神奈川県警腐敗の背後にオウム関連巨大暗流 隠しマニュアル

神奈川県警隠しマニュアルの源流はオウム捜査中断問題か

1999.12.5.mail再録。

 またまた、わが自称名探偵の鼻がヒクヒクしてきて、止まりません。それも、すでにヒット数が2,000に急接近中の、下記わが頁との関連が強く匂うのです。

「神奈川県警/対応マニュアル」。『読売新聞』(1999.11.24)の1面トップと、35面の社会記事面を、デカデカと飾った「独自取材」(社会部記者)。ただし、どうやら内部告発の頂き記事のようでしたが、この問題の他社による追い掛け報道振りが、これまた典型的な、大手メディア報道の奇怪な構造なのでした。

 マニュアルの基本的な主旨は、「不祥事は積極的に公表すべきでない」です。このところ不祥事続きの神奈川県警で、しかも、今から8年以上も前の1991年3月に、県警監査室が作成し、県内全署長、県警本部の課長以上に、「取り扱い注意」として、極秘に配布していた明確に公務員法違反の秘密文書が、写真入りで暴露報道されたのですから、これは、まさに、ショッキングそのもの、重大な犯罪的スキャンダルなのであります。

 ところが、わが家で唯一宅配の『日本経済新聞』では、まったく報道されませんでした。ただし、報道ではなくて、1週間以上後の12.2夕刊で、「さらりーまん生態学(いきざまがく)」なるコラムに、作家の肩書きの江波戸哲夫が、次のように書いていました。

…………………………………………………………………………………………
[前略]内部の人間にとって、<組織の存続>は最優先の課題となる。省庁に限らず、“生き延びること”は組織と言う生命の本能だ。

 いや、神奈川県警の「組織防衛マニュアル」のことである。

 不祥事がばれると組織が揺らぐから、

 (1) 内部的には厳正に処理するが
 (2) 安易に公表しない
 (3) 当事者を免職させても目の届くところにおく。

[後略]
…………………………………………………………………………………………

 そこで、大手メディアのサンプル研究として、まず、朝日新聞社の広報に聞くと、11.25.天声人語で触れているとのこと。本来なら社会面で追跡取材記事を載せるべきテーマなのに、ライバル、とはいってもフェアな紙面の質的な競争ではなくて、ヤクザ拡張販売の商業的競争相手の読売新聞社に「抜かれた」から、という斜に構えた取り扱い方は、いつものこととはいえ、実に見苦しい限りです。

 NHKの「視聴者ふれあいセンター」は、要求すると渋々、データベースを検索して、12.25.朝7時のニュースだけで、「神奈川県警不祥事隠しマニュアル発覚」と報じたというのですが、私が聞くのが遅れたので、ニフフィに有料で入っているかもしれないラディオニュースの原稿も、入手することができませんでした。なにしろ、3日で消えてしまうのです。

『しんぶん赤旗』は1日遅れの11.25.「神奈川県警/“組織防衛最優先に”/91年に不祥事隠しマニュアル」の題で、かなり大きく報道しています。ただし、明らかに上記『読売新聞』記事の「パクリ」です。本来、報道に関しては、その公益性から法律上、引用を明記すれば、たとえ全文をそのまま掲載しても良いことになっていますので、読者としては、全大手メディアが、そうしてほしいところです。

 さて、大手メディア報道を全部チェックするのは大変ですし、私としては、以下の問題が一番重要なのです。

 すでに『日本経済新聞』のコラムから、つぎの部分を引用しました。

…………………………………………………………………………………………
 不祥事がばれると組織が揺らぐから、

 1) 内部的には厳正に処理するが
 (2) 安易に公表しない
 (3) 当事者を免職させても目の届くところにおく。
…………………………………………………………………………………………

 この内、(1)と(2)は、違法にしても、“組織防衛最優先”の理に適っています。

 (3)の部分を上記『読売新聞』記事で見ると、つぎの部分と対応しています。

…………………………………………………………………………………………
 免職した職員には、再就職斡旋に努め、警察の目の中に入れて置くことが必要(第7項目「関係職員に対する適切な措置」から)
…………………………………………………………………………………………

 この項目の作成理由を、『読売新聞』記事では、「不祥事が本人の口から漏れるのを防ぐためと見られ、元外事課警部補のケースでも、県警は免職後の行動を把握していた」と説明しています。その「元外事課警部補」には、「都内の警備会社を斡旋した」そうです。解雇の経過は、「覚せい剤の使用が尿検査で明らかになった」のに、「不倫を理由に諭旨解雇とした」というのです。つまり、内部処理で罪を軽くしていたのです。

 では、なぜ、「罪を軽く」したのでしょうか。なぜ、「罪を軽く」してもらった「本人」なら、しめたとばかりに口を噤むのが当然なのに、その「本人」がわざわざ、自分の「不祥事」を漏らすことを恐れる必要が、どこになるのでしょうか。違法な「隠しマニュアル」作りの根拠としては、まるで理屈に合いません。

 そこで参考になるのは、先の『日本経済新聞』のコラムのつぎの部分です。

「内部の人間にとって、<組織の存続>は最優先の課題となる」

 つまり、<組織の存続>を最優先の課題とするのは、「内部の人間」なのです。解雇処分になって「外部の人間」になると、<組織の存続>を最優先の課題と考えなくなります。そこで、「再就職斡旋に努め、警察の目の中に入れて置くこと」により、準「内部の人間」にするのです。しかし、この場合の美名、<組織の存続>、『読売新聞』記事によると、「組織防衛を最優先に考える(第5項目「適切な報道対策」から)」の本音は、実に怪しいのです。

 すでに東海村臨界事故で、「JCO裏マニュアル」が暴露されましたが、この「裏マニュアル」の作成に至った経過も、ほぼ明らかになっています。私自身のズバリ直撃取材結果もいずれ報告しますが、製品の納入先の核燃料サイクル機構の注文の仕方に基本的な原因がありました。すでに赤字経営のJCOは、無理に無理を重ねていたのでした。奇怪な違法マニュアルの作成には、やはり、奇怪な作成の原因が潜んでいるのです。

 では、神奈川県警が、暴露されれば重大な公務員法違反の犯罪となることを承知の上で、作成した奇怪な「隠しマニュアル」には、どのような奇怪な作成の原因が潜んでいるのでしょうか。

 上層部だけに「取り扱い注意」と大書して配布したのは、なぜなのでしょうか。私は、新たに発生が予測される不祥事隠しが目的なのではなくて、すでに多くの署員の知るところとなった過去の重大不祥事の「口封じ」のためではなかろうかと、推理します。その「過去の重大不祥事」の最大の候補は、先に記したわが頁の記事、県警本部長による部下レイプ事件、及び、その事件を嗅ぎ付けた暴力団との談合の結果としての「オウム神仙の会」事件捜査中止問題です。

 時期も、ピタリ符合するのです。ぜひ、御覧下さい。

 以上。


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