「テロ」を最初に組織的に行ったのは政治的シオニスト
(1999.2.25.mail.)
木村愛二です。
トルコの反政府クルド人組織の指導者、オジョランが逮捕され、アメリカのCIA、イスラエル、ギリシャ大使館の関与が疑われている。ドイツのイスラエル大使館では、占拠を狙ったのであろうか、4人のクルド人が殺された。
2000万人もいながら、近年流行の国民国家を持てずにいるクルド人と、強引にアラブ人を押し退けて400万人の領土を確保し、戦い続けているイスラエル人、または「ユダヤ人」(ユダヤ教徒の流れを汲む人々という方がより正確だが)の一派とが、殺し合う関係になったことは、また新しい歴史の悲劇の展開なのであろうか。その意味では、実に象徴的な「4人の死者」なのである。
クルド問題については、かねがね、ともかく「独立」(括弧付き)の要求の正当性は一応支持しながらも、近年流行の国民国家への根本的な疑念を呈したいと思っていた。その矢先に、オジョラン逮捕事件が発生したのだが、そのまた直前に、朝日新聞社発行の赤字月刊誌こと、いつもはほとんど薄味記事ばかりの『論座』(1999.3.)に、「サダム・フセインは追放できるか」という訳題で17頁の長い論文が載った。この記事の論評をも、いずれ試みようと思っている。この記事にも、クルド問題が詳しく出ているので、興味のある方は、ぜひ読んで頂きたい。
さて、クルド人は、今回、抗議のために各地で公館を狙ったが、殺されたのはイスラエル大使館の場合だけである。特にドイツでは、かつて、オリンピックの際に、いわゆるアラブ人組織の「テロ」があったこともあり、不審な相手は直ちに射撃する方針だったのだろうか。
だが、世間周知のように、ユダヤ人とアラブ人の抗争に関しては、「テロ」を最初に組織的に行ったのは、政治的シオニストの側だった。しかも、その「武装」政治的シオニストの直系が、現在のネタニヤフ政権なのである。ところが、この最も重要な事実を知らない、または直視しようとしない自称平和主義者が、愕然とする程に非常に多いのである。いわゆる「思い込み」の中でも、これは最も強烈な心理操作の効果が発揮されている事例なのであろう。
これでは、現在の中東情勢を理解できる訳がない。私の手元には、『マルコポーロ』廃刊事件の際にまとめて取り寄せた資料の内、まだ残部を頒布できるものがある。その内の「テロ]問題に関する下記英文資料は、1000円で頒布しているので、興味のある方には、mailで申し込まれれば、郵送する。
題名を直訳すると、『シオニスト・テロ・ネットワーク/ユダヤ人防衛同盟およびその他の犯罪的シオニスト組織の背景と作戦/特別報告』である。
私が、『マルコポーロ』廃刊事件の際に受け入れて記者会見に出てもらったユダヤ人、デヴィッド・コールは、当時25歳の若者で、アウシュヴィッツなどのヴィデオを作っていたが、「日本にきて良かったのは殴られないことだ」と何度も言っていた。アメリカに帰ってから、上記ヴィデオの共同制作者、スミス教授(わがHPにリンクあり)から「コールが裏切った」と言う趣旨のファックスがきた。私は、コールの気質的に不安定な様子を見ていたので、「残念だが彼には背骨がないと思った」という趣旨の慰めのファックスを送り返した。
別途、わがWeb週刊誌『憎まれ愚痴』で紹介している「ガス室」実在論者、フランス人の薬剤師、プレサックも、ホロコースト見直し論者のフォーリソンに一度は弟子入りしたことがある裏切り者である。裏切り者が出る運動には、それなりの改善の余地もあるだろうが、基本的な認識は、その運動に対する弾圧の強さへの批判でなけれならない。人間というものは、非常に弱い生物である。その迷いを理解できない机上の空論者には、現在の世界情勢の理解などは、とうてい望むべくもない。
以上。