:前売り:4,000円 当日:4,500 主催者・問合わ:アフリカンライブラリーTEL:086-254-7162 販売:ディスクトランス :086-232-0510 グリーンハウス倉敷店:086-421-3108 ■熊本 日時:11月19日(金)19:00〜 会場:益城町文化会館 料金:大人前売1,000円/当日1,300円 高校生以下前売700円/当日1,000円 主催者・問合せ:益城町文化会館:096-286-1511 ■沖縄 日時:11月23日(祝)未定(近日中に決定) 会場:具志川市民芸術劇場 料金:未定(近日中に決定) 主催者・問合せ:具志川市民芸術劇場:098-973-4400 ■愛知 日時:12月17日(日)18:30〜 会場:味岡市民センター 料金:大人2,500円 中学生以下500円 主催者・問合せ:小牧市教育委員会 *招聘元は(株)笑う猫:0422-56-2329 公演に関しては直接それぞれの公演主催者にお問い合わせください。 *ザウォセとは?イリンバとは?については下記のURLをご参照ください。 http://member.nifty.ne.jp/ANAKAJIMA/zawo1.htm (中島明夫さんの紹介) ●北海道 ○さっぽろ自由学校「遊」 アフリカ講座のご案内 (転載歓迎) アフリカを知る、アフリカを感じる ・1999年10月14日開講 隔週木曜19:00〜21:00 全5回 ・会場 さっぽろ自由学校「遊」 ・受講料6,000円(学生5,000円)*会員のみ単発参加可 アフリカ、…この響きを皆さんはどのように感じるでしょうか? この言葉を一面的にしか捉えていなくはないでしょうか。 この講座では、そんなアフリカについて、さまざまな角度から 掘り下げていきます。私たちのまだまだ知らないアフリカの 魅力と可能性について、一緒に探し考えていきませんか? 11月11日(木) アフリカの自然・文化・暮らし ●ピーター・オポンド Peter Opond 1964年生まれ。ケニア・モンバサ出身。 アフリカ大陸の自然やその民族と文化、そしてアフリカが抱える 問題点をケニア出身で札幌在住のピーターさんに紹介していただき ます。参加者の皆さんとの対話を中心に講座を進めていく予定です。 11月25日(木) アフリカの開発を巡る状況 ●森川 純(もりかわ じゅん) 1949年、石川県金沢市生まれ。明治大学卒業後、デンマ―ク、 ナイジェリアに学ぶ。1998年から酪農学園大学環境システム学部勤務。 専攻は国際政治学、アフリカ論、日本−第三世界関係論、日本外交論。 主要著作:JUN MORIKAWA, Japan and Africa - Big Business and Diplomacy -. HURST, LONDON, 1997. 森川純『南アフリカと日本− 関係の歴史・構造・課題−』同文舘,1988. 森川純「日本のODA外交のイリュ−ジョン」太田一男編『国家を超える 視角』法律文化社,1998. アフリカやアフリカの開発を巡る知的状況を再検討する事は、アフリカに 対する主要な援助供与国であり、1993年と1998年にアフリカ開発支援の為の 大規模国際会議、アフリカ開発会議(TICAD)を開催し、さらにはNGOの役割 に対する期待が高まっている日本(社会)にとって現実的な意味合いを持つの ではないだろうか。 12月9日(木) アフリカンドラム“ジンベ”がひらく世界 ●いいだ ともき 80年代末、西アフリカのタイコ“ジンベ”の生演奏によるアフリカン ダンス・ワークショップに出会い、ダンス&ジンベを学び始める。95年 Uターン以来、道内各地でジンベの講座を開催し、音とリズムの魅力を 伝える。 ジンベとの出会いから活動のこと、ジンベを通して知ったアフリカの 豊かな生活文化、ジンベを通して広がり深まった人とのつながり、世界的 に広まる時代背景や問題点等を話し、実際にジンベの演奏を体験してもらう。 問合せ:さっぽろ自由学校 メールアドレス最近のバックナンバー 第20号 第21号 第22号 第23号mao-pole@bd5.so-net.ne.jp(奥田) ========================================================== AFRICA ON LINEはAJF会員有志を中心に編集・発行しています。 ◆感想・投稿はmao-pole@bd5.so-net.ne.jp(担当:奥田麻緒)まで ◆アフリカ日本協議会(AJF) http://www5a.biglobe.ne.jp/~AJF ◆発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ ◆マガジンID:0000013255 ◆当メール・マガジンの登録・解除は http://www.jca.apc.org/~ryosaito/aol-intro.htmlまで 上記URLにてバックナンバー公開中! 【転載・引用される場合は連絡をください】 ==========================================Africa on Line======