アレバロ・ウリベ大統領が政権の座に就いて以来、コロンビアでは人権活動家を標的とする狩猟シーズンが始まった。国際的な人権組織ヒューマンライツ・ウォッチによると、2002年に17名の人権擁護活動家が殺害された。1997年以来最高の人数である。昨2002年には、コロンビア政府と軍将校たちが、コロンビアの非政府組織(NGO)をゲリラと関係している転覆的組織とするレトリックが強化された。コロンビアではNGO活動は常に危険なものであったが、現在はかつてないほどに死の危険が高まっている。ワシントンの支援を受けた新たな「対テロ戦争」が、冷戦のレトリックのもとで、1970年代の南米南端地域で独裁政権を支援し、1980年代に中米で独裁政権を支援したと同じ戦略を復活させている。ウリベ政権とコロンビア軍将校たちの白か黒かの世界観において、NGO活動家はゲリラと見なされている。そして、政府や軍関係者がNGO活動家を公に非難することにより、「死の部隊」(準軍組織)が処罰されずにNGO活動家を殺害する青信号のメッセージを受け取る。
ヒューマンライツ・ウォッチによると、4月10日、ワシントンDCの米軍が主催する会議で、コロンビア軍のホセ・アルトゥロ・カメロ准将は「人権NGOが「法的戦争」をコロンビア軍に対して行っていると批判した。さらに、彼は人権団体を「転覆集団の友人」と批判し、ゲリラが統括するより大きな戦略の一環を担っていると述べた」。カメロ将軍の発言を、孤立した例外として済ませるわけには行かない。昨年、多くのコロンビア高官や影響力の強いコロンビア政府関係者が、同様の発言を行っているのである。例えば、ウリベ大統領の個人顧問でありウリベがアンティオキア州の州知事だった時代に副知事を勤めたペドロ・フアン・モレノ・ビジャもその一人である。
コロンビアの雑誌「コロモス」とのインタビューで、モレノは、「諜報センターは、FARC、ELN、EPL、麻薬商人、自警団、NGO、普通の犯罪者のいずれかに詳しい専門的な分析家の情報を求めるべきである。NGOに対する諜報監視を行う必要がある。というのも、NGOが、この国を破壊した張本人だからである。多くは左翼である。転覆分子と暴力主義者が、こうしたメカニズムを、権力を掌握するために造り出したのである」。
影響力のある公的な地位にいる人物が、NGOを、FARC、ELN、EPL、麻薬商人、自警団、普通の犯罪者と同列に同じ発言の中であからさまに標的と決めつけたことを信じにくいと考える人もいようが、NGOを標的とすることは、明確に、ウリベ政権の戦略となっているのである。
ウリベ大統領はどうやら友人であるモレノの助言を心に留め、NGOの活動を「法的に」制限し始めた。コロンビアNGOのCODHES(人権と追放のコンサルタンシー)代表ホルヘ・ロハスによると、「ウリベは議会に法案を提出した。この法案が通ると、NGOを監視し、統制し、自律性を制限する体制ができることになる」という。けれどもロハスが指摘するように、ウリベ政権の嫌がらせはコロンビアのNGOに限られず、「政府はまた、コロンビアのNGO活動を支援する国際NGO組織も妨害している。例えば、コロンビア政府は、最近、コロンビアを訪れた国際組織の代表団を、「公共のデモに参加した」として追放処分にした。国際NGOをさらに制限するために、政府は、ビザ入手に必要な官僚的手続きと要件とを強化している」。
NGO活動家−特に人権擁護活動家−がコロンビアで直面している障害と危険は膨大である。ワシントンに本部を置く国際政策センターのアダム・イサクソンによると、「95%以上の犯罪が処罰されず有力者は自分たちの不処罰を守るために様々な策を弄する国で、人権活動は困難であり、しばしば危険を伴う。大体、毎月一人、人権活動家が暗殺される。ここ数年の間に、コロンビアで最も力を持った人権活動家と専門家が、何十人と、亡命を余儀なくされた」。
最近発表された国連の報告は、ウリベが政権の座に就いて以来、コロンビア軍が直接人権侵害に関与するケースが増大したと述べている。コロンビア軍による人権侵害の増加は、ブッシュ政権による米国からの軍事援助増大に対応している。再び、歴史は繰り返し、右派のラテンアメリカ指導者と米国が後押しする軍とが右派「死の部隊」と同盟し、社会正義と人権を擁護するために立ち上がる勇気を持つ人々を脅迫し、物理的に排除する状況になっている。皮肉なことに、この最新の国家テロは、「対テロ戦争」のもとで正当化されているのである。
人権活動家を標的としているのは、主としてコロンビア軍と結びついた準軍組織です。準軍組織に関しては、準軍組織とイスラエル及び準軍組織:テロ・ネットワークの肖像も、ぜひお読み下さい(ともに少し長いですが、コロンビアの状況だけでなく、国際世界の構図を理解するためにも有用だと思います)。