『週刊鉄亀』2000年7月3日号

粥川準二@ライターです。

 このメールは私の友人・知人で、このようなくだらないものを送りつけても、笑って読んでくれそうな優しい人たちに送っています。実は、この夏にホームページ開設を考えており、日誌形式の週刊コラムを掲載しようかと思っています。原則として、毎週月曜日発行。そのテスト版をお送りします。『週刊鉄亀』は仮題(石井政之氏の『週刊石猿』 http://www.people.or.jp/~maria/ishii.htm のパクリ)です。正式なタイトルはほぼ決定しました。また、何人かの方から意見を聞いて、形式を少し工夫してみました。来るべき Web 開設のさいには、「日誌」と「コラム」を分けて、リンクで連動するようにしようかなと思っています。ご感想などあればぜひ。 では。

●6月某日(月)  

 夜、小川町にて、PARC(アジア太平洋資料センター)主催のホームページ作成講座に出席。講師は前回と同じく、JCA-NETのI氏。ネットスケープ・コミュニケーターのコンポーザーという機能を使って、コンテンツを作成する方法などを習う。彼はウインドウズ・ユーザーであるので、僕のマックに対応したソフトについてあまり詳しくなく、多少手間取る。I氏は竹橋のJCA-NETの事務所で「補講」をしてくれることを約束。マックの達人がいるらしい。着実にホームページ公開に近づきつつある。
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 池澤夏樹著『タマリンドの木』(文春文庫)を読んだ。  
 池澤は好きな小説家の一人で、『マシアス・ギリの失脚』などは傑作だと思うが、これは駄作だ。池澤には珍しい恋愛小説で、要するに、女に振り回される男の話である。池澤は、このテの描写はヘタだと評価せざるを得ない。主人公である男の趣味が風力発電の(日曜大工的な)研究で、相手の女の仕事がカンボジア難民支援のNPO職員という、きわめて池澤らしい設定も鼻につくだけだった。なお池澤の初期の作品に「マリコ/マリキータ」という短編があり(同名の短編集に収録)、これもまた女に振り回される男の話なのだが、『タマリンドの木』よりずっと優れていると思う。  

●6月某日(火)  
 午前中に家を出て、ヒトゲノム解析完了のニュースを集めるために、キオスクで各紙を買う(詳細はコラムへ)。  
 昼前、高速バスに乗って茨城県つくば市へ。農水省系某研究所で、微生物農薬の一種について取材。某科学技術情報誌に掲載予定。午後1時から60分ほど話を聞き、写真を撮らせてもらい、大量に資料をいただく。  
 しかし……今年なってから、いったい何回つくば市に行っただろうか?  取材を終えると東京に戻り、午後4時半から霞ヶ関の厚生省で、「第3回厚生科学審議会先端医療技術評価部会疫学的手法を用いた研究等における個人情報の保護等のあり方に関する専門委員会」(長い!)を傍聴(詳細はコラムへ)。  
 さすがに一日に二つの取材をこなすのは疲れる。

●6月某日(水)  
 午前中は掃除、洗濯など家事に専念。  昼ごろ、雨の中、10年来の古い友人Yの自宅に行き、昼食。仕事のことなどを話す。お互い30を超えてしまったが、昔のことをいっさい話さず、現在のことだけを話し合うというのは、心地よい関係ではないかと実感。

●6月某日(木)  
 終日、国立国会図書館にて、資料収集。主に「外来生物」について、学術論文数本をコピーする。なんせT社Sさんが歯ぎしりして原稿を待っている。しかも最近、Sさんが担当した本が……(先週のネタだっつーの)。

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 最近、トッド・ラングレンの2枚組ライブ盤『ライブ・イン・シカゴ'91』をよく聴いている。悪くはないのだけど、気分は複雑である。  
 1991年のライブを収録した2枚組だが、発表は昨年。トッドも最近、未発表音源を続々と発表している。僕はちょうどこのころ来日したトッドのライブを観ているので、非常に懐かしい。収録曲は、『アカペラ』、『ニアリー・ヒューマン』、『セカンド・ウインド』など最近のアルバムからのものが多い。トッドは、すべての楽器演奏をすべて自分でこなす、いわゆるセルフレコーディングが売り物のミュージシャンであったが、このころ急に路線を転向し、『ニアリー・ヒューマン』はバンドでのスタジオ一発録り、『セカンド・ウインド』もバンドで実際に観客を前に演奏した一発録りであった。しかし、実際に聴いてみると、『ニアリー・ヒューマン』にしても、『セカンド・ウインド』にしても、この『ライブ・イン・シカゴ'91』にしても、バンドというよりも10数人のトッドが演奏しているように僕には聞こえてしまう。セルフレコーディングでも音は変わらないんじゃないか、といったらイジワルだろうか?   
 そうしたメンバーで演奏されているこのライブ盤は、いい意味でも悪い意味でも、演奏のクオリティは高い。『アカペラ』というアルバムは、トッドが一人でレコーディングした、タイトル通りボーカルのみのアカペラ・アルバムなのだが、このライブ盤ではバンドのメンバーが全員で『アカペラ』収録曲2曲を、アカペラで披露している。その技量には圧倒されるが、それ以上のものでもない。マービン・ゲイのヒット曲をメドレーで歌う「マービン・ゲイ・メドレー」も、トッドのライブではおなじみ。ファンとしてはうれしいが、ちょっと予定調和すぎやしないか?   
 僕は、スティーリー・ダンなどのグループには、偉大なるワンパターンを望んでいるが、トッドのような破天荒なアーティストは、ライブでもそのご乱心ぶりをもっと見せつけてほしいと思う。  
 
●6月某日(金)  
 終日、雑務、テープ起こしなど。

●7月某日(土)  
 御茶の水の書店で、武田徹著『IT革命原論』(共同通信社)と上山昭博著『プロパテント・ウォーズ』(文春新書)を買う。最近、本屋に行くと「お前も本をどんどんと書け!」という声が頭の内部で聞こえてくる。  
 出版フリーランサーの集まりに参加。深夜に帰宅。

●7月某日(日)  
 終日、自宅にて雑務、家事。  
 暑いので、アイスクリームがおいしい。ひさしぶりにカレーをつくる。(つづく)
 
 

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